No.460052

英雄伝説~光と闇の軌跡~  111

soranoさん

第111話

2012-07-27 00:12:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:806   閲覧ユーザー数:761

その後中庭に出て、波止場から脱出しようとしたエステル達だったが、気絶しきっていない特務兵の最後のあがきで警報が鳴らされ、

兵士達が厳戒態勢に見回りを始めたので、波止場に行くのを諦めて兵士達に見つからないように移動して、司令部に逃げ込んだ後地下に脱出路がないか探すために、地下へ続く階段に降りた。

 

~レイストン要塞・司令部・地下一階~

 

そこは牢屋となっており、またボースを騒がせた空賊――カプア一家が牢屋の中にいた。

「ね、ねえ……。なんだか外、騒がしくない?」

「あー、なんでも侵入者があったらしいな。」

ジョゼットは外の様子に不安そうな表情をした。不安そうな表情をしているジョゼットにキールは他人事のように説明した。

「なにィ、侵入者だと……。こうしちゃいられねえ!このスキに何とか脱出して……」

「兄貴、カンベンしてくれよ。そんな簡単に脱獄できるわけ……」

現在の状況に目が光ったドルンにキールは溜息をついた。その時牢獄にエステル達が姿を現した。

「ここは……。どうやら地下牢みたいだね。」

「へえ、ハーケン門の地下牢と比べると規模が大きいわね……」

地下に降りて、地下牢である事を理解したヨシュアやエステルは牢獄の広さに驚いた。そしてエステルがさらに歩みを進めると牢屋の中に入っているジョゼットと対面した。

「あれ……」

「あ。」

「「ああああああっ!?」」

エステルとジョゼットは同時に声を上げて、驚いた。

「お、お前たちは!?」

「あの時のガキどもか!?」

エステル達に気付いたキールとドルンは驚いた表情になった。

「なんというか……。お久しぶりですね。」

ドルン達にヨシュアは苦笑しながら、久しぶりの再会の言葉を言った。

「そっか、あんたたち、ここに捕まっていたんだ。………………………………。えっと、その、元気してる?」

エステルは哀れみの目でジョゼット達を見て、尋ねた。

「こ、こらあ!哀れみの目でボクを見るな!棒振り回すことしか能がないノーテンキ女のくせにっ!」

「ゴメン……。何言われても平気かも。それで気が済むんなら好きなだけ罵(ののし)っていーわよ。」

「む、むっか~!なに余裕かましてんだよっ!」

「おいおい、この連中、お前たちの知り合いかよ?」

ジョゼットは罵られても怒らないエステルに声を荒げて言った。アガットはジョゼット達と知り合いのように会話しているエステル達に驚いた後、ヨシュアに尋ねた。

 

「カプア空賊団……。定期船を奪った犯人です。」

「ほう、噂の連中か。かなり高性能な飛行艇を使っていたそうじゃの?帝国製と聞いていたがどのくらいのスペックかね?」

博士はジョゼット達の正体を知った後、研究者らしい質問をした。

「あ、ああ、最高時速は2300セルジュで……。って、どうしてそんな事を答えなくちゃならないんだ!」

博士の質問に律儀に答えようとしたキールだったが、途中で話すのをやめた。

「なんじゃ、ケチじゃのー」

「お、おじいちゃん。そんなこと聞いてる場合じゃないと思うんだけど……」

「ちょ、ちょっと待ちやがれ!そもそも遊撃士がなんでこんな所にいやがる?もしかして、さっきから鳴っているこのサイレンは……」

「………………………………」

「………………………………」

「……………………ふむ……」

「…………あう………………」

「……さてと、邪魔したな。」

「………ええ、さっさと行きますわよ。」

ドルンの言葉に今の状況に気付いたエステル達は少しの間黙った後、その場を後にした。

「ああっ、ごまかしたぁ!」

「侵入者ってのはお前らかよ!」

「こら~!俺たちもついでに解放しやがれ~!」

ジョゼット達は去って行くエステル達に牢屋から解放するよう喚いたが、エステル達は無視して地上に上がって行った。

 

~レイストン要塞・司令部・1階~

 

「はあ……。ビックリしちゃった。そういえば、あいつらって黒装束の連中と関係があったよね。なのに、リシャール大佐に逮捕されたってことは……」

「大佐の手柄になるように利用されたかもしれないね。ひょっとしたらルーアンのダルモア市長も……」

「ケッ、だからといって同情する必要はねえだろうが。余計な時間を食っちまった。他の脱出ルートを見つけるぞ。」

エステル達が司令部から出ようとした時、外から兵士の声が聞こえて来た。

「おい、見つけたか!?」

「いや、兵舎の方は一通り調べ終えたぞ!」

「監視塔も異常なしだ!」

「……となると、残るはこの司令部だけのようだ。少佐に報告するついでにしらみ潰しに捜すとするか。」

「まずっ!こっちに来るみたい!」

「クソッ……このままじゃ袋小路だぜ。」

「どうしますの?応戦するのなら、いつでもいいですわよ。」

「………………………………」

外から聞こえて来た声にエステルやアガットは焦り、フィニリィはいつでも兵士達と応戦できるよう槍を虚空から出した。ヨシュアはどうするべきか考え込んだ。その時、司令部の奥から声がした。

「来い!こっちだ!」

「今、なんか聞こえた?」

「う、うん……こっち来てって言ってたような。」

エステルやヨシュアは自分達を呼ぶ声に首を傾げた。そしてまたエステル達を呼ぶ声が奥からした。

「……時間がない!捕まりたくないんだろう!?」

「空耳ではなさそうじゃの。」

「こうなりゃ仕方ねえ!ダメもとで行ってみるぞ!」

そしてエステル達は奥から聞こえてくる声に誘導されて、ある部屋に入った………

 

 

 


 
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