No.476509

IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第27話

Lさん

第27話です。

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2012-08-28 02:58:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8571   閲覧ユーザー数:8329

緊急作戦司令室には、千冬と真耶、キラ、シン、ルナマリアが次の作戦を考えていた。

 

「やはり、箒の出撃は見送るべきだったな」

「いえ、俺達も箒の事をもっと意識しておけば……」

「お前達の所為じゃないさ、箒の出撃を認めた私にも非がある」

 

キラ達は画面に視線を向ける。

福音は先ほどの戦闘空域で停止したまま動いていなかった。

そして学園上層部からの指示はきていなかった。

 

「あれから動いていません」

「おそらく自動修復しているのだろ、回復されると面倒だな……」

「それに、パイロットのバイタルも弱っています、このままじゃパイロットが持ちませんよ」

「次の出撃で最後のチャンスか……」

「だけど、救出には零落白夜が必要です、一夏は今も意識不明で、いつ目覚めるか……」

 

一夏はシャルロットを庇い今も尚意識を取り戻していなかった。

だが、一夏の目覚めを待っていては福音のパイロットが持たない。

キラ達がどうしようかを考えていると千冬が口を開いた。

 

「……次の出撃には私も出よう」

 

キラ達は驚きを露にした。

 

「織斑先生……だけど、量産機じゃ」

「誰が量産機を使うと言った、私の専用機……暮桜を使う」

 

千冬は首に掛けていた桜の花の形をしたペンダントを取り出した。

 

「私の暮桜にも零落白夜がある、これなら福音のパイロットの救出も可能だ」

「千冬さん、良いんですか?」

「生徒が命を賭けてやっているんだ私達、教師が命を賭けないでどうする?」

「分かりました、お願いします」

 

これでパイロットの救出を行う事が出来る。

キラと千冬が作戦について話し合う中、シンとルナマリア作戦司令室から出る。

すると、作戦司令室から出たシンとルナマリアの前にはセシリア、鈴、ラウラ、簪が居た。

 

「シンさん、ルナマリアさん」

「皆、箒は?」

「駄目、あれから呼びかけたけど部屋に篭りきりよ……」

 

一夏が撃墜された後、箒は空き部屋で一人で篭っていた。

一夏を怪我をさせ、シャルロットを危険に晒してしまった事に箒は自分を責めていた。

セシリア達も箒の事を心配で何度も様子を見にいたのだが、箒は自分の殻に閉じこもっていた。

 

「シャルロットは?」

「一夏の側で泣いていた、相変わらず自分を責めていた」

「そうか……」

 

シャルロットの心にも大きな傷を残していた。

箒が原因だとはいえ、一夏がシャルロットを庇い怪我をしたのは事実。

シャルロットは帰還してから一夏の側に離れずに居た。

 

「でも、織斑先生……冷たい、一度も一夏の様子を見に行かないなんて」

 

手当ての指示を出してから一度も一夏の様子を見にいていなかった。

セシリア達は千冬を冷たいと思っていた。

 

「本当にそう思うか?」

「え?」

 

簪の言葉にシンが反論する。

 

「一夏の様子を見に行かない千冬さんはお前達から見れば冷たいと思うかもしれない、だけど、千冬さんは苦しんでいるんだ」

「苦しんでいる?」

「誰だって家族が傷ついたら苦しくないわけがない、千冬さんだって本当は今すぐにでも一夏の側に居たいんだ、だけど福音の対処をしなければいけない、千冬さんはやるべきことをやっているんだ」

 

そう言うとシンとルナマリアはその場を離れようとする。

 

「シン、ルナマリア、何処に行くのよ?」

「箒とシャルロットの所だ……」

 

そう言い残しシンは箒、ルナマリアは一夏が眠る部屋に向かった。

 

 

「シャルロット、入るわよ」

 

部屋に入るルナマリアの目の前には眠る一夏の側ですすり泣いているシャルロットの姿があった。

シャルロットはルナマリアが部屋に入っても振り向かずに一夏の方を見ていた。

気にせずにルナマリアはシャルロットの横に座る、するとシャルロットが口を開いた。

 

「僕のせいだ……僕がもっとちゃんとしていれば、一夏は……」

「あなたのせいじゃないわ、シャルロット……」

「でも……僕のせいで」

 

ルナマリアはシャルロットを優しく抱き寄せる。

 

「あなたが何時まで落ち込んでどうするの? 泣いていて一夏が目を覚ますとでも思っているの?」

「それは……」

「だったら、一夏の為にも今は何をするべきか分かるわね?」

「……うん」

 

ルナマリアが立ち上がるとシャルロットも立ち上がり部屋を後にした。

 

 

ルナマリアはシャルロットを連れて作戦司令室に戻っていた。

 

「遅くなってすみません」

 

中に入るとキラの召集で集まったセシリア、鈴、ラウラ、簪の姿があった。

 

「シャルロットさん!」

「もう大丈夫なの?」

 

シャルロットを心配してかセシリアと簪が話しかけてきた。

 

「うん、色々心配かけてごめん」

 

シャルロットはいつもの笑顔であった。

それに安心してかセシリア達も笑顔を浮かべるのであった。

その時、襖が開きシンと箒が入ってきた。

 

「箒!?」

 

セシリア達は箒が来た事に驚きを露にする。

すると箒はセシリア達に頭を下げた。

 

「すまなかった」

 

箒が謝ったことにセシリア達は驚く。

 

「私が力に溺れたばかりに皆を危険を晒してしまった、本当にすまなかった」

 

するとキラが口を開いた。

 

「それで箒はどうするんだい?」

「私は……福音を止めたい、今度こそ私は力を赴くままではなく私の意志で力を使いたい!」

「やっとやる気になったわね」

 

箒の言葉を聞いて鈴達は挑戦的な意味合いの笑みを浮かべていた。

 

「みんな気持ちは一つ!」

「負けたまま終わっていい筈がないでしょう?」

「泣き寝入りするには、まだ早い」

 

セシリア達の戦意はまだ失われていなかった。

箒はそんなセシリア達を見て微笑むのであった。

 

 

「ご苦労様、シン……」

 

箒から離れたシンはキラの側に来ていた。

 

「参りましたよ、箒の説得には」

「ごめんね、本当は僕が説得をしたかったんだけど」

「いえ、俺が頼んだ事です」

「やっぱり、昔の自分と重なったから」

 

キラの言葉にシンは答えた。

 

「あの時の箒、力を敵を殺すために赴くまま力を使っていた昔の俺とそっくりでした」

「それで箒の説得に出たんだね」

「はい、箒には俺みたいに力に取り付かれる事にはなってほしくありませんでしたから」

「そうならない為にも僕達が頑張らないとね」

「はい!」

 

一夏以外の専用機持ちが揃った事で作戦会議に入った。

 

「では、現状を説明する!」

 

地図がモニターに映し出されるとマーカーも映し出せれていた。

 

「衛星による追跡により福音は30km離れた沖合いの上空に居る事が確認された」

 

マーカーは福音の現在地を示すものであった。

 

「我々は、もう一度、福音と接触しパイロットの救出を行う!」

「ちょっと待ってください、パイロットの救出には零落白夜が必要じゃないですか!」

 

鈴の意見に千冬が答える。

 

「安心しろ、次の出撃は私も出る」

 

予想外の言葉に箒達は驚いていた。

世界最強の千冬が作戦に参加してくれる事は心強い。

そして、千冬は待機状態である暮桜を取り出す。

 

「ブランクこそあるが、まだまだ貴様ら小娘に遅れは取らん」

 

そこにキラが作戦の説明に入った。

 

「まず長距離射撃で福音にダメージに与えた後、各機による集中射撃で福音の退路を防ぎ動きを止める」

「そこに、教官の零落白夜で強制解除まで追い込むのか」

「そうだ、千冬さんが一撃で決められるように僕達は可能な限りのダメージを福音に与える、それが僕達の役割だ」

「任せなさい、今度こそ、福音を止めてやるわ!」

「ああ、これ以上の被害は許されない」

「わたくし達の力をぶつけてやりましょう!」

「皆の力で止めよう!」

 

セシリア達も気合が入っていた。

作戦は決まりキラ達は出撃の準備を行う為、司令室から出て行く、だが、箒はシャルロットを呼び止め近づいてきた。

 

「シャルロット、すまなかった、私のせいで危険に晒してしまって」

 

箒はシャルロットに頭を下げた。

 

「いいよ、箒、とにかく今は福音を止める事だけを考えよう」

「ああ、今度こそ、負けはしない!」

「うん! 一夏の為にも頑張ろう!」

 

二人は一夏の為にも福音を落とす事を誓うのであった。


 
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