No.479974

真恋姫†夢想 弓史に一生 第四章 第五話 人心掌握はまず胃袋から……。

kikkomanさん

どうも、作者のkikkomanです。


まず、この小説を読む前の皆さんに警告しておきます。

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2012-09-05 02:25:59 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2484   閲覧ユーザー数:2231

 

~聖side~

 

 

 

「さて、どうするかな…。」

 

「そうですね…。皆さんが…満足出来る物が…作れれば…良いんですけど…。」

 

俺は今、麗紗と一緒に洛陽の市場で食材を選んでいる。

 

と言うのも、昼ご飯をどうするかと言うことになって、食べに行くより作った方が安いと言うことになり、俺と麗紗が買い物。残りの皆が宿の手配と台所を貸してもらえるように交渉する…と言うことになった。

 

…と言うかこれって、台所借りれなかったら俺らの買い物意味なくね??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は一人暮らしをしていたこともあり、飯は良く作っていたから料理は出来る方ではある。

 

麗紗の料理の腕は言わずもがななので省略…。残りの芽衣、奏、橙里は料理未経験だと言う…。因みに一刀は寮生だったらしく彼も少しは作れるが、それほどの腕ではないとか…。

 

「う~ん。まぁ、安く買えるもので作りたいよな~財政的に…。」

 

「ですよね…。となると…肉よりも野菜中心の方が安くはなりますが…。」

 

「でもそれだとタンパク源がな~…。」

 

「たんぱく??」

 

「あぁ、肉とか卵とかに多く含まれていて、体の筋肉や骨格を作るうえで重要な栄養素なんだ。米とかの炭水化物、油の脂質と合わせて三大栄養素って言われてるんだぞ。」

 

「う~ん…。なんだか…難しくて良く分からないですね…。」

 

「まぁつまりは、体のことを考えるなら野菜ばかりや肉ばかりでは無く、肉も野菜も丁度良い量食べないと健康じゃなくなりますよってことだ。」

 

「へぇ~…。お兄ちゃんは物知りですね…。」

 

そう言って目を輝かせながら上目遣いに俺を見てくる麗紗。

 

まぁ、俺のほうが背が高いし、上目遣いになるのは仕方ないにしても…可愛い過ぎんだろ!!! 俺の鋼の精神じゃなかったら直ぐにでも警察沙汰だぜ!! …あっ、この時代警察いねぇや…。

 

「だっ…だから、安くはなったとしても、野菜だけじゃ駄目なんだよ…。 …そういえばさっき、路地裏に肉屋があったような…。見に行くか?」

 

「はい…そうしましょう…。」

 

こうして、まずは肉を見たうえで本日の料理を考えようと、路地裏にある奇妙な肉屋さんに行ってみる。

 

「ふむふむ…。中々お手ごろな値段で豚肉と鶏肉が売ってるな…。鶏ももが4斤で鉄貨40枚、胸なら28枚…豚細切れに関しても4斤で鉄貨40枚か…。」

 

「…おかしいですよ、お兄ちゃん…この店安過ぎます…。」

 

「確かに…いくら市場が豊かだとしても、いくらなんでも安いよな…。」

 

 

 

 

因みにこの時代の米の価格は4斤で銅貨7枚…。今の日本は二斤で約銅貨4枚。比べてもらえたら、高いのがお分かりになるだろうか?? まぁ、白米は貴重だからしょうがないが、でも高い!! 序に言うと、他店の肉の価格はここの価格の2~3倍…。

 

 

 

俺はあまりの安さが気になり、店員に聞いてみる。

 

 

 

「何でこんなに安いんですか? 他の店はここまで安くないですよ?」

 

「その鶏は巴西 (ブラジル)産でその豚は澳大利亞(オーストラリア)産ですから。」

 

「えっ!!貿易してんの!?」

 

「極秘の輸入ルートがありまして…。」

 

「それでもこの時代にこの値段って…。」

 

 

 

 

そこで気付いてしまった俺…。

 

この店の名前は「山○屋」であったことに…。

 

まさか…そんな馬鹿な…。

 

あれは現代だからこそある店じゃないか…。そんな滅多なことがあるわけ……。

 

 

 

 

「これ使えますか?」

 

 

 

そう言って、俺は会員証のカードを出す。現代に居た頃に作ってあったやつだ。まさか、名前が同じだけで、使えるなんてことは…。

 

「はい、使えますよ。」

 

 

 

Ohジーザス!!

 

 

 

まぁ…とにかく、安く買えるならそれに超したことは無い。きっと、この時代にこの店があるのは所謂ご都合主義ってやつだろう。そうだそうに違いない。ならば、少しでも安く買えるこの店で買うのが良いに決まってる。

 

 

 

「麗紗…。この店で買おうか。」

 

「えっ…!? でも…あまりにも安すぎて…些か不安です…。」

 

「大丈夫、大丈夫だから…。」

 

「は…はぁ~…。まぁ…お兄ちゃんが良いと…言うなら…。」

 

 

 

俺達はとりあえず、豚肉の肩ロース、鶏胸肉を買って店を出た。お会計で10%オフされたのには驚いたが、そういえば会員証出してたっけ…。 っていうか、今日お客様感謝デーだったんだ…。

 

 

 

「肉が思ったより安く買えてよかったな。」

 

「はい!!これで色んなお料理が作れます♪」

 

そう言って嬉々とした表情で俺の前を歩く麗紗。本当に麗紗は料理が好きなんだな…。

 

「さて、次どこ行く?」

 

「次は…調味料を買いに行きましょうか?」

 

「了解。じゃあ行こうか。」

 

 

 

二人で調味料を売ってる店を探す。

 

すると、目の前にあまりにも奇妙な建物が…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店名『ΑΕ●Ν』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ご都合主義とは言いますがね…ちょっとやりすぎではないですかい??

 

幾らなんでも、そんな大手が進出してちゃ駄目でしょ…。

 

でも…調味料は絶対にあるよな…。

 

 

 

 

「ほぇ~…。変わったお店ですね…。」

 

 

 

 

驚いた表情でその店を見つめる麗紗。

 

うんっ、その反応で良いんだ…。こんな店がこの時代にあっちゃ駄目なんだから…。麗紗は良い娘だな。

 

 

 

「…お兄ちゃん…頭なでてくれるのは…嬉しいけど…人前だと…恥ずかしいよ…。( ///)」

 

 

 

おっと…。いつの間にか手が出ていた…。自重自重…。

 

 

 

「ゴメンな、つい手が出てた…。じゃあ、麗紗。この店に入ってみるか!!」

 

「はい!!」

 

 

 

店内に入ると中身はまったく違う、と言うのを想像していたが…そこは正にあの…。

 

なぁ、ご都合主義もここまでやっちゃうといい加減飽きられるぜ!? そもそもだな、俺にチート能力が授けられてるだけで十分なほどご都合主義だって言うのに、こういうところまで…

 

 

 

「お兄ちゃん…ねぇ…お兄ちゃん…。」

 

「んっ? どうした?」

 

「早く…調味料買おう?」

 

「あぁ、そうだったな。今さらご都合主義になんか言ってもしょうがないもんな。」

 

「??」

 

 

 

ΑΕ●Νであらかたの調味料を購入した俺達。

 

いやっ…まぁ…ΑΕ●Νだからいろいろあるのは知ってるけど、醤油とかそういうのってこの時代のもんじゃないじゃん…。

 

…もう突っ込むのも疲れた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に野菜を買いに店を物色する俺達。

 

野菜に関しては屋台で売られている物が一番安く、また目利きが利きやすいので、市場を巡って手に入れた。

 

こうして、色々(?)あった買い物は終了した。

 

いや~八百屋の女主人は良い人だね。おまけとして二個多くつけてくれたし!!

 

ただ、その後から麗紗の顔が真っ赤なのが気になるが…まぁ、良いか。さて、昼ごはん何つくろうかな~…。

 

 

 

~麗紗side~

 

「じゃあすいません…お借りしますね…。」

 

私は宿の女将さんに深々と礼をして、まな板の前に立つ。

 

芽衣さんたちの交渉のお陰で、宿の台所を貸してもらえることになった。ただし、条件として綺麗に片付けること。

 

まぁ、料理をする私からしたら当たり前のことなので、女将さんの優しさが嬉しかった。

 

私の隣では、お兄ちゃんが何を作ろうか迷っている様子。その姿を見てると、さっきの八百屋の女店主さんの言葉が思い出される…。

 

 

 

「カッコいい良い旦那さんじゃないか。」

 

「だっ…旦那さんじゃ…ないです…。( ///)」

 

「そうなのかい? じゃあ彼を落とすために彼の胃袋を攻めなきゃいけないね…。」

 

「胃袋を…??」

 

「あぁ。男は胃袋から攻めろなんて良く言われるからねぇ…美味しい料理で彼の心を鷲摑みにしちゃえってことだよ!! そしたら、本当に旦那さんに…。」

 

 

 

旦那さん…お兄ちゃんが私の…なんて考えてたらまた顔が熱くなってきた…。

 

でも、もしここで美味しい料理を作れば…私もお兄ちゃんのお嫁さんに…??

 

よしっ!!頑張ろう!!

 

食材はまぁ、お金のことも考えて控えめにしたが、それなりにはある。

 

調味料も良く分からないものもあるが、使い慣れた調味料もあることだし何とかなるだろう…。

 

さて、お兄ちゃんは野菜と肉の量を考えろと言ってたから、それが二つ合わさってるものにしないとね…。

 

じゃあ、回鍋肉?? 青椒肉絲?? 韮菜炒猪肝?? …あっ、猪肝買ってないや…。

 

 

「麗紗、悪いんだけど沙拉(サラダ)系のものを作ってくれないか?俺が主菜を作るから。」

 

 

お兄ちゃんにそう言われて、少し考える…。

 

沙拉か…じゃあ、棒々鶏にでもしよう!!

 

そう決めて私は包丁を握り、お湯を沸かすのだった。

 

 

 

~聖side~

 

麗紗に沙拉を任せたけど、まぁ麗紗ならうまい事やってくれるはず…。お湯を沸かして、鶏肉を扱うみたいだから棒々鶏かな…??

 

じゃあ俺も作りますかね…。

 

 

 

 

 

 

 

キュー○ー3分クッキングー!!!!!!!!!

 

てれってててて、てれってててて、てれっててててててててってって、てれれってって…。

 

 

 

 

 

本日のお料理は、酢豚です。野菜と豚肉の味わい、酢のさっぱりとした味と、甘いケチャップ味のバランスに気を付けましょう!!

 

まずは、豚肉に下味を付けていきます。

 

ΑΕ●Νで購入した醤油や大蒜、生姜、紹興酒を合わせ、片栗粉を塗して少し置いておきます。

 

その間に野菜を一口大にカット!!

 

柿子椒(ピーマン)や胡夢卜(人参)、洋葱(玉ねぎ)などの野菜は一度油通しをしておくと色も綺麗で且つ野菜の甘みが出ます。ここ大事ですよ!!

 

油通しが終わったら、温度を調整した後、豚肉を揚げていきます。

 

ここで揚げすぎると後で肉が堅くなってしまうので気をつけましょう!!

 

揚げ終えたら油の量を減らし、大蒜、生姜を炒めて香りを出します。そこに揚げた豚肉と野菜を放り込み、野菜と肉を軽く混ぜた後、中華スープに醤油、ケチャップ、砂糖、塩を合わせたものを入れます。全体に行き渡ったところで酢を入れて、火を少しだけ入れたところで、ごま油、水溶き片栗粉で仕上げます。

 

するとどうでしょう!!目の前には美味しそうな酢豚が出来上がります!!

 

それでは、材料のおさらいです。~~~……。

 

 

 

 

 

 

ふうっ…。終わった…。我ながら良いものが出来た…。

 

 

完成した料理に満足してると、麗紗の方も終わったらしく、お皿に盛り付けている。俺もお皿に盛った後、御飯とともに皆の所へと持って行った。

 

 

「お待たせ~!!!」

 

「あぁ~お腹減りました~…。」

 

「やれやれ、やっと出来たかい…。」

 

「お腹減ったのです…。」

 

「「「「…この料理は???」」」」

 

「おっ、酢豚か…。久しいな…。」

 

「一刀さんは知ってるんですか~?」

 

「うん。俺の国…天の国の料理だからね。でも、この時代って醤油とか無かったような…? 聖、そこはどうしたの?」

 

「そりゃあ勿論醤油を使ってるよ?」

 

「でも、この時代には…。」

 

「一刀…。この世界にはな…ΑΕ●Νがあるんだ…。」

 

「えっ!!マジで!!」

 

「あぁ…。俺もこの目で見て驚いたが…確かにそうだった…。」

 

「…そうか。じゃあ醤油もあるよな…。成程、納得いった…。」

 

「さて、温かい内に食べようぜ!! 冷めちゃあ、せっかくの料理の美味しさが三割減になっちまう。」

 

「「「「「「いただきま~す!!!!」」」」」」

 

 

 

皆で挨拶をしてから一斉に食べ始める。

 

皆が初めに手を伸ばすのは俺の作った酢豚。天の料理ということで興味があるみたいだ。

 

 

 

「…!!美味しい!! 聖様、この酢豚という物美味しいですね!!」

 

「あぁ…。驚いた…。」

 

「この甘酸っぱい感じが丁度良いのです!!」

 

「咕嚕肉の…ちょっと変わったやつですね…。でも…美味しいです。お兄ちゃんは…凄いです。」

 

「聖、酢豚美味しいぞ!!」

 

「皆ありがとな。俺も皆が喜んでくれて嬉しいよ…。麗紗、棒々鶏も美味しいぞ。」

 

「あ…ありがとう…ございます…。これで…私も…お嫁さんに…。」

 

「ん?? 後半が聞き取りにくかったけど?」

 

「な…なんでもありません!!!」

 

「いや~あんたら良い腕してるね!?」

 

「えっ!?」

 

「女将さん!!!」

 

 

 

後ろを見ると、この宿の女将さんが立っているではないですか!! 

 

えっ…気配気付かなかったんだけど…一体何者??

 

 

 

「いや~美味しいねこの料理!! 気になって来てみたけど、思わぬものが食べれたね。満足、満足。」

 

「ありがとうございます。ここの台所を使わせていただいたお陰です。片付けも綺麗にやっときますので安心してください。」

 

「あぁ、頼むよ。それにしても、あんた達、飯を自分達で作るなんて変わってるね。 …何かわけありかい?」

 

「あんまり路銀が無いもので…。自分達で作ったほうが安く済むんですよ。」

 

「ふ~ん。じゃあ、その腕を見込んでなんだけど、屋台でもやってみないかい?」

 

「へっ!?」

 

 

 

女将さんのいきなりの発言に目を白黒とさせる聖であった。

 


 
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