「くっ、ベスカからの情報はまだなのかっ!?」
ただ国々を次々に滅ぼしているだけで、全く進展がないオリヴィエは数週間以上経ってもベスカから一回も情報が来ないことに少し苛立っていた。
このままでは霧がない戦いを続けるだけで、永遠と続く戦争になるだけだった。
あの後クラウスから誘ってきた国の黒幕は言ってなかったのかと聞いたが、さすがに向こうもそのようなへまはせず教えなかったらしい。
もちろん倒した国の王に勝って問いただしたが、それと言った答えは帰ってこず、ベスカからの情報を待つしかオリヴィエにはなかった。
ベスカと同じように他にも潜入させる人を送ろうかとも考えたが、ベスカほど潜入するのに適した人物は他におらず、無駄死にさせるだけかもしれないと思ってオリヴィエは行動が出来ないでいた。
そんな苛立っているオリヴィエが居るのここ王座の間に、早くオリヴィエに報告しなければいけないかのように慌ててネネがオリヴィエに近寄っていく。
「どうしたんだ? そんなに慌てて――」
「大変です!! 各地で魔力の源であるリンカーコアを徴集して、徴集されたものを殺しているという情報がっ!!」
「ちっ、ついに向こうが動きだしたかっ!?」
こちらは全く情報が掴めていないというのに、行動を起こされたことにオリヴィエは舌打ちして歯を噛みしめる。
ネネの知らせを聞いただけでその徴収しているものが夜天の書だと理解し、誰かがプログラム書き換えたのだろうと推測できた。
さらには徴集した人をそのまま殺しているという事だからなおさら最悪だった。その徴収はこちらにも被害を及びかねなかったし、まだ聖王家は黒幕が誰なのか見えていない。
「ちなみに問うが、その徴収している使用者は誰なんだ? まだそこまで分かってないか?」
「分かってます。その使用者はアンビュ・エメジスタ。エメジスタ王国の王が使用しています」
「……なるほど。彼ならやりかねないか」
ようやく黒幕をつかめたとオリヴィエは思った。エメジスタ王国とはいつも聖王家との意見違いが多発して、特にオリヴィエとは仲が悪かった。
しかしエメジスタ王国は何気に他国と親密な国々が多く、今回はそれに賛同した国々が今回の事を起こしているのだろう。
黒幕がつかめたと同時に考えてみれば答えが見つかるような事であったので、オリヴィエはようやく黒幕が分かった嬉しさと、反対に今まで何していたのだろうかというため息が吐きたくなっていた。
「こうなればすぐに出動するぞ!! 向こうの思うようにはさせない為にな」
これ以上向こうに好き勝手やられるわけにはいかないため、オリヴィエはすぐさまアンビュ・エメジスタを倒す事に動こうと王座の椅子から立ち上ってすぐに準備に取り掛かろうとする。。
だが続けてオリヴィエに急いで近づいて来ようと、する足音が聞こえてくることに気づいて何かあったのかもしれないという事で足を止める。
そしてその足音の張本人はこの王座の間に現れ、ネネと同様に慌てているようだった。
「そんなに慌てているという事は、何かあったのか?」
「ベスカ・アンデュリッヘから先ほど敵国の情報が入りました!!」
「それは本当か!?」
今一番待っていたベスカからの情報がようやく届いたという事にオリヴィエはありがたかった。
黒幕が分かったところで他にも何か起きるような気がするし、まだ余裕になれる状況ではなかった時にベスカからの情報が来るという事が何よりうれしかった。
「はい、それでベスカ・アンデュリッヘからの情報なんですが――」
それから彼はベスカから着た情報をオリヴィエに伝える。
どうやらベスカが調べた内容は夜天の書の変えられたプログラムについてであった。
プログラムを弄ったところはどうやら自動防衛プログラムと((管制人格|マスタープログラム)がほとんどで、徴集がすべて終わると何かをすれば起動するらしい。その後何が起こるのかはベスカにも調べることが出来ず、潜入してそこまでわかったことが逆にすごいらしい。それはオリヴィエも思っていて、まさか夜天の書のプログラムの変更した内容が少し聞けるとは思っていなかった。
ベスカからの情報をすべて聞き終ると、やはり黒幕がアンビュ・エメジスタだという事も言っていたので、それを確認できたオリヴィエは次の行動がすぐに決まるのであった。
「分かった。先ほどはすぐに出動すると言ったが、一度作戦会議をした方がよさそうだ。向こうが何もしてこないという事も考えられないからな。そういう事なので将軍どもを集めてもらえるか? 私は先に向かってると伝えておいてくれ」
オリヴィエはそのまま王座の間から出て行き、将軍たちと会議するために会議室へと移動するのであった。
だが、この時のオリヴィエはまだ知らない。黒幕以外にも裏で動き回っている人間が居て、その人間が世界を買いまわすという事を――
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J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
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