No.442771

超次元ゲイムネプテューヌmk2+ BlackFateその19

本日のおしながき

かわいそうなネプギア
主人公(笑)がついに活躍
イストワールの受難(始)

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2012-06-28 02:00:00 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1045   閲覧ユーザー数:978

~午前5時38分 ギョウカイ墓場 四女神の広間(仮名)~

「おいガキ。いいこと教えてやるよ。」

 

赤黒い広場に一人立つジャッジがふとつぶやいた。

その声色は詰まらない、または失望の色を秘めていた。

 

「ムカツク話だが、俺は四天王の先兵なんだよ。一番最初に突っ込んで出来る限り損害を出させるのが俺の仕事だ。どういうことかわかるか?こういう役どころは使い捨てができる奴がやるもんだ。つまりは俺は使い捨てが出来る。いわば四天王の中でも最弱ってわけだ。マジムカツク話だがな。」

 

「お前、マジェコンヌを一人残らず潰すんだったよなぁ?ならまず最弱の俺ぐらいは一蹴しねぇと話にもならねぇわけだ。俺に傷一つ付けられず無様に這いつくばる貴様なんかじゃぁなあ!!!」

 

ジャッジが大きく足踏みし、倒れるネプギアの背中を踏みつける。

地団駄のように何度も踏みつけ、そのたびにネプギアからは苦しそうな呻き声が上がった。

 

「ったく。マジツマンネェ。これならちょいと前の人間のほうがまだ持ったほうだ。こんな雑魚が最優とか言われてんだし女神候補生も大したこたぁねぇな。あーあ。こんな雑魚を一体何に使うつもりなのかねぇあの変態共は。」

 

 

ネプギアは敗北した。それもあっけなく、だ。

何故敗北したかを説明するのは非常に簡単だ。ネプギアが光速でジャッジに向かったところを鎖に足を取られ、拘束させれて装甲を肉ごと食いちぎられた。それだけだ。

既に女神化は解かれ、血だらけの状態で横たわっている。紫色の髪も血や泥で染まり地面と同化しているほどに全身が汚れきっていた。

 

「あーあ、ツマンネェツマンネェ。殺すなって言われちまったしよ……。もう少し遊ぶかねぇ。」

 

周囲から現れた多数の鎖がネプギアの手足を縛り、空中に磔にした。

 

「さーって、どうしてやろうかねぇ…。」

 

ジャッジの緑色の瞳が怪しげに輝いていた。

~午前5時31分 ギョウカイ墓場 広間近くの残骸山~

ブレイヴことコクメンの名乗りから数分。

全員が動かない膠着状態が続いていた。

 

コクメンは平然と刀を水平に構えたまま微動だにせず、ただ待っていた。

元々目的は迎撃…というより時間稼ぎであり、自分から攻める必要はなかったからだ。

それにコクメンの闘い方は待ちが基本。自ら攻めるには飛べないコクメンにとっては飛行するユニやネロは分が悪い。が、突破はさせない威圧。

完全に隙のない佇み方だった。

 

「どうした、私を倒さねばこの先には進めんぞ?」

「ッ……」

 

日本一は瞬時に身を引いた。

一見意味のない挑発だが、膠着状態の今だと効果は高い。

何より短期なネロとユニがいること、そして突っ込んでいったネプギア。

短期決戦が必要な大局にも関わらず長期戦を強いられている。ただし焦れば返り討ち。

どうすればいいか。日本一は迷っていた。

何より、女神二人が焦って突っ込んだらフォローがし難い辺りが恐怖の対象だった。

 

「ちょっと、日本一!どうすんのよ!」

「とは言いましてもね…。迂闊に手を出せば真っ二つにされかねませんよ…?」

「もういい!貴様はそこで立っていろ!私がぶっ飛ばせばいい!」

 

ネロが背中のブースターを吹かし、鉄塊のような腕を勢い付けて振るう。

コクメンの身体を覆うほどの腕が目前に迫った瞬間。コクメンの華奢にも見える小さな手が右腕を受け止めた。

ガキン、という金属音とは裏腹にネロは一瞬脱力した。

受け止められているにも関わらず、受け流されたように手ごたえがない。

その一瞬の脱力が戦局を決めるには十分だった。

 

「あっんの……!ユニ様、援護射撃を!」

「あ?え、ええ!」

 

日本一がマシンガンの銃撃を背後に走り出す。

弾丸より早く駆け、コクメンが剣を振るう直前。日本一がネロを蹴り飛ばした。

 

「ほう…!」

「獅子神流防御術その壱!」

 

日本一に向けられる刀に向け拳を向けた。

大きく炎を纏い、硬化されていく拳と鋭い刀が打ち合った。

 

「萬駆熱血螺旋拳!!!」

「合わせてくるか!」

 

ギャリギャリギャリと火花を散らして競り合う二人。

その二人、というよりコクメンの背後にユニが現れ、背中にマシンガンを押し付ける。

 

「チェック…!」

「メイトではない。そう認めた時点でまだ甘い。」

 

日本一の拳と合わせている刀を軸にコクメンが跳ぶ。つまりは、横に棒高跳びしたということだ。

飛んだコクメンは隣の山(距離200m)の頂上に着地する。

 

振り返り、先ほどと同じ構図に。

200mは離れているはずなのにその殺気、存在感はすぐ目の前にいるような錯覚を起こした。

 

『なるほど、確かに猛者だ。ならばこのコクメン、奥義の一つも見せねばなるまい。』

 

コクメンの静かな言葉が三人には【見えた】。距離的に聞こえないはずの言葉を確かに感じた。

そして勢いを増す威圧、殺気。

一瞬コクメンが光ったのを見てからとっさに日本一が女神二人を掴み、地上に投げ捨てた。

 

『亜空陣』

「獅子神忍法秘伝!……間に合え!!!」

 

日本一が手を組み光速で印を組み地面に強く押し付ける。すると死肉の地面がせり上がりコクメンと日本一の間に巨大な壁が出来上がった。

 

「……」

『仙風』

 

コクメンの声がした。そう理解した次の瞬間に肉壁は跡形もなく消えさった。

咄嗟とは言え材質が材質だ、多少は威力も落ちる。そう日本一は踏んでいた。

だが、そうではなかった。『あれ』の前では壁は全て等しく紙に等しかった。

事実日本一どころか山と山を仕切るほどの大壁が一瞬にして切り裂かれ、なお斬撃は日本一に向かう。

 

「あーあ。やっちゃった。」

 

一つ溜息を付き、軽く力を抜く。

日本一の腕が、飛んだ。

 

 

 

「日本一!ッ……」

 

山の麓。日本一に投げられ亜音速で地面に叩きつけられた二人には日本一が切り裂かれる瞬間がはっきりと見えていた。

人間状態ならともかく、人間に比べてほぼすべての機能が強化されている女神形態。モンスターの消滅自体は見慣れていても人間が切られるのは見慣れていなかったのかユニは日本一の名を叫びながらも目を逸らした。

 

「ユニねーさん。あいつを。」

「ネロ、あんた……!」

「勝機……とは言えないかもしれないけど、叩き潰す方法を思いつきました。」

「……二の舞にならないでよね」

「勿論です…!」

 

隣の山と今いる山、二手に分かれる女神達。

ユニは日本一の腕を回収し、日本一の元へ。ネロは佇むコクメンの目前に向かった。

 

「…急所を狙ったが、やはり調整が不十分のようだな」

「オラァ!」

「…。」

 

刀を軽く振るった直後にコクメンの目の前に現れたネロ。巨大化した鉄の腕を大きく振りかぶり、コクメンに向けてはなった。

刀を持つ右手はともかく、左手は自由。即座に構え、障壁を展開した。

 

「ぶん殴…らない!!」

「ッ!?」

 

ネロが振るう拳を開き、障壁の寸前で止める。

フェイントを予測していなかったコクメンは障壁を閉じてしまい、隙が生じた。

 

「わたしの本業は…!」

 

その隙を見逃さず、ネロの掌がコクメンの顔面を捕える。

ネロほどではないが小柄のコクメンの頭は巨大すぎる鉄の腕には小さすぎたが、構わず握った。

 

「こっちだぁあぁぁぁぁ!!」

 

そのままコクメンを地面に押さえつけ、ブースターを吹かす。

地面すれすれをコクメンの顔面を押さえながら飛行する。

瓦礫と言ってもいい廃ゲーム機の山。ガン、ガンと何度も音を立てながら急速でネロは山を下りて行く。

麓の地面に到着と同時にコクメンを投げ捨てる。

無抵抗に数回地面をバウンドし、コクメンは力なく倒れている。黒い菱形の仮面は割れ、少女の顔が浮かんでいた。いつの間にか刀を離していたのか、見た感じでは完全に無力化されていた。

 

「……」

「不覚を取った…なるほど……虐殺に向き、戦闘に向かないという理由を今理解した…」

 

譫言のように言葉を並べるコクメン。ネロはそのまま様子を見ていた。

 

「おかしいとは思っていた……外界に適合しているとはいえ、何故肉体的に脆弱な人間の少女の姿を模っていたのかを…なるほど、そういうことか……」

「……。」

「どうした、止めを刺さないのか…?」

「………だったら、今すぐやってやるよ!!!!」

 

ネロの両腕が、片腕だけでも十分鉄塊と言える手を合わせた両拳をコクメンに向けて振り下ろした。

一切の抵抗もせず、そのままブレイブの頭は砕け、潰れた。

何度も振り上げ、振りおろし。ネロが気づいたときには既にミンチとすら言っていい惨状であり、死肉のような地面と一見同化していた。

 

「………。」

 

何も言わず、ネロはユニと日本一の元へ向かった。とにかく、ネプギアと四…三女神を助け出すために。

~午前5時40分 プラネテューヌ教会 謁見の間~

 

(作戦開始から大よそ20分…作戦時間は約1時間。こちらから出来る干渉はゲートだけ。時間通りに開く必要があり、もし彼女らが遅れてしまった場合、帰る手立てを失ってしまう…)

 

謁見の間では、イストワールが一人、思慮に耽っていた。

送ること、返すことしかできない自分の無力さを痛感する暇もなく、帰るための時間計算をしている。

開く時刻は06:17.残り40分弱だった。

 

(……やはり無理をしてでも出来るだけ長時間…いや、その場合開けないラグが長すぎる…出来ても十数秒。これで来ているかどうか確認するための要員が必要でしたね……)

 

ぶつぶつとつぶやいていると、突然背後で扉の開く音がした。

来訪者だろうか。だとしては流石に早すぎる。

 

「ちーっす。フ……謎の黒いのでーっす。」

「…………」

 

イストワール、絶句。

確かに近日謎の黒コートに脅され、先代女神の情報を渡したりはした。

だがその黒コートでもまだまとな部類だった。それが目の前の黒コートはなんだ。自分から謎の黒井のとか言っている。

怪しさ全快、嫌な予感も全快だった。

 

「その黒のコート…いつぞや女神の情報を強請った者ですか?」

「ああ、あれ別人。本人も言ってただろ、アルバイトって。あいつがアルバイトで私が所謂正社員って奴。」

「……何が目的ですか。そして、単身敵地に乗り込んだ理由はなんですか?」

「敵地って…おいおい。私はマジェコンヌじゃねぇから。ちゃんと人間の味方だから。」

「何でもいいです。何が狙いですか。」

「頼まれ事だよ。うちのスポンサーからね。…いや、うちがスポンサーからね。」

「頼まれごと…?」

「リーンボックスにちょっとした知り合いがいてね。女神様の世話になったからその礼をしてほしいと言われちゃって。本人行けよとか思うよね普通。」

「……」

「まぁそういうわけで、頼まれちゃったものは仕方ないということで。……ギョウカイ墓場侵攻作戦。手こずってるようだし、手を貸そうじゃないか。」

「…信用できると、お思いですか?」

「まぁだろうね。誰とも知れないやつにギョウカイ墓場なんて行かせやしないよな。誰だってそーする。んじゃ、軽く自己紹介っと…。…えーっと」

 

黒いコートがもごもごと動き……動き続ける。

どうやら脱ぎ捨てるつもりが何か引っかかっているのかなかなか脱げないようだ。

 

「あれ、これどうすんだ…あ、あった。」

「…手伝いましょうか?」

「あ、お気になさらず。っと、ようやくできた。では、自己紹介と行こうか!」

 

黒いローブが脱ぎ捨てられる。

その場所には、白い髪に紅いコート。そして全身に取り付けられた部分的すぎる装甲(?)が特徴的な服装の少女だった。

 

「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌(カオス)。バーテックス傭兵事務所所長フロム。以後お見知りおきを。」

 

日本一より少し小さいかというほどの少女。

しかしつけている装備が明らかに個人所有…というより積載できる量を超えている。

イストワールは、嫌な予感が的中したと、半場諦めていた。

 

「……バーテックス傭兵事務所。ラステイションの裏企業の中でも有名な部類ですね。」

「あ、うちそんな有名になってたんだ。それは知ら何だ。」

「…失せ物探しから戦争まで。なんでもやる傭兵事務所の所長が何故、女神とマジェコンヌの戦いに首を突っ込もうと思ったのですか?」

「だぁから言ったでしょ?ちょっと偉い人から頼まれちゃったんだよ。悲しいことに。私だってもうちょい楽な仕事ほしかったさ、戦争までとは言ったけど本当に戦争頼まれるとか誰が思うよ全く……」

 

ついには愚痴を始めた。こんな扱いにくそうなのが所長で大丈夫なのか、とイストワールはどうでもいい心配をしていた。

そして、不安を感じていた。コレを送っていいのか、と。

裏企業、それも人間を扱うところはかなり信頼を重視する。表企業よりもだ。

裏という日当たりの少ない商売だからこそ、客との信頼関係を大事にする。とイストワールはどこぞで聞いたことがある。

そういった面(裏切りの危険)では、表よりよっぽど信用できるのだ。裏企業というものは。その分こちらが裏切れば報復は大きいが。

 

 

イストワールは、不安に感じていた。

災難が、これで終わる気がしていないことに。

~本日のキャラ紹改~

日本一・ブレイヴ:退場?

 

ネロ:キャラランクは下位だけど相性幅がかなり広い主人公。影が薄い。最初の方だとまだ目立ってたはずなんだけど……

 

フロム:番外編用キャラだと思ったか?残念!メインキャラでした!といっても主人公から格下げされているせいで知る人ぞ知るLastGoddessより割と弱体化している。まぁでもキャラランク中の上だけどね。


 
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