真・恋姫†無双~赤龍伝~第109話「目覚め」
蓮華「うぅ……」
誰かに抱かれている感触。
蓮華(……とても温かい)
?「……蓮華」
誰かが私の事を呼んでいる。
優しい声。
蓮華(この…声……)
?「蓮華」
蓮華「……はっ!」
赤斗「おはよう蓮華。やっと起きたね♪」
蓮華「赤斗っ!?」
目を覚ました蓮華の前にいたのは、子供の姿の赤斗ではなく、本来の姿に戻った赤斗だった。
蓮華「も、元に戻ったんだな」
赤斗「元に? ……何の事? それにここはドコ?」
蓮華「憶えていないの? ここは貴方の夢の中……え?」
周りを見て蓮華は気がついた。
赤斗と蓮華がいる場所はフェリーではなくなっていた。
今までフェリーが沈没しても、暫くすれば何事もなくフェリーは浮かんでいた。
だが、今いる場所には何も無かった。
ただ白いだけの世界。
赤斗「司馬懿と戦ってからの記憶が無いんだよね……もしかして、ここってあの世ってとこかな?」
蓮華「落ち着いて聞いてね。ここは赤斗の夢の中よ。あなたは司馬懿の呪いで夢に閉じ込められたの」
赤斗「夢? なら、ここにいる蓮華も夢?」
蓮華「違うわ。私は亞莎と一緒に、あなたを助けに来たのよ」
赤斗「助けに来た? どうやって夢の中に?」
蓮華「それは……世捨て人だとか言う老人が来て、私たちを夢の中に送ってくれたのよ」
赤斗「世捨て人の老人? 何それ…怪しすぎるな」
蓮華「でも……お蔭であなたを助けにくる事ができたわ」
赤斗「……蓮華」
蓮華「赤斗……」
二人が見つめあっていると亞莎の声が聞こえてきた。
亞莎「赤斗様ーー! 蓮華様ーー!」
赤斗・蓮華「!!」
赤斗たちはとっさに顔をそむけた。
亞莎「よかった。元に戻られたんですね」
赤斗「やあ、亞莎。何だかよく分からないけど、心配をかけたね。それよりも亞莎こそボロボロじゃないか!」
亞莎「いいえ、私なら大丈夫です。これぐらい赤斗様の為なら…」
蓮華「亞莎。一体何があったのだ?」
亞莎「えっと、実は……」
亞莎は蓮華と赤斗に先ほどまでの経緯を説明した。
蓮華「そう…あの赤い龍は私たちを襲ったのではなく、ただ赤斗に引き寄せられてきたのね」
赤斗「うーーーん。やっぱり、よく分からないけど、ありがとう蓮華、亞莎♪」
蓮華・亞莎「///////////」
赤斗「さて、とにかく元の世界に戻ろうか」
亞莎「何か良い考えがあるんですか?」
赤斗「考えと言うか、ここが夢なら…起きれば良いんだよね?」
蓮華「確かにそうかもしれないけど、それで大丈夫なの?」
赤斗「大丈夫だよ。案外、見ているのが夢だと分かるとすぐに起きられるものだから。呪いの原因とやらも排除してくれたんだし」
蓮華「そんな簡単に…」
赤斗「それじゃあ二人とも起きよう♪」
亞莎「えっ!」
蓮華「ちょっと赤斗!」
ただ白いだけの世界が、赤斗の言葉とともに輝き出す。
そして、どんどんと光が世界を満たしていき、赤斗も、蓮華も、亞莎も、光に包まれ世界から消えていった。
蓮華「はっ!!」
蓮華は寝かせれていた寝台から飛び起きた。
祭「権殿! 目を覚まされたか!」
寝台の近くには祭がいた。
蓮華「祭っ! 赤斗は!? 赤斗はどうなったの!?」
興奮を隠せないまま蓮華は祭に詰め寄った。
祭「落ち着かんか。赤斗なら無事じゃ。権殿よりも先に目を覚ましておるから安心せい」
蓮華「…そう良かった」
心底安心した顔で蓮華は、その場で膝を突いた。
祭「今は堅殿の手荒い歓迎を受けておるじゃろうて。権殿も早く行かれると良い」
蓮華「ありがとう。そうするわ♪」
笑顔で蓮華は天幕を飛び出していった。
連合軍の陣営から少し離れた場所で―――
貂蝉「あなたが人に力を貸すなんて珍しい事もあるのね。どういう風の吹き回しかしら?」
老人「…貂蝉か。この外史によく来れたな」
貂蝉「司馬懿ちゃんの作った防壁を赤斗ちゃんが破壊してくれたお蔭よ」
老人「そうか。あの小僧が…」
貂蝉「これからどうするつもりなの 王允ちゃん?」
王允「…………」
王允と呼ばれた老人は何も言わずにその場を立ち去って行った。
つづく
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この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、他√に
脱線することもあります。また、主人公も含めてオリジナルキャラクターが出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長~~い目で見てくださると助かります。