第九十一技 フラワーガーデン
シリカSide
危なかった……もう少しでヴァル君に下着姿を見られるところだったよ~///
「シリカ、どうかしたの?」
「う、ううん、なんでもないよ。それよりも、ヴァル君。そのアイテムは?」
「これは≪ミラージュスフィア≫だよ」
なんとか話を逸らせことが出来た。でも≪ミラージュスフィア≫……どんなアイテムなんだろう?
ヴァル君がボタンのようなものを押すと、綺麗な球体のウインドウが開いた。
「はぁ~、キレ~イ…」
「ふふ。それじゃあ説明するね?」
ヴァル君はウインドウを指でなぞって47層の主街区と『思い出の丘』の場所、その行き方を教えてくれた。
そんな時、ヴァル君の表情が険しいものになった。
「ヴァル「シッ!」」
あたしに喋らないように指示を出して扉へと駆け出した。勢いよく開いた。
「誰だ!」
ヴァル君が怒声を上げている。その声のあとで誰かが駆けていく足音が聞こえた。
「なん…なの…?」
「聞かれていたんだ。《聞き耳》スキルが高ければ壁や扉越しでも話しを聞くことができるんだけど…。
そんなの上げているのは、大概は碌でもない奴らだし……」
そんなスキルがあるなんて…知らなかった。でもなんのためにそんな事を…。
「安心して。警戒はしておくから…」
不安そうにしていたあたしにヴァル君は気を遣ってくれた。そんな心遣いが嬉しかった。
その後もう一度詳しい説明を受けてから、あたし達はそれぞれ眠りについた。
翌日。あたし達は転移ゲートを使って47層の『フローリア』へと転移しました。
転移が終わってわたしは閉じていた目を開く。そこには……。
「すごい……。お伽話に出て来るところみたい…」
あたしの目に映ったのは辺り一面の花壇に咲いている、たくさんの花々でした。
「この層は別名『フラワーガーデン』。層全体に花が咲き乱れているんだよ」
ヴァル君の説明を聞いてすぐにあたしは花壇に近づいて花の香りを嗅いでみた。凄くいい香り~。
他の花も見ようと周りを見回した時、あたしはそれに気が付いた。
周りにいる人はほとんどが男女でいる。つまりカップルなのだ。ここはカップルのデートコースらしい。
あたしは自分の顔が熱くなるのがわかる。
「シリカ…」
「ひゃ、ひゃい!?」
いきなり声を掛けられたので思わず変な声を出してしまいました。
「えっと、どうかしたの?」
「な、なんでもないよ!」
「よかった…。いこうか」
「うん」
ヴァル君はこういうの平気なんだ……大人だなぁ。
そんな風に思いながらも先に歩いていく彼の後ろをついていく。
「シリカ…君にこれを渡しておくよ」
街からフィールドに出てヴァル君が渡してきたのは≪転移結晶≫でした。
「何かが起きた時に僕が逃げてって言ったら、どの街でもいいからこれを使って」
「で、でも…」
「約束して…」
「うん…」
彼の真剣な表情と言葉に、あたしは結晶を受け取ってポーチに入れる。
「それじゃあいこう。この先を進めば『思い出の丘』だから…」
そう言って歩くヴァル君に追いついて彼の隣を歩き始めました。
しばらくして『思い出の丘』の一番奥に辿り着きました。
ここに着くまでにモンスターの不意打ちを何度も受けてしまい、
その…恥ずかしい格好を何度もヴァル君に見られました///
できれば早く忘れたいし、ヴァル君にも忘れてほしいです///
「ここに使い魔蘇生用のアイテムがあるんだよね?」
「うん。ほら、あそこの祭壇だよ」
道の先、彼が指差した先には祭壇があり、あたしはそこに向かって走り出す。
すると祭壇に白い花が咲き誇った。
「手に取ってごらん…」
「(コク)」
白く綺麗な花を手に取るとアイテム名がでてきた。≪プネウマの花≫っていうみたい。
「これでピナが…」
「そうだよ。ただ、ここには強いモンスターもいるから街に戻ってからにした方がいいかもね」
そうだ。ここで蘇生しても、ヴァル君がいるとはいえもしもの事があるかもしれない
「うん!」
それでもあたしは嬉しかった。これでまた、ピナに会える!
シリカSide Out
To be continued……
後書きです。
次回は犯罪者一同と会して、その次の話しがヴァルによる断罪です。
皆様、お楽しみに。
では、また・・・。
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第九十一話です。
今回は思い出の丘にいく話しです。
どうぞ・・・。