No.495889

ACE学園第22話『仮面ライダーとしてあるべき姿』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
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2012-10-13 23:17:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1624   閲覧ユーザー数:1615

 

今回の出来事は、ある一言から始まった。

 

 

「仮面ライダーの決め台詞ってどうすればいいのかな?」

 

 

高町家のリビングで、士樹がこぼした言葉だ。

 

 

「なかなかかっこいいのが思いつかないんだよねぇ」

 

「俺も気にしてはいた。翔兄も含めて決め台詞があるライダーはけっこう多いからな」

 

「いくつか候補は有るんだけど、なんかこうビシッとした感じがしない」

 

「同感だな」

 

 

2人は同時にため息をついた。

 

 

「この学園には、いろんな奴がいるだろ。そいつらの所へ相談に行くのはどうだ?」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「で、俺の所へ来たというわけか?」

 

「そういうこと」

 

 

喫茶店で士樹達を出迎えたのは、剣崎だった。

 

 

「決め台詞かぁ。今まで気にしたことなかったな」

 

 

剣崎は背伸びをしながら答えた。

 

 

「正史だけでなく、外史のライダーでさえ決め台詞やポーズを持っている奴がいる」

 

「そういうのが無くていいのか、たびたび気になるんだよね」

 

「気にしすぎじゃないか。真司や渡も決め台詞とかはないけど、ピンピンしてるぞ」

 

「しゅっちゅう失敗しては落ち込んでいるイメージが強いけどね、2人とも」

 

「分かる分かる。特に、渡は目標が高いからな」

 

「……話に着いていけない」

 

 

士樹と剣崎が盛り上がる中、じゃっかん疎外感を感じていた。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「そんな物に意味はないな」

 

 

続けて訪れたミスリルの格納庫では、宗介に一刀両断された。

 

 

「戦場では、一瞬の油断が命取りだ。そんなことをしている間に命を失うぞ」

 

「ずいぶんバッサリ切ってくるな」

 

「君らしい答えだね、宗介」

 

「つれないことを言うなよ、宗介。わざわざアドバイスを聞きにきたんだぜ、2人は」

 

 

別の所で作業をしていたクルツが刹那と士樹のフォローに入る。

 

 

「先輩達がかっこよく決めてるんだ。後輩もそれに倣おうとするのは当然じゃないか」

 

「仮面ライダーとて決め台詞で価値を計るわけではなかろう。あくまで、その行動と結果が重要なはずだ」

 

「宗介……」

 

 

宗介の率直だが、筋の通った答えは2人の心に響いた。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「なるほど、そんなことで悩んでいるのか」

 

ミスリルを出た後、士樹と刹那はACE学園の屋上で読書をしているルルーシュに会っていた。

 

 

「俺も宗介に同意見だな。そこまでこだわるようなことじゃない」

 

ルルーシュは本のページをめくりながらあっさりと言いのける。

 

 

「仮面ライダーとは、記号にすぎない。その中身が1番重要だ」

 

「力があっても、使いこなせなければ意味はない……そういうことか」

 

「いくら見てくれがよくても、肝心の中身が伴ってなければ意味がないということだ」

 

「精神が強く影響する僕達のD2システムではなおさらのことだね」

 

 

士樹が右手に持ったアクエリアスドライバーを見ながら呟く。

 

 

「言葉など、行動していれば勝手についてくる。あまり考えすぎるな。さて、俺はそろそろ帰らせてもらう」

 

 

そう言うと、ルルーシュは校舎の中へ入っていった。

 

 

「なんとなく分かる気はするが、しっくり来ないなぁ」

 

「他の人にも聞いてみるか」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「決め台詞か……。考えたことなかったね」

 

 

高町なのはは翠屋のテーブルでコーヒーをかき混ぜながら答えた。

 

 

「なのはさんってそういうことしてるイメージがけっこう強いんですけど」

 

「そんなことないよ。管理局の白い悪魔とかエース・オブ・エースは全て他人が付けた2つ名だしね」

 

「いったい何をしたら、そんな呼ばれ方をするんですか?」

 

 

刹那が疑問を素直にぶつける。しかし、当の本人は首を傾げていた。

 

 

「分からないなぁ。私はただ空を飛んでいたかっただけだし」

 

「なのはさん、確かに暇さえあれば空を飛んでるよね」

 

「にゃはははは。そのせいで、シャマル先生にもドクターストップをかけられているしね」

 

 

なのはは苦笑いしていた。

 

 

「でも、私は後悔していない」

 

 

なのはは力強い声ではっきりと言った。

 

 

「私は自分のやりたいように生きた。とても清々しい気分だよ」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

なのはと話し終わった後、士樹と刹那は海鳴公園に来ていた。

 

 

「結局、決め台詞は決まらなかったね」

 

「言いたいことは分かるが、それなら既に出来ていてもおかしくはない」

 

「僕達には何が足りないのかな?」

 

 

2人が悩んでいると、ジャージ姿でランニングしていたアインハルトが側を通りがかった。

 

 

「アインハルト……」

 

「お2人とも、ここで何をしているんですか?」

 

「仮面ライダーとしての決め台詞をどうしようか考えていたんだよ」

 

「未だに中身は決まってないがな」

 

 

それを聞いたアインハルトは静かに構えを取り始める。

 

 

「私たち格闘家は基本的に拳で相手と語りあいます。ヴィヴィオさんともそれで仲良くなりました」

 

 

アインハルトは右手で正拳突きを放ち、話を続ける。

 

 

「どれだけ綺麗事を並べても、その人が放つ技には、怒り、憎しみ、喜びなどの感情が反映されます。それを誤魔化すことはできません」

 

 

士樹と刹那はアインハルトの話に静かに耳を傾けていた。

 

 

「語る言葉が見つからないなら、その技で語ってください。そうすれば、あなたたちの言いたいことは伝わります」

 

 

その言葉で、2人の胸につかえが取れた。

 

 

「言葉で語れないぶん背中で語れってことか」

 

「愚直なまでに行動で語り続ける……それも、剣士の性か」

 

「もう夕方だし、そろそろ帰るか」

 

「そうだな。リインとイカロスが心配する」

 

 

士樹とアインハルトが見送る中、刹那は自宅へと帰っていった。

 

 


 
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