No.458075

おや?五周目の一刀君の様子が……5

ふぉんさん

一刀の口調が安定しない……違和感あったらごめんなさい。

2012-07-23 14:16:52 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:12607   閲覧ユーザー数:10488

「ふーん……へー……ほー……」

 

俺は兵に案内されて三姉妹のいる天幕に入ったんだが……

張角が俺を下から上まで舐めるように見てくる。

何だってんだ一体。

 

「うーん……いいよー。ギリギリで合格にしてあげるね」

 

「えー。ちぃはちょっと物足りないかなぁ」

 

「天和姉さんが良いなら、予定通りに話は進めるわよ。ちぃ姉さんは我慢して」

 

「あん?」

 

俺抜きで進められていく話。

どうしたもんかと立ち尽くしていると、張梁がこちらに寄ってきた。

 

「ありがとうございます。貴方のおかげで今のところ私達の軍は勝つ事ができてるわ」

 

「そりゃどうも」

 

あまり感激の念が見られない俺に、張宝が訝しげに睨み付けるが気にしない。

張梁は気にした様子無く続ける。

 

「褒美として、貴方を私達の親衛隊に任命します」

 

「親衛隊?」

 

「私達の身辺の警護が仕事よ。光栄に思いなさい!」

 

張宝は威勢よく俺に向かい指をさす。

なるほどね。武将をも退けられる俺を近くに置いて、安全を図ろうってことか。

 

「そいつは重畳。これで話が終わりなら失礼すんよ」

 

後ろからの呼び声を無視し、天幕を出る。

親衛隊か。接する機会も少なからずあるってこったな。

なら正攻法でいってみるかな。

 

「待ってください」

 

と、思案を固めると同時に声がかけられる。

振り向くとそこには張梁が立っていた。

 

「まだ話があったのか?」

 

「……何を企んでるんですか?」

 

脅えるように両手を胸に当て話す張梁。

あぁなるほどねぇ。俺を見た限り三姉妹を妄信してるわけでもないのも明白か。

 

「人和」

 

公演の時に名乗ってるし真名で呼んでもかまわんだろう。

俺は張梁の真名を呼びながらその頭を優しく撫でる。

 

「企んでるか?と言われるとそうなるな。だが安心していい。俺は何があろうとお前等を守るさ」

 

まだ抱いてもいない良い女を骸にされたら堪らんからな。

張梁は少し呆けていたが、すぐに俺の手を払いのけ距離をとる。

 

「せ、責務をしっかりこなしてくれるのなら文句はありません。ではまた」

 

急いで踵返す張梁。嫌われたもんだねぇ。

まぁいいさ、とりあえずは張角狙いでいくかな。あの中じゃあいつが一番楽に落とせそうだ。

「だりーなおい」

 

あれから結構経ったが、親衛隊といっても張梁と事務的な事ばかり。

それ以外の触れ合いなど皆無だった。

さらに、俺等の連絡隊が敵に捕まったらしく本陣がばれてしまった。

おかげで今まさに奇襲を受けている。兵共は慌てふためいて戦どころではない。

まったく、思い通りにいかないもんだ。

 

周りを見渡すが、こりゃ負け戦だ。あの三人は早々に逃げ出したらしい。

手際の速さに呆気にとられたが、生きているならいい。そのうちまた会えるだろうよ。

 

「兄貴!ここにいましたか!」

 

「んだよ、俺は今からずらかるんだが?」

 

「張角様達が敵将に追われております!」

 

何だって?

 

「すぐに案内しろ!俺が行く!」

 

守ってやるって言っちまったからな。最後くらいちゃんと働いてやるよ。

戦場から離れた荒野に人影が4人。

三姉妹と手甲をつけた物々しい傷だらけの女。

 

「……諦めましょう、姉さん。このままこの人から逃げ切れるわけ無いわ」

 

顔を伏せ沈んだ面持ちで投降しようとする三人。

まぁさせねぇけどな。

 

「おらよ!!」

 

走りながら勢いを乗せて剣を振り下ろす。

敵の女は両手で防いだが、勢いで数メートル後方に吹き飛んだ。

 

「一刀さん!?」

 

「よぉ、無事か?」

 

三人に怪我した様子は無い。なら大丈夫だな。

 

「ここは俺が抑えるからお前等は早く逃げな」

 

「……はい、でも一刀さんも無事で……!」

 

急いで走り去る三人。俺は視線を敵の女へ戻す。

 

「……逃げた主をなお庇うか。なかなか見上げた根性だな」

 

「まぁ、約束しちまったからなぁ」

 

何があろうと守るってな。一度くらい守らねぇと目覚めがわりぃ。

相手は見た感じ将に上がりきってないひよっこだな。華雄以下だろう。

 

「我が名は楽進。曹操様の覇道を支える家臣の一人だ」

 

「北郷だ。ついでにお前も俺の女にしてやるよ」

 

「なっ!……前言撤回させてもらうぞ、下種め。はああああっ!」

 

顔を真っ赤にする楽進。初心だねぇ。

俺の首を刈り取ろうとする上段蹴り。

筋はいいが読みやすい。首を少し傾け避ける。

攻勢に転じようと構えるが、楽進の後方から砂塵が見えた。

 

「増援か。流石に分が悪いな」

 

袈裟切りからの柄当て、そして流れるように足払う。

楽進は何とか防ぐが足払いには対応できなかった。

こける楽進を一瞥し、その場を走り去る。

はぁ、この時代にきてからまだ星しか抱いてねぇじゃねぇか。

本当、思い通りにいかないもんだねぇ。


 
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