「はっ……また、あの夢なの?」
その夜、なのはは一睡も眠れないでいた。ある夢を見てしまい、まったく眠れないでいたのだ。
なのはが眠れない理由はその夢のせである。別に怖い夢を見ているわけではないが、なのはにとってはどうしても気になってしまう夢なのであった。
小さい時のなのはと見覚えの無いある少年が出てくる夢をここ毎日見てるのである。その夢に出てくる少年の事が気になって仕方なかく、その夢を見ると全くなのはの記憶にないのに何故か懐かしいと感じてしまうのであった。
何度も思い出そうとなのはが頑張ったとしても何も思い出せず、そんな日々が毎日続いていたのである。あの夢は一体自分に何が関わっており、どうしてそんな夢を見せ、そしてこのもやもや感は一体何なのかと。一度忘れようと思って頑張ったとしても、どうしても忘れる事が出来ないでいた。
「……とりあえず寝よう。あの夢が何なのかは分からないけど、明日も仕事があるからね」
なのはは明日も仕事があるので今のうちに寝ていないとまずいと思い、それ以上は考えるのをやめてまた寝る事にした。
しかし寝るたびに同じ夢を見てその度に起きてしまい、ほとんど寝れずじまいで日が昇ってしまい、そのまま朝になってしまうのだった。
結局一睡もぐっすりと寝れなかったなのはは、今から寝ても寝坊するだけだと思い、ベッドから出て行ってリビングへと向かうのであった。
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午前6時30分、空は日の明かりで部屋が明るくなっている時間帯にフェイトは目を覚ました。
目が覚めてすぐに横を見たフェイトだったが、そこにはなのはの姿が居なかった。
多分リビングに居るのだろうと思ってすぐにリビングに向かう事にして、そして案の定なのははリビングに居て朝食を作っていた。
「なのは、起きていたんだ」
「あ、フェイトちゃんおはよう」
突然リビングにフェイトの声が聞こえたので、なのははその声が聞こえてきた方へと振り向いてフェイトにおはようと言う。
だがこの時なのはは夜に眠れなかった事をフェイトに心配をかけたくなかったので、悩んでいる事に気づかれないように振る舞っていた。それに夢に出てくる内容に悩んでいるなんて言えば可笑しいと思われてしまうかもしれないと思って、なおさら言えるような事ではなかった。
しかし――
「なのは大丈夫? ここ最近何か悩んでいるようなのはなんとなく分かっていたけど、今日はいつもよりも変に感じるよ? 何かあったの?」
フェイトはなのはの顔を見ただけですぐに異変に気づいてしまった。さすが、長年の付き合いであったのでなのはが何か悩んでいる事にすぐに気づいてしまったのであった。
「な、何言っているのフェイトちゃん。私はいつもと同じで元気だよ」
しかしなのはは少し驚いてどもったが、たとえ気づかれようと振る舞って否定するのであった。これは自分一人で解決することだと思って、なるべくフェイトとかに心配をかけたくは無いのは変わりが無かったのである。自分がやっている事は迷惑を掛けているかもしれないが、それでも自分で解決させるべきだと思って何で悩んでいるのかという事を教えたくなかった。
だがそれを聞いたフェイトもこれ以上追及したとしても、なのはの事だから否定してくると思って、それ以上は言わなかった。けどそれでもフェイトは最後にこれだけは言っておく事にするのであった。
「分かった。けど、一人で抱え込まないでね」
「分かった。それじゃ、フェイトちゃんも朝食作るの手伝ってくれる?」
「うん、何からやればいい?」
そんな話はこれで終わりにして、フェイトはなのはと一緒に朝食の準備を手伝う事にするのだった。
二人で朝食の準備をしていると、先ほどまでなのはが一人でやっていた時より時間がかなり短縮できてしまい、途中から二人で朝食を作ったおかげであっという間に朝食の準備が終わってしまうのであった。
準備が終わると作った料理をテーブルの上に置いて行き、いつでも朝食が食べれるように準備が終わるのであった。
「それじゃあ、私はヴィヴィオを起こしに行って来るね」
「分かった。私はここで待ってるよ」
それからなのははヴィヴィオを起こしに行くために、リビングを後にしてヴィヴィオが寝ている寝室へと向かうのであった。
フェイトはヴィヴィオを連れてなのはが戻ってくるのを待っていようとソファで座っている事にしていると、当然何かが階段から落ちてくる音が聞こえてくるのだったた。その音は廊下から聞こえてきて、何の音かと確認しにフェイトは廊下に出て行くのであった
そしてそこで見たものは、多分階段から転げ落ちたなのはが階段近くの廊下で倒れている姿だった。
「な、なのは!?」
すぐに事態を把握してなのはの所に急いで駆けつけた。突然の事であったので、フェイトはさすがに動揺していて何があったのかとイオ思っていた。
するとフェイトの声が大きかったのか、ヴィヴィオが起きてきて階段の上から降りてきていた。
「ん、フェイトママ、こんなところでどうしたの?」
ヴィヴィオは起きたばかりなのか、なのはが倒れている事にまだ気づいていないような感じであった。
けれどもフェイトが焦っている事にはさすがにヴィヴィオでも気づいていた。しかしなので何でフェイトがそんなに焦っているのだろうかと疑問に思っていた。
ヴィヴィオの言葉でヴィヴィオが階段を降りてきていたことにフェイトは気づき、慌ててヴィヴィオに伝えるのだった。
「ヴィヴィオ!! なのはが倒れたから急いで救急車を呼んで!!」
「っ!? わ、分かった!!」
フェイトが言った言葉によってヴィヴィオはやっと目が覚めて、なのはが倒れている事に気づくのだった。そしてすぐに事態を把握したヴィヴィオはリビングへと向かって、電話を取りに行って救急車を電話をかけて家に呼ぶのだった。
ヴィヴィオは状況を説明し終えて電話を切ると、すぐにフェイトとなのはがいる所へと戻るのだった。
それから待つこと数分後、救急車がなのは達の家に到着してなのはを救急車に乗せて、フェイトとヴィヴィオも一緒に救急車に乗ってすぐに病院へと向かうのであった。
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J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
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