~工匠都市ユイドラ・近郊~
リウイ達がウィル達と共闘を始めたその頃、魔物や悪魔の軍団を率いる魔神――エヴリーヌと同じ”深凌の楔魔”の魔神の一人であり、かつてはレスぺレント地方の北部を支配していた魔神ディアーネが圧され気味の自軍を見て、怒鳴った。
「貴様等、何を手間取っている!相手はたかが人間だ!この我が率いる者達が人間に負けるなぞ、許さんぞ!」
「し、しかし……」
そこに上級悪魔の一人が遠慮気味に話しかけたが
「黙れ!」
「ガッ!?」
ディアーネが虚空より出した魔槍が上級悪魔の喉を一突きし、絶命させた。それを見た周囲の魔物や悪魔達は驚き、ディアーネを怖がった。
「この雑魚と同じになりたくなければ、とっとと敵を滅せよ!」
ディアーネの脅迫まがいの命令に魔族達は恐怖を抑えるかのように雄叫びを上げて、自分達の敵に襲いかかった。
「全く………全ての種族と共存だと?人間の分際で調子に乗り過ぎだ。人間は我等に従うべきだというのに………チッ………ソロモンの一柱が何故人間に従うのかが理解に苦しむ……!」
ディアーネは遥か先で戦っているウィル達を睨んだ後、最初にウィルを襲った時、ウィルが召喚した魔神――ソロモンの一柱の魔神でもあるアスモデウスに圧倒され、撤退した事を思い出して顔を歪めた。アスモデウスを脅威と考えたディアーネはアスモデウスを消耗させるために大量の配下達を襲わせて、ウィル諸共討取ろうとする作戦をしているのだが、思いの他抵抗が激しく、上手くいってなかったのだ。
「ん………?なんだ、この覚えのある気配は………?」
そしてディアーネは戦場から微かに感じる覚えのある気配に首を傾げていた。
一方ディアーネの脅迫まがいの号令で雄叫びをあげながら、ウィル達に襲った魔族達だったが、ウィル達やリウイ達の圧倒的な強さに次々と討取られて行った。
「邪魔だっ!………ハァッ!!千刃剣舞!!」
「フェヒテンバル!!闇に呑まれよっ!ティルワンの闇界!!」
ユエラの神速の剣技とプリネの洗練された剣技、そして魔術は次々と敵を葬って行った!そしてユエラとプリネはお互い、並んで武器を構えていた。
「ほう………なかなかやるな。」
「フフ……貴女ほどではありませんよ。力の加護を!戦士の付術!!」
ユエラの称賛に謙遜したプリネは魔術を使ってユエラの能力を上げた。
「しばらく間ですが、これで貴女の力が上がっています。……見た所貴女はユイドラ軍の主力の一人みたいですから、主力には活躍してもらわないと困りますものね。」
「フッ………そういうお前こそ、飛び入りの割に、私達と大して変わらない腕を持っているようだな?」
プリネの称賛を聞いたユエラは不敵な笑みを浮かべたてプリネを見た。
「フフ、さすがにそれは買被りすぎですよ…………出でよ、鋼輝の陣!イオ=ルーン!!」
「はあーっ!!」
プリネの魔術で傷ついた敵達がプリネの魔術によって強化されたユエラの刀が薙ぎ払った!
「敵の数は圧倒的です!私達が活躍して、兵達の士気を高めましょう!」
「ああ!」
そして2人はそれぞれの敵に向かって行った。
「出でよ、烈輝の陣!!レイ=ルーン!!」
「うふふ、消えちゃえ!死線!!」
エミリッタとレンが放った強力な魔術は大量の敵を一掃した。
「へ~………小さいのに結構やるね!」
「うふふ、小さいのは余計なひと言だけど、褒め言葉として受け取っておくわ♪そういう貴女こそ、凄いじゃない♪レンと違って、敵が消滅しているわよ?」
「フフ……だってあたしは世界一の魔法使いを目指しているんだから、これぐらい当たり前だよ!」
レンの称賛にエミリッタは笑顔を見せて答えた。
「うふふ………じゃあ、レンは敵を倒した数の世界一になろうかしら……っと!!」
エミリッタの言葉を聞いたレンは物騒な事を呟いた後、凶悪な笑顔でクラフト――カラミティスロウを放って、敵を真っ二つにして倒した!
「うわ~…………可愛い顔をして、物騒な物を武器にしているね………」
「うふふ、そうかしら?レンにとっては使いやすい武器なんだけどね♪」
レンの大鎌と攻撃を見て、エミリッタは冷や汗をかいて呟き、レンは楽しそうな表情で答えた。
「ま!でも、武器がそれだからと言って、負けないよ!いっけ~!!」
そしてエミリッタは大量の魔力弾を放って、次々と敵を倒していった!
「うふふ、そうこなくっちゃ!………殲滅の力、うけてみなさい!そ~れっ!レ・ラナンデス!!」
レンも負けずにSクラフトを放って一撃で複数の敵を葬っていった!そして2人はとてつもない勢いで複数の敵を倒していった!
「行きます!………ヤアッ!!」
「えいっ!」
ツーヤが放ったクラフト――溜め突きでダメージを受けた敵をペルルが装備している鉤爪で止めをさした。そして安堵のため息をはいているツーヤに敵が襲った!
「!!あう!」
「!!大丈夫、ツーヤ!?超、ねこ・パ~ンチ!!」
ツーヤを傷つけた敵をペルルがクラフトを放って倒した。
「癒しの光よ………癒しの息吹!!」
そしてイリーナの治癒魔術がツーヤの傷を回復した。
「ありがとうございます、イリーナさん。」
「フフ、気にしないで。……でも、無茶をしたらダメよ?プリネ様もそうだけど、私も悲しむんだから。」
「はい。すみません………」
イリーナの言葉を聞いたツーヤは謝った。
「……プリネ様に仕える者同士、お互い助け合ってプリネ様をお守りしましょう!」
「……はい!」
「フフ、もちろんボクもその一人だからね!」
イリーナに元気づけられたツーヤは力強く頷き、ペルルも頷いた。そして3人は連携して敵を倒して行った!
「行きます!光よ、我が仇名す者達に裁きを!………槌の光霞!!」
「ハァァァァ………!ラファガブリザード!!」
「行っくよ~!それぇっ!!」
「女性達に遅れをとるな!俺達もがんばるぞ!」
「オオッ!」
3人の活躍は周囲で戦っているユイドラ兵達をも刺激し、3人に負けないようユイドラ兵達も奮戦した。
「消えろっ!!」
「とーう!!」
ラグスムエナは敵の背後に転移して、背後から強襲して敵を滅し、シャルティは空から強襲して、敵を倒し
「ハァァァァ!!」
「それぇっ!!」
ファーミシルスとカーリアンは正面から敵をどんどん葬って行った!
「へ~……そっちの死神はともかく、貴女……睡魔のわりには結構やるわね♪」
戦闘に少しの余裕ができたカーリアンはシャルティを見て言った。
「フフ、そういう貴女こそみた所、睡魔の血が混じっているようだね?」
「あら。やっぱり同族の血が少しでも入ってたらわかるのかしら?」
シャルティの答えを聞いたカーリアンは少し驚いた後、尋ねた。
「まあね~♪あたしにもウィルとできた娘がいるから、わかるよ♪」
カーリアンに尋ねられたシャルティは楽しそうな表情で答えた。
「あら?ユイドラ領主の娘はハーフエルフの娘ではないの?」
横で話を聞いていたファーミシルスは首を傾げて尋ねた。
「それはセティ………セティが産まれた1年後にシャルティがウィルとできた娘を産んだ……」
「………よくエルフの妻と修羅場にならなかったわね……エルフは私達と違って、頭が固いと思っていたんだけど。」
ラグスムエナの話を聞いたファーミシルスは驚いた後、ラグスムエナに尋ねた。
「セラウィは特別………それに私も含めて、ユエラとエミリッタを除いて……みんな、ウィルに抱かれた事があるし……セラウィも知っている……」
「みんなって……まさか天使も!?確かユイドラ領主は大天使(アークエンジェル)に護られ、力天使(ヴァーチャーズ)もユイドラ領主の力を認めていると聞いたけど。」
「そう。………シャマーラが産まれた時と同じ時間に天使のメロディアーナがウィルとの娘を産んだ………その事を後で知ったエリザスレインは呆れていたけど………」
「なるほど………(種族問わず、人を引き付ける力はひょっとしたらリウイ様と同等かもしれないわね………)」
ラグスムエナの説明を聞いたファーミシルスはウィルの評価を改めた。
「……まあいいわ。今は目の前の敵を全滅させるわよ!」
「オ―!」
「フフ、倒した敵の数がどちらが多いか……ここで勝負よ!」
「ウィル達のために………敵は全員殺す……!」
そしてカーリアン達は再び戦い始めた!
「その身を溶かせ!強酸の暗礁壁!!」
「フフ、耐えられるかしら?………白露の桜吹雪!!」
「超!ねこ、パンチ………奥義!!」
「地獄の炎に呑まれろっ!闇界獄滅炎!!」
4人の活躍はユイドラ兵達に畏怖を抱かせると同時に、味方である事に心強さを感じさせ、兵達の士気を高め、士気が上がった兵達は雄叫びを上げて勇敢に戦い始めた……!
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