No.432576

ACE学園第19話『嫉妬の鬼姫』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-06-04 11:47:25 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1935   閲覧ユーザー数:1902

 

「いい度胸だな、貴様」

 

「ひいぃぃぃぃぃっ!!」

 

 

クラブハウス内ののトイレで、高等部2年で生徒会長補佐の相良宗介が少年Aに銃を向けていた。

 

 

「宗介、何をしてるの?」

 

「前杉か。こいつが、スザクに毒を盛ろうとしていたので尋問していたんだ」

 

 

士樹は、宗介が差し出してきた風邪薬用の包装紙で包まれた現物を受け取り、魔法で調べる。

 

 

「けっこうきついけど致死性はないよ。数日間トイレから離れられなくなるけど」

 

「なるほど。で、なぜ毒をスザクに盛ろうとした? 答えないと」

 

 

宗介は黒光りする拳銃を少年Aのこめかみに突きつける。

 

 

「く、黒のオールバックの人に頼まれたんだ。名前は分からない。たぶん、ブリタニア人だ」

 

 

黒髪オールバックのブリタニア人……スザクの周囲でその特徴を持つ人間は1人しかいない。

 

 

「心当たりはあるか?」

 

「間違いなくギルフォード卿だよ。ったく、最近なにもないと思っていたらこれだ」

 

 

士樹は問題児の対処法を考える教師のように頭を抱える。その後、携帯を操作し、愛しの戦姫に電話をかける。

 

 

「もしもし、アインハルト」

 

『士樹? 何かあったんですか?』

 

「ユフィ、最近スザクとどこかに行く予定があるか知ってる?」

 

『4日後にデートするって言ってました』

 

「その日空いてる? 僕たちも一緒に行くよ」

『……何かあったんですか?』

 

 

普段とは違い、少し強引に話を進める士樹にアインハルトはただならぬ事態を予感する。

 

「スザクが毒を盛られかけた。今後も、なんらかの攻撃が予測される」

 

『分かりました。では、予定を空けておくようにします』

 

「ありがとう、アインハルト」

 

『いえ、お気になさらず』

 

 

士樹は電話を切ると、宗介に向き合った。

 

 

「俺もクルツ達に声をかけておく。乗りかかった船だ。最後まで付き合ってやるさ」

 

「助かる」

 

 

こうして、スザク護衛作戦が発動された。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「合流ポイントは本当にここで合ってる?」

 

「間違いありません」

 

4日後、士樹とアインハルトが座っているベンチの前には、女性用水着売り場が広がっていた。

 

 

「ユフィさん、水着をスザクさんに選んでもらうようです」

 

「そりゃ、毒盛られるよ。嫉妬とかいろんな負の感情にかられるわ」

 

「何言ってるんですか? あなたも私の水着を選ぶんですよ」

 

「良いの? 僕のセンスで選んでしまって」

 

「それが、乙女心です」

 

「おーい、2人とも」

 

 

遠くからスザクとユフィが走り寄ってくる。その時、不良が遠巻きにスザクの背中を凝視していた。士樹はアインハルトとアイコンタクトを取り、スザク達の対応を任せる。

 

 

「ユフィさん、今日はどんな水着を買うつもりですか?」

 

「それは、選び手しだいですね。スザクも男の子ですからとんでもない水着がでてくれかもしれません」

 

 

苦笑いするスザクを尻目にショットガンモードのアクエリアスドライバー(消音魔法発動中)を不良の腹部に突きつけて引き金を引く。ちなみに、非殺傷設定なので気絶するだけだ。倒れた不良は近くにいた宗介に引き渡し、3人に合流した。

 

 

「士樹、どこ行ってたんだい?」

 

「ゴミ拾いをしてただけさ」

 

 

4人は、そのまま水着売り場の中に入り、30分ほど物色して何も買わずに出た。士樹は、前もって用意していた無線機で宗介達と連絡を取った。

 

 

「これから路上に出る。狙撃支援を頼む」

 

『ウルズ6、了解。いいなぁ、美少女2人とデートなんて。その場所、変わってくれよ』

 

『クルツ、前杉にさえ近接でほぼ勝てないお前では騎士と直接やり合うのは無理だ』

 

『そういう意味で言ったんじゃねぇよ』

 

 

相変わらずの朴念仁ぶりの宗介に対し、クルツは呆れる。

 

 

「よぉ、兄ちゃん。可愛い彼女連れてるじゃねぇか」

 

 

前方から古き時代の不良?達がやってきた。一見チャラチャラしているが、その引き締まった体は彼らがただ者ではないことを示していた。

 

 

「何ですか、あなた達は?」

 

「そんなの関係ねぇだろ」

 

「ちょっと面貸せよ」

 

不良?が近寄ろうとした瞬間、狙撃によって昏倒させられる。

 

 

「ジョン!!」

 

「どこから撃たれたんだ!?」

 

 

狙撃手を探す不良?達のところにゴミ収集車が止まり、計4人降りてきた。

 

 

「すぐ片付けるからちょっと待ってね」

 

 

リーダー格であろう黒髪の女性が戦闘に立ち、次々に不良達を収集車の中へと放り込んでいく。

 

 

「ちょっ! 俺達はゴミじゃ――」

 

 

不良達は口を塞ぐように握り拳で昏倒させられていく。

 

 

「じゃ、後はお幸せに」

 

 

女性達は素早く車に乗り込むと、颯爽と去っていった。

 

 

「何だったんだろう、今の人?」

 

「さあ?」

 

 

嵐のように現れた女性達について疑問に思うスザクとユフィの傍らで、アインハルトと士樹は小声で会話していた。

 

 

「マオさん、あいかわらず豪快だな」

 

「でも、2人は全く気がつかれていません」

 

 

 

★★★★★

 

【海鳴公園】

 

 

 

「今日1日であれだけの人に絡まれるのなんて奇遇だね」

 

「私、疲れてしまいました」

 

「そこのベンチで休憩していく?」

 

「そうするよ」

 

 

あれから、幾度となく襲撃を受けたスザク達はヘトヘトになっていた。

 

 

「ジュース買ってくるよ。何がいい?」

 

「僕も行くよ。1人だと大変だし」

 

「良いって? 僕が体力自慢なのは知っているだろ?」

 

 

スザクは笑顔を浮かべながら自販機の方へ向かっていったが、10分ほど立っても戻ってこなかった。

 

 

“いくらなんでも遅すぎませんか”

 

“宗介達ともさっきから連絡が取れない。何か嫌な予感がする”

 

 

2人が念話で話し合っていると、突然公園の一部が爆発した。

 

 

“しまった!!”

 

“まさかここまでやるとは思っていませんでした”

 

「僕達が見てくる。ユフィは先に翠屋に行ってて」

 

「分かりました」

 

 

 

2人は、アクエリアスチェイサーに素早く乗ると、そのまま爆発地点へと一直線に向かっていった。

 

 

 


 
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