「う、うぅん…… ここは?」
「やっと目覚めたのね」
なのはが目を覚ますと一番最初に目に入ったのは先ほどまでずっと看病していたアリシアの顔だった。
それから周りを見渡すと、どうやらツュッヒティゲンの拠点である艦船内であることが分かった。しかも周りにはフィルノ、シルフィア姉妹、エメリアの顔も見え、何か集まってなのはが意識を失っている間に話し合っていたような感じであった。
「あの後、気を失ったのは気づいてる?」
「うん、フィルノ君からテュディアを渡されて手に持った時に、意識を失ったのはなんとなく分かっている」
「そう、覚えているならよかった」
アリシアはなのはにどこか記憶が抜けてないかと思っていたが、何ともなさそうなのでほっとして一息つくのだった。
それからなのはは意識を失ってからのあの空間の事を思い返していた。先ほどまでいた空間の事は鮮明に覚えており、そこでオリヴィエに会って会話し、話した内容も覚えていた。
そこでなのははその時に出てきたある一族の事をフィルノに言おうとする。
「あのねフィルノ君。一つ聞きたいことがあるのだけど」
「シルヴェルンの事か?」
フィルノはなのはがなんとなく聞こうとしていたことがシルヴェルンの事ではないかと思い、なのはは聞こうと思っていたことを言われたので驚いていた。
なのはが気を失っている間に、フィルノ達はシルフィア姉妹を中心に、シルフィア姉妹とフィルノからすべて聞いていた。なのはが意識を失った理由の事、レイジングハートとテュディアの事、シルフィア姉妹がシルヴェルン家の末裔だという事、これからなのはに何をさせようとしているのかという事、そしてなのはがオリヴィエの末裔である事。それらをアリシアとエメリアを中心に教えていった。
だからなのはが意識を失っている間にオリヴィエに会い、力を望む理由を言われ、そしてシルヴェルン家の事を言われただろうとフィルノは察し、シルヴェルンの末裔は見つかっているのかとなのはが聞こうとしていたのだろうと思ったのであった。
「それについては大丈夫だ。っていうか目の前に居るからな」
「え、それはどういう……まさかっ!?」
シルヴェルンの末裔が目の前にいるという事になのはは疑問に思ったが、フィルノが言った理由がなんとなく分かったかもしれなかった。
そもそもここにいるのは少人数の組織であり、アリシアとなのはを除くすべての人間が管理局を恨んでいる人間の集まりである。もちろん管理局を恨んでいる人間はほかにも多数存在するはずだが、どうしてこんな少人数で動いているのかと考えてみれば不思議であった。
アリシアはオルデルタに救われて一緒に行動をしているだけだが、エメリアは管理局に侵入ができるという理由があり、シルフィア姉妹はシルヴェルンの末裔という事もあり、さらにはエメリアもシルフィア姉妹も管理局に恨みがあるという偶然もあってフィルノの仲間として行動していた。特にシルフィア姉妹に関してはリィナが人体実験をされていたせいで、ある意味管理局のおかげによって簡単にシルフィア姉妹を仲間にすることができたのである。
そしてシルフィア姉妹が仲間にできる可能性があったという理由があり、オリヴィエの末裔であるなのはをどうしても仲間になって欲しいと思い、幼馴染という事を利用してあの夢をなのはに見せ続けていた。そしてなのははフィルノを探すという理由で行方不明となり、そしてフィルノがいた研究所に
なのはがフィルノが務めていた研究所の近くの世界にいたのは、なのはに気づかれない程度にフィルノが魔法によって誘導し、そしてデュナの捕まっているところをわざと見せていたのである。そしてなのはをエメリアに会わせ、管理局の実態を教え、管理局を離反させる理由を造らせたのである。ちなみにエメリアにはそのことは言っておらず、フィルノのみしかこのことは知らない事であった。
こう考えれてしまえば、すべてがフィルノの都合の良い通りに動いており、また偶然が重なってこのように少人数の組織で済んだのである。まぁ、今ではエメリアは管理局にばれて行動することができなくなってしまったが。
そこまでなのはの思考が回ったわけではないが、どうしてこんな少人数の組織で動いているのかという事を考えればなんとなくわかることであった。
「そう、なのはが思っている通り、シルフィア姉妹はシルヴェルンの末裔だ。だからオリヴィエが封印されたとされた魔法の力を手に入れる場所も、彼女たちは知っているんだよ」
「それは、本当なの?」
なのはは本当にシルヴェルンの末裔なのかとシルフィア姉妹に聞く。その言葉にシルフィア姉妹は同時に頷いた。
「私たちはシルヴェルンの末裔。オリヴィエ様と私たちの先祖が残したものを今まで受け継いできた」
「私たちはオリヴィエ様の末裔が力を望み、オリヴィエ様に承諾がもらえた者が現れた場合、力を授ける世に言い伝えられてきたの」
「そして、私たちはそれを守るために受け継がれながら生きてきた。本当に現れるとは私たちも思わなかったけどね。そんなことは気にせずに普通に生きていたから」
「そうしているうちに私は管理局に捕まったのだけどね」
デュナとリィナは交互に言っていき、最後はリィナが苦笑していた。
とりあえずシルヴェルンの末裔がシルフィア姉妹だという事がわかると、なのはは次に気になっていたことをシルフィア姉妹に聞く。
「じゃあ、力が手に入る場所も知っているという事なの?」
「うん、でもその前に疑問に思ったことない? なのはさんがオリヴィエ様の末裔なら、どうして第97管理外世界で暮らしていたのかと」
「言われてみれば確かに……」
リィナの言葉になのははその通りだと思った。魔法なんて本当にあると知らない地球に、どうして高町家、もしくは不破家が暮らしていたのかと不思議に思えてきたのである。
考えられる理由としてオリヴィエの末裔が公にならないように密かに第97管理外世界に暮らしたというのがあるが、どちらの家がオリヴィエの末裔だったのかは今わからなかった。多分両親に聞いたところで、そもそも魔法を知らなかった時点で分からないだろうとなのはは思っていた。
「多分、どうして私たちが地球に暮らしていたのかについては一生わからないと思う。両親に魔法について教えたときに知らないような顔をしていましたし」
「……まぁ、そうだろうね。なら後で話すよ」
結局リィナの質問の答えは分からないとなのはは言い、シルフィア姉妹はそれで納得するのであった。
「さて、そろそろこれからの行動について話したいのだがいいか?」
「別に構わないと思うけど」
なのはが目を覚ましてから少し経ち、そろそろ次の行動について話し合いたいとフィルノは言う。
フィルノの言葉にアリシアは答え、その後なのは、エメリア、シルフィア姉妹の四人は頷いた。
「分かった。それじゃあ、場所を移動しようか」
そういうと全員が居た管制室から移動し、ある一室へと移動するのだった。
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J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
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