No.446413

魔法少女リリカルなのはStrikerS ~赤き狂戦士~

時空管理局特務殲滅部隊---通称「インフェルノ」。そこには管理局員、次元犯罪者の両方が「赤き狂戦士」と恐れる青年が所属していた。そんなある日彼は、インフェルノの部隊長の命を受け新しく設立された部隊「機動六課」に異動する事になり、狂喜的な笑みを浮かべ素直に異動を受諾する・・・彼の笑みは何を意味するのか?

2012-07-05 13:47:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:958   閲覧ユーザー数:944

 

 

第二章 始まり

第二十一話「地球出張任務4」

 

 

 

「オイ!!クソ新人!!さっきから肉ばっか食ってンじゃねェーよ!?あとシャマル!!

テメェナニどさくさに紛れて勝手に自分お手製の肉団子入れてンだァ!?」

ただいま、六課メンバーはバーベキューという名の戦場に参加していた。

ヴァンは男だていう事で、はやてから肉焼き係りを命じられ、渋々それを了承し

、同時に戦場の監視者をやっている。

その中でやはりお約束というかクセ者がいるわけだ。

 

そのクセ者の代表はスバルとシャマル。

 

スバルはヴァンが並べて焼いた肉を、野菜には手を付けず片っ端から食らい、

シャマルは自分で作った自分の料理を網に乗せようとし、やはりこの場もカオスとかしている。

 

「えー!ちょとくらいいいじゃない?ね?ちょとだ」

「ヴィータン、シグナム」

「「あぁ」」

 

 

近くの椅子に腰掛けていた副隊長二人を呼び、その呼びかけで二人はヴァンの意図がわかり、

直ぐに行動を始める。

 

「ちょ、ヴィータちゃん!?シグナム!?」

 

「お前は大人しくそこで座っていろ」

 

「任務中に離脱者出したら、何て始末書に書くんだよ?」

がしっ!っと二人はシャマルの腕を掴み耳元でそう呟き、ゆっくりとアリサ達が座っている

テーブルまでシャマルを引きずって行く。

 

「せっかくこんな私の活躍できる場面なんだから、私に出番を!!」

「「自重しろ!!」」

 

 

最後の抵抗の言葉も虚しく潰されてしまい、そのまま大人しく連行される。

 

 

・・・なんとか毒物を食べずにすんだとヴァンは内心安心する。

 

 

「なんや、意外にちゃんと仕事やってんな、ヴァン君」

 

「やると言った仕事は不本意だろうと最後までやり通す。それが俺様のポリシーだァ」

 

 

「律儀やな~。そういうの心意気の男の人は私は好きやで?」

 

 

そんな事を呟き、ヴァンの頬を人差し指で突くはやて。

 

その言動と今やられた行為で不機嫌さが顔から滲み出す。

 

 

「ハッ!こっちから願い下げだァ。本気になってもらいたかったら

俺様が食い付くような体になってから言うンだなァ」

 

 

「ふん!!」

 

「ぐがっ!?」

 

 

はやてはおもいっきり、ヴァンの脛を蹴った。

 

その行為でヴァンは我慢できずに声を上げてしまい、うずくまる。

 

うっすら涙も出ている。

 

 

「へぇ~ヴァン君も涙流すんやなぁ~。これは大発見やな♪」

 

「こ、このクソ狸・・・!」

 

 

そう言い残すと、はやてはヴァンの前から移動し、ヴィータ達がいるテーブルまで行く。

 

残されたヴァンは痛みに耐えながらゆっくり立ち上がる。

 

 

「ウひゃ!?」

 

 

 

 

突如そんな声を上げる。

 

 

 

 

ヴァンがそんな声を上げたのには原因がある。

 

立ち上がったと同時に首筋に冷たい何かが当たったからだ。

 

その原因が何なのか知る為に、ヴァンは振替える。

 

 

「ハーナ・・・それになのはにフェイト」

冷たい何かの正体は、コップに入った麦茶だった。

 

それをハーナが手に持っている。

 

という事は彼女がそれをヴァンの首筋に押し付けたのだろう。

 

 

こういうのは普通、相手を驚かす為の遊びのようなものだが、彼女は全くの無表情の為に

遊びとは思えそうにはない。

 

「驚きましたか?」

 

「やったねハーナちゃん。大成功だよ」

 

「ヴァンでもあんな可愛い声が出るんだね」

 

 

してやったと言わんばかりになのはが笑っている。

 

フェイトにいたっては、ヴァンの驚いた声を聞き、それを可愛いなど言ってしまっている。

 

 

それでヴァンは自分がはめられたと理解する。

 

 

「ナニくだらねェガキみてェな事やってンだァ?」

 

「酷いな~。折角頑張ってるヴァン君に差し入れ持って来てあげたのに~」

 

「いやァ、差し入れに関しちゃ確かにありがてェがァ、今のは正直ウザかったなァ」

 

「そんな事いったら駄目だよ、ヴァン?ハーナ」

 

「・・・どうぞ」

 

 

フェイトがハーナに持っている麦茶を渡すように言う。

 

ハーナはヴァンの前に行き、変わらない表情で麦茶を渡す。

 

 

「サンキュー」

 

 

ハーナから麦茶を受け取り一気に飲み干す。

 

 

「ぷっはァ!!火の前に立たされているからこの一杯は生き返るねェ!

コレが泡付きだったらもっとよかったンだがなァ」

 

 

「一応今は任務中だよ?」

 

 

「わァーってる。言ってみただけだァ」

 

 

なのはがヴァンの欲した物に対して注意をする。

 

ヴァンが泡付きと言う物の正体はビールの事だ。

 

当然言うまでもなくビールはアルコールが当たり前に入っている。

 

ほとんどオフのような状況になってはいるが、今は一応任務中。

 

酒を飲も事などご法度。

 

あのヴァンでもそのルールは遵守している。

 

 

「泡麦茶を飲むのはコレが終わってからだなァ。そン時はオマエらもどうだァ?」

 

「うーん・・・私はあまりお酒は強くないんだけど・・・ちょとだけならいいよ」

 

「私もそんなに強くないから、少しだけなら・・・」

 

 

たまには女性と一緒に飲むのも良いかと思い、なのはとフェイトを誘う。

 

ヴァンから言わせればなのはとフェイトの返事はあまり好ましくないものだが、

そこは女性だという事で了承する。

 

いくら彼でも飲めないと言う女性に無理やり酒を飲ますような事はしない。

 

ちなみに男性は別だ。

 

六課内の例としては、ヴァイスとグリフィスがいい例えだ。

 

この二人は週末に必ずヴァンに自分の部屋まで連行され、夜が明けるまで酒を飲まされている。

そのせいで最初の頃はヴァイスは二日酔いが二週間連続続き、元々酒に弱いグリフィスは椅子から一歩も動けず、言葉を発しようとするだけで「うっ」と声を上げ、すぐさまトイレに駆け込んでいた。

 

この二人を見たヴァンは「情けねェ野郎だなァ」

と呆れるだけだった。この二人の惨状を毎週見ていた六課隊員達は口に出さないが

全員こう思っている・・・

 

 

「悪魔だ・・・」

 

 

と・・・

 

 

 

「なら特上の奴を用意してやるぜェ。それとどっちでもいいからツマミになる食い物を作って来て

くれたら嬉しいなァ」

 

 

「それなら任せて!料理は大得意だよ」

 

「あげゃ!期待してるぜェ。テメェが昔、俺様に作った弁当は最高だったから、

また食いたかったンだよ」

 

 

昔人事部にヴァンが所属していた時、いつもカップラーメンばかり食べているヴァンを不憫に思ったなのはは、ヴァンの為に弁当をわざわざ作って彼に渡した事があった。

 

当時の彼は今以上に人が近寄れない独特のオーラを持っていた為に、

誰も恐れて彼に近寄ろうとはしなかった。

 

そんな壁を最初に破ったのがなのはだった。

 

当初ヴァンはそんななのはを煙たがっていたが、どんなに罵倒しても怯まない彼女にいつしか心

を許していき、気がつけばヴァンと彼女はお互いを大切に思うようになる。

 

 

ただ、この「大切」という気持ちの意味は、お互いに違う意味ではあるが・・・

 

 

 

「に、にゃはは、そんな言い過ぎだよ。そんなに期待されちゃてるなら、頑張らないといけないね」

 

 

そんな彼の言葉に顔を赤くし下を向きながら話すなのは。

 

そんななのはを見てフェイトも笑顔になる。

 

 

 

「私も作りたいけど今回は遠慮するね。作り過ぎてもダメだし」

 

 

そう話すと視線をなのはに移し、同時に彼女に念話を繋げる。

 

 

(チャンスだよなのは!これを機会にヴァンとの距離を一気に詰めないと!)

 

 

(にゃ、にゃに言ってるのフェイトちゃん!?)

 

 

動揺した声で答える。

 

 

フェイトの言葉でさらに顔が赤くなっている。

 

 

(ヴァンはちょと危ない人だけど、根は優しいからきっとなのはを大切にしてくれるよ)

 

 

(フェ、フェイトちゃん・・・私は別にヴァン君の事は・・・)

 

 

体こそ反応はしていないが、きっとコレが普通の会話だとしたら、

指をツンツンくっ付けたりしているだろう。

 

 

(違うの?)

 

 

(・・・・・・・・・)

 

 

考えてみる。初めてヴァンを見た時、正直なのはは彼の事を恐れた。

なのはがそう思った出来事がある。

ある任務で指名手配中の次元犯罪者を捕えるというものがあった。

その時になのはは彼を恐れた。自分と同じくらいの歳の子供が無抵抗の対象の犯罪者を平然と

半殺しにしたからだ。

その被疑者は武装解除もしていたがヴァンはそれを無視し、泣き叫ぶ被疑者の四肢の骨を持ち前の大剣の平面で叩きつけ折った。

絶叫が響き渡る。

あまりの酷い仕打ちに流石のなのはも目を背けた。

・・・骨を砕き、バインドで拘束し地面に抑え付け顔を殴り続ける。

鼻が不自然な方角に曲がり、歯が衝撃に耐えきれず口から外に飛び出し、

顔も殆んど原型を保っていない。

極めつけはそれやっている人間だ。

楽しそうに、嬉しそうに、幸せそうに、面白そうに、買い食いしたアイスクリームでも舐めている顔で笑っているのだ。

10歳すぎの女の子には耐えられない光景だ。

この時は駆け付けたヴィータがヴァンを止め、その被疑者も重傷とはいえ、なんとか助かった。

だがそれでもなのははヴァンの事を嫌いになれなかった。

 

なのははヴァンが被疑者を虐待している時、彼の背中を見た時、

何故か彼が泣いているように見えたのだ。

その時当然ヴァンの目から涙は流れていない。

だがなのははそう思えてならなかった。

 

だから彼女はヴァンに自分から近づいた。

 

彼の事を知る為に。そしてその悲しいさの意味を探る内に少しづつ彼の人柄と優しさを知り・・・

 

 

「(好きになっちゃたんだよね・・・あんなに最初は恐がってたのに。悩んでいる私を乱暴な言い方だったけど励ましてくれたり、任務中に危ない所を助けてくれたり、あの時だって・・・

ヴァン君がいてくれたから私は・・・)」

 

 

フェイトに言われた事でようやくたどり着いた答え。

今まで恋をした事がなかった彼女だから仕方ないのだが、なんとも自分の心に鈍感なものだ。

だが、そんな彼女だからこそヴァンを好きになったのかもしれない。

 

 

(フェイトちゃん・・・そうだね。私は多分、ヴァン君の事を)

(多分・・・じゃないよね?)

 

なのはの出した答えに優しく微笑むフェイト。

親友として彼女が本当の気持ちに気付いた事が心から嬉しいのだろう。

 

(にゃはは、そうだね。多分じゃなくて・・・絶対だよね?)

 

(そのいきだよ。私はなのはを応援してるよ。だからなのはのペースでいいからさ、

ヴァンになのはの想いを伝えてね?)

 

(ありがとう、フェイトちゃん)

 

他の人間に気付かされた自分の想い・・・なんとも情けないけど、自分の想って何かを言って気付かさせてくれる人がいるのはその人物にとってはかけがえのない宝だ。

こんなに嬉しい事はない。

 

そのおかけでなのはの気持ちは決まったのだから。

 

 

「言っとくがァ、テメェは酒を飲むのは禁止だァ。飲むとしてもノンアルコールだァ」

「嫌です。絶対に飲みます。兄の部屋から拝借した30年物のシャトーを是が非でも飲みます」

 

「テメェが酒飲むと俺様に確実に死亡フラグが上がるンだよ!!あとテメェだったのか、

カリスのワインセーラから酒くすねてた奴はァ!?」

「はい。全部美味しくいただきました」

「なンだその顔!?無表情のクセに何故だかもの凄くイラッてきたぞ!!オマエのせいで俺様がアイツに

疑われてンだぞ?」

 

などと当の本人はそんな会話が行われてるとは知らずに楽しそう?にハーナと話している。

しかしその姿はなのはにとっては微笑ましいもののようで、楽しそうに見ている。

あと彼女らしいのかはわからないが、ヴァンがハーナと話しているのを見ても不思議と

彼女は不快に感じてはいない。

 

全女性が想いを寄せている相手が他の女性と話していのを見ても嫉妬をしないワケではないが、

少なくとも彼女は違うようだ。

 

もしかしたらその事に気付いていないのかもしれないし、最も彼女らしいのは敵がいるなら正面から

迎え撃つというのが答えかもしれない。

 

 

「当然私は貴方に兄の疑いの目が行くのを考えていましたよ?」

 

「って事はテメェ・・・」

 

「当然ソレを利用させていただきました。おかげでいい隠れ蓑になってくれましたよ、貴方は」

 

「スクラップ決定だァ!!クッソ野郎がッあああッ!!」

 

 

両手を開いて再び握り、舌なめずりしながらハーナに走りこむヴァン。

 

また面白い事になりそうだ。

 

 

「なのは・・・止めなくていいの?」

 

 

そんな事をしている二人を見て心配してなのはに止めるかどうか尋ねるフェイト。

 

 

そしてなのははワリと落ち着いた感じて応える。

 

 

「う~ん・・・おもしろそうだからもうちょと見てよう?」

 

とそれだけ話すと、次々に繰り出されるヴァンの拳を紙一重で躱すハーナの二人の某バトル漫画

さながらの戦いをしている楽しそうに見つめる。

 

「(あ、あれ?なんかなのは性格変わってない?)」

 

と先ほど大きな決断をした自分の親友の性格が、微妙に親友の想い人と似てきていると感じ、

物凄く心配してしまうフェイトだった。

 

 

 

・・杞憂ですめばいいのだが・・・

 


 
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