No.505366

そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~第21話『Jの強襲/仮面の舞踏会』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
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2012-11-07 13:25:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1406   閲覧ユーザー数:1395

「今回のコンサートは、やめた方がいい」

 

 

風都警察署内で事情聴取を終えた後、照井はプリズムリバー三姉妹にそう言い放った。ルナサは、それに対して首を横に振った。

 

 

「危険だ!! 奴らは、一切の躊躇なく蹂躙しにくるぞ!!」

 

「それでもやり抜くのが私達の仕事です。私達を待ってくれているファンを裏切りたくはない」

 

 

照井の気迫に負けじとルナサも睨み返す。その様子を見て、翔太郎は照井の肩に右手を置く。

 

 

「左?」

 

「良いじゃねぇか、照井。俺達が守り抜けばいいだけだろ」

 

「何を言って……」

 

「アロガンスはしつこい。俺達の手が届く間に始末した方がいい」

 

 

反論しようとする照井の台詞に被せる形で、刹那は翔太郎を援護する。

 

 

「あいかわらず甘いな、左。だが、悪くはない」

 

 

照井がフッと笑いながら納得した。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

コンサート当日、一見どこにでもあるトラックが風都を走っていた。走行していたトラックは、途中、アロガンスを警戒した検問に引っ掛かる。

 

 

「通っていいぞ」

 

 

そう言われた運転手は、アクセルを踏んで再発進した。

 

 

「雑な警備だな」

 

「それは違う。組織が根回しをしたんだよ」

 

「分かってるって」

 

 

運転手は軽口を叩きながらトラックを目的地へと進める。しかし、目的地まで後少しというところでトラックの動きは突然止まってしまった。

 

 

「あれ? 故障か?」

 

「確認してみる」

 

 

助手席に座っていた男が車を降りた瞬間、大勢の警官によってトラックの周囲が突然取り囲まれた。物々しくライフルを構えたその集団は、明らかに通常の警官ではなかった。警官を率いていた照井が前に出てメガホンでトラックに呼び掛ける。

 

 

『そこのテロリスト達に告ぐ。お前達は完全に包囲されている。直ちに投降しろ』

 

「SATだと!?」

 

「なぜバレた!? 偽装は完璧だったはずだ!!」

 

 

男たちは慌てふためき、周囲を見渡す。明らかに人数の多さが異常だ。

 

 

「くそッ!!」

 

 

男はソルジャーフォルスに変貌し、武器を構える。異変を察知した他のソルジャーもトラックから次々と降りてくる。中には、ジャイロフォルスの姿もあった。

 

 

「投降する様子は無しか。仮面ライダー達の突入と同時に攻撃開始!! 狙撃班はそのまま援護射撃に回れ」

 

 

照井は無線でSAT隊員に指示を出した後、チャンネルをいじってもう1度通信を行った。

 

 

「戦闘開始だ。手はず通りに頼む」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「了解」

 

 

先ほどアロガンスの偽装トラックをパンクさせた狙撃手の側にいたゲイザー・マテリアルは敵部隊に向かって飛翔する。同時に、ダブルと龍騎が別方向からバイクで突入する。

 

敵の指揮官であるジャイロフォルスと交差する瞬間に首に向かって刀を振るう。しかし、その一撃は右腕の機動防盾で防がれた。追撃せず、反動を利用して自分からノックバックする。

 

 

「来たな、裏切り者」

 

「? 何のことだ?」

 

 

ゲイザーMは首を傾げる。ジャイロは鼻を鳴らして話を続ける。

 

 

「仮面ライダーである貴様が人外を守るために戦う。それが、裏切り以外のなんだというのだ?」

 

「仮面ライダーは、絶望にあがき続ける意思であり、力の象徴……テロなんかに使っていいものじゃない」

 

 

ゲイザーMは剣を振るう。至近距離からの斬撃をかわしきれずにジャイロフォルスはたたらを踏む。すかさず返す刀でもう1度斬りかかる。

 

ジャイロが右腕の機動防盾に内蔵してるビームガンで迎撃しようとするが、ゲイザーMは左足で蹴りあげ、更に追撃で蹴り倒す。

 

 

「隊長!!」

 

「援護だ!! 援護しろ!!」

 

 

SATと交戦していたソルジャーの内5体がその銃口をゲイザーへと向ける。

 

 

「ガードスキル:ディストーション」

 

 

ゲイザーMが小声でそう言うと、体に沿ってバリアが展開される。ソルジャー達のマシンガンが火を吹く。だが、ゲイザーに到達する弾丸は1つも無かった。

 

 

「効かないだと!!」

 

「くそっ!! なら、こいつでどうだ!?」

 

 

分隊長と思わしきソルジャーTがライフルの下部にグレネードを装填する。ソルジャーTが顔を上げた時、ゲイザーMは既に目の前で剣を振り上げていた。

 

瞬間、ソルジャーTはゲイザーMによって斬られていた。

 

 

「…………」

 

 

ゲイザーMは無言のまま残りのソルジャー部隊に斬りかかっていた。その頃、ジャイロはようやく起き上がっていた。

 

 

「くっ……」

 

 

ジャイロは背中のローターを展開させ、砲身を形成し、エネルギーをチャージする。

 

 

「刹那!!」

 

《CYCLONE・METAL》

 

 

ダブルがゲイザーMの方へ駆け寄りながらサイクロンメタルにハーフチェンジし、続けてメタルメモリをメタルシャフトへと挿入する。

 

 

「間に合え!!」

 

《METAL:MAXIMUM DRIVE》

 

「これで終わりだ!! 仮面ライダー!!!」

 

 

ジャイロは巨大なエネルギー弾をゲイザーMへと放つが、なんとかダブルCMが間に割り込み、風を纏ったメタルシャフトを叩きつけるむ。それにより、エネルギー弾はあらぬ方向へと飛んでいった。

 

 

「何ッ!?」

 

《FINAL VENT》

 

 

不発に終わったジャイロの必殺技発動直後の隙を突き、龍騎がドラゴンライダーキックを叩き込む。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

龍騎が放った渾身の蹴りはジャイロに直撃し、爆散させた。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

薄暗い部屋で、複数の中高年の男性が丸テーブルを囲んで、音声通信による報告を受けていた。

 

 

『ジャイロフォルスは撃破され、Tタイプを含むソルジャー部隊も全滅致しました』

 

「分かった。下がっていいぞ」

 

『了解しました』

 

 

そこで音声通信は終了し、男性の1人が焦りと共に話を切り出した。

 

 

「また全滅か!! これで何度目になる!?」

 

「奴らの重要拠点たる光陽町への妨害工作も尽くが失敗している!! このままでは、我らの悲願を達成することは出来ないぞ!!」

 

「問題はそれだけではない。白い羽根つきの件もある」

 

 

円卓に腰かけていた男性達がその単語に注目し始めた。

 

 

「あの動き、戦い方、20年前に我らが戦ったシナプスの剣聖と酷似している」

 

「馬鹿な!? 奴は総帥自らが倒されたのだ!! 生きているわけがない!!」

 

「だが、奴は現に存在している!? 早急に対策を考えるべきだ!!」

 

いつの間にか会議の議題は本題からそれており、ゲイザーがああだこうだという話し合いになっていた。不毛な話し合いを見て、ついに総帥が口を開いた。

 

 

「奴の対処法については、後日提出だ。例の作戦の準備もある。そちらの準備を優先で進めろ。今回の議題は、それで終わりだ」

 

 

円卓に座っていた男性達は次々に席を立ち、部屋を去っていくなか、総帥だけが残っていた。

 

 

「魔女めッ……。同胞を大勢殺しただけではなく弟をもたぶらかしおってからに……!! それだけでは、まだ足りぬと言うのか?」

 

 

総帥の歯ぎしりは広い司令室のなかで虚しく響いていた。

 

 


 
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