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真・恋姫無双 ifストーリー
蜀√ 桜咲く時季に 第42話
【桃香と一刀の一日デート】
《桃香視点》
(こんこん)
「失礼します。ご主人様、お茶がはいりました」
「お!ありがとう、愛紗」
執務室で書簡や竹簡に目を通していると愛紗ちゃんがお茶を持って入ってきた。
「いえ。そろそろ、ご休憩を取ったほうが良いかと思いまして」
「……」
「あちっ!」
お茶に口をつけたご主人様は熱かったのか顔をしかめた。
「だ、大丈夫ですかご主人様!」
「あ、ああ。大丈夫だよ」
「すみません、ご主人様。少し冷ましてからお渡しするべきでした」
「そんなこと無いって、俺が気をつけてなかったのがいけないんだし。ふー、ふー……ずずっ……はぁ~。うん、美味しいよ愛紗」
「……」
「はぁ、それは良かったです。桃香様もどうぞ」
「……」
「桃香様?」
「な~んか、ご主人様と愛紗ちゃん、いつも以上に仲良くないかな?」
「そ、そんなことはないですよ!そ、そうですよね、ご主人様!」
「あ、ああ!普通だと思うぞ!」
じとっとした目つきで見ると、焦り出すご主人様と愛紗ちゃん。
やっぱり、あの日の事が原因なんだろうな。
私は数日前の事を思い出した。
その日はなんだか愛紗ちゃんと菫さんの様子がおかしかったから、菫さんに話を聞いてみることにした。
そうしたら、愛紗ちゃんの可愛さを自覚させる。とご主人様に約束したらしかった。
私もいつも思っていたことだったから菫さんに協力することにした。
そして、私は愛紗ちゃんを菫さんが指定した客室へ連れて行くことに成功した。
その後の事は菫さんに任せて、どうなったかは知らないんだけど、廊下で偶然会った愛紗ちゃんはとても可愛かった。
私と会った後、ご主人様の部屋に行って、どうやら二人で出かけたみたいだけど。
きっとその時に何かあったんだと私の勘が告げていた。
まあ、愛紗ちゃんの態度を見れば直ぐに分かるんだけど、やっぱり直接、愛紗ちゃんに聞かないとね。
「え、えっと……桃香様?」
「ううん。なんでもないよ。さ!早くお仕事終わらせないとね!」
様子を伺うように私に話しかけてくる愛紗ちゃんに私は首を振りなんでもないと伝え仕事を再開した。
………………
…………
……
「ん~~~~っ!!はふぅ~。やっと終わったよ~」
今日一日の仕事がやっと終わり、私は体を解すように背を伸ばした。
「お疲れ様、桃香」
「うん。ご主人様もご苦労様~」
ご主人様も丁度終わったらしく、私の隣に来てくれた。
愛紗ちゃんはというと、星ちゃんと翠ちゃんに鍛錬のお誘いをされて行っちゃった。
愛紗ちゃんに事情を聞きたかったんだけど、多分ここじゃ顔を赤くして何も聞けそうに無かったからまあいいかな。
ご主人様に聞くって言うのもありだとは思うんだけど、やっぱりここは愛紗ちゃんの口から聞きたかった。
「今日は比較的に少ないね」
「ですね。毎日これくらいならいいのにな~」
「ははっ、確かにそうだね」
同意するように微笑むご主人様。えへへ、やっぱりご主人様の笑顔を見るとほっとするな。
「はぁ~。こう毎日毎日座ってると体が固まっちゃうよ」
私はそういいながら肩を回す。
「ん?それじゃ、休憩がてら肩でも揉んであげようか?」
「ええ!?い、いいですよ!ご主人様だって疲れてるし」
「気にしない、気にしない。それに俺の肩揉みはじいちゃんも絶賛するくらいだから絶対気持ちがいいよ。もしかしたら病み付きになっちゃうかもしれないぞ」
「そうなんですか?それならお願いして見ようかな」
ご主人様の話を聞いていると少し興味がわいてきた私はご主人様に肩揉みを頼んで見ることにした。
「よし。それじゃ、まずは軽めで始めるね」
「はい。お願いします、ご主人様」
私はご主人様に背中を向けて肩を揉んでもらうことにしました。
(もみもみ)
「あ~う~~。気持ちがいいよ~~」
私は気持ち良さに思わず声を出しちゃた。
「強さはどう?」
「もう少し強くしても大丈夫だよ」
「了解」
(もみもみ)
「はう!ち、ちょっと痛いけど、気持ちが良いよ」
「やっぱり、弱くしようか?」
「へ、平気だよ。このまま続けてください」
痛いのは本当だけど、それでもやっぱり気持ちが良いから、ご主人様にはこのまま続けてとお願いした。
「それじゃ、続けるよ」
(もみもみ)
あ、ご主人様、少しだけ弱くしてくれた。
ご主人様は私の事を気遣って、少しだけ力を弱めてくれた。
「それにしても結構、凝ってるね」
「う~、なんでですかね、ご主人様?」
「ん~。原因は色々とあるけど、運動をしないとか、胸が大きいとか」
「胸……」
私は自分の胸に目線を落とした。
私の胸って大きいのかな?
疑問に思い、両手で胸を持ち上げてみた。
「……う゛、重い」
「ん?何か言ったか?」
「え!?あ、ううん!なんでもないよ!あはは、あははははっ!」
「?」
なんでもないとご主人様に笑いながら答える。
はぁ……胸の小さい人って肩凝らないのかな?だったら羨ましいな~
………………
…………
……
「はっ!今、なぜだか分からないけど殺意が沸いたわ!」
立ち上がり、辺りを見回す、荀彧。
「?どうかしたの桂花?」
「え!?あ、な、なんでもないです華琳様!」
「そう?ならいいのだけれど……さあ、早いところ片付けてしまいましょ」
「はい、華琳様!」
「ふふ、良い子ね。今夜はあなたに閨のお供を頼もうかしら?」
「ああぁあああっ!華琳様~~~♪」
………………
…………
……
「ふぅ、ありがとうご主人様。大分軽くなったよ!」
「そっか、それはよかった」
ご主人様に肩をしばらく揉んでもらい、大分肩の凝りはなくなった。
「またお願いしてもいいですか?」
「ああ、かまわないよ。いつでも言ってくれ」
ご主人様は私のお願いを快く引き受けてくれた。
「わ~い!それじゃ……はい」
「ん?座れって事?」
私は椅子から立ち上がり、椅子に座るように手を差し出した。
「はい!次は私がご主人様の肩を揉んであげます!」
「俺は別に良いよ」
「ダメです!私だけ揉んでもらったら不公平じゃないですか。だから私に大人しく揉まれて下さい!」
「わかったよ。それじゃ、桃香に肩を揉んでもらおうかな」
「はい♪」
ご主人様は私の無理やりな説明に納得して椅子に座ってくれた。
「それじゃ、お揉みしますね、ご主人様」
「ああ、お願いするよ」
ご主人様は私が揉み易い様に首を下げてくれた。
「んしょ……んしょ……」
(もみ……もみ……)
「ど、どう、かな……ご主人様……気持ち、良いですか?」
「う、うん。気持ち良いよ」
ご主人様の反応は明らかに遠慮した言い方だった。
うぅ~、私って肩揉みもまともに出来ないの?
はぁ……愛紗ちゃんくらい私にも力があればご主人様を喜ばせてあげられるのにな……
自分の握力の無さに落ち込む。
(もみ……もみ……)
……それにしても、大きな背中だな……
肩を揉みながら改めて思った。
私、いつも頼りっぱなしだよね……
肩を揉みながらそんな事を思った。
「……ねえ、ご主人様」
「ん?どうかしたか?」
「私って……ご主人様に頼ってばっかりだよね」
「え?」
私の質問にご主人様は首だけを動かし私を見上げてきた。
「今回の事だってそうだよ。私が袁紹さんから逃げようなんて言わなければ、ご主人様は殿とかしなくて済んだのに」
「なんだ、そんなことか」
「そんなことって、私にとっては大事なことだよ!」
ご主人様は微笑みながら答えた。その答えがなんだか自分の命を軽く見ているような気がして思わず怒鳴ってしまった。
「私、凄く心配したんですよ。ご主人様が居なくなったらって思っただけで私、足が震えちゃって、落ち着いてなんて居られなかったのに。でも、皆に心配かけないようにっていつも通りに振舞って……」
「ごめん。別にそう言う意味で言ったわけじゃなかったんだ」
ご主人様は肩に置いていた私の手の上に自分の手を乗せて謝ってきた。
「別に自分の命を軽くなんて見てないよ。親から貰った命だからね。粗末に扱ったら怒られちゃうよ」
「それじゃ、何であんなこといったんですか?」
「『そんなことか』って言ったのは袁紹から逃げてきたことだよ。あれは最善の策だった。あの時、袁紹軍を減らすって俺は言ったけど正直な話、俺でもあの数の足止めは俺自身もただじゃすまないと思ってたんだ。だから桃香が止めてくれて内心ほっとしてたんだ」
「そ、そうだったんですか?」
初めて知る真実に私は驚いた。それじゃ、あのままご主人様を行かせてたら……っ!!
一瞬、その光景が脳裏に写り寒気が走った。
「ああ、だから俺は桃香に感謝してるんだよ。あの時、止めに入ってくれてね」
ご主人様は私の手を取ったまま立ち上がり、見つめてきた。
「ありがとう」
「あぅ……そ、そんな風に言われるとなんだか照れちゃいます。ご主人様」
間近でお礼を言われて照れる私。
「これが、俺の気持ちだからね」
「ご主人様……」
「桃香……」
自然とお互いの顔が近づきあう。
(こんこん)
「「っ!?」」
部屋の扉を叩く音に私たちは勢い良く体を離し、ご主人様は窓際に、私は壁を見上げていた。
「失礼します、ご主人様。少し聞きたいことがあるんであるんです、けど……」
部屋に入ってきたのは雪華ちゃんだった。
「~~~♪」
「……っ!」
「な、何をしておいでなのですか?」
「あっ!し、雪華ちゃん!ど、どうしたのかな?」
「や、やあ雪華!何か様かな?」
「あ、はい。実はここの帳簿で気になることがあったので」
雪華ちゃんは首を傾げながらも話を続けていた。
「どれどれ?」
「ここです」
「ああ、ここはね……」
ご主人様は雪華ちゃんに帳簿の説明をしていた。
「……」
でも、そんなに近づかなくてもいいと思うな、ご主人様。
ご主人様は雪華ちゃんに説明をしてるんだけど、その距離がすっごく近かった。
わわっ!雪華ちゃんの方からも近づいてるよ!む~っ!
さっきまでの良い雰囲気はどこへやら、私は二人を見て頬を膨らませていた。
「ってことなんだけど、分かった?」
「はい。ありがとうございました、ご主人様!」
雪華ちゃんは勢い良く頭を下げてお礼を言っていた。
「それでは、ご主人様、桃香様、失礼します」
「ああ、また分からないことがあったらおいで」
「わかりました!」
(ばたん)
部屋から出ていく雪華ちゃん。
「よし。それじゃ、俺らは……?どうかしたのか、桃香?」
雪華ちゃんを見送り、振り返るご主人様。そして、私の見て首を傾げる。
「ぶー!ご主人様、なんだか雪華ちゃんにだけ優しい気がする!」
「そんなことないと思うけど」
「あるも~ん!さっきだって雪華ちゃんにわかりやすく説明してたし、体くっつけてたし、雪華ちゃん、嬉しそうだったし」
「あ、あの……桃香?」
「それにそれに、ご主人様も嬉しそうだったし」
「……もしかして、妬いてたの?」
「っ!そ、そんなことないよ?だ、だってご主人様はみんなのご主人様だし」
「……」
「な、なんで笑うんですか!?」
「いや、桃香でも妬くことがあるんだなって思って」
「だ、だから、妬いてません!そんなこと言うご主人様、嫌いです」
ぷいっと頬を膨らませて横を向く。
図星だったこともあり、頬が少しだけ熱かった。
「機嫌直してくれよ、桃香」
「ふ~ん」
「桃香さ~~~ん?」
「ぷい~~!」
私のご機嫌を取ろうとするご主人様。そうはいかないんだからね!
「しかたない。それじゃ、誰かを誘って町にお茶でも飲みに行こうかな」
「っ!」
そ、そんなことで騙されないんだからね。だ、だってみんな今日は忙しいはずだし……
「ん~、誰を誘おうかな~」
「~~~っ!」
「そうだ!愛紗でも誘おうかな」
「っ!も~!私がご主人様とお茶に行くの!」
愛紗ちゃんの名前を聞いたとき我慢できなくなった私は振り返ってご主人様の腕に抱きついた。
「はいはい。それじゃ休憩がてらお茶でも飲みに行こうか」
「はい!」
こうして、私とご主人様はお城を抜け出して町でお茶を楽しんだ。
戻ってきたとき、愛紗ちゃんが腕を組み、眉を吊り上げて門の前で立ってたけど。
「え?まだ出発できない?」
「はい、申し訳ありません」
次の日、いつもの朝議の場で朱里ちゃんがご主人様に頭を下げていた。
「別にいいけど、理由は何なの?」
「実は、兵站の集まりが悪く、予定の八割程度しか達していないんです」
申し訳なさそうに説明をする朱里ちゃん。
「その理由は何なのだ?何か理由があるのだろ?」
「はい。一つはこの町の情勢のせいですね。今まで政務を行っていた人は重税をかけていたので、町に物が無いんです」
確かに、町に行ったとき、賑やかだったけど売り物の値段が少し高いな、とは思ってたんだよね。
「なるほど、一つはという事はまだ要因があるのだな」
「はい。その……言いにくいんですけど……」
朱里ちゃんは困った顔をしてちらりとある一点を見た。
「構わん。話せ」
「は、はい。その、恋さんが加わったことにより、兵站の量が多くなったのも原因の一つかと」
「「「…………」」」
「………………?」
「れ、恋殿は悪くないのですぞ!」
首を傾げる恋ちゃんの横でネネちゃんが両腕を上げて抗議していた。
「それじゃ、後どれくらいで集まりそうなんだ?」
「そうですね……なんとかあと三日頂ければ集めて見ます」
「別に無理しなくてもいいぞ?無理して朱里や雛里が倒れられたらそっちのほうが被害が大きいからね」
「はわわ。ありがとうございます、ご主人様」
「あわわ。そのお言葉だけで嬉しいです」
頬を赤くしてお礼を言う朱里ちゃんと雛里ちゃん。
「それにしても困ったな、当初の予定通りに出るつもりでいたから引継ぎとか大分済ませちゃったぞ?」
「そうですよね。私とご主人様、何すればいいんのかな?」
「そうですね……でしたらその間はご主人様も桃香様もお休みで構いませんよ」
「えっ!で、でも私たちだけ休むなんて」
「いいえ。元々は私たちの落ち度、ですから桃香様はお気になさらないで下さい」
申し訳なさそうにすると、雛里ちゃんが気にしないでと言ってくれた。
「そうですぞ桃香様。それに、まだ仕事が終わった訳ではないのですぞ?もしかしたら、終わらず折角の休みも台無しに・・・」
「わわわっ!そ、それ以上言わないで星ちゃん!本当にそうなっちゃいそうだから!」
「「「あはははははっ!!」」」
星ちゃんの言葉に私は慌てて止めさせると、一斉に皆が笑い出した。
「もー!笑い事じゃないよ!」
「ですが、星の言うとおりですよ、桃香様。しっかりと仕事をやらなければ、終わる仕事も終わらないのですから」
追い討ちをかけるように愛紗ちゃんにも注意をされた。
「うぅ~、愛紗ちゃんまで~。ご主人様~、星ちゃんと愛紗ちゃんが苛めるよ~」
「よしよし」
(なでなで)
ご主人様に泣きつくと頭を撫でて慰めてくれた。
「終わらなかったら俺も手伝ってあげるから」
「ホント!?」
「ああ」
「わ~い♪だからご主人様って大好き!」
「うぉ!?と、桃香」
腕に抱きついていた私はそのままご主人様の体に抱きつきなおした。
「ごほん!これは仕事をサボり、黙って町に行くご主人様にも言える事なんですよ」
「はい……」
愛紗ちゃんに注意されて申し訳なさそうにご主人様は返事をしていた。
「では、他に伝え忘れたことはないか?無ければ、今日の朝議は終わりにするが」
確認するように愛紗ちゃんは私たちを見回す。
「……無いようだな。では各自仕事を始めてくれ」
愛紗ちゃんの号令で朝議は解散になった。
「あ、愛紗ちゃん!ちょっといいかな?」
「なんでしょうか、桃香様」
部屋から出て行こうとする愛紗ちゃんを慌てて呼び止めた。
「ちょっとお話があるんだけど、仕事の前に少しいいかな?」
「別に構いませんが……また菫と何か企んでいるわけではないですよね?」
「あ、あはは。あの時はごめんね。今回は違うから安心していいよ」
「わかりました。では、場所を移しましょう」
「うん」
私と愛紗ちゃんは二人で話せる場所へ移動した。
「ここで良いでしょう。ここなら誰かに聞かれる心配も無いでしょうから」
愛紗ちゃんに連れられてきた場所は見晴らしの良い中庭の東屋だった。
「それで桃香様、私に聞きたいこととは?」
「うん、実はね……ご主人様と出かけた日の事なんだけど」
「っ!」
思い当たることがあったのか愛紗ちゃんの体が少し強張ったような気がした。
「あのぅ」
「も、申し訳ありませんでした!」
私の話を遮り愛紗ちゃんは頭を下げて謝ってきた。それで私は全て理解した。
「なんで謝るの、愛紗ちゃん?」
「そ、それは……桃香様より先にご寵愛を……」
「だって私言ったよね。競争だよって。それに私は嬉しいよ」
「嬉しい、ですか?」
「うん!だってやっと愛紗ちゃんが自分の気持ちをご主人様に伝えたんだよね!」
私は愛紗ちゃんの手を取り、自分の事の様に喜んだ。
「桃香様……ありがとうございます」
「いいよそんなこと!でも、私も負けないんだからね。私だってご主人様の事、大好きなんだから」
「はい。私も負けるつもりはありません。今回の事でさらにその気持ちは強くなりました」
「うん。私だって負けないよ!」
「わかっています。ですが……」
「?」
「ちゃんと仕事もしてくださいね。桃香様」
「あぅ」
愛紗ちゃんはニヤリと笑い、私の痛い所を突いてきた。
「うぅ~……今言わなくても~
「いいえ。ちゃんと言っておかなければ、桃香様は直ぐにだらけますから」
「ぶー!愛紗ちゃん、意地悪だよぉ~」
「ふふっ、では、そう言われないように、しっかりとお勤めをしてください」
「は~い、わかりました~」
「それに、しっかりと仕事を終わらせないと、折角のお休みが台無しになってしまいますよ?」
「っ!それはダメ!」
「では、しっかりと仕事をしてください」
「う、うん!わかったよ!」
なんだか愛紗ちゃんに乗せられちゃったような気もするけど、お休みが無くなるのはやだもんね。
それにこれは神様がくれた好機!この後は成都に向けてまた長い軍行になるんだから。ここでご主人様に私の思いをちゃんと伝えるんだ。
「それでは私も、自分の仕事に戻ります」
「あ、うん。呼び止めてごめんね。愛紗ちゃん」
「いいえ。私も桃香様にはご報告をしなければと思っていたので」
「うん。教えてくれてありがとうね、愛紗ちゃん。それじゃ、戻るね!」
私は愛紗ちゃんにお礼を言って東屋を後にした。
………………
…………
……
「ごめんなさい、ご主人様。遅れちゃいました」
「ううん。愛紗に話が合ったんだろ?それに、そんなに時間は経ってないよ」
部屋に入り、席に座っていたご主人様に謝ると、怒ることなく笑顔で迎えてくれた。
「よ~し!今日もお仕事がんばるぞぉ~!」
「今日は随分と気合が入ってるね」
「はい!だってお休みが掛かってますから!」
本当はそれだけじゃないんだけど、ご主人様には言わなかった。
「はははっ、桃香らしいな」
「も~!私らしいってどういう意味ですか、ご主人様!」
頬を膨らませてご主人様に抗議する。
「ご主人様だってお休みが無くなったら嫌ですよね」
「まあね。でも、もともと無かった休みだしな。だからどう使おうかを悩んで入るけどね」
「っ!まだ予定無いんですか?」
こ、これは好機だよね!ここで私が逢引のお誘いを!
「ああ。だから迷惑じゃなければ愛紗たちの鍛錬に付き合おうかなって考えてはいるけど」
「だ、ダメです!」
「え?」
「あっ、だ、ダメっていうのは……そ、そう!愛紗ちゃんたちもきっとやることがあるから邪魔したらダメですよ!」
「そっか~、やっぱそうだよな。それじゃ、どうするかな~」
「あ、あの……そ、それなら私と」
「ん?」
「あっ」
(こんこん)
『ご主人様~♪居る?』
私がご主人様に逢引のお誘いをしようとした時だった。部屋の扉を叩き、蒲公英ちゃんが扉を開けて顔を出してきた。
「どうかしたか蒲公英?」
「うん!あのね、ご主人様って今の引継ぎが終わったら暇なんだよね!」
「うん。まあ、ね」
「それじゃ、それじゃ!蒲公英とお出かけしようよ!」
「っ!」
蒲公英ちゃんはおねだりする様にご主人様の腕にぶらついていた。
「そうだな~」
「ねぇ、いいでしょ?雪華と少し馬で遠出しようって言ってあるんだけど、やっぱり二人だけじゃ面白くないし」
「それなら、翆でも誘えばいいんじゃないか?」
「翆姉様は菫おば様と鍛錬するんだって、だから無理って言われたんだよ。それに危うくたんぽぽも鍛錬に付き合わされると事だったんだから!ホント、困っちゃうよね」
蒲公英ちゃんはご主人様の質問に答えていたけど、いつの間にか愚痴になっていた。
「ねぇ、いいでしょ?きっと気持ちがいいよ!」
「そうだな。それじゃ、三人で行こうか」
「えっ!?」
「やった~!約束だからね!行く日はまだ決めてないから、雪華と決めて教えるね!」
「ああ、わかったよ」
「あっ!それと!このことは雪華には絶対に言わないでね。桃香様もお願いしますね」
「え、あっ、うん」
「?いいけど、なんでだ?」
「どうしても!それじゃ、約束だからね、ご主人様!」
蒲公英ちゃんはそう言うと部屋から出て行っちゃいました。
「ははっ、蒲公英はいつも元気だな、そう思わないか桃香」
「む~~~」
「桃香?」
「ふ~ん!さぁ、仕事しなくっちゃ!」
私は頬を膨らませて自分の席に着いた。
ご主人様ったら、最初は渋ってたのに、あんなに嬉しそうにしちゃって!
私はご主人様の嬉しそうな顔を見てなんだか機嫌が悪くなった。
「?あ、そう言えば、話の途中だったね。何か言おうとしてたけど何かな?」
「もういいです」
「そ、そう……それじゃ、俺も仕事しようかな」
そっけなく答えるとご主人様は席について仕事を始めた。
「……」
「……」
「……あ、あの桃香?」
無言で仕事を始めて暫くしてご主人様が話しかけてきた。
「……」
それでも私は無視をしました。
「あ、えっと……そ、そうだ!引き継ぎ作業が終わったらさ」
「っ!」
(ぴたっ!)
ご主人様の言葉に筆を止めた。
「引き継ぎ作業が終わったらなんですか?」
「え?あ、ああ。引き継ぎ作業が終わったら、俺といっ」
(こんこん)
「え?あ、は~い!」
私に何かを言おうとしていたご主人様は扉を叩く音に話を止めてしまいました。
「主よ、少々お時間はございますかな?」
「え?まあ、手短にだったら」
扉を開けて入ってきたのは星ちゃんだった。
何か問題でも起きたのかな?でも、それにしては深刻そうな顔はしてないけど……
「うむ。実はですな。主の休日を一日、空けておいてほしいのです」
「え?」
「っ!」
星ちゃんの思わぬお願いに私は筆の動きを止めた。
「だめですかな?」
ま、まさか了承しないよね、ご主人様?
私は少し不安になった。
だってご主人様、お願いすると断れない性格だから……って!私、結論出しちゃってるよ!わわわっ!お願い、ご主人様!頷かないで!
「ああ、かまわっ」
(ばきっ!)
「え?」
「おや」
何か折れた音にご主人様と星ちゃんは振り返って私を見た。
「……」
何かが折れた音、それは私の持っている筆が折れた音だった。
「あ、あの桃香?」
「……」
「ふむ……少々時期が悪かったようですな。主よ、またお伺いしに来ますぞ。では、桃香様、私はこれで」
「あ、ちょ!せ、星!」
(ばたん)
星ちゃんはそれだけを言って部屋から出て行きました。
「えっと……あの、桃香?」
「……」
私は筆を替えて仕事を再開した。
「う、う~む……」
唸るご主人様はそのまま席に戻って私を気にしながら仕事を再開した。
「もう……ご主人様の……バカ……」
ご主人様に聞こえないようにポツリと呟いた。
………………
…………
……
「……」
「……」
星ちゃんが来てから私とご主人様は一言も言葉を交わしていなかった。
「……っ!」
(がたん)
突然、ご主人様は筆を置いて席を立った。
「桃香、ちょっといいかな?」
「な、なんですか?」
ご主人様のあまりの迫力に思わず身構えてしまった。
「さっきも言おうとしたんだけど、引き継ぎ作業が終わったら、俺と一緒にデートしないか?」
「……え?」
ご主人様の言った言葉が理解できず、私は少しだけ固まってしまった。
でぇと……って、男の人と女の人が出かけることだよね?つまり……
「え、えっと……逢引ってこと?」
「ああ」
「私と?」
「もちろん」
「いつ?」
「引き継ぎ作業が終わったら」
「二人っきりで?」
「桃香が嫌じゃなければ」
(ぶんぶん!)
「っ!全然嫌じゃないよ!私、ご主人様とお出掛けしたい!」
私は首を全力で横に振り否定した。
「あっ、でも、蒲公英ちゃんと約束してるんじゃ……」
「別に何日も城を空けるって訳じゃないよ。日帰りだよ」
「そっか、そうだよね。あでも、星ちゃんとも……」
「内容は聞いてないけど、多分、月見酒の相手だと思うよ」
「そうなんですか?」
「ああ、星はいつも休みの日を見張らかって誘いに来るんだ。しかも、夜遅くまで付き合わされるからさ、休みの日にしか誘って来ないんだよ」
「そうだったんだ……よかった」
ご主人様の話を聞いてほっと胸を撫で下ろした。
そっか、別に何日も居なくなるわけじゃなんだね。それなのに私ったら、一人で機嫌悪くなって、ご主人様に嫌な思いさせちゃった、よね。
「ん?何か言ったか?」
「えっ!?う、ううん!何でもないよ。こっちの話、こっちの話、あ、あはははっ!」
慌てて両手を振り何でもないと伝える。
「た、楽しみだな~、早く来ないかな、ご主人様とお出掛けする日」
「ははは、早く来てもいいの?」
「え?なんでですか?」
ご主人様の言っている意味が分からず首を傾げる。
「だって、早くその日が来ちゃって仕事が終わってなかったら桃香はどうするんだ?デート出来ないぞ?」
「わわわっ!それはダメです!中止になんてさせません!」
「ははは、それじゃ、引き継ぎ作業を早く終わらせないとね」
「はい!」
笑顔で答えるご主人様に私も笑顔で答えた。
「わーっ!すごく天気がいいですね、ご主人様!」
「ああ、絶好のデート日和だな」
あれから数日、なんとか私とご主人様は無事、引き継ぎ作業を終えて、晴れて残りの数日間は非番となりました。
「それじゃ、今日は思う存分、遊びましょうね、ご主人様!」
「ははっ、お手柔らかに頼むよ。それに俺は楽しい場所はあんまり知らないからさ」
「大丈夫です!こうしてご主人様と居るだけで、私は楽しいですから♪」
私はご主人様の腕に抱きついて笑顔で答えた。
「それじゃ、お城の中で過ごすか?」
「それはダメですよ~!ちゃんと町に行かないと逢引にならないじゃないですかぁ!」
ぷく~っと頬を膨らませて抗議をする。
「それもそうだね。それじゃ行こうか、桃香」
「はい!」
大きく頷き、私とご主人様は街に出かけて行った。
………………
…………
……
「御遣い様だ~!」
「劉備様も居る~♪」
暫く町を歩いていると、前から子供たちが私たちに気が付いて走り寄ってきた。
「御遣い様~!遊んで!」
「うぉ!わ、分かったからそんなに引っ張らないでくれ」
ご主人様は男の子たちに腕を引っ張られて転びそうになっていた。
「……えいっ!」
(ぴろ)
「ひゃーーーーっ!こ、こら~!私の服めくったのだれ!?」
私は女の子たちと話していたら後ろから服をめくられ、下着が見えてしまった。
慌てて服を抑える私、ご、ご主人様に見られてなかったかな?
「いぇーい!」
「こら~!劉備様に謝りなさい!」
私の後ろで悪戯が成功して喜ぶ男の子、それを女の子たちが私の周りで怒っていた。
「へへ~んだ!捕まえたら謝ってあげるよ!それ、逃げろーーーっ♪」
「あっ!こら!劉備様に謝りなさ~~~い!」
逃げていく男の子を追いかけて女の子たちは走り出す。
「へ~んだ。そんな早さじゃ俺は捕まらないもんね~」
得意げに答えて逃げ回る男の子。
「もー!御遣い様、お願いします。あの男の子を捕まえてください!」
「え?」
「あっ!ずるいぞ!御遣い様に頼むなんて!」
「それもそうだな。俺がここで捕まえちゃったら不公平だな」
「「え~!」」
「だよな!」
女の子からは不満の声が上がった。
「でも、戦略なら授けよう。こっちにおいで」
「げっ!」
「わ~い!どうすればいいの御遣い様?」
「よし、ここはだな……ごにょごにょ」
ご主人様は男の子に声が聞こえない様に女の子たちを呼び集めた。
「っと、言う具合にやってごらん。きっとうまくいくよ」
「うん!ありがとうございます、御遣い様!それじゃみんな、いくよぉ!」
「「おぉーーっ!」」
女の子たちはご主人様から何かを教えて貰い一斉に駆け出した。
「何を教えたんですかご主人様?」
「ん?桃香に悪戯をした男の子を捕まえる作戦を教えたんだよ」
微笑みながら答えるご主人様。そして、女の子たちはと言うと……
「そっちに行ったよ!」
「うん!任せて!」
「げっ!なんでここに居るんだよ!」
女の子たちはうまく男の子を囲い込んで逃がさないようにしていた。
「捕まえた~~っ!」
「あっ!くそ!離せ!」
「だめ~!劉備様に謝るまで離さないの!」
「わかった!謝るから!謝るよ!」
観念した男の子は女の子たちに連れられて私の前に来た。
「ご、ごめんなさい劉備様……」
「うん、もう怒ってないよ。これからはこんなことしちゃダメだよ?」
「……(こくん)」
男の子は黙って頷いてくれた。
「……っ!」
(げし!)
「いいっ!?」
「御遣い様が教えなければ俺は捕まらなかったんだからな!いーーーっだ!」
男の子はご主人様の足を蹴って、また逃げ出しちゃいました。
「あっーー!今度は御遣い様に酷いことして!また捕まえて謝らせるんだから!」
「同じ手で捕まるよな俺じゃないよーだ!」
「よ~し!なら今度は俺も参加だ!」
「げーーーっ!なんで御遣い様が加わるんだよ!」
「はっはっは!なんせ今回は被害者だからな。ほらほら、早く逃げないと捕まえるぞ~~~!」
「くーーーっ!お、おいお前たち!見てないで助けろ!」
「え~。俺たち、正義の警邏隊だから悪者にはつかないぞ」
「うん!」
「あー!寝返ったな!裏切者!」
隅でもていた男の子たちに助けを呼びかけためど、どうやら既に悪者役になっている男の子を助けることはしないみたいだった。
「よーし!それじゃ、劉備隊のみなさん!ご主人様を苛めた悪い子を捕まえちゃお~っ!」
「「おお~~!!」」
男の子たちは声を上げて走り出した。
「く、くそー!」
「きゃっきゃっ!」
「それそれ、どうした~!」
走り出す男の子、それを追いかけるご主人様と子供たち。
「……」
私はそれを微笑みながら見ていた。
ご主人様、楽しそうだなぁ、あんなに笑ってるご主人様、見たことないよ。
ご主人様は子供たちに劣らず、すごく楽しそうに笑っていた。
私はそんなご主人様の笑顔をずっと見続けていたいと思った。
子供たちと追いかけっこをして遊んでいた私たちは、子供たちと別れ市に足を運んでいた。
「ごめんな、桃香」
「え?何がですか?」
市を歩いているとご主人様が行き成り謝ってきた。
「いや、桃香を忘れて子供たちと遊んでたからさ」
「別に怒ってないですよ。子供たちも満足そうでしたし」
「そっか、なら良かった」
「……それに、ご主人様のすごく楽しそうな顔も見れましたから」
「え?」
「あ、ううん!なんでもないです。それよりお腹空きましたね、何か食べませんか?」
呟いた声をご主人様に聞かれてしまい慌てて話を逸らす。
「あっ!あそこの屋台にしませんか?」
「あ、ああ。そうだな」
近くにあった屋台を見つけ、そこでお昼にしようと提案する。
「ほらほら、ご主人様!ここ空いてますよ!」
「へいらっしゃい!って、り、劉備様に御遣い様!?」
席に座ると注文を取りに来た店員さんは私たちが誰なのか分かるとすごく驚いていた。
「こ、このような汚い場所に来ていただけるとは、光栄です!」
「ははっ、そんなに畏まらなくてもいいよ。ラーメンを二つもらえるかな?」
「は、はい!ただ今お作りします!お、おい!ラーメン二つだ!大至急!劉備様と御遣い様がお越しになられたんだ!」
慌てて注文を伝えに行く店員さん。
「な、なんか悪いことしっちゃったかな?」
「う、う~ん。まあ、ラーメンを食べに来ただけだし、いいんじゃないかな?」
二人いて苦笑いを浮かべて注文をしたラーメンが来るのを待った。
「お、お待たせしました!」
しばらくご主人様と話していると店員さんがラーメンを持って現れた。
「全然待ってないよ。むしろ早いくら、い……あ、あの、ちょっといいですか?」
「は、はい!何か不手際でも!」
「いや、不手際じゃないんだけど……これって叉焼麺だよね?俺たちこれ頼んでないんだけど?」
目の前に置かれた二つのどんぶりには叉焼が山盛り乗せられていた。
「お、お二方にラーメンだけを食していただくなど!」
「いや、でもこれは流石に……」
「あ、あはは……私もちょっとこの量は食べきれないかな」
流石にこの量は私には無理だよ。
「と、とりあえず。この上に乗ってる半分とそれとは別に同じ量の叉焼を包んでくれるかな?お代もその分出すから」
「か、かしこまりました!直ぐにお包みします!」
店員さんは空のどんぶりを持ってきてその中に叉焼を取り分けて戻って行った。
「ご主人様」
「ん?」
「そんなにいっぱいの叉焼どうするんですか?」
「お土産に持って帰るんだよ。さぁ、伸びる前に食べちゃおう」
「あっ、そうですね。それじゃ、頂きます」
「頂きます」
私とご主人様はお箸を取り、ラーメンを美味しくいただきました。
………………
…………
……
「美味しかったですね、ご主人様」
「ああ、でも、あの量の叉焼には驚いたけどな」
「あはは、ですね♪」
お土産の叉焼を持ち上げて笑うご主人様に私もつられて笑いました。
そして、二人で会話をしながら町を歩く。
「まだ所々壊れちゃったりしてますけどみんな元気ですね」
「ああ、この調子ならすぐにでも町は元通りになるさ」
「そうですね。あ、そこにもお店が出てますよ」
お昼を過ぎても市はとても賑わっていた。
「これはこれは劉備様、御遣い様!どうぞ見て行ってください!」
「わ~!すごい綺麗ですよ、ご主人様!」
露店に並べられていたのはとても綺麗な髪飾りだった。
「へ~。作りも丁寧でいい仕事してるな~」
「ありがとうございます」
「これはあなたが?」
「はい。まだまだ、修行中の身で師匠には遠く及びませんが」
「いやいや。そんなことないですよ。とても丁寧な作りですよ」
「わ~、これ可愛いな~お花の形してますよ」
「……お?これなんかいいな……すみません、これください」
「ありがとうございます。ただ今お包みします」
ご主人様は私が髪飾りを見ている横で何かをお店の人に手渡して買っていた。
「ご主人様、何買ったんですか?」
「ん?秘密だよ」
「え~、教えてくださいよ」
「だ~め」
「ぶ~」
私は唇を尖らせて文句を言った。
「ほらほら、可愛い顔が台無しだぞ」
(ぷにぷに)
「わわっ!止めてください、ご主人様!」
ご主人様は私の頬を指で突いてきた。
「ごめんごめん」
「ふーんだ、もう知りません!」
私は頬を膨らませてそっぽを向き歩き出しました。
「ごめんごめん、許してくれよ、桃香」
「許しませ~ん」
ご主人様は手を合わせて謝ってきたけど私は許してあげなかった。
「どうしても許してくれない?」
「どうしてもです」
「それじゃ、これでも?」
「え?わわっ!な、何するんですかご主人様!」
ご主人様は私の前に立ち、手に持っている何かを私の髪に着けてきた。
「見てごらん」
ご主人様は微笑みながら答えると小さな鏡を手渡してきました。
こんな小さな鏡見たことないや……って、そうじゃなくて髪の毛だよね。
「もー……え?」
受け取った鏡を取り自分を移すと髪に何か光り輝くものが見えた。
なんだろこれ?
「……っ!」
顔を少し横に向けて見上げるように見てみると見えたのは銀色に輝く髪飾りだった。
「ご、ご主人様、これって……」
「ああ、さっきの露店で買ったやつだよ。本当はもう少し後で渡そうかなって思ってたんだけどね」
ご主人様は苦笑いを浮かべながら答えてくれた。
「これで許してくれるかな?」
「ご主人様……大好き~~っ!」
さっきまでの態度とは打って変わり、私は腕を広げてご主人様に抱き着いた。
「お、おおお!?」
後ろに転びそうになりながらも、ご主人様は私を抱きとめてくれた。
「ありがとうございます、ご主人様!一生大事にしますね!」
「そこまで喜んでくれると買った甲斐があったよ」
「~~♪ところで、良く見えなかったんですけど、何か花のような形があったんですけど、何の花ですか?」
「ああ、桜の花の髪飾りだよ。桃香に似合うと思ってね」
「えへへ……そうですか?なんか照れちゃうな」
ご主人様の言葉に思わず照れちゃいました。
「あははっ!……あれ?」
「ん?どうした、桃香?」
「あそこに泣いてる子供が……」
しばらくご主人様と楽しく会話をして歩いていると建物と建物の間、そこで一人の子供が膝を抱えて泣いているのを見つけた。
「行ってみよう、桃香」
「はい」
私たちは泣いている子供に近寄ってみた。
「どうしたの?どこか怪我でもしたの?」
「ぐす……お母さんが……」
暗くて良くわからなかったけど、泣いていたのは女の子だった。
「お母さんがどうしたの?」
「ぐす、すぐ……ふぇぇえええんっ!」
事情を聴こうとすると突然、女の子は大きな声で泣き出してしまった。
「わわわっ!ど、どうしよう、ご主人様」
「う~ん。とりあえず、泣き止むまで待つしかないけど……」
そう言うとご主人様は周りを見回した。
「……あっ」
私も周りを見回してみると、何事かと町の人たちが集まりだしていた。
「とりあえず落ち着ける場所に移動しよう」
「うん。そうだね……立てる?」
「ぐすっ……ぐすっ……(こくん)」
女の子は泣きながらも頷き、立ち上がってくれた。
「それじゃ、いこっか」
私は女の子の手を取り歩き出した。
………………
…………
……
「それで、何があったのかな?」
落ち着ける場所に移動した私たちは、落ち着くのを待って女の子に話しかけた。
「あのね……お母さんがお病気で倒れちゃったの。それでお医者さんに診てもらったの、そうしたら栄養のある物を食べればすぐに元気になるって」
「それじゃ、栄養のあるのを食べればいいんだね!」
「うん。でも、お父さんは死んじゃって居なくて、私とお母さんしか居なくて、お母さん寝てるからお仕事できなくて……」
女の子は、私たちに事情を説明しようと頑張って話してくれた。
「そんな……」
「それじゃ、母親が働くことも出来ないんじゃ、食べ物もろくに手に入らない……それにこんな小さな子じゃ、働くことも……」
ご主人様の言う通り、寝こんでいる両親を働かせるわけにはいかない、かと言ってこんな小さな子に働ける場所なんて……
「ぐす……ぐす……お母さん、死んじゃうの?」
「え、えっと……」
「そんなことないよ。大丈夫、お母さんは助かるよ」
また泣き出しそうにる女の子に私は困っていると、ご主人様が微笑みながら女の子の頭を撫でながら励ましてくれた。
「ほんと?」
「ああ、だから泣かないで、笑ってくれるかな?」
「ぐすっ……うん!」
女の子は目に溜まった涙を拭い、にっこりと笑ってくれた。
やっぱりご主人様はすごいな……こんな小さな子を直ぐ笑顔に出来ちゃうんだもん。
「よし、それじゃ、お家に案内してくれるかな?」
「お家に?」
「ああ、お母さんに会わせてくれるかな?」
「うん。こっちだよ」
女の子は立ち上がりご主人様の手を握り歩き出しました。
………………
…………
……
「ここだよ!ただいま、お母さん!お客さんが来たよ!」
(がらがらっ!)
女の子はそう言うと家の中へと入って行った。
「ご主人様……」
「ああ、ここはまだ、整備されてない地区だ……」
ここは中心街から離れた地区だったので私たち行政の整備がまだ行き届いていない場所だった。
「兎に角入ろう」
「はい。失礼します」
「これはこれは、このような所へなんの御用で……っ!あ、あなた様方は!……ごほっ!ごほっ!」
「お母さん!」
少しやつれた女性は私たちが誰なのか分かり驚き、その拍子に咳がでてしまい、女の子が今にも泣き出しそうな顔になっていた。
「落ち着いてください。私たちはこの子に話を聞いてここに来たんです」
私は背中を擦りながら横に寝かせる。
「うちの娘が?」
「はい。お二人で暮らしているそうですね」
「ええ。夫は以前の太守の無理矢理な徴兵に連れて行かれ、そしてそのまま……なんとか娘だけでも不自由なく頑張ってきましたが、その無理が祟ったのかこの有り様です」
「わかりました。では、私が少しお手伝いをしましょう」
「み、御遣い様が?」
「はい、見たところ過労から来た病の様ですね。今から、体の中の乱れた氣を整えます、これだけで結構楽になると思いますよ」
「そんな!御遣い様のお手を煩わせるわけには!」
「お気になさらずに、それに早く元気になって貰わないとあなたのお子さんも心配しますよ?」
「お母さん……」
心配そうにお母さんを見つめる女の子。
「ですが、お金もありませんし」
「お金なんていりませんよ。ただ、この子の為にも元気になって貰いたいだけですから。では、はじめますよ……」
ご主人様は首を横に振り、微笑み、そして女の子のお母さんに手をかざした。
「……」
「ねえねえ、お姉ちゃん。お兄ちゃん何してるの?」
女の子は私の服を引いて、ご主人様が何をしているのかを聞いてきた。
「ん?あれはね、『お母さん元気になれ~』ってお願いしてるんだよ」
「そうなんだ……私もやる!」
「え?あ、ちょっと!」
女の子は立ち上がりご主人様の横に座るとご主人様を真似する様に手をかざした。
「お母さん、元気になって~~っ!」
「……(にこ)」
一生懸命に念を送る女の子を見てご主人様は微笑んでいた。
「うっ……」
「お母さん!」
「目が覚めましたか?」
「御遣い様……」
「お加減はどうですか?」
「え?……ええ。大分楽になりました」
「それは良かった。あとはもう一日安静にしていれば大丈夫ですよ。それと、これをどうぞ」
ご主人様は立ち上がり、私の横に置いておいた叉焼の入った包みを手渡した。
「あの、これは?」
「叉焼です。お二人で食べてください」
「で、ですが、治療までしていただき、このような物までいただいてしまっては……」
「いいんですよ。もともと食べきれなかったものを持ち帰ろうとしたあまりものですから、それにその体調では、今日の夕飯の準備はできないでしょう」
「ありがとうございます。このご恩は一生忘れません。御遣い様、劉備様」
「大げさですよ。それにお礼を言うならお子さんに言ってあげてください。この子が私たちの前に姿を見せなければ助けることも出来なかったのですから」
ご主人様は女の子の頭を撫でながら答えた。
「それでは、私たちはこれで……桃香、行こうか」
「はい。それじゃお大事にしてくださいね!」
「ありがとうございます」
「ばいばい!お兄ちゃん!お姉ちゃん!」
「ばいばい♪」
深々と頭を下げる母親と手を振ってお別れを言う女の子を後にして私たちは家から離れた。
………………
…………
……
「元気になって良かったですね」
道を歩きながら先ほどの親子の事を話す。
「そうだね。でも、彼女たちのような親子はきっと沢山いるはずだ。だからって訳じゃないけど、少しでも早く住みやすく、仕事が出来る環境を整えてあげないと」
「そうですね……その為にも、早く成都に行って内乱なんて止めさせないと」
真剣な顔で話すご主人様に私も同意する様に頷く。
「っと、湿っぽくなっちゃったね。せっかくの桃香とのデートなのに。それじゃ、仕切り直しと行こうか」
ご主人様は苦笑いを浮かべて話を切り替え、私に手を差し伸べてきた。
「はい!」
私は笑顔で返事をして、その手を握った。
それからはとても楽しかった。
「こんなのはどうだ?」
「あははっ!ご主人様、変ですよ♪」
お面を売っている露店を見つけ、ご主人様は変な仮面を付けたり。
「おっ!これ美味いな!」
「本当ですね!」
美味しいお菓子に舌鼓したり。
「きゃあっ!び、びっくりしましたー」
「はははっ!すごいな!桃香、驚き過ぎだぞ」
「だ、だって~」
大道芸を見て大はしゃぎしたりした。
………………
…………
……
「は~、面白かった、ご主人様はどうでしたか?」
「ああ、楽しかったよ」
町は徐々に赤く染まり、夕暮れになってきた。
元気に遊んでいた子供たちは駆け足で自分の家へと戻っていく。
「……」
「桃香?」
「え?あ、ごめんなさい。なんだか子供たちを見てたら平和だなって」
「そうだね……早くここの子供たちみたいに元気に遊びまわれる世界にしないとね」
「そうですね……」
私とご主人様は駆けていく子供たちの背中を見送りながら話していました。
「ご主人様」
「ん?」
「……ううん。何でもないです」
私はご主人様に伝えようとしたけど、やっぱり伝えるのを止めた。
「なんだよ。気になるじゃないか」
「えへへ♪」
「内緒だよ~♪」
舌をペロッと出して駆け出す。
「あ、こら!待て、桃香!」
逃げ出す私をご主人様は追いかけてきた。
「ぎゃ~♪」
「ははっ!ほら、捕まえたぞ」
ご主人様は私の腕を掴むとぐいっと引き寄せてきた。
「わわっ!ご主人様、足が速いですよ」
「まあ、鍛えてるからね」
「手加減くらいしてくれてもいいじゃないですか~、ぶ~っ!」
「そんな可愛い顔で怒っても説得力が無いぞ」
(ぷにぷに)
頬を膨らませて文句を言うと、ご主人様は私の頬を突っついてきた。
「わぷ!ご主人様、ほっぺをぷにぷにするの止めてください!」
「え~。だって、桃香のほっぺ柔らかくて気持ちがいいから止めたくないな~」
(ぷにぷに)
「うぅ~!止めてください、ご主人さっ!」
頬を突くご主人様の手を退けて振り向くとご主人様の顔が目の前にあり思わず動きを止めてしまった。
「~~~~っ!」
心の準備をしていなかった私は驚き、そして鼓動が早くなっていった。
「ご主人様……」
「桃香……」
さっきまでじゃれ合っていたのが嘘のように私たちは互いの距離を次第につめていった。
「あ、あの~……御遣い様、劉備様」
「「っ!!」」
もう少しで唇がくっつきそうになった時、申し訳なさそうに私たちを呼ぶ声に我に返った。
「あの……誠に申し訳ないのですが、道の真ん中でそのようなことをされると……」
「「あっ……」」
(がやがや)
周りを見回すと頬を赤くして凝視する女の子や焚き付ける酔っぱらった男の人たちが私たちの事を見ていた。
「と、桃香……行こうか」
「そ、そうですね!」
ご主人様は少し上ずった声で私を呼び、ここから離れようと提案してきた。私も少し声を上ずらせてご主人様の提案に同意しました。
そして、私とご主人様は早足でこの場から離れた。
「ふぅ~、びっくりした……」
「はぅ~、わ、私、すっごく恥ずかしくなっちゃいました」
思い出すだけで顔が熱くなる。
あぅ~、私、なんで道の真ん中で口付けなんてしようとしたんだろう……
自分でも理由が分からなかった。
「……」
ちらりとご主人様を見ると、ご主人様も恥ずかしかったのか顔を赤くしていた。
「あ、あの、ご主人様?」
「えっ!ど、どうかしたか、桃香?」
「そ、その……」
「あ、ああ……」
「……」
「……」
お互い向き合い無言になる。
うぅ~、何か言わなきゃ!私が呼んだのに何も言わなかったら失礼だよね。
私は何かを言わなきゃと頭をひねった。
「そ、そろそろ帰ろうか、桃香」
「え?」
ご主人様は私が喋るより早く話しかけてきた。
「ほ、ほら!もう夕方だし、皆も心配するだろうからさ」
「あ、あのごしゅっ」
「さ~って!帰ろう、帰ろう!」
ご主人様は私が話そうとするのを無視するかのように一人で話して歩き出してしまいました。
「……」
私は歩いていくご主人様の背中をただ見つめていました。
「ん?どうかしたのか、桃香?」
私が付いてきていないことに気が付いたご主人様は立ち止まり、私を呼んできました。
「え?あ、ううん!なんでもないですよ、ご主人様」
私は笑顔で答えると、ご主人様の横まで小走りで走って行った。
はぁ……私、何してるんだろう……
本当ならとても楽しい一日になるはずだったのに、最後の最後で微妙な空気になっちゃった。
その原因は帰り際に起きた出来事だってことは明白だった。
……このまま終わっちゃうのは嫌だな。
折角、ご主人様とのでぇとなのに、今度はいつ出来るか分からないのに……
それに何より、愛紗ちゃんには負けたくなかった。
もちろん、勝ち負けじゃないって事は分かってる。でも、愛紗ちゃんの幸せそうな顔を見たら負けてられないと思ったから。
でも、具体的な方法が思い浮かばない……どうしたら、ご主人様と……
「……うか、とう……桃香!」
「は、はい!」
ご主人様に呼ばれ我に返る。
「どうしたんだ?何度も呼んだんだけど」
「な、なんでもないでしょ。ちょっと考え事してただけですから」
「ならいいけど。それじゃ、また明日な。今日は楽しかったよ」
「……え?あっ」
気が付くといつの間にかお城の前についていました。
「それじゃ、お疲れ様、桃香」
「……」
手を振り離れていくご主人様。
私も部屋に戻ろうと歩き出した……
「……」
部屋に戻ろうと歩き出した私だったけど、なぜかそのまま、無言でご主人様の後を歩いていた。
私、何してるんだろう……
自分でも、自分の行動に不思議に思っていたけど、足はずっとご主人様の後を追っていた。
「……えっと、どうかしたのか、桃香?」
「そ、その……」
立ち止まり、振り返ってくるご主人様。
とうとう私は、ご主人様の部屋の前まで着いてきてしまっていた。
「あ、あの……今日は、楽しかったですね!」
違う……
「ああ」
「だ、だからその……ま、また一緒にお出かけがしたいです!」
これも違う……
「うん。俺でよければいつでも構わないよ」
言いたい言葉が中々出てこなかった。
たった一言なのに、その一言が私の口から出てくれなかった。
「あ、あの……」
「うん」
ご主人様は私が喋るのを待っててくれる……言わなきゃ……
「も……」
「も?」
「も、もう少し、ご主人様と一緒に居たいです」
「えっ……」
ご主人様は私の言葉に動きを止めた。
「だ、ダメですか?」
「い、いや……ダメって訳じゃないけど……なんで?」
「だ、だって……一緒に居たいんだもん……」
「うぐっ!」
ご主人様は低くうめき声を上げて一歩後ずさりました。
「わ、わかった……それじゃ、入って」
「~~っ!はい!」
部屋に入る許可を貰い私は笑顔で頷きました。
「お、おじゃましま~す」
うぅ~、改まって入ると緊張するよぉ。
「……」
私は落ち着き無く、ご主人様の部屋を見回した。
「桃香」
「は、はひ!」
突然、背後から声を掛けられて思わず直立不動になってしまった。
「お茶でも飲むか?」
「は、はい……頂きます」
ご主人様は手に持っていたお茶を差し出してきた。
私はお礼を言って差し出したお茶を手に取ろうとした。。
(ぴと)
「っ!」
(がちゃーんっ!)
お茶を受け取ろうとした時、ご主人様の手に触れてしまい思わず手を引っ込めてしまった。そのせいで、湯飲みは床に落ちて砕けてしまった。
「ご、ごめんなさい、ご主人様!」
「それより、火傷しなかった?手を見せて」
「っ!」
ご主人様はお茶が熱かったせいで手を引っ込めたと思い、心配して私の手を取り、火傷をしていないか調べてくれた。
「……うん。大丈夫そうだね。よかった」
「ホントにごめんなさい、湯飲みを壊しちゃって」
「気にしなくていいよ。また買えば済むことだからね。それより、桃香に怪我が無くて本当に良かったよ」
ご主人様は微笑みながら私の頭を撫でてくれた。
「……」
ご主人様に頭を撫でられ、落ち着いていなかった私の心は次第に落ち着きを取り戻していった。
いつも思うことだけど、なんでご主人様に頭を撫でられるとこんなにも落ち着くんだろう。
慌てている時、落ち込んでいる時、悲しい時、ご主人様に頭を撫でられると私はいつもがんばれた。
だからご主人様の手のひらは私を元気付ける魔法が掛かっているんじゃないかと思ったくらいだ。
「……えへへ」
自然と笑みがこぼれる。ご主人様も私が笑ったことで微笑んでいた。
そして私とご主人様は寝台に座り、他愛ない事を話し合った。
時間は経ち、窓から射し込んでいた陽の光りは山に沈み、部屋の中を暗闇に変えて、代わりに月の光りが窓際で仄かに光りを放っていた。
「そろそろ火を灯そうか」
寝台から立ち上がろうとするご主人様。
私は立ち上がろうとするご主人様の袖を握り、それを拒んだ。
「桃香?」
「このままがいいです」
「でも、明かりを灯さないと暗いぞ?」
「その方が、恥ずかしくなくていいから」
「?」
首を傾げるご主人様。それもそうだよね、普通暗くなったら明かりをつけるもんね。
でも、今明かりをつけられるときっと私、何も言えなくなっちゃうから……
「あ、あのね、ご主人様……」
私は寝台に座り、ご主人様を見上げるようにして話す。
こうしてると、丁度ご主人様の顔が陰になって顔を見なくて済むから。
「前にも言ったと思うけど、私、ご主人様の事が大好きだよ」
「……」
ご主人様は何も答えない、だから私は話を続けた。
「初めてあった時から私はご主人様に惹かれてた、でもその時は、やっと会えた天の御遣い様だからだと思ってたの。でもそれは違ったの、その事に初めて気が付いたのが、ご主人様と出会って直ぐの事だった」
「邑を出て、桃園で今後の事を話してるときに邑から煙が上がって愛紗ちゃんと鈴々ちゃんが先に行って、私とご主人様が追いかけてるときに黄巾党に会ったよね。あの時、ご主人様は私を逃がす為に道を開けてくれた」
「一人で逃げてる時、凄く胸が苦しめられる様な痛みが走ったの。その時、初めて私はご主人様の事が好きなんだって事が分かった。えへへ……おかしいよね、出会って直ぐなのに好きになっちゃうなんて。でも、本当の事だよ」
私は一呼吸を置いてご主人様に告白をする。
「私は……桃香はご主人様を……ううん、一刀様の事を愛しています。愛紗ちゃんに負けないくらい、一刀様の事が好きなんです!」
等々言ってしまった。今まで、何度も言ってきた『好き』と言う言葉を、そして、ご主人様の
「……」
ご主人様は何も言わず、立ったままだった。
「……やっぱり、迷惑でしたか?」
「っ!あ、え?いや、迷惑とかそんなことは無いよ。ただ、ちょっと驚いてただけで……えっと……お、俺なんかでいいのか?」
「ご主人様だから良いんです!ご主人様以外の人なんて考えられません!」
「そ、そっか……うん、嬉しいよ。俺も桃香の事が好きだよ」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、本当だよ」
鼻を掻きながら答えるご主人様。表示は分からなかったけど照れていることが直ぐに分かった。ご主人様は照れている時、鼻や頬を掻く癖があるから。
「よかった……あ、あれ?」
私は、ご主人様の答えに安心したのか、涙が出てきてしまった。
「……」
「ぁ……」
ご主人様は何も言わず私の横に座り、私の涙を指で拭い、抱きしめてくれた。
「ご主人様……」
「桃香……」
互いを呼び合い、私は目を閉じた。
「んっ……んふ……んん……はふぅ」
ご主人様からの長い口付け、凄く嬉しくて、幸せで舞い上がるような気分だった。
「……ご主人様、もう一度、してください」
「ああ、何度でもしてあげるよ……」
「ぁっ……ん……ちゅ、ん……」
口付けをおねだりするとご主人様は頷き、またしてくれた。
「ん……んんっ!?ご、ごひゅじ、しゃま!?ひょ、、ひょっと!?」
しばらく普通の口付けだったけど、その内にご主人様の舌が私の口の中に入ってきた。
え?え?ど、どういうこと~~!?
「気持ち良くない?」
「え?よ、よく分からないです……ちゅぷ、……んぁ、はぁ……む、んん……ん、にゃ、にゃんかへんにゃかんじへふぅ~」
変な感じだったけど、なんだかだんだんと体が熱くなってきた。
「ご、ごひゅじんひゃま……んちゅ……わ、わらひ、なんらかへんれふ……んんっ!」
「どうへんなの?」
「な、なんらか体が熱くなって何も考えられなくなってきちゃうんれす」
「大丈夫、それが普通の反応だから」
「ほ、ほんとですか?」
「ああ、それが気持ち良いって反応なんだよ」
ご主人様の云うとおり、気持ちよかったと思う、多分……だ、だって初めてだから良く分からないんだもん!
「なんだか、ご主人様手馴れてますね」
「えっ!そ、そうかな?そんなこと無いと思うけど」
ご主人様は慌てて否定しているけど、私は知ってるもんね。ご主人様はもう愛紗ちゃんとそ、その……えっちなことしてるって事!
「……」
「桃香?」
「あ、あの、ご主人様……わ、私の初めて、貰っていただけますか!」
「えっ……お、俺なんかでいいのか?」
「ご、ご主人様だから良いんです!」
「でも、俺は……」
言い淀むご主人様、きっと愛紗ちゃんの事を思ってるんだと思う。
「ご主人様が躊躇してるのは愛紗ちゃんが原因ですか?」
「っ!」
「やっぱりそうなんですね」
「あ、ああ……実は……?」
私は人差し指をご主人様の唇にそっと触れた。
「何も云わなくていいんです。全部分かってますから」
「それって、どういう……」
「えっとですね。実は、愛紗ちゃんと競争してたんです」
「競争?」
「はい、どっちが先にご主人様に思いを伝えるか競争してたんです。その結果はご主人様も知ってますよね?」
愛紗ちゃんは私よりも早くご主人様に思いを告げて受け入れて貰えた。
「それでご主人様、愛紗ちゃんと……そ、その……したんですよね?」
「っ!あ、ああ……俺は愛紗を抱いたよ」
驚きながらもご主人様は正直に答えてくれた。
「そ、その……俺なんかで本当に良いのか?だって俺は愛紗とも……」
「ご主人様は遊び半分で愛紗ちゃんを抱いたわけじゃないんですよね?」
「それはもちろん」
「だったら私、気にしませんよ。それに、誰とも真剣に付き合ってくれるご主人様だからこそ、好きになったんですから」
「わかったよ。そこまで言うなら……桃香、君抱きたい。いいかな?」
「……はい、ご主人様……私の、初めてを貰ってください……んっ」
ご主人様の言葉に私は返事をすると、ご主人様は口付をしてきた。
「ん……ちゅぷ、ぁ……ちゃぷ……はぁ……ご主人様」
「ん?」
「愛紗ちゃんと同じように愛してくれますか?」
「それは出来ないかな」
「えっ……」
ご主人様は、私のお願いを拒み、私は衝撃を受けた。さっきは私を抱きたいって言ってくれたのに……どうしてですか?
「だってそうだろ?桃香は桃香、愛紗は愛紗だ。同じようには愛せない。愛紗には愛紗の愛し方。桃香には桃香の愛し方があるからね」
「ぁぅ……ご主人様、その言い方は卑怯ですよぉ」
ご主人様が私のお願いを拒んだ理由が分かり、嬉しさと恥ずかしさで思わず頬を赤く染めてしまった。
「ははっ、でも、本当の事だからね。桃香はどうしてほしい?」
「そ、その……優しくしてくれますか?」
「ん、了解……ん」
「んん……ふぁ……ちゃぷ……んっ!!」
ご主人様は口付をしながら片方の手で私の胸を揉んできた。
それに一瞬、驚いた私は御主人様から離れようとしたがもう片方の手が私の腰に手を回し、離れることができなかった。
「ごめん、驚いちゃったかな?」
「は、はい。でも嫌じゃないですよ!だ、だからその……もっと揉んでもいいですよ?」
「揉んで欲しいの?」
逆に笑顔で聞いてくるご主人様。
「うぅ~、ご主人様、たまに意地悪なこと言います」
「ははっ、ごめんごめん。桃香の悩む顔が可愛かったからさ、つい」
「もう……そうやって、何人の女の人を虜にさせてきたんですか?ご主人様は」
ご主人様はいつもさり気無く、可愛いとか、綺麗とか言ってくるから、無防備の時に言われるとすごくドキッとする。
でも、ご主人様の良いところはそれだけじゃないんだけどね。
「そんなつもりは無いんだけどな。本当の事を言ってるだけだし」
「少しは自嘲してください」
「それじゃ、もう可愛いとか言わない方がいいのかな?」
「うっ……言って欲しいです……はぁ、やっぱりご主人様は意地悪です」
「ごめんよ。それじゃ、お詫びに桃香の胸をいっぱい揉んであげるね」
(むに)
「ひゃんっ!あっ……そ、そんなに……ひゃぅぅ……んんっ!」
「だめ~。もっと桃香の可愛い声を聴かせて」
声が出ない様に手で口を押さえると、ご主人様はその手をどかしてきた。
「やぁ、恥ずかしいです……ぁっ!……んあっ……」
「なんで?すごく可愛い声だよ」
「ひゃっ!あっ!んんっ……ご、ご主人様、だ、だめだよぉ」
ご主人様の手は私の胸を揉んだり指の腹で撫でたりと色んなことをしてきた。
「ん……あっ……」
「どう?気持ちいいかな?」
「は、はい……気持ち良いです……ひゃっ、んあ……」
「それならこれはどうかな?」
「ふぇ?……んひぃあぁああっ!?」
ご主人様は私の乳首を摘まんできた。私はあまりの衝撃に大声を上げてしまった。
「はぁ、はぁ……」
「気持ち良かったみたいだね」
「は、はぃ……あ、あの……ご主人様」
「ん?」
「そ、その……そろそろ、入れてほしい、です……~~~~~っ!」
自分の言ったことに思わず恥ずかしくなり顔を赤くしてしまった。
入れてほしいだなんて……はしたない子って思われなかったかな?
「うん。俺も、桃香と一つになりたいよ。だから、そのための準備をしてるんだよ」
「準備、ですか?きゃっ!ご、ご主人様!?やっ!」
私を寝台に押し倒すとご主人様は私の下着を脱がせてきた。
「こうやって、桃香を気持ち良くして俺を受け入れやすくするためにね」
「ひゃぁあっ!ご、ご主人様!?そ、そこ、汚いですよ!」
ご主人様は行き成り私の密部を舐めてきた。
「大丈夫、桃香の体に汚い場所なんてないよ。ぺろっ……じゅるっ……」
「あっ!あっ!あっ!だ、だめぇ……き、気持ち良すぎちゃいます」
「それでいいんだよ。もっと気持ち良くなって」
「で、でもなんだか怖いです」
「大丈夫だよ。俺がついてるから」
ご主人様は微笑み、片手で私の片手をぎゅっと握りしめてくれた。
たったそれだけの事なのに少しだけ安心する私って単純なのかな?
そして、それからご主人様は私の密部を舐めるのを再開した。
………………
…………
……
「それじゃ、入れるよ。力を抜いて」
「は、はい……っ!」
ご主人様は私が力を抜いたことを確認すると密部に宛がい、少しずつ私の中に入れてきた。
「くっ!……んんっ!」
右手でご主人様の手を握り締め、左手で寝台に掛けられている布を握り締めた。
ご主人様が私の中に入って来るたびに痛みが私を襲ってくる。
「?……ご、ご主人様?」
ご主人様の動きが止まり、ご主人様を見る。
「どうかしましたか?」
「ううん。何でもないよ。それじゃ、桃香の膜を破るよ、きっと痛みが走ると思うけど直ぐに言ってね」
「はい。でも、大丈夫ですよ。だからご主人様は気にしないでください。それに、その痛みも私とご主人様とが一つになった証ですから」
「桃香……ん」
「ん……えへへ♪でも、少しだけ怖いから手を握ってままでもいいですか?」
振れるだけの軽い口付をして、ご主人様にちょっとしたお願いをしてみる。
「ああ、それくらいお安い御用だよ」
ご主人様は握ったままの手を少しだけ強く握りしめてくれた。
「それじゃ、行くよ……っ!」
(ぶちっ!)
ご主人様は勢いをつけて、私の中に入ってきた、その瞬間、私の中で何かが裂ける音がした。
「んぃいいっ!?ぃ……た……かはっ!」
私はその痛さで、空気が一瞬吸えなくなった。
「良く頑張ったね、桃香……」
「ご、ご主人様……」
ご主人様は微笑み、空いた片手で私の頭を撫でて褒めてくれた。
「痛みが治まるまでこのままで居ようか?」
「は、はい……すみません、ご主人様」
「良いんだよ。二人で気持ち良くならないと意味が無いだろ?」
そして、しばらくの間、私たちは動かずそのままでいました。
「ご主人様が、私の中に居る……」
私の中にご主人様を感じる……これでご主人様と一つになれたんだね。
私はご主人様と一つになれたことに喜びを感じていた。
「痛くないか?」
「は、はい……大分、痛みは無くなりました」
少し痛かったけど、それよりも気持ち良い方が
「それじゃ、少しだけ動かしてみようか」
「は、はい……」
私は少しだけ身構えた、やっぱり、さっきの痛みの記憶があるせいだと思う。
(ずんっ!)
「ひゃぁあっ!」
な、なに、今の?痛みはまだ少しだけあるけど、それ以上に今まで感じたことのない気持ち良さがあったよ。
「どうやら、痛みは引いたみたいだね」
「は、はい」
「それじゃ、もう少し動いてみようか」
「え?ま、待って、ごしゅっ!あぁあっ!!うっあっ、ひゃっ!」
私の心の準備が出来ないうちに、ご主人様はゆっくりと私の中で動き始めた。
「んあ……ひぅ!……んあ……」
「ご主人様……んあっ、あっ、あんっ、あっ、あぁっ……!」
ご主人様が私の奥に入ってくる度に私の下腹部は自然ときゅっと締め付けていた。
「くっ……桃香の中、すごく狭いよ」
「はぁ、はぁ……、それって、ご主人様も気持ち良いってことですか?」
「ああ、すごく気持ちが良いよ。思わず腰が止まらなくなるくらいだ」
ご主人様の言葉にご主人様も気持ち良くなってくれていることが分かりほっとした。
「それじゃ、もう少し進めてみようか」
「えぇ!?ま、まだ入るんですか?」
ご主事様の言葉に思わず驚いてしまった。
「まだ、半分くらいだよ」
「そ、そうなんですか!?」
あぅあぅ、ご、ご主人様のって長いのかな?それとも普通なのかな?
それすらも私は初めてだから分からなかった。
「ぁっ……んんっ!ぃた……」
「ご、ごめん。痛かった?」
「ぇ?私今、痛いって言いましたか?」
「うん、小さな声だったけど」
どうやら自分でも気が付いていないうちに言ってたみたい。
「だ、大丈夫ですよ……だから、続けてください、ご主人様」
「わかった、それじゃ行くよ」
「んあっ!うっ……あっ、あぁっ……お、くに入ってくる……っ!」
「全部入ったよ……どう?」
「は、はい……痛くないです……ご主人様」
「ん?」
「これで私たち、本当に一つになれたんですね」
私の中はご主人様のすべてを受け入れた。こんなに私の中に入るとは思ってなかったから正直驚いたけど、とてもうれしかった。
「ああ、気分はどう?」
「とても嬉しいです!」
私はご主人様の問いに満面の笑みで答える。
「よかった……それじゃ、今度は二人でもっと気持ち良くなろう」
そしてご主人様は腰を動かし始めた。
「あっ、あぁっ、んあ!わ、私の中、ご主人様でいっぱいになって……ひゃうっ、んくっ、んっ、くぅんっ」
今までよりも私の中に深く入り込み、お腹を押し上げてくる感覚が私を襲ってきた。
「桃香……大好きだよ……くっ……」
「わ、私も……んぁっ……私も、ご主人様の事、大好き……んくっ、あ、愛してます!」
ご主人様の言葉に私も答える。
「んくっ……あぁっ、あん……あふっ、んっ、んくぅっ!」
「くっ……ぅあ……と、桃香……」
「ご主人様……ご主人様……ご主人様……」
何度も愛している人の名を呼ぶ。
呼び慣れた名前。だけど、なぜかこの場面ではしっくりと来なかった。
いつも呼んでいる名前なのに、愛している人の名前なのに……名前?
あっ……そっか……名前……
私はその違和感に気が付いた。
「んっ……か……一刀、様っ!好きです、大好きっ!……んっ!」
「んっ!?」
ご主人様の名前を呼び、抱き寄せ口付をした。
「んっ……んんっ、か、一刀様……」
「桃香……んっ……ちゅっ、んんっ……」
ご主人様も私の名を呼んでくれた。
「ひゃぁっ、は、激しい……あふっ……ぁあっ……あんっ、あっ、あっあ、ああっ、あんっ、んんっ、んぁっ」
ご主人様の動きが段々と激しくなり、私の声も徐々に激しくなっていった。
「あっ、んんっ、い、いいよ、一刀様……私、初めてなのに、気持ちが良いよぉ、あぁっ、んひっ……」
「ひゃんっ、一刀様……な、なんかくる、来ちゃうよっ、あぁっ、んっ、んんっーっ!」
私の中で何かが膨れ始めてきた。
「俺も……もうすぐ、イクよ、一緒にイこう」
「うん……うん。んぁっ、んっん、あぁんっ……んぁっ……んひっ、んあっ、んっ、んんっ!!」
何も考えられなくなる。
「か、一刀様、こ、怖い、んひっ、んあっ、なんか、怖いよぉ」
「大丈夫、大丈夫だよ。俺がそばに居るから」
「ひゃぁあっ、んあっ、あっあ、ぎゅって……ぎゅってしてて一刀様っ!んっ……ちゅぷっ、んんっ」
ご主人様は私を抱きしめて口付をしてくれた。
「んんっ……ちゅぷっ、じゅる……んっ、んっ、んっ!!」
「っ……!!」
今まで激しかった動きが抜いた瞬間、一瞬だったけど動きを止めた。
「んふっ、んっ、んぁっ、んーーーーーーーーっ!!!」
そして、ご主人様が勢い良く中に居れてきた瞬間、私は目の前が真っ白になった。
「んぁっ……ぅっ……か、ずと様……」
「はぁ、はぁ……桃香、良く頑張ったね……ちゅ」
「んっ……お腹の中が熱い……これが一刀様の……」
繋がり抱き合ったままの状態で私は自分のお腹に手を当ててみる。
まだ意識は朦朧としていたけど、とても幸福感があった。
「あっ、んんっ……んっ!」
ご主人様のモノが私の中から出ていく。
抜いていく間も、敏感になっている私の体は感じてしまっていた。
「ご主人様……」
抜けた瞬間、思わずご主人様を呼んでいた。
「桃香……呼び方戻っちゃったね」
「えっ?……あっ」
一瞬なんの事を言っているのか分からず首を傾げたが、直ぐにさっきまでご主人様をどう呼んでいたかを思い出した。
「あぅ……あ、あれは勢いといいますか……物の弾みといいますか……うぅ~~、怒ってますか?」
恥ずかしくなり思わずご主人様の胸に顔を埋めながら聞いてみた。
「ははっ、別に怒ってないよ」
「本当ですか?」
「ああ、それにちょっと嬉しかったし」
「それじゃ、また呼んでもいいですか?あっ、みんなの前では言いませんよ!恥ずかしいですから!」
「ああ、構わないよ」
「えへへ……一刀様っ♪」
私は照れながらもご主人様の名前を呼んで抱き着いた。
「ん?どうかしたか?」
「今日はこのままここで眠ってもいいですか?なんだか離れたくないです」
「ああ、俺も今日は桃香と離れたくない」
「はい♪」
そして私とご主人様は簡単に体の汗やそれ以外の物をふき取り、寝台に横になった。
「お休み、桃香……」
「お休みなさい、一刀様……ちゅ」
私はお休みの挨拶をするようにご主人様の唇に口付をした。
そして、ご主人様の温もりを感じながら目を閉じた。
お休みなさい、一刀様……そして、ありがとう……
「すー、すー」
疲れていたのか私は直ぐに意識を手放した。
そして、眠っている間も大好きな人の夢を見ていた……
《To be continued...》
葉月「誠に申し訳がないです!」
桃香「わわっ!い、いきなりどうしたんですか?」
葉月「いやね。三週間も間を開けてしまったので、謝っておこうかと」
桃香「あ~、そう言えばそうだね。どうして?」
葉月「GW中はまったくもってやる気がありませんでした!」
桃香「……えいっ♪」
葉月「どわっ!い、いきなり靖王伝家を振り下ろさないでくださいよ!てか、どこから出したんですか!」
桃香「それは、秘密だよ♪女の子には秘密がいっぱいなの♪」
葉月「可愛くいってもやってることはとんでもないですよ!」
桃香「ほらほら、それよりも、早く今回のお話のおさらいだよ♪早くしないと、また振り下ろしちゃうんだから♪」
葉月「ひぃぃいいっ!笑ってるけど、顔が笑ってない!と、兎に角、今回は如何だったでしょうか!前回の予告通りの桃香オンリーになりましたが」
桃香「えへへ~。やっとご主人様と一つになれたんだよぉ~♪」
葉月「すごくうれしそうですね」
桃香「あたりまえだよぉ。こんなに嬉しいことはないよ!」
葉月「まあ、今回も危ない所ギリギリだったりアウトだったりとしちゃってますが」
桃香「停止されないといいですね」
葉月「まあ、停止されたらその部分を削除して再掲載するだけですけどね」
桃香「う~ん。残念だけど、そうなったら仕方ないよね」
葉月「ええ。まあ、しばらくはこの手の話は書かないと思うのでその手の心配は無くなると思いますけどね」
桃香「そっか。えへへ、それにしても嬉しかったな~♪」
葉月「まあ、これでしばらくは出番は無いと思うので余韻に浸っていてください」
桃香「うん!……?えっ、ええぇえええっ!!どういうことですか!?」
葉月「それはですね、次回はまた違う人のお話ですし、それが終わればまた成都へ向けての話になりますからね。当分無いですね」
桃香「そんな~。それじゃ、次のお話は誰なんですか?」
葉月「その人はですね……」
??「ここにいるぞーっ!」
??「ふぇ、こ、声が大きいですよ」
??「え~、これくらい大きくしないと振り向いてくれないじゃん」
桃香「蒲公英ちゃんに雪華ちゃん!」
葉月「っという訳で、次は彼女たちのお話です」
桃香「うぅ、この二人なら仕方ないかな……」
葉月「誰なら許さないんですか?」
桃香「え?それは……ぱ……ひ、秘密だよ!」
葉月「いや、最初に『ぱ』が付く人って一人しかいないですよね?」
蒲公英「だよね~、ぱい」
桃香「わわわっ!しーっ!だよしーーっ!」
蒲公英「むふっ、むふっーーっ!?」
桃香「喋っちゃだめーーーっ!」
雪華「と、桃香様、それでは蒲公英さんが息が吸えないです」
桃香「え?」
蒲公英「むぐっ!……むっ……」
桃香「わわわっ!ご、ごめんね蒲公英ちゃん!」
蒲公英「ぷはーーーっ!し、死ぬかと思った……」
桃香「ご、ごめんね」
葉月「領主が配下を殺そうとした!」
桃香「そ、そんなことしないよぉ!と、兎に角!次はいつ私のお話を書いてくれるんですか?」
葉月「ん~。まあ、成都に着いてからですかね。でも、その時はまた投票しようと思っているので……読者様次第ですね」
桃香「そ、そんな~。それじゃ愛紗ちゃん達に勝ち目がないよぉ」
葉月「こればかりは私ではどうすることも」
蒲公英「なら最初から投票なんてしなければいいんじゃないの?」
葉月「ちょ!元も子も無いこと言わないでくださいよ!」
桃香「そっか……ねえ、葉月さん?」
葉月「っ!だ、ダメですよ!絶対に投票は行いますからね!」
桃香「そこを何とか!お願いします!」
葉月「だめだめ!そんなことしたら愛紗たちにだって言い寄られちゃいますから!」
桃香「だって、いつも投票で上位に居るのって愛紗ちゃんとか雪華ちゃんとかなんだよ?少しは順位が下の人を考えてほしいよ!」
葉月「それはそうですけど、みんなその人の話が読みたいから投票しているわけであって」
蒲公英「修羅場だね~♪」
雪華「た、たんぽぽさん……」
葉月「火種は蒲公英でしょ!?」
蒲公英「あはは♪たんぽぽ、知し~らない♪じゃぁね~」
雪華「ふえ!?た、蒲公英さん待ってください!そ、それじゃ葉月さん、そ、その……頑張ってください!」
葉月「ええ!?雪華まで!この状況をどうしろと!」
桃香「ねえ、どうなんですか!葉月さん!」
葉月「うぅ……そ、それじゃ、考えておきます!それで今は許してください!」
桃香「うん♪楽しみに待ってるね、忘れちゃだめだよ」
葉月「はい……っという訳で、また消されないことを祈りつつ、本日はここまでです」
桃香「それじゃ、みんな!またね~」
葉月「また宜しく~」
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三週間ぶりになります。
GW中は何もすることなくぐでぐでしちゃっていました。
さて、今回は前回の奥付でお話した桃香の話になります。
今回も前回と同様な話なので停止させられる恐れがありますが・・・
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