No.461697

英雄伝説~光と闇の軌跡~  157

soranoさん

第157話

2012-07-29 10:17:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:893   閲覧ユーザー数:847

ロランスと戦闘を開始したエステル達だったが予想以上に苦戦した。

 

~女王宮・テラス~

 

「はっ!」

「フッ……」

エステルの棒は剣で受け流され

「しっ!」

「………」

シェラザードの鞭は回避され

「やっ!」

「えいっ!」

「………まだまだだ!」

「キャッ!?」

「やん!?」

クロ―ゼとミントの同時攻撃は両方ともロランスの剣と打ち合いになってしまい、打ち負けた2人は吹っ飛ばされてその衝撃に悲鳴をあげた。

「クッ………私の剣ではみなさんの足手まといかもしれません。なら………!……水流よ吹きあがれ……」

接近戦ではかなわないと思ったクロ―ゼはオーブメントを発動し、アーツを放とうとしたが

「甘いっ!」

ロランスはクロ―ゼに向かってクラフト――零ストームを放った。

それを見たクロ―ゼはオーブメント発動をやめて驚き硬直してしまい、動けなかった所

「危ない、クロ―ゼ!!」

間一髪でエステルが飛び込みクロ―ゼを抱きかかえて衝撃波から逃れ、その勢いで倒れた。

「いたた……大丈夫、クロ―ゼ?」

「はい、ありがとうございます、エステルさん。……それにしてもかなりの強敵ですね……アーツを撃つ隙も中々ありませんね……」

「そうね。あれじゃあ、魔術の詠唱もあんまりしない方がいいかもしれないわね……」

エステルにお礼を言ったクロ―ゼはアーツも撃たす隙もみせないロランスの強さを感じた。また、エステルもクロ―ゼの言葉に頷いた。

「燃えちゃえ~!ファイアーシュート!!」

その時ミントが炎の魔術をロランスに向けて放った!

「フン!!」

しかしロランスは自分に迫りくる炎の玉を剣で真っ二つにした!

「そんな!?」

ロランスの行動を見たミントは驚いた。

 

「戦意よ、芽生えよ!!……戦意の祝福!!」

そこにミントの魔術にロランスが気を取られている隙を狙って、シェラザードは援護魔術を自分達にかけた。

「これで少しはあの少尉の動きについていけると思うわ。」

「シェラ姉、ありがとう!」

「大地の力よ、我の盾となれ…………アースガード改!!」

エステルがシェラザードにお礼を言ったその時、ロランスは絶対防御のアーツを自分にかけた。

「げっ。そういえば武術大会でプリネと戦った時、アースガードを使っていた事を忘れていたわ。」

ロランスの行動を見たエステルは顔を顰めた。

「ったく、そういう事は早くいいなさい。……ん?あの少尉、プリネさんと戦ったですって!?」

エステルの言葉に呆れたシェラザードはロランスがプリネと戦った事に驚いた。

「うん。ちなみにその試合、特務兵達の相手はペルル達がしてプリネがあの少尉と一騎打ちをして、勝ったよ。」

「さすが、”覇王”達に鍛えられているだけはあるわね……」

「……でもプリネ、かなり苦戦したみたい。あの少尉、プリネに一撃を入れたもん。その後、プリネが”力”を解放してなんとか勝ったけど……」

「なんですって!?」

プリネの実力を知っていたシェラザードはプリネが一撃を受けた事や人間を相手にプリネが”力”を解放した事に驚いた。

 

「フッ……呑気に話をしていていいのか?………そこだっ!」

そこに口元に笑みを浮かべたロランスがクラフト――零ストームを放った!

「わっ!」

「チッ!」

「ハッ!」

「えい!」

ロランスの攻撃に気付いたエステル達は回避に成功した。

「とにかく、数の差はこっちが圧倒的に勝っているんだから物量で押すわよ!」

「了解!」

「はい!」

「うん!」

シェラザードの号令にエステル達は力強く頷き、それぞれロランスに攻撃を仕掛けた!

「とりゃっ!」

「せい!」

「ほう……少し動きがよくなったな……」

魔術によって身体能力が上がり、素早く攻撃して来たエステルとクロ―ゼにロランスは感心した。

「だが、まだまだだ。……むん!」

「くっ!?」

「キャッ!?」

そしてエステルとクロ―ゼの攻撃をそれぞれ捌いたロランスは反撃をして、エステル達を吹っ飛ばした!

 

「雷よ、落ちよっ!……落雷!!」

「落っちろ~!……サンダーボルト!!」

そこにシェラザードとミントの詠唱が終わり、魔術が発動した!2種類の雷はロランスの頭上で発生して、落ちて来た!

「フッ………」

しかしロランスは2つの雷を余裕の笑みを浮かべて回避した!そして回避しながら発動を始めていたアーツを放った!

「銀の楔よ………我が敵を滅せよ!………シルバーソーン!!」

ロランスが放ったアーツは纏まっているエステル達を閉じ込めるかのように次々と上空から宝石のついた銀色の楔が降って来た!

「やばっ!……ミント!!」

「クッ………!」

武術大会でロランスのアーツを見ていたエステルは次がどうなるかわかっていたので、少しでも被害を減らすためにミントを楔の外へ突き飛ばした!また、シェラザードも本能的に不味いと思って、クロ―ゼを突き飛ばした!

「ママ!?」

「シェラザードさん!?」

突き飛ばされたミントとクロ―ゼは驚いた。そして宝石部分が光り2人に向かって怪しい紫色の光を放たれた!

「「キャァァァァ………!!」」

光に当てられた2人は思わず悲鳴をあげ膝をついた。

「ママ!シェラお姉さん!」

「大丈夫ですか!?」

攻撃を受けた2人を心配して、ミントとクロ―ゼは慌てて駆け寄った。

 

「いたた………2人は怪我はない?」

エステルは身体中に伝わる痛みに顔を顰めながら、立ち上がった。

「うん!」

「お二人が私達を突き飛ばしてくれたお陰で、先ほどのアーツによる攻撃は受けませんでした。」

「そっか。シェラ姉、大丈……」

2人の言葉に安心したエステルはシェラザードを見たその時、シェラザードが無表情でエステル達に攻撃して来た!

「わっ!?」

「キャッ!?」

「やん!?」

予想外のシェラザードの攻撃にエステル達は回避できず、受けてしまい、シェラザードから下がった。

「シェラ姉!?どうしたの!あたし達は味方だよ!?」

シェラザードの突然の行動に驚いたエステルはシェラザードに呼びかけた。

「まさか……今の攻撃で”混乱”になったのではないですか!?」

一方クロ―ゼはシェラザードの焦点の合っていない瞳を見て、冷静に推測した。

「ええええ~!?」

「あ、あんですって~!?攻撃と同時に混乱させるようなアーツ、知らないわよ!?」

クロ―ゼの推測を聞いたミントとエステルは驚いた。

「とにかく何とか、シェラザードさんの混乱を直さないと………」

「…………あたしがロランス少尉の相手はするわ!クロ―ゼはシェラ姉の治療をお願い!ミントはクロ―ゼの手伝いをお願い!」

戦闘の判断がつかないクロ―ゼを見て、エステルは即座に考えた案をクロ―ゼとミントに指示した。

「うん!」

「わかりました!エステルさんも気を付けて下さい!」

そして3人はそれぞれの行動に移った。

 

「さっきのアーツといい、あんた何者よ!?」

再びロランスに攻撃を仕掛けたエステルはロランスと鍔迫り合いをしながら、尋ねた。

「フ………お前達の情報通りの男のはずだが?」

「ふざけた事を言ってんじゃないわよ!行くわよ……!」

ロランスの挑発にも聞こえる言葉に怒ったエステルは棒に雷を宿らせた!

「来い……!」

「ハァァァァァァァ!!雷波!無双撃!!」

「……………………」

雷を宿した武器と打ち合う訳にもいかなかったロランスはエステルの連続攻撃を次々と回避していた。

「とぉりゃぁぁぁぁぁっ!」

回避をされても気にせず攻撃を続けていたエステルは最後の一撃に特大の雷を込めて、ロランスに放とうとしたが

「せいっ!」

「なっ!?キャアッ!?」

ロランスが剣で地面を叩き、それによってできた衝撃波がエステルを襲い、エステルは攻撃が中断されて、吹っ飛ばされた。

「くっ………これも駄目か………」

吹っ飛ばされながらも体制を整え、受け身を取ったエステルはどうやってロランスを倒すか必死に考えた。

「ママ!」

そこに正気になったシェラザードを連れたミント達がエステルに近付いた。

「ミント、クロ―ゼ!シェラ姉、混乱が治ったみたいね!よかったわ……」

「手間をかけさせたわね………」

エステル達にシェラザードは自分のせいで足を引っ張った事を謝った。

「シェラ姉が無事ならいいよ!」

シェラザードの顔を見たエステルは笑顔で慰めた。

「エステルさん!」

「へっ!?」

その時、ロランスの行動に気付いたクロ―ゼはエステルに警告した。しかし警告は遅く、ロランスはエステル達の目の前で剣を叩きつけた!

「むん!」

「あうっ!?」

「やん!?」

「クッ!?」

「キャアッ!?」

ロランスの攻撃を受けたエステル達はダメージを受けるとともに吹っ飛ばされ、受け身を取った後、なんとか立ち上がった。

 

「むん!受けてみろっ!荒ぶる炎の渦を!!」

そこをすかさず、ロランスがSクラフトの構えをした!

「鬼炎斬!!」

「!!」

ロランスが放った炎を纏ったような衝撃波を見て、エステルが驚いた時

「奥義!桜花乱舞!!」

エステル達の後方から強大な衝撃波が飛んで来て、ロランスの衝撃波を呑みこみ、ロランスを襲った!

「何!?」

自分の攻撃が消された上、さらに自分を襲って来た衝撃波にロランスは驚きながら回避した。

「光よ、傷ついた者達に癒しを!………癒しの風!!」

さらにエステル達を光が包み、エステル達の傷を治療した。

「大丈夫、みんな?」

「フフ………中々楽しめそうなのと戦っているじゃない♪」

そしてニルとカーリアンがエステル達の後方から姿を現した。

「ニル!カーリアン!!」

2人を見たエステルは明るい顔をした。

 

「援軍の特務兵達は全員峰打ちしておいたわ。ここからは私達も加わるわね♪」

「助かります。相手はかなり手強くて、情けない事に一人相手に苦戦していたんです。」

自分達にとって切り札であるカーリアンの参戦にシェラザードは安堵の溜息を吐いた。

「………………………………何故、貴女がここにいる。”戦妃”殿。メンフィルは静観するはずではなかったのか?」

一方ロランスはカーリアン達の登場に目を見開いて驚いた後、尋ねた。

「フフ……国同士の事情にこの私が気を使うとでも思っているの?」

「………………………」

口元に笑みを浮かべて答えるカーリアンを見て、ロランスは黙っていた。

「後、昨日プリネがリウイに報告した時、向こうで起こった出来事をプリネから聞いたけど、私にとっても見過ごせない事を貴方達はしたようだからね………」

笑みを浮かべていたカーリアンだったが、目を細めてロランスを睨んだ。

「………何の事でしょうか?」

カーリアンの言葉を聞いたロランスは顔には出さなかったが、困惑した。

「貴方の部下がメンフィル大使館で働いているプリネ専属になる予定の見習いメイドを攫おうとしたそうね?」

「バカな………それだけは絶対にしないよう、厳命したはずなのに…………」

カーリアンの説明を聞いたロランスは信じられない表情で呟いた。

「手柄を欲して、功を焦った馬鹿がいたんでしょうね。ま、そいつらはもちろん”殲滅”されたそうよ?」

「………………………」

カーリアンの言葉をロランスは無表情で黙って聞いていた。

「そういう事だから手伝い程度の予定だったけど、私も貴方達と戦う理由が出来ちゃったって訳。武術大会ではプリネに”力”を解放させたようだし、ちょっと本気を出させてもらうわよ?」

「フフ、能天使であるニルの事も忘れてもらっては困るよ?」

双剣を構えるカーリアンに続くようにニルも連接剣を構えた。

「よ~し、反撃開始よ!!」

そしてカーリアン、ニルを加えたエステル達は再びロランスに戦闘を仕掛けた…………!

 

 

 


 
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