No.493720 SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 燃えろ!萌えろ?体育祭!!!本郷 刃さん 2012-10-08 15:56:25 投稿 / 全11ページ 総閲覧数:19125 閲覧ユーザー数:17977 |
前書き兼注意です。
この話しはネタバレを含んでおります。ですので、ネタバレが嫌な方々はブラウザの戻る
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読んでみたいという方々は、是非お楽しみください。
現実世界での話しですが、皆様に分かり易いようにゲームのキャラ名で登場させています。
加えて一部の会話では本名で呼ばれますのでご理解ください。
時間軸は「GGO・ファントムバレット編」が始まる前ですので、シノンは登場しません。
そのかわり、名前はでませんがハジメの幼馴染という単語で参加はしています。
シノンファンの皆様には大変申し訳ありませんが、ご理解頂けると幸いです。
それでは、どうぞ・・・。
SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 燃えろ!萌えろ?体育祭!!!
キリトSide
「いいか、お前ら! 今日の戦争……勝つのは俺達だ!」
「「「「「うおおおぉぉぉぉぉーーーーー!!!」」」」」
一人の生徒の声に、他の生徒達から大歓声が上がった。
それと同時に、もう一つの生徒の群衆からも大歓声が聞こえてきた。
「元気だなぁ…」
「……うるさい」
「まぁまぁ」
歓声を聞いた俺は呆れ、ハジメは顔を訝しめ、ケイタは俺達を宥める。
そういうケイタも苦笑いを浮かべながら同じクラスの友人達である、月夜の黒猫団四人を見ていた。
サチまでもあの群衆に交じって声を上げている。
「いくら景品がよくても、
そう、今日はこの学園初めての体育祭なのだ。
そもそも、俺のいる紅組ともう一つのチームである白組が何故ここまで盛り上がっているのかというのは、一ヶ月前に遡る。
~一ヶ月前~
夏休みが明け、テストが終わった後、放課後の
「ここでみんなに大事なお知らせがある。丁度来月の日曜日に、体育祭が開催されることが決定した。
まぁ二年間の間、あの世界にいたみんなからすれば大したことではないかもしれないが、
やはりちゃんとした学校生活を送ってほしいというのが保護者の方や教育委員会からの願いでな。
そういうわけで、生徒で結託して頑張ってほしいと思う」
先生の言葉に俺はもちろんクラスのみんなも納得した。俺達の二年間を考えると当然なのだろうと思う。
しかし、あの世界にいた俺達にとっては正直刺激が少ないと考える。
その時、先生が笑みを浮かべて言葉を口にした。
「ちなみに、活躍した生徒には景品などが進呈されるぞ」
―――!!!!!
一瞬で教室内の空気が変化した。強いて言うならば肉食動物が獲物を見定めたような感じといえよう。
「先生……景品って、どんな物があるんですか?」
「やる気が出たみたいだな。
景品の内容は、まず短距離走などは文房具などだが、個人や団体競技での優勝には食券が。
さらに、体育祭で活躍したMVPには遊園地や水族館、レストランなどのチケットも進呈される」
興田の質問に先生が答えたが、前者の景品は分かるが後者は豪華すぎるだろ。
俺とハジメは顔を見合わせて苦笑を浮かべるが、クラスメイト達は俄然やる気が出ている。
「よしよし、みんな。練習に励むんだぞ」
「「「「「オスッ!!!」」」」」
女子まで何を言っているんだか……。
~現在~
とまぁ、それが一ヶ月前のことだ。
俺達のチーム分けは、俺、ハジメ、黒猫団の五人が紅組。
アスナ、ハクヤ、リズベット、ヴァル、シリカ、ルナリオが白組である。
ちなみにアスナが俺とチームが違うことを知った時、ショックを受けていたのはご愛嬌だ。
そして開会式も終わり、これから競技が始まる。
景品は俺にとっても魅力的なものだから、少しばかり気合を入れていきますか………。
午前の部は
点数は拮抗しているともいえるが、白組が僅かにリードしている。
短距離走では俺とハジメが一位、ケイタが三位、他の四人は四位以下という結果で、
白組ではハクヤとヴァルとルナリオが一位、アスナは二位、リズとシリカは四位以下ということになった。
綱引きでは俺達紅組に軍配が上がり、玉入れではあまり点差が広がらなかった。
他にもパン食い競争や中学生達によるダンスなどが行われた。
そして午前の部最後の種目はイベントで、一部の生徒達以外には知らされていないものだった。
なぜかというと、俺達『黒衣衆』がその当事者だからだ。
「何故こうなった……」
「俺達が現実でも戦える人間だからだろ…」
「……最早逃げられない」
「諦めろってことですね…」
「やるっきゃないっすよね~…」
俺から順番に、ハクヤ、ハジメ、ヴァル、ルナリオと言葉を放つ。
「「「「「はぁ~~~……」」」」」
長い溜息を吐いた俺達。うん、諦めよう…。
キリトSide Out
アスナSide
「ねぇ、リズ。キリトくん何処にいるか知らない?」
「アスナも? 私もハクヤを探してたのよ」
わたしはキリトくんを探していたのだけど見当たらなくて、リズに声を掛けてみたけど、
彼女もハクヤ君を探しているらしい。
そこにシリカちゃんが歩み寄ってきた。
「あの、アスナさん、リズさん。ヴァル君を見ませんでしたか?」
「シリカちゃんもなんだね…」
「ということは、お二人もですか?」
シリカちゃんの問いに頷く私とリズ。
リズもシリカちゃんもお昼ご飯を一緒に取るので、探していたみたいだけど。
『ただいまより、午前の部最後の種目であるイベントを開始します。
生徒、来訪してくださったご家族、観客の皆様、是非彼らの演武をお楽しみください』
イベントスタートのアナウンスを、放送担当の先生が喋っていく。
いままで秘密にされてきたイベントは『演武』ということらしいけど、一体…?
「とりあえず考えてても仕方ないから、これを見てからにしましょ」
「うん、そうだね」
「はい」
リズの提案にわたしとシリカちゃんは賛成することにし、わたし達は応援席に座ってイベントを見ることにした。
『それでは彼らに入場していただきましょう……どうぞ!』
アナウンスをしている女生徒の言葉で校庭に入場してくる五人の人物。
「えっ!?」
「はぁっ!?」
「ふぇっ!?」
「「「「「えええええぇぇぇぇぇっ!!!???」」」」」
わたしだけでなくリズとシリカちゃんも驚愕の声を上げ、加えて生徒のみんなも声を上げた。
保護者や観客の人達は生徒の声の方に驚いている。
校庭に入ってきたのはなんと……、
「キリトくん!? みんな!?」
袴姿のキリトくんとハクヤ君、ハジメ君にヴァル君、ルナリオ君の五人だった。
アスナSide Out
キリトSide
「盛大に驚いてるな…」
「ですね」
俺は観客達の驚き様に呟くとヴァルが苦笑して相槌を打った。
「まぁ、やるべきことをやるだけさ」
「そうっすね」
「……それに、意外と楽しみでもある」
ハクヤは開き直ったようでルナリオも賛成し、ハジメは意外にも楽しんでいるようだ。
驚いている観客達を余所に俺達はそんな言葉を交わす。
今回のこのイベントは、俺達が武術を扱う事ができると知った、校長に頼まれて実現したのだ。
「折角だ、楽しんでやってみるとするか?」
「「「「おう(はい)」」」」
四人の返答を聞いて、俺達は向きあうように
俺は二振りの日本刀を、ハクヤは大振りな鎌を、ヴァルは薙刀を、ハジメは大太刀を、
ルナリオは薙刀ほどの長さの棒をそれぞれに構える。
勿論、ルナリオの棒以外は全て刃を潰したものだ。重量は俺達用の本物の得物と同じ重さに調節してはあるが。
『一年生の
なら、魅せるとしますか。そして俺達は得物で打ち合い始めた。
キリトSide Out
No Side
二振りの刀でハジメに斬りかかるキリト。ハジメはそれを大太刀で受け止める。
そこにハクヤが鎌を振り下ろしてきた。
キリトとハジメはお互いに後退し、二人がいたところに鎌の一閃が下ろされた。
体勢を立て直したハジメはハクヤに斬りかかり、ハクヤもそれに斬り合って応じた。
しかしキリトがそこに乱入してきた。両手に持つ刀で二人を相手取る。
右のハクヤと左のハジメ、それぞれの得物から繰り出される斬撃の嵐を一人で捌いていくキリト。
一合、十合、二十合と次々と斬り合う三人の武闘演武はまるで舞のようである。
一方のヴァルとルナリオ。この二人による武闘演武は、共にリーチの長い武器である。
そのため薙刀の刃先と鉄にコーティングされた棒の先端による、
激しい突きあいと両者の持ち手部分での打ち合いが主流となっていた。
お互いに突きあい、打ち合い、振り回しながらの打ち合いなど、一進一退の攻防である。
打ち合った回数だけならばキリト達よりも多いといえよう。その時、五人が一斉に距離を取って円を作った。
No Side Out
アスナSide
凄いとしか言いようがないと思う。
あのSAOの中やALOで見た彼らの戦いそのものが、今目の前で行われているのだ。
両隣にいるリズとシリカちゃんも開いた口が塞がらないようだ、もちろんわたしもだけど。
ただ、わたし達にとってはそれ以上に彼らの姿に見惚れている。
好きな人の勇姿をこのような形で見ることができれば当然だと思う。
その時、キリトくん達が同時に距離を取って睨みあうように円を作った。すると、
―――……ぅおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!
一気が大歓声上がった、特に男性がかなり興奮しているようだ。
「キリトくん、カッコイイ…//////」
「ハクヤもね…//////」
「ヴァル君もカッコイイです…//////」
わたし同様にうっとりとした声で感想を漏らす二人。これが惚れた弱みなんだと認識した。
そして彼らは再び演武を始めた。
アスナSide Out
No Side
再開された五人の武闘演武。しかし今度は五人が入り混じった乱戦状態である。しかも、
「ハアァァァァァ!!!」
「エェェェェェイ!!!」
「ゼアァァァァァ!!!」
「セェェェェェイ!!!」
「ラァァァァァ!!!」
全員が雄叫びを上げて戦っている。簡単に言えばほぼ本気なのだ。
そんな乱戦の中でも、彼らの演武は冴え渡ったものである。
美しい舞のようであり、それでいて力強い攻防。
一対四、二対三というように戦うこともある。
この演武が始まって十分が経とうとした時、再び距離を取った五人が体勢を立て直して得物を構える。
校庭が静まり返った。そして、
「「「「「っ!!!」」」」」
全員が同時に駆け出してそれぞれの得物がぶつかり合い、そのまま交差した場所から過ぎ去った。次の瞬間、
―――シュッ!
全員の袴の一部が綺麗に裂かれた。キリト達はそれを確認するとそれぞれ得物を収めた。
『……以上を持ちまして、武闘演武を終了いたします。
華麗な演武を魅せてくれた五人の生徒に大きな拍手をお願いいたします!』
―――パチパチパチパチパチッ!!!
生徒、保護者、観客による惜しみない拍手を受けたキリト達は身を整えて一礼をした。
それに改めて拍手と歓声が沸き起こった。
『以上で午前の部は終了です。これよりお昼休みに入ります。
生徒の皆様は十分な食事と休憩を取って、午後の部に備えてください。繰り返します―――』
No Side Out
キリトSide
校庭から退場した俺達は元の運動服に着替えて移動している。
「あ~、疲れたっす~」
「僕もだよ。キリトさん達、容赦無さすぎですよ…」
ルナリオとヴァルは非常に疲れた様子を見せている。
「二人とも、ちゃんとついてこれてたぞ」
「ああ。めざましい進歩じゃないか」
「……腕を上げたな」
俺、ハクヤ、ハジメはそんな二人の成長を賞賛する。俺達がそんな風に話していたら、
「キ~リ~ト~く~ん!」
アスナが飛びついてきた。
すぐ側ではリズがハクヤに、シリカがヴァルに、応援に来ていた
ハジメも幼馴染が来ているらしいのだが、おそらく他の場所にいるのだろう。
「キリトくん、凄くカッコよかったよ///!」
「ありがとな、アスナ」
俺に抱きつきながら褒めてくるアスナに微笑みかけた。
さらにそこに黒猫団の五人もやってきた。
「まるで映画の撮影みたいだったよ」
「ビックリしちゃったよ~」
「ゲームの中の動きそのまんまだったぜ!」
「いや~鳥肌もんだったな」
「さすがだよ、五人とも」
ケイタ、サチ、テツ、ロック、ヤマトが感想を述べていく。
この後、俺達はそれぞれ食事を取るために別れた。
ハクヤとリズは両家族と共に、ヴァルはシリカとその家族と昼食を取るらしい。
家族が用事で来れないルナリオは、俺とアスナ、リーファ達と一緒に食べることになっている。
リーファに連れられて、俺達は母さん達が陣取っている場所に来た。
「お疲れ様。和人、明日奈ちゃん」
「みんな頑張っていたわね」
母さんと京子さんが労いの言葉を掛けてくれた。
「和人君、私はあの演武を見て感動したよ!」
「ありがとうございます、彰三さん」
彰三さんは演武の感想を言ってくれた。
「おや? 君は確か和人君と一緒に演武をしていた……」
「
「と、刻くん//////」
「なるほど、和人君の未来の
ルナリオと彰三さんは初めて会うので軽く自己紹介をしており、リーファは照れている。
彰三さんの言う通り、ルナリオが義弟になるのならば俺も安心だけどな。
「そ、それよりもご飯にしましょうよ。お兄ちゃんも明日奈さんも刻くんもお腹すいたよね///?」
「そうね、お昼にしましょう」
話しを逸らしたリーファに母さんが助け舟を出した。
「あのね、刻君。直葉ってば、早起きしてお弁当を作るのを手伝ってくれたわよ」
「お、お母さん//////!?」
どうやら助け舟ではなかったようだ。
「和人君、明日奈もお弁当を作ったのよ」
「か、母さん//////!?」
さらにアスナも被害を受けている……というかアスナの手料理か。早く食べたいな。
「と、とにかく食べようよ///」
「そうだな」
食事を取り始めた俺達。
桐ケ谷家の弁当は母さんとリーファが作り、結城家の弁当はアスナと京子さん、橘さんの三人で作ったらしい。
料理はどれも絶品といえる。そこでアスナが行動を仕掛けてきた。
「か、和人君。その…あ、あ~ん//////」
アスナよ、ここでそのアクションか。家族達だけでなく周囲からも温かい目で見られている。
アスナの顔は真っ赤に染まっている。恥ずかしいのならば何故やるんだ、という疑問はこの際置いておこう。
「……あ~ん(パクッ、モグモグ)」
「お、美味しい//////?」
「(ゴクン)ああ、美味しいよ」
俺の返事に顔を緩めるアスナ。それを見ていたリーファは、すぐさまルナリオに同じ事を要求していた。
だが俺ばかりというのもあれだな。そう思った俺も同じことをした。
「アスナ、あ~ん」
「えぇっ/////////!?」
「ほら、あ~ん」
「うぅっ、あ、あ~ん/////////(ハクッ、モクモク、ンク)」
そんなこんなで俺達は食事を楽しんで取ることができた。
しばしの間母さんや結城夫妻から、からかわれるのは甘んじて受けるさ。
ちなみに合流したリズとシリカの顔が赤くなっていたのは、俺達と同じことがあったのだと簡単に想像ができた。
そして午後の部が始まった。午前の部と違い、主にリレーなどの競技が集中しているため応援も白熱している。
そんな中一つの競技が始まった。それは借り物競争である。
参加者を見てみると、アスナ、リズ、サチがいるのが分かった。
競技が始まると全員が一斉に駆け出していった。トップはアスナですぐに借り物が書かれている紙を取った。
そこで彼女の様子がおかしいことに気付いた。
なにか焦っているようで、他の紙を取り直そうとするが他の選手が追いついて紙を取ってしまった。
次々と借り物を取りに行く選手の中、アスナは意を決した様子で走り出した。そう、俺のところに。
キリトSide Out
アスナSide
わたしは借り物競争で借りる物をみて、硬直してしまった。
「な、なんなの、これ…//////」
リズとサッちゃんも先に行ってしまった。このままではビリになってしまう。だけどこれは恥ずかしすぎるよ~//////
でも、MVPになってチケットが手に入ればキリトくんとデートに行ける。それなら…!
「よし、女は度胸よ///!」
わたしは意気込んですぐさま走り出し、キリトくんのところに向かった。
アスナSide Out
キリトSide
「アスナ、どうしたんだ?」
俺はすぐそばに来たアスナに訊ねた。なにかを言いたそうで、けれど言い難そうな感じだ。
「あ、あのね…借り物で、その…一緒に来てくれないかな…//////?」
なるほど、借り物の内容で俺が当てはまるわけか。しかし何やら嫌な予感、というか何かが起こりそうな気がする。
かといって、いくら相手チームでもここで行かないというのは卑怯な気もするし。
仕方が無い、彼女の為だしな。
「分かった、行こう」
「ぁ、ありがとう…//////」
アスナはそう言うと俺の手を取って走り出した。
周りからは野次や黄色い声が上がり、さすがの俺も恥ずかしいものがある。
アスナの顔を見てみると今にも爆発してしまいそうなほどに紅くなっている。
そして一着でゴールすることができた。
「それじゃあ、借り物の紙を見せてね~……って、なるほどね~」
アスナから借り物が書かれた紙を受け取り、俺を見て納得した様子の女性教師。するとマイクを持って喋り出した。
『たったいま一着でゴールしました方の借り物の内容はずばり「私の王子様」でした。
相手チームでありながらも、彼女さんのお願いに答えた彼氏君、仲睦まじいカップルに大きな拍手をお願いします!』
―――パチパチパチパチッ!
盛大な拍手が起こり、中には「いいぞー!」とか「熱いね~!」とかの野次が混ざっている。
これは滅茶苦茶恥ずかしいぞ。アスナに至ってはもう気絶寸前と言っても過言じゃないくらい真っ赤になっている。
俺とアスナはそそくさと退場した。応援席に戻った俺はクラスメイト達にからかわれまくった。
それ自体は慣れたものだからいいのだが、むしろ観客の生暖かい視線のほうがきつかったとだけ言っておこう。
ついに午後の部最後の競技となった。最後の競技は紅白対抗リレーだ。
両チームの男女合わせて十人ずつで行われ、それぞれ校庭を一周する。
紅組は俺とハジメ、ケイタと三年の先輩達、女子も足の速いメンツである。
対する白組は男子にハクヤ、ヴァル、ルナリオと二人の男子、女子はアスナと四人の女子という構成だ。
「厳しいな…」
「……そうだな。特にハクヤ達がきつい」
「やっぱりそうなんだね。でも、こっちの女子は陸上部とかの精鋭揃いだよ」
俺とハジメは戦況の分析をし、ケイタもそれに加わる。
男子では相手に分があり、女子ではこちらに分があるというところだ。
まぁ、意地を見せるとしますか。現在点数は白組に負けているが、このリレーで勝てば逆転勝利だ。
入場が終わり、俺達は走る順に並んでいる。そして……、
「よ~~~い……(パンッ!)」
空砲の音と共に両者が一斉に走り出した。紅組の一番手は女子サッカー部で最速を誇る生徒だ。
白組の女生徒は追いつけずにいる。紅組のバトンが渡り、三年生の男子生徒が駆けていく。
しかし、それに追いつく影があった。
―――『白組一年生の神城君が追いついたーーー!』
ヴァルが追いつき、すぐさま追い越した。やはりアイツは速すぎるな。
その後は、白組にリードを許す形ではあるが徐々に追いついてきた。
特にケイタが善戦したことでかなりの距離を縮めることができた。
残りは男子二名、女子一名ずつ。
紅組はハジメと女子陸上部キャプテンの女生徒、アンカーの俺の三人。
白組はルナリオとアスナとハクヤの三人だ。
バトンがルナリオに渡り、続いてハジメも受け取って駆け出した。
足の速さではハジメに軍配が上がるが、ルナリオも速いので距離を縮めるので精一杯だ。
そしてルナリオがアスナにバトンを渡し、ハジメが女生徒に渡した。
二人の足もかなり速いものの、やはり陸上部に軍配が上がった。
あと僅かで追い抜けるという距離で、ハクヤと俺にバトンがきた。
「このまま逃げきる」
「逃がさないぜ」
俺達はバトンを受け取る直前に短く言葉を交わして、受け取った瞬間に全力で走り出した。
俺もハクヤも全力で走っているため周りのことは分からない。ただ、みんなの応援だけは聞こえてきた。
「ハクヤさん!」
「が、頑張って、く、くださいっすー!
「負けないでくださーい!」
「ハクヤーーー!」
ヴァル、ルナリオ、シリカの声援、そしてリズの声が聞こえた瞬間にハクヤのギアが上がったのが分かる。
ほんの少しだが距離が開いた。けれど、
「キリト!」
「いけーーー、キリトーーー!」
「頑張ってーーー!」
「いっけーーー!」
「負けんなよーーー!」
「もうちょっとだから!」
「行きやがれーーー!」
「カズ、負けるなーーー!」
ハジメと黒猫団の五人、興田と村越の応援に俺もギアが上がる。さらに、
「お兄ちゃーーーん!」
「和人!」
「どっちも頑張って!」
「頑張るんだ!」
リーファ、母さん、京子さんと彰三さんも声を上げてくれる。
「行けやーーー!」
「意地の見せ所だぞ!」
「キリト、ハクヤ!」
「頑張ってくださーい!」
「行きなさい!」
クラインにエギル、シャイン、ティアさんとカノンさん。そして…、
「頑張って…キリトくん!!!」
相手チームなのに俺を応援してくれるアスナ。負けるわけには……いかないよな!
俺はさらに全力を振り絞り、一気にハクヤを追いかけていく。そしてついに、ハクヤを抜いてゴールした。
―――『ゴーーーーール!!! 勝ったのは桐ヶ谷君、よってこの体育祭、紅組の勝利です!』
―――ぅうおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!
鳴り響く歓声の中、俺は地面に倒れ込んだ。俺とほぼ同時にゴールしたハクヤも隣に倒れた。
「はぁ、はぁ…偶には、はぁ、こういうのも…はぁ、はぁ、いいものだな…」
「はぁ、はぁ、はぁ……まったくだ…」
ハクヤの呟きに俺は息も絶え絶えに答えた。
俺達はこの後両チームによって胴上げされた。
かなり高くまで上げられたものだから、少しばかり驚いた。
閉会式になり、校長の挨拶も短く終わり、すぐにMVPの発表となった。
個人の部ではヴァルがリレー部門を受賞して水族館のペアチケットを貰い、
ハクヤとハジメも個人競技で活躍していたので、共に遊園地のチケットを貰っていた。
ルナリオは道具の用意などの裏方で活躍したので食券を二十枚も貰っていた。
他にも各学年のクラスでMVPを受賞したところは各自食券五枚などがあったりした。
中にはネックレスを貰っている女子もいた。
「それでは最後のMVPの発表に参ります。体育祭MVPは……二年、桐ヶ谷和人君です。
MVP賞はレストランのチケットになっております」
同時に大きな拍手を受けたので少し照れたのは察してほしい。
「それでは、これにて第一回体育祭を終了とさせていただきます。
生徒のみなさん、お疲れ様でした。ご家族、観客の皆様もありがとうございました」
俺達のSAO解放後、初めての体育祭が終わった。
最初はノリでやっていた感じもあったが、途中からはマジでやっていたのでいい思い出になれたと思う。
ちなみに次の日。アスナが俺の家に来たが、二人して疲れていたのでベッドで眠った。
夕方になってから早速レストランのチケットを使い、食事をした。そのあとは……ホテルで一泊したさ。
ナニがあったかは察しろ(笑)。
キリトSide Out
END
後書きです。
今回の番外編は、今日が今年の体育の日であるため投稿しました。
「燃える」中で「萌え(イチャラブ)」がある体育祭は如何でしたか?
楽しんで頂けていれば幸いです。
実は昨日、10月7日がキリトの誕生日でしたが自分がそれを忘れていたために、
キリトの誕生日ssが間に合いませんでした。本当にすいません(フライング土下座)!
ですが、完成すればすぐに投稿するつもりです!
それでは、今後も本編をお楽しみください・・・。
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番外編です。
体育の日ということで投稿しました。
どうぞ・・・。