休日が過ぎ、月曜日となった。
俺としては、平日は憂鬱だ…俺は見た目は子供だが、中身は大人だ。そんな俺が、幼稚園に行くのははっきり言ってキツイ。
子供にまぎれて、さらに出来るだけ違和感無いようしなくちゃいけないからな…
はぁ…どんなに愚痴っても、意味は無いしな…何時も通りに過ごすしか無いか…
「篠ノ之く~ん、今日はストーブ見てもらえないかな?」
「あ、はい」
*士郎は、高校の頃の癖でついつい壊れた扇風機を見て直してから、先生方からは色々と修理を頼まれているのだった。既に、束同様先生方からはある意味厄介な人物に認定されているのだった。(大人び過ぎているせいで)
幼稚園が終わると、俺はストーブ3台置かれてあるホールに連れて行かれる。そして、俺は直ぐに解析の魔術をバレないように使用し、ストーブの状態を調べる。
(ふむ…基盤が一部壊れてるな…これなら基盤を変えるだけで直りそうだな)
先生が見てる中、マイナスドライバを持ち、ストーブの解体を行なう。できるだけ、直ぐに直せるように順番に解体していく。そして、壊れている基盤の付いている銅線をペンチで切り、抜き取る。
その後、別のストーブを解体する。こっちは、別に基盤が壊れているから、さっき取った基盤と同じ基盤を切り取り、さっきのストーブに半田を使って接着する。これで、このストーブも直った筈だ。
念のため、もう一度解析の魔術で見てみるがちゃんと直ってるようだ。
「先生、これで直ったはずですので持って行ってください」
「あ…ありがとね、篠ノ之君」
先生が、ストーブを持って退出するのを見送る。さて、これでいいだろう。
「|投影開始(トレース・オン)」
投影魔術を行い、壊れている基盤の治っている状態の基盤を投影する。これなら、別の所からもってこなくてもちゃんとストーブを直せる。さっきまでは、先生がいたから投影魔術が使えなかったんだよな~。
2台分、全ての基盤を投影する。そして、その基盤をストーブに半田していく。ふぅ、これで全部か…
「篠ノ之君、どうかな?」
「あ、全部修理し終わってますよ」
「えぇ!?ぜ、全部直っちゃったの!?さすが、篠ノ之君!!」
先生からの賞賛を受け、俺はこれで帰宅する事になる。今日は、いつもより遅くなったな…
束は既に幼稚園にはいないみたいだし、そのまま家に帰るか…
「おい、おりむら!テメェ、なににらんでんだよ!」
「いたい!やめてよ~!」
よく俺がランニングの途中で休憩する公園で、一人の女の子を取り囲むように何人かの男子がいた。
あれは…織斑?周りにいるには、別のクラスの男子達か…確かに、織斑の眼つきは他の子と比べて鋭い方だが、苛めは良くないと思うんだがな…
さて、どう助けるか…やり過ぎれば、柳韻たちに迷惑がかかるからな…そうだ、アレを使うか!
俺は、ある物を投影し織斑を助けに行く。
「おい、お前等何やってんだよ」
「だれだよ、おまえはっ!」
「た、たばねちゃんのおにいさん…?」
「あーっ!おまえは、しののののあにじゃねぇか!おまえ、すこしはしのののをどうにかしやがれ!」
いや…束をどうにかするのは、俺も柳韻さんたちでも無理だからな…出来るとしたら、織斑くらいじゃないのか?
「それに関してはすまない。だが、織斑を苛めるのは良くないと思うぞ?」
「うっせぇ!おまえら、やっちまえ!」
いっせいに俺に襲い掛かってくる男子達。やれやれ、血の気の早いことだ。
俺は、さっき投影したアレで男子たちの頭を叩く。
---スパパパパパパン
「「「「「いってぇぇぇぇ~~~!!」」」」」
俺が投影したのは、冬樹の虎愛用の『虎竹刀』だ。簡単に言えば、竹刀の先端に虎のストラップがついている。だけど、これで叩かれると何故か痛みはあるが、タンコブ一つ出来ないと言う優れものだ。これなら、どれだけやっても親にはバレはしないだろう。
「さて、やるってんなら相手になるさ。どうする?」
「くっそ…おぼえてやがれよ~~~~!!」
たった一撃叩き込んだだけで逃げだす男子達…弱すぎじゃないか?
「はぁ…大丈夫だったか、織斑?」
「う、うん…ありがとう、たばねちゃんのおにいさん…」
「いや、別にいいさ。これからは気を付けろよ?」
俺は、それだけを残し帰宅をした。
side out
side 織斑
きょうは、たばねちゃんがはやくうちにかえってじぶんがつくったっていう『ぱそこん』をかいぞうしたいからってはやくかっちゃいました。わたしは、きょうはひとりでこうえんであそぶことにしました。
ほんとうは、ほかのこたちともあそびたいんだけど、わたしのめがこわくてだれも近づいてきてくれないんです。それでも、たばねちゃんやたばんちゃんのおにいさんだけは、わたしのめのことをきにせずにはなしかけてくれます。
「あ!みろよ、おりむらのやつがひとりであそんでるぜ!」
「「ほんとだほんとだ!」」
きづくと、わたしのちかくにおとこのこたちがいました。
たしか…べつのくらすのおとこのだったよね?
いつもは、たばねちゃんがおっぱらってくれてたよね?
「………」
「おい、おりむら!テメェなににらんでんだよ!」
「いたい!やめてよ~!」
いちばんちかくにいるおとこのこが、わたしのかみをひっぱってきました。
いたい!だれか、たすけて!
「おい、お前等何やってんだよ」
「だれだよ、おまえはっ!」
きゅうにこえをかけてくるおとこのこがいました。
あ、あれ…あのおとこのこは。
「た、たばねちゃんのおにいさん…?」
「あーっ!おまえは、しののののあにじゃねぇか!おまえ、すこしはしのののをどうにかしやがれ!」
「それに関してはすまない。だが、織斑を苛めるのは良くないと思うぞ?」
「うっせぇ!おまえら、やっちまえ!」
おとこのこたちが、いっせいにたばねちゃんのおにいさんにむかっておそいかかってます。
たばねちゃんのおにいさんあぶない!
わたしは、ついめをつぶってしまいました。けど…
「「「「「いってぇぇぇぇ~~~!!」」」」」
なんにんものおとこのこが、いたがるこえをききとじていためをひらきます。
そこには、しない(?)をかたてにもってせなかをむけてたっているたばねちゃんのおにいさんがいました。
そのせなかが、わたしのちかくにいるはずなのにとおくかんじました。
「さて、やるってんなら相手になるさ。どうする?」
「くっそ…おぼえてろよ~~~~!!」
そういいのこしてにげていくおとこのこたちを、ただにらみつけておいかえしてくれたたばねちゃんのおにいさんが、かっこよくみえました。
(たばねちゃんのおにいさん…ううん、しろうさんみたいにつよくなりたいな…)
「はぁ…大丈夫だったか、織斑?」
「う、うん…ありがとう、たばねさんのおにいさん」
「いや、別にいいさ。これからは気を付けろよ?」
そういってはしっていくしろうさんのせなかを、わたしはずっとみつめてました。
*****
「ふむ、それでどうしたんだい|千冬(ちふゆ)ちゃん?」
「あ、あの…わたしにけんどうをおしえてください!」
「剣道を?…それは、小学校に入ってからじゃないのかい?」
「たしかにそうです…でも!わたしは、はやくけんどうをならいたいんです!」
「………いい目だね。判った。そこまでの覚悟があるなら、来週から教えるよ」
「ありがとうございます!!」
すこしでもはやく、しろうさんのせなかにおいつけるようにがんばります!
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第2話「士郎と千冬」