ゴ-ルデンウィークが開けた週始めの月曜日。家族揃って学校に登校してきたのだが…
「「「「「「「「「「これより長谷川勇紀の処刑を執り行う」」」」」」」」」」
教室に入った瞬間、クラスの男子共に囲まれいきなりの処刑宣告。
どうしてこうなった?
「「「「「「「「「「何か遺言はあるか?」」」」」」」」」」
「俺が処刑される理由が分からないんだが?」
「ならば俺がその理由を教えてやろう」
教師用の机で何やら作業をしていた
「貴様はゴールデンウィークの前日に商店街で福引をしたな?」
「えっ?…はあ、確かに福引場には行きましたよ?福引をしたのはディアーチェですけど。なあ?」
俺がディアーチェの方を向くとディアーチェも頷いてくれる。
バンッ!
「誰が福引したか等はどうでもいい!!」
机を叩き、突然立ち上がって大声を上げる
「貴様はその福引で特賞の宿泊券を貰い旅行に行ったな!?」
「まあ行きましたけどそれが何か?」
「あの宿泊券はペアチケットだった筈だ!!
「「「「「「「「「「コノヤロー!!!」」」」」」」」」」
涙を流しながら叫ぶ
というか何で福引の特賞が宿泊券でペアチケットだって知ってるんだ?まさか
「クソッタレが!!
「何でお前だけがそんないい思いを!!」
「お前は可愛い女の子なら家族でも手を出すのか!?」
「この鬼畜が!!」
「家族で禁断の……グハッ!」(ブシャアアアッ!)
殺意全開で睨みながら不満を爆発させている。謙介の奴は鼻から鼻血まで出して倒れる。小学生のくせにどんな事想像したんだよ?
「皆違うよ!!」
突然レヴィが叫ぶ。
「ユウとディアーチェの二人きりじゃないよ!!僕達も旅行に行ったんだ!!」
ビキキッ!!
あ、空気に亀裂が入った音が聞こえた様な気が。
「レヴィ、その台詞はむしろアイツらの勘違いを加速させてしまうんじゃないか?」
「え?そうかな?」
「間違い無く勘違いしてますね」
「うむ。見てみろ」
ディアーチェが指を差す。その先には
「…キィ~サァ~マァ~…」
「「「「「「「「「「二人きりではないだと~?」」」」」」」」」」
すごく低い声を出す
「つまり
「ハーレム王でも気取ってるつもりか長谷川?」
「天使達を汚す外道め…」
自己解釈したり勝手な事ばかり言い始める。
「はあ…。とりあえず予鈴が鳴るまで教室から出ておいた方が良さそうだな」
「「「「頑張って下さい(頑張ってね)(頑張れ)」」」」
俺の事を応援してくれるシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ。応援するぐらいなら俺を助けて下さい。
そう思いつつ教室を飛び出した。俺の後を追いかけてくる
俺は屋上に逃げ予鈴が鳴るまで
あっという間に今日も放課後を迎えた。
あれからは大変だった。授業中は常に
放課後になって早速鬼ごっこが始まるかと思いきやユーリが説得してくれた。おかげで
「ユウキ、お疲れ様です」
「大変だったねー」
「お前が捕まる訳無いとは思っていたから助けるつもりは無かったがな」
シュテル、レヴィ、ディアーチェが声を掛けてくれるがディアーチェよ。捕まる事は確かにないが別に助けてくれてもバチは当たらないと思うぞ。
「ユーリみたいに皆を説得してくれたらここまで疲れる事は無かったんですがねえ?」
ジト目で三人を見ながら言う。
「ま、まあいいじゃないですか」
「そ、そうだよ。もういいじゃん」
「済んだ事をいつまでも気にするな」
コイツら…。
「はあ、もういい。確かに済んだ事だし」
「そーそー。些細な事なんだし」
「でも俺の為にアイツらを説得してくれたユーリには礼ぐらいしないとな。ユーリ、今から俺と翠屋にでも行くか?シュークリームかケーキ奢ってやるぞ?」
「「「「ええええっ!?」」」」
四人共、驚いている。何だ?
「ユ、ユウキ。それは『私とユウキの二人で』という意味ですか?」
「そう言ったつもりだけど?ユーリは俺を助けてくれた様なもんだし。あ、何か予定でもあるのか?なら持ち帰りで買ってやるけど」
「いえ!予定は無いのでユウキと行きます!!絶対に着いて行きます!!(こ、これって放課後デートって事ですよね。ユウキとデート)////」
凄い勢いで返事を返してきた。そんなに楽しみなのか?まあ翠屋のスイーツは美味いからな。
「ま、待って下さい!!」
シュテルが突然声を張り上げる。
「私も翠屋のケーキが食べたいです!だから私も一緒に行きます!!(あのユーリの喜びよう…『ユウキとデート』とか思ってるに違いありません)」
「ぼ、僕も行くよ!!(ケーキ食べに行くなんてズルいよ!!しかもユウと二人でなんて)」
「わ、我もだ!(ユーリめ。お前だけに良い思いはさせんぞ)」
「な、何を言ってるんですか!?シュテルもレヴィもディアーチェもユウキを助けなかったじゃないですか!」
三人は着いて来たがっているがユーリは反論する。
「わ、私もユウキを助けようと思ってたんです!!」
「僕はユウを連れて早く学校から出なきゃって思ったもん!!」
「我が説得しようと思ったらユーリが先に説得したから我は諦めただけだ!!」
「三人共絶対嘘吐いてます!ディアーチェなんか言ってる事が180°違ってるじゃないですか!!」
『むう~』唸り睨む三人に対し『うう~』と唸り睨み返すユーリ。
そんな四人を眺めていたら
「「「「「「「「「「やはり貴様は裁かねばならないな!!!」」」」」」」」」」
さっきまで大人しかった
…面倒臭くなる前に逃げるか。そんな事を考え始めた時…
バアンッ!
「長谷川はいるかーーーー!?」
後ろの扉を乱暴に開け、大声を出して直博が教室に入ってくる。
さっきまで睨み合っていたシュテル達や殺気を出していた
「どうしたんだ直博?大声出して」
「おお長谷川いたか。実は校門の前にアイツが来てるんだよ」
「アイツ?」
首を傾げて聞き返す俺。アイツって誰だろうか?
「ほら、この前サッカーの助っ人で来てもらった時、相手チームにいただろ?選手交代して10分程で退場になった銀髪の奴」
ピシイッ!
その言葉を聞いたシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリの四人が固まる。
「……何でアイツが
「遠くからウチの女子と会話しているのを聞いてたがお前の家族に会いに来たみたいだぞ?」
そう言って直博と一緒にシュテル達の方を見るとその顔は苦い表情になっていた。まあ気持ちは解るよ四人共。
「何て言ってたか知ってるか?」
「確か『俺の未来の嫁達に会いにきた。なのは達ばかり可愛がってアイツらが寂しがってるかもしれないからな』だったと思うぜ?」
「「「「「「「「「「何い~~~っ!!!?」」」」」」」」」」
「うおっ!!?」
「何処のどいつだ!!俺の
「四大天使の皆さんが『俺の嫁達』だと!?ざけやがって!!」
「目の前にいる長谷川だってそこまでの事は普段言わねーぞ!!」
「しかも『なのは達』って何だ!!?そいつは他の女の子達だけでなくシュテルさん達も加えてハーレムでも作るつもりか!?」
口々に不満を爆発させどんどん殺気を高めていく
「野郎共。目の前の
「「「「「「「「「「イエス、マム!!」」」」」」」」」」
「……で、どうする?このまま校門へ行けばお前等を『嫁』扱いしている
「ユウキ!気持ち悪い事言わないで下さい!!」
「そうだよ!あんな奴の嫁だなんて!!考えるだけで吐き気がするよ!!」
「お前はあんな塵芥に我等がどんな目に合わされても良いというのか!?」
「私達があの男を嫌っている事ぐらい分かっているでしょうユウキ!!」
まあ予想通りに
「なあ…お前ん所の家族、あの銀髪と何があったんだ?」
直博が俺に聞いてくる。そういえば直博とはサッカーの試合が終わってから別れたし、知らないのも当然か。
「実はな…」
俺はその後に
「何つーか…女の子に嫌われている事に気付かず自己解釈で解決するなんて。お前の家族もその女の子達も苦労してんだな」
シュテル達に心の底から同情する様な視線を向けながら喋る。
「しかしこのまま教室に居る訳にもいかないしな。かといって校門に行けば奴とエンカウント。どうするよ?」
俺はシュテル達に学校から出る方法を聞きながら教室の窓から校門の方を見る。校門前では
「貴様かあっ!!俺の
「「「「「「「「「「海鳴の四天使には近付けさせんぞおっ!!!」」」」」」」」」」
「ああ゛っ!?ウゼエんだよ!!モブ共の分際でオリ主の俺に話し掛けてくんじゃねえよ!!」
西条と我が校の馬鹿達が言い争ってるのが見える。
「ユウキ。裏門から出るというのはどうです?」
シュテルが案を出してくれる。成る程、裏門から学校を出れば
「いい案だな。
「そうだね。僕も賛成」
「普段は裏門なんて使わんからすっかり忘れておったな」
「あの男に合わずに済むのなら私は下水道だって使ってもいいと思ってます」
皆は賛成みたいだ。
「気を付けて帰れよ。俺は校門から帰るけど」
「ああ、
「「「「ありがとうございます(ありがとね)(感謝するぞ)」」」」
シュテル達がお礼を言う。
「あー…いや、どういたしまして」
指で頬をかき、視線を合わせずに答える直博。頬も若干赤いし照れてるなコイツ。
「で、では早く行きましょうユウキ///」
そう言って俺の右腕に自分の左腕を組んでくるユーリ。
「ユーリ!!何してるの!?」
「見て分からないのですかレヴィ?ユウキとう、腕を組んでいるだけですよ?///」
「ズルい!じゃあ僕も!!」
すぐさま俺の左腕に飛びつきユーリの様に腕を組むレヴィ。
「「二人共!!ユウキから離れなさい!!(離れろ!!)」
シュテルとディアーチェは俺と腕を組んだ二人に対して敵意丸出しで睨んでいる。
「「嫌だよ(嫌です)」」
レヴィとユーリも反論しお互いに一歩も退かない。
「なあ…睨み合ってないで早く学校がら出た方がいいんじゃないか?早くしないとアイツ来るかもしれないぞ?」
目の前にいるシュテルとディアーチェ、そして両隣にいるレヴィとユーリにさっさと学校から離れようと言う。
「……そうですね。今ここで無駄に時間を使ってあの男に合うなんて展開は嫌ですし」
シュテルが理解し、他の三人もうんうんと頷いている。
「じゃあレヴィにユーリ。悪いが腕を離してくれ」
「「何で!?(何でですか!?)」」
意外とばかりに大きな声で聞き返してくる二人だが
「お前等に腕を掴まれてるとランドセルを背負えない」
机の上に置いてあるランドセルを背負う前にユーリとレヴィに腕をホールドされてしまったからな。直博もいるので
「…それじゃあ仕方ありませんね」
「わかったよ」
渋々ながらも腕から離れてくれる…が、二人の視線は何故か俺の腕に注がれている。
「よっと…」
そんな視線をとりあえず無視してランドセルを背負う。そして俺が背負ったのを確認したレヴィとユーリが
「「じゃあ(では)ユウ(ユウキ)、僕(私)と腕を組み直そう(組み直しましょう)」」
再び俺の腕に自分の腕を絡ませようと近付くが
ガシッ!
「「み゛ゃっ!?(きゃっ!?)」」
シュテルとディアーチェが二人の顔を片手で掴む。アイアンクローだ。指が顔に食い込みミシミシと音が聞こえるような…。
「「二人共、少しユウキに甘え過ぎですよ(甘え過ぎだ)」」
瞳が単色のシュテルとディアーチェ。強化魔法を使ってる訳でも無いのにレヴィとユーリを軽々と持ち上げている。恐ろしい握力だなオイ。
「「痛い!!痛いよシュテるん!!(痛いですよディアーチェ!!)」」
必死に痛みを訴えているレヴィとユーリ。しかしシュテルとディアーチェ聞く耳持たんと言うかの様に二人の顔に指をまた少し深く食い込ませた。
「ふ、二人共…もうその辺で勘弁してやってくれませんかね?」
俺は恐る恐る自分の意見を伝えるが
ギロリッ!!×2
「ひいっ!!」
単色の瞳で睨まれる。スッゲー怖いんですけど!?
「ユウキ…ユウキも二人と腕を組みたいとか思っているのですか?」
「…そうか。お前は我よりも二人と腕を組みたいのか」
「いえ、それよりもアレを…」
俺がとある場所に指を差す。その先には…
「ハアー…ハアー…。モブ共の分際で手こずらせやがって……」
息を乱し、汗だくになりながらも
「だがこれでシュテル達の元に…ヒャハハ、待ってろよ俺の未来の嫁達よ」
「……あんな事言って近づいて来てるんですけどここに居ていいのかと思いまして」
「ユウキ、私は先に翠屋に行ってますので」
状況を理解したシュテルがレヴィを離し、いち早くランドセルを背負って教室を出て行く。瞳に光も戻っていた。
「待てシュテル!我を置いていくな!!」
続いてシュテル同様、瞳に光が戻ったディアーチェも飛び出して行く。残った二人は…
「う~、頭が痛い~。シュテるん酷い~」
「ディアーチェにあんなに握力があったなんて…痛っ!」
二人のアイアンクローが余程痛かったのか掴まれていた所を手で押さえ、涙目で蹲っている。
「二人共、どれだけ痛いのかは分からんがさっさとシュテル達の後を追え。このままここにいると
俺がそういうと二人は即座に立ち上がり
「「じゃあユウ(ユウキ)、お先に!!」
教室を出て行く。残ったのは俺とさっきから会話に参加していない直博だけだ。
「…で、長谷川。お前はどうするんだ?やっぱり裏門から家族の後を追うのか?」
「それが無難だろ?アイツがシュテル達にしか興味が無いのも分かってるんだが俺に絡んでこないとも限らないし」
前回、河原でアイツを叩きのめした事を根にもって絡んできそうだし。
「そうか。ならお前も早く裏門の方に行った方がいいぞ」
「そうするよ。じゃあな直博。また明日」
「おう!気を付けてな」
俺も教室を出て裏門へと向かった………。
……で、裏門から出た俺達。しかし
ジイーーーッ…×4
先程から四人の視線が俺に向いている。
「…四人共、俺に何か言いたい事でもあんの?」
俺のすぐ後ろを歩いている四人の方に振り返り聞いてみる。
「「「「別に何でもありません(ないよ)(ない)」」」」
「……そうですか」
再び前を向く。しかし何でもないなら何故俺を見るんだ?訳が分からん。
「(今すぐユウキと腕を組みたいのですが…)」
「(ここで動けば他の三人が確実に邪魔をする)」
「(何かユウキと腕を組むきっかけがあれば良いのですが…)」
「(む~。これ以上我慢出来ないよ!!)ユウ~!!」
声がしたので振り向いてみると
「ユウにダ~イブ♪」
レヴィが笑顔で飛び掛かってきた。
「うおおっ!?」
思わず避ける俺。そして
「へぶっ!?」(ベシャッ!)
そのまま地面に顔面からダイブしたレヴィ。うわっ!痛そうだな~。
「「「自業自得ですね(だな)」」」
シュテル、ディアーチェ、ユーリはレヴィを見下ろしながら言う。
ガバッ!と勢いよく起き上がるレヴィ。
「酷いよユウ!!どうして避けるの!?」
「だって突然襲い掛かってきたからビックリしてつい…」
「襲い掛かってなんかいないよ!!」
「しかも避けなかったら俺は間違いなく巻き込まれて倒れてたし…」
「うう~…!」
そんなに睨むな。俺は悪くないだろ。
「僕、すっごく痛かったんだよ!!」
「あれだけ盛大に飛び込んだから当然だろうな」
「見事なダイブでしたよレヴィ」
「私にはとても真似出来そうにありませんよ」
後ろから三人も声を掛けてくるが誰もレヴィの心配などはしていなかった。
「皆も少しは僕の事心配してくれてもいいと思うよ!?」
「あー、ゴメンなレヴィ。翠屋でシュークリーム奢ってやるから機嫌直してくれ」
「ホント!?じゃあ機嫌直す!!」
簡単に機嫌が直っちゃったよ。
「早く!早く行こうよユウ!!」
俺の手を取り急かしてくるレヴィ。
「はいはい…」
俺はレヴィに引っ張られながら翠屋に向かって歩き始めたのだが
「「「(レヴィ、ユウキと手を繋ぐなんて羨ましい!!ユウキもレヴィに対しては甘過ぎです!!(甘過ぎだ!!))」」」
翠屋に着くまで三人の視線が背中にずっと突き刺さっていた………。
それから翠屋に着いた俺達は人数分のシュークリーム(シュテルとディアーチェの分も奢らされた。反論しようとしたらデバイス突きつけられた)とオレンジジュースを頼み、何気ない会話で時間を潰していると
「ただいま~」
「「「「「お邪魔しま~す」」」」」
聞きなれた六人分の声が入り口から聞こえてきた。
「おかえりなさいなのは、皆もいらっしゃい」
「お母さん、私も手伝った方が良い?」
「そこまで忙しくはないから大丈夫よ」
「じゃあ手伝ってほしい時は言ってね」
親子の会話を終え空いている席を探すためにキョロキョロと周囲を見渡す。その時に俺となのはちゃんの目が合ったのでジュースを飲みながら片手を軽く振って答える。するとこっちに近付いてくる。
「シュテル達も来てたんだね、いらっしゃい」
「お邪魔していますなのは」
皆それぞれに軽く挨拶を交わし聖祥組は俺達の隣の席に座る。それからは俺達を含め十一人で他愛無い会話をしていた。
「そういえば長谷川。アンタこの前の温泉の時フェイトとアリシアの事名前で呼んでたわよね?」
「ん?ああ、それが?」
「いつの間にそんなに仲良くなったのよ?」
「ゴールデンウィーク前だな。昔よく行ってたカードショップに久々に行った時、二人に会ってな。その時にお互い名前で呼ぶ様になった」
「そうなの?」
二人に確認するアリサちゃん。フェイトとアリシアは同時に首を振る。
「ふ~ん……長谷川」
「何だバニングス?」
「私の事も名前で呼びなさい。私もアンタの事名前で呼ぶから」
「は?」
「「「「「!?」」」」」
突然自分を名前で呼べと言われた。シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、すずかは今のアリサちゃんの言葉に反応したみたいだけどどうしたんだ?
「何よ?フェイト達は名前で呼べるのに私の事は名前で呼べない理由でもあるの?」
「別に無いが何故そんな事突然言うんだ?」
「何か苗字で呼ばれると距離を取られてるみたいで嫌なのよ。だから名前で呼びなさい」
そういえばフェイトに『名前で呼んで』って言われた時にも同じ事言われたな。そこまで距離取ってる様に思われてるのか?自分ではそんなつもりは全く無いんだが。
「以前フェイトにも言ったんだが『親しき仲にも礼儀あり』って事だ」
「そんな事気にしてたの?…ふ~ん、馴れ馴れしいあの
「そいつぁどーも」
「とにかく今後は名前で呼びなさい。いいわね?」
「ああ、改めてよろしくな『アリサ』」
「ええ、こちらこそね『勇紀』」
アリサちゃんにも許可を貰えたので今後はアリサと呼ぶ事になった。そんな会話を聞いていた
「長谷川君。私も!私の事も『なのは』って呼んでくれないかな!?」
「わたしの事も『はやて』でええよ。だから『勇紀君』って呼んでええかな?」
二人も自分の事を『名前で呼べ』と言ってくる。まあ俺が名前で呼ばない理由はさっきのアリサとの会話で知ってるだろう。
「お前等が呼んで良いって言うなら遠慮無く。『なのは』『はやて』これからもよろしく」
「「よろしくね(よろしくな)勇紀君」」
これで聖祥組全員の事はこれから名前で呼ぶ事になったのだが…
「「「「「……………………」」」」」
さっきから何故か無言で睨んでくるシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、すずかが怖すぎて視線を合わせられない。
「しかし今日は
ふとはやてが思い出した様に言う。
「そーそー。
「いつもは私達の内、誰かの後を追いかけてくるよね」
はやての言葉にアリシアが便乗し、フェイトは『はあ~』と溜め息を一つ吐いて答える。
「追いかけてくるって…」
「言葉通りの意味やで。
「はやて、それは世間一般でいうストーカーだからな。もう警察に届けた方がいいんじゃね?」
西条…。普段は聖祥組にそんな事してたのか。
「でも今日は授業が終わると同時に何処かへ行ったからね。何処行ったのか知らないけど
アリサは満面の笑みを浮かべている。
「西条の奴なら
「「「「「「え?」」」」」」
なのは、フェイト、はやて、アリシア、アリサと俺を睨んでいたすずかの聖祥組は俺の一言に反応する。
「正確には『シュテル達に会いに』だがな」
俺はシュテル達に視線を向ける。四人共俺を睨むのを止めていたがその表情は見るからに不機嫌そうだ。
「一体何しに……って聞くまでも無いわね」
シュテル達の方を見ながら聞いてきたアリサだがシュテル達の表情と普段の行動から理解してくれた様だ。
「王様、
「心配するな小鴉。塵芥と会う前に我等は学校を抜けたからな」
「なのは。貴方はあの男の『嫁』の一人なのでしょう?あの男の管理ぐらいちゃんとして下さい」
「嫁なんかじゃないよシュテル!!私は西条君の事なんか別に好きじゃないの!!」
シュテルの言葉に即否定のなのは。
…アイツ、ここまで嫌われてたらもうハーレムなんて無理だろ。
「お願いですからもうあの男の話はしないで下さい。せっかくのシュークリームが美味しく感じられません」
「…そうだね。こんな話してても誰も得する事なんてないし」
ユーリの発言に同調するフェイト。周りの皆も頷き話題を変える。
それからは別の話題で盛り上がり、しばらくすると俺は買い物に行くため皆に挨拶した後、一人先に翠屋を後にした………。
Tweet |
|
|
38
|
13
|
追加するフォルダを選択
神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。