「ここね」
デュナは突然広くなった空間を見て言う。
なのは達が歩いて出てきたところは、シルフィアの家と同様に中央に紋章みたいなものが地面に描かれ、その中央には同じく二つの台、そしてその中央には剣が地面に刺さっていた。
「それじゃあ、それぞれ位置についてくれる?」
デュナの言葉になのはは地面に刺さっている剣の手前へ、リィナは後ろで待機、デュナはシルフィア家の時にアリスが立っていた場所あたりに立つのだった。
そしてなのははレイジングハートとテュディアを前と同じように台の上にある窪みへと置き、そこから一歩下がったところへ立つのだった。
「……始めるわよ」
全員が準備をし終わったのを見て、デュナは唱え始めるのだった。
「我がシルヴェルンの末裔、デュナ・シルヴェルンより告げる。禁断なる力の一つ、『ティルヴィング』を今ここに求む。聖王の末裔へとシルヴェルンの立会いの下受け継げよ。彼女は、世界を変えるほどの意志を持ち、その意志は揺るぎないとデュナ・シルヴェルンがここに誓う!!」
シルフィアの家で行った時と同様に地面の紋章が輝き始め、さらに中央にある剣も黄金に輝きだすのだった。
「掟に従い、そのすべてに誓う!! 今こそその力を解き放ち時、聖王オリヴィエ・ゼーゲブレヒトが封印した力を今こそ解き放て!!」
紋章の光はさらに強くなり、洞窟の中は紋章と剣の光で全てが見えなくなるほどだった。
そしてそれは、岩の扉の隙間から光が漏れだすほどであり、その様子をはやてたち全員にも分かるほどだった。
「な、何が起こっているんや!?」
「分かりません。唯、扉内からかなりの光と計測不能な魔力が確認されています!!」
「……管理外世界じゃなかったら、あの岩の扉を破壊することができるんだけどな……」
はやてはそう思うが、実はあの岩をぶち壊すことは不可能な仕組みになっている。
アースラに搭載されていたアルカンシェルで攻撃しようと、破壊されないように扉ごと魔力でコーティングされているのである。
そんなことを知らないので、はやてたちは扉を破壊できればいいなと思うが、管理外世界というのもあってできないのであった。
「とりあえず、高町なのはらが出てきたらスバル三等陸尉、シグナム三等空佐はすぐさま三人の確保を」
『了解|(した)』
第45管理外世界に居るスバルとシグナムは、はやての命令に頷き、森の中でそれぞれ隠れながら待機しているのだった。
そして光の発信源である中心部にいるなのはは、シルフィア家の時と同じように心地よく感じていた。
――心地よくて、懐かしく感じる。
そして、ずっと光りだしていた剣は光の粒子となって、なのはの胸へと取り込まれていく。
厳密に言えば、なのはの中にあるリンカーコアに向けて、取り込まれているのであった。
そして光の粒子がすべてなのはの中に取り込まれると、剣はなくなっており、紋章の光もその時には消えていたのだった。
「……一見、何も変わってないように思えるけど」
「ううん、聖王の騎士甲冑の時と違って、心の中に取り込まれた感じがあるの。ほら、さっきまであった剣、ティルヴィングが無くなっているでしょ」
「本当だ。っていう事はもう終わったのかしら?」
「私も分からないけど、そうだと思うよ。なんなら出してみる?」
「分かった。そこまでいうなら信じるわよ。とりあえずリィナを呼んで……リィナ」
デュナがリィナを予防と振り向くと、リィナはなんか真面目そうな顔をしていた。
どうしてリィナが真面目そうな顔をしているのかとデュナは思ったが、それからすぐにしてなのはがその理由が分かり、デュナに言うのだった。
「多分、外で管理局が待ち伏せされてると思う。しかも、この魔力は私の友達だと思う」
「じゃあ、このまま出たら向こうの思うつぼという事?」
「そうなるね。ここから転移魔法を使って逃げれれば良いけど……」
そう言ってなのはがなにか魔法を発動しようとすると、全く使えなかった。
「多分、この場所では儀式に必要な魔法以外は使えないようにされているんだと思う。バリアジャケットとデバイスの起動はできるけど、それ以外の事は出来ないようになっていると思うよ」
「じゃあ、どうすれば……」
このまま出て戦ってもいいが、その場合転移座標が向こうに探知される場合がある。それだけは避けたかったので、戦わずに逃げたかったのである。
しかし、ここから出るにはその扉を使って出るしかない。別の出口があるのなら別だが。
「……とりあえず、その扉しか出口がないと思うから、そこから出るしかないわね」
「そうだね。ほかの案なんて多分ないと思うし」
デュナは出る方法が一つもないと思い、なのはもそれしかないと同意するのだった。
それから三人で来た道を戻り、岩の扉の前まで歩いて行った。
「それじゃあ、開けようか」
来た時と同様に、デュナとなのはの二人で魔力を扉へと注いでいった。
しかし――
「あれ、開かない」
「本当だ。魔力を注いだはずなのに……」
魔力を注いでも全く扉が動く気配がないことに、さすがに動揺し始める。
「ど、どうやったら出られるのこれ!?」
「出れないって、本当なの!?」
このまま出れないとなると、一生出れないかもしれないと思い、シルフィア姉妹は焦り始めていた。
だが、なのはは冷静に考え、二人を落ち着かせながら言った。
「とりあえず二人とも落ち着いて、まだ出られないわけとは限ってないのだから」
「じゃあ、どうやって抜け出すのよ!?」
「もしかしたら他に出口があるかもしれないよ。だから諦めないで探しましょ」
「うん、分かった」
シルフィア姉妹はなのはの言葉でとりあえず落ち着き、ほかに出る道がないかと探すのだった。
とりあえず先ほどの場所まで戻り、出口があるかそれぞれ分かれて探していった。
案外早く見つけ、見つけたリィナが二人を呼び掛けた。
「二人とも、こっちに道があったよ!!」
リィナの言葉になのはとデュナはリィナの所へすぐに駆けつけて行った。
リィナが立っていたところには先に続く道があり、どこかにつながっているような感じだった。
「とりあえず、進んでみよっか」
なのは達はリィナが見つけた道に歩いて行き、先へと進むのでした。
それから少し歩くと、入ってきた入口と同じように扉が現れるのだった。
「戻ってきた……っていう事でもなさそうね」
なのはは周りを見ても、他への道があるわけではないと分かり、同じような扉が二つあるのだろうと推測した。
「とりあえず、魔力を扉に注いでみよっか」
「そうね。さっきと同じ場所に戻ってきたかどうかは分からないから、試してみるのもありかもしれなわね」
なのはとデュナはそれぞれ納得し、扉へと魔力を注いでみることにしてみた。
すると、先ほど魔力を注いだ時とは変わって、扉が開きだして外に出ることができたのだった。
外に出ると、そこは森だらけであったが、入ったところとは全く違う場所だとすぐにわかるぐらいであった。
「とりあえず、急いで戻ろらないと。はやてちゃん達にも気づかれてしまうかもしれないから」
「分かった。リィナお願いね」
デュナとなのは言葉を聞いて、リィナは転移魔法をすぐに発動し、ディメルニアへと帰還するのだった――
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J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
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