「ほら、二代起きろ。ここで寝たら風邪を引くぞっと」
小狼は二代を揺り起こそうとしていた。すると寝ぼけている二代が
「・・・・肉ーーー!・・・でござる・・・」
そんな掛け声と共に振り抜いた右拳が小狼の顎に迫った。
「・・・ふっ!」
その拳を紙一重で躱した小狼であった。
「ふう、で二代起きろ。風邪を引くぞ」
「「今のを平然とスルーかよ!!」」
皆のツッコミが入った。
「ん?ああ、話は終わったのか皆。それはそうとそろそろ夜もふける、宴会もほどほどにして片付けて家に帰れよ」
と言いながらテキパキと周りの生徒に片付けの指示をしていた。
そうしていると浅間達以外に宴会に参加していた学生達は小狼の指示のもとで片付けていた。
そんな光景を見ている連中はというと、
正純 「・・・葵よりも小狼のほうが支持されていると思うんだが私の気のせいか?」
ナルゼ 「まあよく武蔵の部活連中とかに差し入れとかしてるし、教師の代わりに相談ものるから後輩や同学年の生徒にも信頼されているのよ」
アデーレ 「あ、確かに!小狼君よく花壇の前で女子生徒から手紙貰ってますもんね」
浅間 「アデーレ、そのこと詳しく教えてくれませんか?」
喜美 「ふふふ、浅間。あんた隣でハナミが慌てているの気づかない?」
浅間 「って何ですかハナミ、そのメーター?ってえ!嫉妬メーター!」
ハナミ 「な、何でもないよ、拍手!」
点蔵 「・・なぜ・・なぜ小狼どのはモテて、自分はモテないで御座るか!」
御広敷 「小生思うにアレでしょう」
ネシンバラ 「アレだね」
ウルキアガ 「アレだな」
直政 「アレさね」
ネイト 「よく気が利いて料理も上手。後輩の面倒見もいいでしょうし、何より女性には甘い性格のせいかしら」
マルゴット 「それの裏付けがこれこれ「週間武蔵」の女子生徒対象の生徒会と総長連合の男性人気ランキング、生徒会だと今まで正純とせってるけど
総長連合だと十五週連続で一位だよ。しかも二位以下に圧倒的な差をつけて」
浅間 「ようは人徳かと」
点蔵 「ノーーーーーーー!!!」
そんなこんなしていると
「おい、誰か二代の移住場所知らないか?」
寝ている二代を背負っている小狼が聞いた。
「ちょっと待っててね、えっと奥多摩の・・あれ・・これって」
ネシンバラが考え込んでいる。
「ネシンバラ、いったいどうしたんだ?」
「あ、うん。ごめんごめん小狼君ここだよ」
とネシンバラがサインフレームを見せた。
「えっと奥多摩の・・・・あれ?・・なあネシンバラ、俺の気のせいかもしれないけどここって」
「Jud、君の家だよ」
「「えーーー!!」」
そんな驚きにすぐさま立ち直ったのはやはり小狼であった。
「こんなことを決められるのは一人しかいないよなあ~~」
とサインフレームでその人物を呼び出している。
「おっと小狼君呼んだかい?」
「Jud、分かっていると思いますが理由を話していただかないと事としだいによってはただではすみませんよ学長」
ちょっと怒っている小狼であった。
「例えばどうなんの?」
「そうですね・・・・今現在俺が処理している学長がサボった書類仕事の全てを放棄します」
その言葉に武蔵が慌てて、
「もし小狼様が仕事を放棄したならば奥多摩を通して我々自動人形の業務に大幅に支障をきたします。
さあ酒井様急いで小狼様に理由をお話ください、さあ早く!ーーー以上」
「JudJud、冗談だよ。えっとねホントはウチで預かるはずだったんだけどほら、ウチって広いけどあんま掃除とか奥多摩に任せきりだしさこれ以上させると
大変になっちゃうでしょ。小狼君のウチはお隣だしそれなりに広いじゃん、それに小狼君は二代のことを鹿角に頼まれていたしさよろしく頼むよ」
そう酒井に頼まれると弱い小狼である。しかも実際に小狼の家は広い。八歳の頃から酒井の仕事を手伝っていた御蔭でお金には結構余裕があり、
そのお金で安く売られていた屋敷を買い取った。その時のシロジロとの金銭バトルは武蔵でも伝説となっているらしい。
「はぁ、俺が学長の頼みを断れない事知っているでしょう」
「ごめんね、おじさんずるいからねえ」
小狼は一息つき、
「Jud、二代の事任されましょう。二代の移住認定はそちらに任せますのであとはお願いします。それではおやすみなさい」
「Jud、おやすみ」
とサインフレームが消えた。
「よっこいせと。浅間、二代の契約に関しては明日にでも浅間神社に連れて行くからその時にやってくれ。
それと俺も明日の朝食は青雷亭で食べるから喜美、よろしく頼むよ」
「Jud、わかったわ楽しみに待ってなさい」
「ああ、楽しみにしてる。それじゃあ皆、先に帰るよ、おやすみ」
おやすみーー!、と皆が小狼の背を見ながら言っていると喜美が
「ねえ浅間、これってまさかのライバル出現じゃない?」
「ってええ!いやまさか!いやだけどもしや・・・・」
「んふふふ、これから楽しくなりそうね・・・」
一方小狼はというと
「あ・・、甘味処にいつ行くか浅間に聞くの忘れた・・・」
相も変わらずであった。
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