~工匠都市ユイドラ・近郊~
「裁きの光よ!我が槍に宿れ!」
メロディアーナが槍を掲げて叫ぶと槍に強烈な光が宿った!
「ハァァァ………裁きの神槍!!」
そしてメロディアーナが槍を震うと、強烈な数えられないほどの数の光の槍が雨のように降り、不死者達を滅した!
「マーズテリアよ……我が仇名す者達に裁きを!天の裁き!!」
ロカが強く祈ると天より強烈な光が降り注ぎ、不死者達を滅した!
「相変わらずの腕ですね、マーズテリアの神官。」
「フフ……そちらこそ。メロディアーナ殿に比べれば、私もまだまだです。」
メロディアーナの称賛の言葉にロカは謙遜して答えた。
「……それより、貴女から私の同族の気配がしているのですが……」
「……やはり、気付かれましたか。………イルザーブ!!」
メロディアーナの言葉を聞いたロカは使い魔――堕ちた天使――堕天使イルザーブを召喚した!
「イルザーブ、メロディアーナ殿達と連携して、ユイドラを襲う敵を排除しなさい。」
「承知しました、我が主よ。………それにしてもまさか、堕ちた私が再び、同族の者と共闘する時が来るとは……」
「堕ちた……?まさか、貴女は……!」
イルザーブの言葉を聞いたメロディアーナは驚いた後、イルザーブを見た。
「そうだ。かつて私は古神に仕えていた者。」
「………やはり、”堕天使”ですか…………」
イルザーブの答えを聞いたメロディアーナは両目を伏せたて少しの間考えた後、両目を開いて答えた。
「堕ちた者とはいえ………元は同族。今は1人でも多くの戦力が必要です。貴女の活躍、期待していますよ。」
「…………何故、私にその槍を向けない。私は”堕天使”だぞ?」
「言ったはずです。今は1人でも多くの戦力が必要だと。それにユイドラは全ての種族との共存を謳う街。例え堕天使でも、ユイドラは貴女を受け入れます。」
イルザーブの疑問にメロディアーナは誇りを持った表情で答えた。
「…………………………」
「フフ、驚きましたか?これも貴女が疑問を持っている”人の可能性”の一つですよ?」
驚いているふうに見えるイルザーブを見て、ロカは微笑みながら答えた。
「…………ロカ様、敵の援軍が来ています。構えて下さい。」
ロカの言葉を聞き、黙っていたイルザーブは気を取り直して、敵の援軍を見てロカに警告した。
「ええ。………喰らいなさい!!」
イルザーブの警告に頷いたロカは魔導鎧に付いている魔導砲を使って、大勢の敵を滅した!
「そこっ!」
「ハッ!」
メロディアーナの槍とイルザーブの剣は次々と敵を滅して行った!ロカやメロディアーナの活躍と新たな天使の登場に勇気づけられたユイドラ兵達は、さらに奮戦した!
「行きますよ!ハァッ!!」
「行くぞ………!ハッ!!」
「死んじゃえばぁ!!」
セラウィとフォーチュラ、エヴリーヌの3人が放った技――制圧射撃によって放たれた矢は雨のように降り注ぎ、敵の喉元や眉間を貫き、絶命させ
「ご覧あそばせ♪………大放電!!」
「荒ぶる水よ……!溺水……!!」
「闇の彼方に沈め!……ティルワンの闇界!!」
「魔王ケシェスよ………我が呼びかけに応え、我が仇名す者達に聖なる炎を!………ケシェスの聖炎!!」
フィニリィとマーリオン、リフィアとペテレーネが放った魔術は敵の数を一気に減らし
「大地の力よ!メーテアルザ!!」
「雷よ!我が槌に宿れ!電撃スマッシュ!!」
リウイ、ウィルが放った魔術の加護を受けた武器の攻撃は残った敵を次々と倒して行った!
「フフ………以前と比べて、腕が格段と上がったな、セラウィ。」
「そんな………フォーチュラ様には敵いませんよ。」
「謙遜するな。……今のお前は以前と違い、誰かを護ろうとする決意が感じられる………やはり、家族を持ったからか?」
セラウィの謙遜に微笑んだフォーチュラはセラウィから感じる雰囲気を悟って尋ねた。
「ええ。愛するウィルを……セティ達を……ユイドラのみなさんを護るために私はこの弓と魔術を持って、戦います!」
「そうか。……ならばかつての学友として、お前の家族や故郷を護るために私も全力で助力しよう!」
「フォーチュラ様………ありがとうございます!」
「フフ、気にするな。……行くぞ!」
「はい!………たぁっ!!………森よ……私に力を!リーフ=ゲルプス!!」
「ハッ!!………大地に住まう精霊よ………我が呼びかけに答えよ!地響き!!」
そしてフォーチュラとセラウィは肩を並べて、弓矢を放ち、さらに魔術を放って敵を倒して行った!
「貫け!……フフ………まさかこうしてウィル達と共に再び戦う時が来るとはね。」
一方槍で敵を倒して一息ついたフィニリィは口元に笑みを浮かべて呟いた。
「……………………」
その様子をマーリオンは黙って見ていた。
「あら?何か言いたい事があるのなら言ってもらえるかしら?」
マーリオンの様子を見て首を傾げたフィニリィは尋ねた。
「あの…………プリネ様の契約は…………どうなさる………おつもりですか…………?」
「マーリオンさん…………」
プリネを案じるマーリオンを見て、本来リウイの使い魔であるはずのマーリオンがプリネを心配している事にペテレーネは驚いてマーリオンを見ていた。
「なるほど………故郷であるユイドラに戻って来たわたくしが契約を解除すると思ったのですね。………心配しなくても、当分はあの皇女に力を貸してあげますわ。メンフィルにも興味が出て来たし、わたくしにとってもちょうどいいのですわ。」
「そう………ですか……………」
「フフ………ありがとう、フィニリィさん。マーリオンさんもプリネの事を考えてくれて、ありがとうございます。」
フィニリィの答えを聞いたマーリオンは表情が見えない顔をどこか安心したように見える顔を見せ、ペテレーネは微笑みながら答えた。。
「そんな事よりさっさと敵を倒しますわよ!………精霊王女たるこのわたくしを破り、そしてこのわたくしが身体を許した男はやらせませんわ!……超越せし純粋よ、今ここに集い、我が仇名す愚か者達に滅びの鐘を奏でよっ!!…………ルン=アウエラ!!」
「水よ………!我が魔力と同調し、敵を呑みこめ…………!…………デネカの津波!!」
「ソロモンの力よ!私に力を………!滅びの暗礁壁!!」
フィニリィとマーリオン、ペテレーネが放つ魔術は無数の敵を呑みこみ、絶命させた!
「余がおれば負けはない!行くぞ、エヴリーヌ!!」
「ん!!」
一方エヴリーヌと組んで戦っているリフィアはリウイ達と同じように苦戦の二文字はなかった。
「ふはははははははー!!ユイドラを襲う不届き者共は余達が蹴散らせてくれようぞ!!…………神をも震撼させし、滅びの鐘よ!今、ここに奏でよ!!………エル=アウエラ!!」
リフィアが放った高位純粋魔術――エル=アウエラによって敵の中心で爆発の嵐が起こり、敵という敵をまるでゴミ屑のように塵に変貌させた!
「有象無象共がどれだけ寄り集まろうと、屑であるという現実は変わらぬと思いしるがよい!」
塵になった敵を見てリフィアは勝ち誇った笑みを浮かべて言った。
「ユイドラを襲うこいつら、殲滅しちゃってもいいんだよね、リフィア?」
「許す!プリネ達も戦っているのだ!ここは姉として、手本を見せてやるぞ!!」
エヴリーヌに尋ねられたリフィアは不敵な笑みを浮かべて答えた。
「フフ………そうだね♪それじゃあ、エヴリーヌ…………久しぶりに全力でやっちゃうね♪エステル達との旅では手加減ばっかやっていたから、欲求不満なんだよね♪」
エヴリーヌは凶悪な笑顔をして、弓に矢をつがえた!
「うーで、あーし、むーねにあったま……全部潰す!………制圧射撃!!まだまだ行くよ♪三連射撃!!精密射撃!!アン・セルヴォ!!」
神速で放つエヴリーヌの弓矢の動作は空気を斬り裂き、次々と敵の屍を積み上げて行った!
「………罪人を処断せし聖なる光よ!我が仇名す者に裁きの鉄槌を!贖罪の光霞!!」
「キャハッ♪凍え死んじゃえ♪氷垢螺の吹雪!!」
そしてさらに放ったリフィアとエヴリーヌの魔術は大量の敵の屍を作った!
「ふははははー!哭千陣の時の事を思い出すな?エヴリーヌ!!」
「キャハッ♪そうだね♪………でも、あの時と違ってお兄ちゃん達やプリネ達もいるからもっと楽しくなって来たよ♪」
不敵な笑みを浮かべているリフィアの問いにエヴリーヌは遠足に行くような気分の笑顔で答えた。
「うむ!リウイ達に余達が成長した証を見せるためにも、リウイ達より多く敵を撃破するぞ、エヴリーヌ!!」
「その提案、賛成~!!………行っくよ~!エヴリーヌの敵はみんな消えちゃえ!ゼロ・アンフィニ!!」
「これが余に秘められし真なる力!究極なる光!……………クロースシエル!!」
可愛らしい容姿をしながら容赦のない攻撃に魔物達は悲鳴をあげながら消滅していった。
「神聖なる力よ!エクステンケニヒ!!」
「行くぞ!玄武の鋼撃!!」
一方リウイとウィルは肩を並べて、敵を倒していた。
「ほう…………職人のわりにはなかなかやるな。」
「ハハ………買被りすぎだよ。俺の腕ではユエラ達の足を引っ張らないよう、精一杯だよ。………こういった小手先の物を使わないと、彼女達の足を引っ張るしね。」
リウイの感心した言葉にウィルは苦笑しながら答えた。そしてウィルは懐から絵札を出して、絵札に魔力を込めた!
「焼き尽くせ!!」
ウィルが絵札に魔力を込めて叫ぶと、絵札が光り、複数の敵にいきなり炎が発生して、敵を焼き尽くした!
「今のは”轟炎の絵札”か。…………なるほど、道具を使って自分の足りない部分を補うか。悪くない考えだが、なぜその絵札からはまだ魔力が感じられる?絵札は一度放てば、力を失うはずだが………」
リウイはウィルの持っている絵札が使われたにも関わらず、絵札に秘められている魔力を感じ取って尋ねた。
「………これは俺の特別製で一度使っても、絵札に込められている魔力はなくならなく、永久的に使えるんだ。」
「何………!?」
ウィルの説明を聞いたリウイは驚いてウィルを見た。
「…………とは言っても、一度放てば少しの時間が必要だから、連発できないし、これを作るには超貴重品な”神珠”がないと作れないからね………量産や販売はしていないんだ。」
「…………………………」
驚いて黙っているリウイにウィルは苦笑しながら答えた。
「…………お前はその絵札の危険性に気付いているのか?」
リウイはウィルに静かな声で問いかけた。
「勿論。………絵札は魔術を使えない人でも魔術を放てる道具だ。こんなのが出廻ったら戦争とかでも必ず使われるしね。………だからこの絵札のレシピは公開していないし、俺の頭の中だけに秘めて、墓まで持って行くつもりだよ。」
「”創る”者だからこそ、わかる未来か……………ウィルフレド・ディオン、一つお前に聞きたい事がある。」
「ん?改まってどうしたんだい?」
リウイの問いかけにウィルは首を傾げて尋ねた。
「…………何故お前は他種族との共存を謳う?お前が謳う種族の中にはお前達人間が恐怖を抱いている、俺達”闇夜の眷属”も含まれているのだぞ?」
「闇夜の眷属とか、そんなのは関係ないよ。」
「何?」
「………ユイドラは全ての種族によって成り立つ街さ。闇夜の眷属とかエルフとか、そんなの関係ないよ。現に最初は悪さをしていたシャルティとかも、俺との約束は律儀に今でも守ってくれているよ。」
「…………………………」
ウィルの話にリウイは驚いて黙って聞いていた。
「それに俺はセラウィと”約束”した。ユイドラを俺達の子供が、全ての種族が住みやすい環境にしようって。………だから俺は精一杯生きて、みんなのために頑張っているんだ。………俺が死んだ後もセラウィがずっと覚えていてくれて、ユイドラを見守ってくれるさ。」
「……………そうか。それがお前の”道”か。フッ…………リフィア達の話を聞いて似ていると思ったが、まさかここまで似ていたとはな………」
リウイは愛妻イリーナと誓った理想の時を思い出し、またイリーナを亡くしても、イリーナと誓った理想のために覇道を歩み続けている自分とウィルを照らし合わせ、口元に笑みを浮かべた。
「え?」
リウイの言葉を聞いたウィルは首を傾げた。
「………こちらの話だ。気にするな。それより次が来るぞ。」
「ああ、わかっている!援護するよ、リウイ!超絶強化呪付!!」
リウイの警告に頷いたウィルは魔術でリウイの身体能力を強化した!
「我が奥義にて、滅せよ!フェヒテンカイザ!!」
ウィルによって強化された身体でリウイはSクラフトを使って、次々と敵を殺して行った!
「みんな、ユイドラを………家族を護るためにこの調子で行くぞ!!全員無事でユイドラに戻ろう!!」
「敵の数は多いが雑魚共ばかりだ!ユイドラ兵よ!故郷を、家族を護るためにも何人たりとも領主に遅れるなっ!!」
「オォォォオオォォォォォォオオオォォッッッ!!!!」
匠王と覇王、2人の”王”の叱咤激励にユイドラ兵達は武器を掲げて、勇ましい雄叫びをあげ、今まで以上に奮戦した………………!
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