「さて、私はフィルノ君の所で一度戻ろうか……」
さすがにあの攻撃をよけきれないと思ったなのはは、ヴィータを殺したことを確認せずにフィルノの所へ向かおうとする。
なのはの目には涙目になっていたのだが、それでも涙を堪えていた。たとえ友達を殺す事になっても止めるわけにはいかないと思ったのである。これが自分が選んだ道だから――
さっきみたいに友達を殺す事にもう迷いはなくなっていた。先ほどアリシアに言われた言葉で決心がついたのであり、邪魔する者はたとえ親友や友達だろうと手加減はしないと。
なのははそのままフィルノの所へ戻ろうとするとした刹那、ヴィータが居た場所から何かが飛んできたのであった。
「『火龍一閃』!!」
それはなのはに目掛けて放たれ、ヴィータを倒したと思っていたなのはにとって驚いていた。
なのははすぐにその攻撃を避け、放たれた方向へ振り向いた。
煙で覆われていたので最初は見えていなかったが、段々煙が消えていくとそこに現れたのはアギトとユニゾンしているシグナムとシグナムの方に担がれているヴィータの二人だった。
「……なるほど、シグナムさんがヴィータちゃんを助けたのですか」
「あぁ、その通りだ」
「すまねぇ、シグナム」
「殺されかけていたのだから当然だ」
シグナムはそう言うと、ヴィータを方から降ろす。なのはは何時でも戦えるようにしていながら待機しているような感じであった。
「ヴィータ。お前はこれからフィルノ・オルデルタのほうへ向かってくれ。なのはの相手は私がやる」
「わかった。あたしだけではなのはに勝てなかったからな」
シグナムはヴィータの怪我の具合を見て、まだ戦える程度の負傷だと分かったのでヴィータにフィルノやシルフィア姉妹がいる方へ向かわせた。本来ならシグナムがそれをやる予定だったのだが、あのままヴィータをなのはと戦わせていたら確実にヴィータは殺されると思って交代したのであった。
なのははシグナムとヴィータの会話を聞いていたが、その間攻撃もせず、ヴィータがフィルノの方へ向かった事にも阻止しようとはしなかった。
「……次はシグナムさんが相手なの?」
「その通りだ。それより、どうしてヴィータを止めなかった?」
「どうせ阻止しようとしたところでシグナムさんがそれをさせないようにするでしょ? いや、そう言ったら解釈を間違えちゃうか。厳密に言えばとっくにヴィータちゃんに向けて魔法を使ったけど?」
「なにっ!?」
なのはの言葉にシグナムはヴィータがいる方へ振り向くが、ヴィータの背後から5つくらいの弾丸がヴィータを追っていた。
何時の間に使用したのかとシグナムは驚いたが、それよりもすることがあった。
「ヴィータ!! 後ろ!!」
シグナムはついヴィータに叫ぶが、ヴィータには聞こえていないような感じであった。
なのははその様子見て微笑みをこぼすが、それはヴィータの思うつぼでもあった。
「とっくに気づいているんだよ!! こんなもん!!」
実はいうと、このときヴィータは背後から自分に目がけて何かが飛んできている事はシグナムに言われる前から気づいていた。
そしてヴィータは突然後ろに振り返ると、グラーフアイゼンで一つずつ攻撃を弾丸にぶつけていった。すべてぶつけて、弾丸が消滅したのを確認したヴィータはすぐにフィルノの方へ向かうのだった――
「……なるほどね。ヴィータちゃんの様子から見る限り、とっくに気づいていたようだね」
「そのようだな。私の忠告も必要なかったという事か」
なのはとシグナムはヴィータの言葉から察し、なのはは意味がなかった、シグナムは心配する必要はなかったとそれぞれ思うのだった。
そしてなのははこれ以上ヴィータに攻撃するのはやめて、シグナムもヴィータは大丈夫だろうと思い、それぞれ二人はなのはとシグナムの方へ振り向くのだった。
「それじゃあ、始めようか。あそこまで遠くにヴィータちゃんが離れたらシグナムさんに邪魔されそうだし」
「そういうことだ。アギト、準備はいいか」
「もちろん大丈夫だ!!」
「いくぞ、なのは!!」
シグナムはヴィータと変わり、なのはと戦い始めるのだった――
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「時空管理局だ!!」
ヴィータがなのはとシグナムから離れて少しすると、フィルノ達がいるところで辿り着くのだった。
ヴィータの言葉にシルフィア姉妹、そして海に何度も潜って濡れていたフィルノが振り向いた。
「……二人をほかの仲間に任せてこちらに来たという感じか」
「フィルノ・オルデルタ、デュナ・シルフィア元三等陸尉。殺人、世界規模のテロリズム、その他諸共の行為によって逮捕する!!」
「……逮捕できるならしてみなよ」
「もちろん、はなっからそのつもりだ!!」
そう言ってフィルノへと攻撃を仕掛けようとする。
だがその前にリィナによって邪魔され、彼女のデバイスによって封じられる。
「まったく、よりにもよってなんでシルフィア家が
シルフィアが持っているデバイスは片側に刃先がついている剣で、それが二つあり、その二つがくっ付くような形をしていた。
だが、ヴィータは邪魔された事には驚かなかったが、別のことで驚いていた。
「まさか、そのデバイス古代ベルカ式なのか!?」
「その通りだよ。っていうか、シルフィア家という言葉を聞いて何の反応もしなかったっていう事は、覚えてないという事だよね?」
ヴィータはリィナの意味深な言葉に気になっていたが、たぶん昔の出来事のことなんだろうと思った。
はやてに会う以前の記憶は覚えてはいるが、何度も繰り返していたおかげで細かくは覚えていなかった。それ以前にはやてとの平和な今の記憶が多く残っており、もちろん今までやっていた事も覚えてはいるが細かくまで覚えていなかった。
「まぁいいや。とりあえず私は彼女を止めているから、お姉ちゃんはそのまま続けて。そろそろ居場所を探知できそうでしょ?」
「そうだけど、一人で大丈夫なの?」
「これを言うのはちょっと癪だけど、研究所にいたおかげで大丈夫だから」
「そう、ならいいけど……」
デュナはリィナのことが心配だったが、そこまでリィナが言うのなら大丈夫だと思った。
それからデュナは先ほどから行っているロストロギア探しのサーチを再開し、リィナはヴィータの方へ振り向く。
「さて、始めようか『鉄槌の騎士』。三百年に続く私たちの恨み、今ここに成し遂げてみせる!!」
「何のことかよう分からねぇが、お前らの一族はあたしたちの被害者というわけか。あたしたちはもう覚えてねぇが、お何があったかを聞いて謝るつもりでいる。けどそれはお前らを捕まえてからだ!!」
「行くよ、ミスティルテイン!!」
ヴィータとリィナは同時に動き出し、戦い始めるのであった――
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J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
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