No.447126

いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した

たかBさん

第五話 おじゃましまーす!

2012-07-06 09:01:57 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:7549   閲覧ユーザー数:7101

 第五話 おじゃましまーす!

 

 

 幼女に呼ばれて俺参上!腰みの一つで俺登場!

 何が出来るか分からない!パチュンした主人公、沢高志!

 

 悲鳴が聞こえてそこに行ってみると、ガンレオンを解除して血をゲホゲホと吐き出しているプレシアに抱きついているアリシアがいた。

 そうだった、プレシアって病人だった。しかも重度の。

 

 「と、とりあえずどこか安静に出来る場所を探すぞ」

 

 俺はアリシアの足元に落ちていたガンレオンを拾い、展開してプレシアとアリシアを担ぐ。辺りを見渡すと一件のログハウスを発見。

 ガンレオンの足元には戦車のようなキャタピラのようなものがついている。それを回転させて突貫。そこに全速力でむかう。

 

「おじゃましまーす!」

 

 ずがぁあああああんっ。

 

 返事が無い。無人の別荘ようだ。

 扉を蹴り破り部屋の中を散策。ベッドのある部屋を発見そこにプレシアを寝かせる。

 

 「お母さんっ、お母さん!」

 

 アリシアもそこに降ろしてこの部屋設置された電話を手にする。ここの世界も救急車は119であっているのか?迷っている暇はないよな。

 電話線は切れていない。何度かコール音がすると、向こう側から声が聞こえた。

 

 「もしもし、病院ですか!?急病人がいるんです!助けてください!」

 

 『落ち着いてください!今、どこにいますか。どのような』

 

 「お母さん!」

 

 っ。

 アリシアが今日一番の悲鳴が聞こえた。そこを見るとプレシアの口から大量の血が止め止めもなく吐き出されていた。

 おれは電話を放り投げてプレシアの元に駆け寄る。

 受話器の向こうで何か言っているようだったけど今は本当にやばい状況だ。

 

 「お兄ちゃん!お母さんが、お母さんが!」

 

 「わかっている。ガンレオン!アレ出せ、あの緑のスパナを出せ!」

 

 俺は自分の胸の部分を叩いてガンレオンに命令するがガンレオンのモニターには『使用不可』の文字が出る。

 …どういうことなんだ?

 

 「どうして、どうして出てこない!答えろガンレオン!」

 

 『スフィアがありません』

 

 その文字を見てアリシアを見る。

 アリシアはアリシアで涙を流しながら母親の手を取ってプレシアに声をかける。

 

 「お母さんお母さん!」

 

 …アリシアにスフィアが移ったからプレシアが救えない。

 アリシアを先に助けたからプレシアを救えない?

 

 「…あ、アリシア」

 

 「お母さん!」

 

 「…ふ、ふふ。これは夢なのかしらね。いえ、夢ね」

 

 「お母さん!」

 

 アリシアの声に目が覚めたのかプレシアはうっすらと目を開ける。そして、自分の視界にアリシアを捕えると目に涙を浮かべながらその口を動かす。

 俺はその間にもどうにかしてあの緑に光るのレンチをガンレオンでどうにか出せないか探していた。

 

 「…ふ、ふふ。出来過ぎた最後ね。フェイトにあんなことまでしたのに…。あんなことをしたのに、私は最後にこうしてあなたに触れられるのだから」

 

 そう言いながら薄く目を開けたプレシアは再び閉じていく。

 

 「お母さん!やだよ!目を開けてよ!」

 

 「さようなら、アリシア。貴方に会えてよかったわ。愛している。私の…」

 

 「…お母さん?」

 

 アリシアの言葉にプレシアは喋らない。

 

 

 

 

 『スフィアがありません』

 

 

 

 

 

 

 「お母さん。起きてよ。もう、わがまま言わないよ。研究なんてしないでなんて言わないよ。だから起きてよ。私の頭を撫でてよ」

 

 アリシアの言葉にプレシアは動かない。

 

 

 

 

 『スフィアがありません』

 

 

 

 

 「お母さん、お母さああああああああああああああああん!」

 

 アリシアの涙をプレシアはふき取ってやることが出来ない。

 

 

 『スフィアがあり』「ふざけんなぁあああああああああああああああああ!!」

 

 俺の叫び声に泣いているアリシアが驚いて俺の方を見る。

 

 「俺は、俺はな!可愛い恋人見つけていちゃいちゃしたいがためにここに来たんだ!まったりのんびりしながらその人とココアを飲んでリア充したいんだ!それなのにこんな場面見せられたら、心残りが、残念感がいっぱいいっぱい過ぎるんだよぉおおおお!」

 

 …俺、熱血キャラじゃないんだけどなぁ。

 でも、こんな場面を目の前に見せつけられて、自分の力を使えばどうにかなる可能性があれば使いたくもなる。そうだろ!

 

 「…お、お兄ちゃん?」

 

 「ガンレオン!いや、『傷だらけの獅子』!聞こえているんだろ!」

 

 『スフィアがありま…』

 

 俺の叫びにアイコンにノイズが奔る。

 

 「俺に寄こせ!お前の全てを!嫌な運命はぶっ壊して、まったりライフを過ごす力を!」

 

 「…お兄ちゃ」

 

 「俺はお前の因果になんかに負けない!」

 

 ガッ。カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 

 「え、え、ええええええええええええ!?なんで、なんで、私の胸が光っているの!?」

 

 アリシアの言う通り、アリシアの胸から緑色の光りがこの部屋どころか別荘すらも覆い隠せそうな光が噴き出している。

 

 『マグナモードを起動させます。アリシアとユニゾンしてください』

 

 「アリシア!ユニゾンするぞ!」

 

 そんな光の中でも俺とアリシアは自分達の居所が正確に把握できた。

 ユニゾンの意味は解らない。叫べばいいのか?

 

 「ユニゾンって、何?!」

 

 「俺も知らん!とにかくユニゾンと叫べばいいんじゃないか?一緒に言うぞ!」

 

 「う、うん。それでお母さんを助けられるならやるよ!」

 

 アリシアの手を取って俺とアリシアは息を大きく吸った。

 

 「よし、じゃあやるぞ。せーの」

 

 「「ユニゾン」」

 

 ゴッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 

 更に強く大きくなった光の中で俺が次に見たアイコンの中には、

 

 『マグナモード発動を確認しました。ピリオド・ブレイカーを起動させます』

 

 の文字だった。

 

 

 

 

 

 今までにないほどの光を撒き散らせた俺達のいた別荘は次の日には粉々になっていた。

 

 

 

 それから数か月後。

 

 

 「ハンカチ持った?」

 

 「持った」

 

 「携帯持った?」

 

 「持った」

 

 「奇襲成功?」

 

 「トラ・トラ・トラ」

 

 よしっ、今日もアリシアちゃんの思考はばっちりなのです。

 俺は幼稚園児服を着たアリシアの頭を撫でて今日のお出かけの最終チャックを済ませる。

 六畳一間のアパートの玄関前で俺は近くの小学生の制服を着こみながらアリシア最終チェックを行っていた。

 

 「変な言葉を教え込まないでくれる?」

 

 「変な事じゃありません。日本では一般家庭での常識です」

 

 そんな俺達のふざけ合いを見ていたプレシアが俺の行動につっこみを入れていく。

 

 「貴方が喋ることの六割は違うものだとお隣さんから聞いているわよ」

 

 「うう、痛いところをついてくるなお隣さん。プレシアに余計なことを…」

 

 「馬鹿なことを言っていないで…。あと、母さん。と呼びなさい」

 

 プレシアはあの後助かったのだ。

 マグナモード状態で、あの緑色のスパナ出すことに成功した俺とアリシア。

 あの痛みを取るスパナがライアットジャレンチぐらいに大きくなると、俺は直感的にそれをプレシアにぶっ刺した。

 それは終末破壊のレンチ。文字通り、終末(ピリオド)を破壊(ブレイカー)して、それを続けさせるレンチだった。

 ただ、使った後のマグナモードの後遺症はそれはそれは痛かったですよ。しかも長いし。

 その衝撃で俺達のいた別荘は粉々に吹き飛んだ。

 だけど、俺達には何の被害もない。それどころかプレシアが急に目を覚ましたのだ。しかも三十代ぐらいにまで若返って。

 生き返った代わりに彼女のリンカーコアは壊れた。

 リンカーコアって何?魔法を使うのに必要な物?へー。

 んで、俺とアリシア。

 プレシアが復活して喜んだの束の間、ガンレオンのマグナモードの後遺症。激痛が襲いかかって来たので二人そろってのたうちまわった。

 全裸の少年と少女が目の前でそのような行動をしていたのだ。あの時のプレシアの顔は忘れたくても忘れられない。

 まあ、まだ伝えきれてない部分は多々あるのだが、そろそろバスが来る時間帯だ。

 

 「はーい。プレシア母さん」

 

 ちなみに俺はプレシアに引き取られた。養子縁組をいつ済ませたのかは分からないけどね。

 

 「じゃあ、行ってくるね、お母さん」

 

 「はい、行ってらっしゃい。アリシア車に気をつけるのよ」

 

 「うん」

 

 「タカ、アリシアを狙う奴は引き潰すのよ」

 

 「うん?俺にかける言葉が違くない?」

 

 引き潰す。て、

 まあ、アリシアの容姿はそっちの人にはたまらないものがあるらしい。俺はどちらかと言えば若くなったプレシアの方が…。

 

 (…ゾ)

 

 悪寒が!

 身に覚えのある悪寒がすぐ傍から感じられたんですけど。

 

 「…お兄ちゃん?」

 

 黒笑いをしたアリシアがこっちを見ていた。

 血は争えないということか。

 はぁ、やっぱり女運逆転しているよ。

 

 俺とアリシアはこれから数年、お世話になる学校に向かうバスの停留所に向かって歩き始めた。

 

 


 
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