サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことは……
と言うのは俺が北高の入学式の時に考えていたことだ。
最初から俺たちの活動を知っている方々はご存じのことだろう。
なら何故再び俺がこんな現実逃避まがいをしているのかと言うと、
どうしてだか知らんが(まぁハルヒのせいだろうが)世界が
一年前の春、つまり入学式の日に戻っているからである。
おそらく原因は昨日SOS団の部室でハルヒとこんな話をしたからだろう。
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「ねぇ、キョン」
部室に入るといきなりハルヒが話しかけてきた。
いつも通りのことだ。
「一年前のこと憶えてる?
あたし達の入学式のこと」
どうしてそんなこと聞くんだ?
「ほら、今日新一年生の入学式があったでしょ。
それを見てふと思ったのよ。で、どうなの?」
「……あまり憶えてないな。
そう言うお前はどうなんだ」
「あたしもたいして憶えてないのよね~。
これってなんだか損してると思わない?」
そう言ったってもう過ぎたことだ。
今更遅い。
「そうなのよね~」
ハルヒは口をアヒルのようにしている。
と思ったら今度はいきなり何かを閃いた様な顔をして
「面白いこと思いついた!」
と何やら言い放った。
……こいつの面白いこととは大抵碌なことではないのだが、
一様、念のため、後が怖いから聞いておこう。
「何を思いついたんだ?」
「最近読んだ二次創作に再構成って物があったのよ。
それが意外に面白くて一気に最後まで見ちゃったくらいね。
で、それみたいにみんなの性格と立場が変わった状態でまた
去年の入学式からやり直すってどうよ!?
結構面白いことになりそうな気がするわ!」
……確かにそれは面白そうなのだが、お前が思ったら現実の物に成るからな。
そんなこと本当にやってくれるなよ。
俺は上機嫌なハルヒを見ながらそんなことをまだ見ぬ神に祈った。
いや、神はこいつだったか。
なら前言を撤回して祈る先は長門大明神にしておこう。
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だが、そんな俺の祈り虚しく
ハルヒの願望は実現してしまった。
少なくとも一年前に戻るって事はな。
よって俺は人生二度目となる北高の入学式に出席するため
この長い上り坂を上っている。
とりあえず流されるままに出席した入学式が終了し、
また顔を合わせることに成ったクラスメイト達と教室に入る。
後は去年経験した通りに担任教師岡部が自己紹介した後に
個人の自己紹介をする事になった。
とりあえず手短かつ無難に自己紹介を済ます。
流石にどこぞの団長様よろしく奇想天外な事を喋る気は無い。
そして俺の番が終わった後、ふと忘れていたこの世界の前提を思い出した。
ハルヒが願ったのは世界の再構成、つまり性格や立場が変わるって事だ。
ソレはこいつも例外ではなかった。
「ひ、東中出身の・・・ぇと、す、涼宮ハルヒです。
好きなことは、ぁの・・・不思議な事、です。
よ、よろしく、お願い、しま、す・・・」
……ここ笑うとこ?
えらくキョドっている美少女がそこにいた。
後ろの席の人物から発せられた言葉を聞いたとき思わず後ろを振り返ってしまった。
あのハルヒがこんなにオドオドしているなんて信じられなかったからな。
後ろにいるのは涼宮ハルヒで間違いないだろう。
一年前と12月に見た長い髪型をしていたからだ。
しかし性格が変わっているらしくすごく内気だ。
正直言うとかなり可愛い。これがあのハルヒだとはとても思えない。
話し終わったら顔を赤くし俯いて座ってしまった。
なるほど……コレがハルヒが言ってた『再構成』ってやつか。
こいつがこれだけ変わってるんだ、他のSOS団員も変わっているだろう。
なんたって涼宮ハルヒがそう望んだんだからな。
とりあえず当面は記憶にあるようにやってくか。
この世界を作った涼宮ハルヒの願望通りに事を進めれば何か掴めるかもしれない。
元に戻す為の何かが。
長門に頼るのはもう少し後で良いよな。
あいつにばっかし負担をかけたくねぇし。
そしてゴールデンウィークが明け一日目が来た。
うちの妹や谷口、国木田などは変わったとこが無いから、
影響を受けたのはおそらく団員だけだろう。他にもいるかもしれんが。
ちなみに朝倉がいた。
あいつがヒューマノイドインターフェースかどうかは後で長門に聞こう。
まだ残る眠気と戦いながら坂を上り校門をくぐり教室の扉を開ける。
まだ早い時間と言う事もあり、教室の中には一人の女子生徒しかいなかった。
そいつは何をする訳でもなくただぼーっとしているだけのようだ。
って事で、
「よう、おはようさん」
暇そうにしているハルヒに声をかけてみる。
「ふぇ!? えっと、あの、お、おはよう……」
動揺しすぎだ。
こいつは前みたいに不機嫌な表情をしてはいないのだが、
かなり人見知りをするらしくあまり人と話しているところを見ない。
ハルヒから話しかけようとしてはいるのだが、結局あきらめている。
もうちょっと自信を持てば良いのにな。
お前の元になった奴なんて自信の塊みたいだったんだぞ。
「随分と早いな。
いつもこのくらいに来てたのか?」
「う、うん……朝は静かだから」
「そっか。じゃ俺も明日から少し早く来るかな。
今日はたまたまこの時間になっただけだし。
妹が……いや、何でもない」
「な、何があったの?」
「……まぁいつもより早い時間にボディプレスくらって目覚めただけだ」
「あ、あはは~……
すごい妹さんなんだね」
全くだ。
嫌いではないんだが、毎朝ダイブしてくるのは勘弁して欲しい。
いつの日か我が妹に病院送りされる日が来るかもしれん。
あの会話から前回同様、朝にハルヒと会話することが日課になった。
話の内容は去年とあまり変えていないんだがな。
それと、オカルト関係の話をする時はほんの少しだけ饒舌になるようだ。
心霊現象はダメでもUMAならOKと言う謎基準が有る事も分かった。
後は変わったところは、
ハルヒには俺が無理言って『キョン』と呼ばせている事か?
やっぱこいつにはこう呼んでもらわないと違和感があるからな。
俺も『涼宮』と呼んでいたのを『ハルヒ』に変えた。
こっちの方が呼びやすいし。
そういえば、そん時は面白かったな。
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「なあ、涼宮」
「なに?」
「俺のこと『キョン』で良いぞ」
「ふぇ?……えっと、いい、の?」
「ああ、かまわない。
その代わり俺はお前のこと『ハルヒ』って呼ぶからな」
「ふぇぇぇ!?いや、あの、その、うぅぅ……」
「……そんなに嫌だったか」
結構傷つくぞ。
「いやっ、えっと、そ、そうじゃなくて、その……
す、少し驚いただけと言うか、何というか……」
「少しじゃなくて、かなりじゃないのか?」
「うぅぅ……わ、わかった、それじゃぁ……
き、キョン、君?///」
ぐっ……すげぇ破壊力。
もうこっちのハルヒで良いような気がしてきた。
「キョン君?」
「い、いや、何でもない。
まぁそんな感じで頼むハルヒ」
「う、うん!///」
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「……くくっ」
「あれ、キョン君?
何か面白い事でもあったの?」
「いや、何でもねぇよ」
ってか言ったら拗ねられそうだし。
……あっ、そういえば、
「お前って髪型変えないのか?」
髪型を七変化させろとは言わないが、見るたびロングだからな。
たまには別な髪型にしてみても良いんじゃないか?
俺としてはポニーテールにして欲しいが。
「……ポニーかぁ」
ハルヒの呟きに視線を戻すと、
どうやったのか一瞬の間にポニーテールになっていた。
いや、マジでどうやった?
まさかお前も大概の事は普通の人以上に出来る奴なのか?
「ど、どうかな、キョン君……」
「あ、ああ……かなり似合ってるぞ。
やっぱりハルヒは元が良いからな」
「あ、ありがとう///」
この世界のハルヒはこの髪型を基準にさせよう。
これは元の世界と区別するためであって決して俺の私欲じゃないぞ。
ああ、きっとそうに違いない。
さて、この流れでアレの話をしようか。
SOS団を作る為の第一歩を。
「なあ、そう言えば部活はどこに入るんだ」
「えっと、まだ決めてないかな。
キョン君は決めたの?」
「いや、俺もまだだな。
面白そうなとこ無かったし」
このハルヒは俺が切っ掛けを作ってもSOS団を立ち上げる事は無いだろう。
だから俺がSOS団の団長になる。この世界での立ち位置はおそらくそれだから。
もしかして俺も性格が変わったのかもな。こんな事をするなんて。
だが、まぁ……嫌じゃないな。
「でさ、俺はこう考えたんだ
無いなら自ら作れば良いってな」
「え、新しいクラブを作るの?」
「ああそうだ。
だからハルヒ、お前も協力してくれないか」
ってかお前無しじゃ成り立たねぇだろうし。
「きょ、協力って何をするの?」
「とりあえず、俺が作る部活の部員になってくれ」
「えっと、それくらいだったら。
わたしもキョン君の作るクラブに入りたいし……」
「本当か! ありがとよ」
まずは第一段階クリア。
この調子でどんどん進めていこうか。
「じゃあ、ついでに昼休みにでも良いから書類書いて欲しいんだが。
頼めるか?」
「うん、いいよ。
あれ?キョン君はその間何するの?」
もちろんそんなこと決まってるだろ。
部活を作る上で重要なことをしに行く。
何をするのかと言うと、
「部室に使えそうな部屋を探してくる」
ってことだ。
「それじゃハルヒ、よろしく頼むぜ」
「ま、まかえて!」
さてと、やれるだけやってみるか。
まずは……文芸部に行ってみよう。
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あー……何を話せば良いんだ?
えっと、この話は所謂再構成モノと言うやつだ。
キャラ崩壊を多分に含む為閲覧には注意してくれ。
コレはこう言う物だと思って見ていただけると幸いだ。
まっ、よろしく頼む。
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