第5話 水鏡塾
ーーーー荊州のはずれにある屋敷
ここでは司馬徽こと水鏡先生と呼ばれる女性が私塾を営んでいた。
司馬徽「それじゃあ、朱里ちゃん、雛里ちゃん、お留守番よろしくね」
そう言うと司馬徽は見送りに来ている二人の少女の頭を『よしよし』と撫でる。
朱里「はい!水鏡先生も道中お気をつけて!」
雛里「あぅっ…いってらっしゃいです…」
猛建「いってきます!お土産買ってくるね」
屋敷の入口付近では可愛いらしい帽子を被った三人の少女と紫色のローブを着た妙齢の女性がいた。
その内の深緑色のハンチング帽を被った少女とローブを着た女性が近くの邑の方へ歩いて行く。
雛里「…いっちゃったね、朱里ちゃん」
朱里「そうだね、雛里ちゃん」
二人を見送った後、残された二人の少女は屋敷の中に戻っていった。
ーーーー三時間後
白斗「此処が水鏡塾か…」
柚「………」
白斗「? どうしたんだ?機嫌悪いな」
柚「…知らないわよ!バカ!」
白斗「???」
水鏡塾の話しをしてから何故か不機嫌になった柚を見て、白斗は不思議に思っていた。
白斗「ふむ…まぁ、取り敢えず訪ねてみるか… すいませ~ん!誰か居ませんか~?」
……………
白斗「あれ?おかしいな…、すいませ~ん!」
ドタン!パタパタパタパタ
???「は~い!今でま~す!」
???「…待って!朱里ちゃん、わたしもいくよ」
???「ありがとう、雛里ちゃん」
???「うんっ♪」
???「こ、こんにちゅは!」
???「ち、ちは、ですぅ……」
屋敷の扉から可愛いらしい帽子を被った二人の少女が、緊張した面持ちでこちらを伺っていた。
白斗「こんにちは。えーっと……君達は?」
???「わ、私はしょ、諸葛孔明れしゅ!」
???「私はあの、その、えと、んと、ほ、ほと、ほーとうでしゅ!」
白斗「えーっと……諸葛孔明ちゃんに、ほーとうちゃん?」
鳳統「鳳統でしゅ! あぅ……」
柚「諸葛亮に鳳統、ね。………あなたたちはここの生徒なの?」
諸葛亮「は、はい!わたし達はここ水鏡塾で水鏡先生の元で学ばせて貰っていましゅ!」
白斗「そっか、俺は徐元直。 こっちの不機嫌な子が、石韜だ」
柚「誰のせいだと思ってるのよ! 石広元よ、宜しくね」
諸葛亮「は、はい!よろしくお願いします!」
鳳統「…お願いしますぅ~」
一通り挨拶を済ませた後、白斗が用件を伝える。
白斗「俺達、水鏡先生に会いに来たんだけど…」
諸葛亮「はわっ、水鏡先生ですか!?」
雛里「今、水鏡先生は近くの邑まで買い物に出かけています~」
白斗「そうか…困ったな…」
諸葛亮と鳳統の言葉を聞いて白斗はどうしようかと思案する。
鳳統「あ、あの…水鏡先生にどんなご用事が?」
白斗「えっ?…ああ、水鏡先生という方が私塾を開いてるという噂を聞いてね。 この子を学ばせようと思って来たんだ」
そう言って白斗は柚の頭を撫でる。
柚は『あ~~~う~~~~』という良くわからない言葉を漏らしながら白斗に撫でられていた。
諸葛亮「そうなんですか…、でしたら水鏡先生が帰ってくるまで中で待ちますか?」
白斗「いいのか?」
鳳統「は、はい 水鏡先生も、もうすぐお帰りになられると思います」
白斗「それじゃあ、お言葉に甘えるとしようかな」
そうして、白斗と柚は諸葛亮·鳳統に先導され屋敷の中に入った。
ーーーーそれから一時間後
???「ただいま~、朱里ちゃん、雛里ちゃん、いい子にしてたかしら?」
???「ただいま~♪二人共~お土産買ってきたよ!」
妙齢の女性と少女が邑から帰ってきて、屋敷の中に入る。そこには三人の少女と一人の青年がいた。
???「…あら?」
諸葛亮「はわっ、水鏡先生!お帰りなさい!」
雛里「真衣ちゃんもお帰りなさい」
談笑していた諸葛亮と鳳統が二人の姿に気付き声をかける。
水鏡「ただいま、ところでそちらのお二人は?」
諸葛亮「あ、はい!こちらの方達は徐庶さんと石韜ちゃんです!」
諸葛亮に紹介され、白斗が椅子から立ち上がる。それに続き、柚も慌てて立ち上がる。
白斗は水鏡に向けて包拳礼をして、
白斗「お初にお目にかかります、水鏡先生。 俺は姓は徐、名は庶、字は元直と申します」
柚「あっ、あの…私は姓は石、名は韜、字は広元って言います」
白斗に少し遅れて、柚も司馬徽に礼をする。
司馬徽「あらあら~、私は司馬徽、字は徳澡、みんなには水鏡先生って呼ばれてるわ」
白斗達と司馬徽が互いに挨拶をかわす。
司馬徽「それで、私に何か御用かしら?」
司馬徽が白斗に訪ねる。
白斗「はい!俺達は学問を学びたくて、こちらの水鏡塾で学ばせて頂く為に参りました!」
司馬徽「あら?でも…うちには女の子ばかりで男性は…」
白斗「存じております、なのでこちらの石滔だけでもと思い、参りました」
司馬徽「そうね、彼女なら問題ないわ」
そう言って司馬徽は柚の方を見る。柚は下を向いていたが、勢いよく『がばっ!』っと顔をあげると、
柚「あ、あのっ!彼も!白斗も一緒ではダメでしょうか!?」
白斗「柚…何言ってるんだ…」
柚「だって!」
司馬徽「う~ん、困ったわねぇ…」
と言うと司馬徽は白斗の方を見る。
司馬徽「…あら?」
すると何を思ったか司馬徽が白斗の顔を凝視しだした。
司馬徽「これは…なかなか…好いわね…」
白斗は突然で驚いたが、取り敢えず見られるままになっていた。
暫くすると白斗から目線を外し、諸葛亮、鳳統と見た後に何事かを思案し始めた。そして、
司馬徽「…いいでしょう、徐庶くんの入学を許可します」
「「えぇっ!?」」
柚を覗いた四人の声が重なる。
柚「ホントに!?やったね!白斗!」
柚は嬉しさのあまり『がばっ!』っと、白斗に抱き付く。
話しを聞いていた、三人の少女が司馬徽に詰めよる。
諸葛亮「す、水鏡先生!よろしいんでしゅか!?」
鳳統「あわっ、男の人と一緒…あうぅ~」
猛建「そうですよ!彼は男の人なんですよ!」
司馬徽「ええ、それに厳密に言えばここは女学院ではないのよ?」
司馬徽以外の全員が『えっ?』という表情をする。
司馬徽「此処にくる才能のある子がみんな女の子だって言うだけで、男性を受け入れてない訳じゃないわ」
三人の少女「「そうだったんだ…」」
少女達は声を揃えていった。
白斗「しかし…本当に良いんですか?自分で言うのもなんですが俺は男ですよ」
司馬徽「ええっ、大丈夫よ。 それに私は人物鑑定が趣味なのよ」
白斗を見て司馬徽が微笑み、次に三人の少女を見る。
司馬徽「あなたには、この子達に負けないぐらいの才能が眠っているわ。この学院で学ぶ権利は十分にあるわよ」
白斗「…ありがとうございます、俺の真名は白斗と言います。 水鏡先生、よろしくお願いします。」
柚「私の真名は柚です!水鏡先生よろしくお願いします!」
司馬徽「ええ、こちらこそ宜しくね。 私の真名は咲耶よ」
真名を交換し合う三人。
諸葛亮「はぅ~~~………」
鳳統「あぅ~~~………」
猛建「えーっと…………」
挨拶を交わす三人を少し離れた場所で見ている三人の少女。
咲耶「あなた達もそんな所にいないでこっちに来て、挨拶なさい」
諸葛亮「は、はい!私は姓は諸葛!名は亮!字は孔明です!」
鳳統「んと、姓は鳳で名は統で字は士元って言います!あの、宜しくお願いします!」
猛建「あたしは姓は猛!名は建!字は公威!よろしく!」
白斗「俺は徐元直だ、よろしくな」
柚「私は石広元、これからよろくね」
全員が自己紹介を終えた後、しばらく雑談をしていると、司馬徽が思いだしたように言う、
咲耶「そういえば、邑で買ってきた食材がそのままだわ」
白斗「あっ、手伝いますよ」
咲耶「あら、白斗くんありがね♪」
白斗「いえいえ、…ん?これは…」
白斗は食材の中から杏を見つける。
咲耶「そう言えば、そろそろみんなお腹がすく頃かしら…」
白斗「あの…咲耶さん」
咲耶「? どうしたの白斗くん」
白斗「少しだけ食材と…厨房を貸して貰えませんか?」
咲耶「ええ、いいわよ?」
白斗「ありがとうございます!じゃあ少し借りますね!」
『タッタッタッ』と白斗は食材を持って急ぎ足で厨房に向かう。
咲耶「……?」
その姿を咲耶は不思議そうに眺めていた。
あとがき
思いのほか、長くなってしまったので前編·後編を分けます!
これが筆が乗ると言うやつか…
今回キャラの会話の書き方を変更しましたが、「逆に読みにくい」、「前のが良かった」などご意見あればよろしくお願いします。
オリキャラ紹介 第4弾!
司馬徽(水鏡先生)
真名 咲耶(サクヤ)
水鏡塾の先生。
腰まで伸びた黒髪に紫のドレスの上に同色のローブを着ている。
ローブで隠れているがかなりの巨乳。
趣味は人物鑑定でその目は諸葛亮、鳳統などを見出だした。
口癖は「好々(よしよし)」
次は後編!では次回~!
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真・恋姫無双の二次創作です。
主人公を始めオリキャラ多数、苦手な方は御遠慮下さい。
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