No.416034

ゲイムギョウ界の守護騎士

ゆきさん

ついに感動の再開のはずだったが、それはある事件によって帳消しにされた。その事件とはアイエフの携帯破損事件である。携帯が壊れたことによって精神が幼児化してしまったアイエフ。果たして、タイチはどう対処するのか!?

2012-04-29 23:46:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1535   閲覧ユーザー数:1385

第12話 アイエフ幼児化事件

 

はぁー、よりによっても外は雨です。しかも、ドシャ降り。

今現在私はネプテューヌ達のいるホテルに向かっています。普通ならば、一分もたたずにつける距離なのですが、見た目どおり火属性なので、雨に弱いんです。

何とか物陰に隠れながらも少しずつ移動しております。先程言いましたが、全力で走ったら一分でつけるという話で地道に歩いたら、1時間ぐらいかかります。

たった、今歩き始めて1時間くらいなんですけどね。

 

「元の姿に戻ってもいいのかな?......というか戻りたい。起こられてもいいや!」

 

私の体を深い闇が包んでいく。闇はすぐに消え去り全身から半端ないほどの疲労感が溢れ出た。

 

「あー、体だるいな。よしこれならばもはやオレを邪魔するやつはいない!待ってろよ、みんな!」

 

オレは気配だけを頼りにネプテューヌ達の元に走って行った。

 

雨の中走り抜けること一分

 

オレの目前には宿屋の一つの扉。なぜか、分からないけど入りにくい。

一応こうしてちゃんと会うのは久しぶりなのだから、恥ずかしいとか言うのもあるかもしれない。

そんなオレの気持ちを無視して扉は開いていく。扉から出てきたのは涙目のアイエフだった。

アイエフはオレに気づくといきなり抱きついてきた。

 

「ア、アイエフ!?ど、どうしたんだ?」

 

「携帯が、携帯が壊れちゃった!う、う、」

 

「な、泣くなよ、アイエフ。ほら、可愛い顔が.....これはこれでいいかも」

 

そんな折、扉から現れたのはネプテューヌとコンパとライカだった。

なぜか、3人とも罰の悪そうな顔をしてるなー。

.......なるほどな、オレは3人の手元にあるものを見つけ確信した。

ピンクと青と黄色の半分に折れた携帯だった。

 

「お前らが壊したのか?」

 

「えーと、違うって言えば嘘になるかな?」

 

「け、けどあれはあいちゃんも悪いと思うです」

 

「しかし、私達も悪いと思います」

 

俺は詳しい話を聞く為に部屋へと入っていった。

 

 

簡単にまとめて言わせてもらうと、アイエフが部屋の床に置いてあった携帯を部屋の中で鬼ごっこをしていたネプテューヌとコンパとライカによって踏まれ破損したらしい。

と言うか、ライカって案外子供なのかも。

 

「なるほどな。これは聞いた限りじゃ五分五分だな。まあ、明日になりゃアイエフも元の戻ってるだろう。じゃあ、オレは部屋に戻るからな」

 

「え!?タイチは一緒に寝ないの?」

 

「この前みたいに一緒に寝るです」

 

「いつも一緒に寝てたのに、ひどいです。お兄様」

 

「いや、それはまた今度っと言うことで!」

 

オレはすぐに出口に向かいネプテューヌ達の部屋の扉の横の扉に滑り込む。

隣の部屋からは先程のライカの発言に抗議の声が飛んでいた。

ここで驚きの事実発覚!いつの間にかアイエフがオレの部屋に侵入していた。

というか、なんでオレより部屋にいるの早いの?

まあ、そんなことはいいとして、今はとりあえず、風呂に入って早く寝てしまおう。

 

「タイチー、私の携帯がー!」

 

今度は涙目ではなくホントに泣いてしまった。

アイエフはそのまま俺に抱きついて離れようとしない。

 

「ア、アイエフ。オレ、今から風呂に入らなきゃいかんから、離れてくれないか?」

 

「いやだ!いやだ!私も入る!」

 

アイエフは駄々をこねる子供のようにオレにすがりつく。

いつものオレだったらここでアイエフが寝てくれるか帰ってくれるか、それまで風呂に入るのは待つが、今回は力をいろいろと使いすぎたせいでそんな余裕はない。今にも体が倒れそうなのだ。

魔王化をずっとはさすがに無理かもしれない。いいや、今日は巡り合わせが悪かっただけか。

魔王化<デモン・ディマイス>による、結界の詮索と力の引き出し。

どちらにしろ後、三回は力の引き出しはやらなきゃいけないんだよな。

だが、全身が汗でべちょべちょな状態でアイエフと寝るのわなー、さすがになー。

アイエフと風呂かあー.........この前ノワールと入ったばっかじゃねえか!

しかし、これは回避のしようがない。

 

「にいにい!......行こうよ、お風呂」

 

涙は止めたが、いまだに泣き声でオレにすがり付いてくる。

携帯が壊されたことによって精神が幼くなってしまったアイエフは胸があたってることなど気にせずにオレによりいっそう抱きついてくる。......にいにい?.......アイエフがオレのことをお兄ちゃんと呼んでいるのか?.......だが、ここは自重すべきだぞ、オレよ。

 

「アイエフ.....もう寝ようか?」

 

「にいにいがそうしたいならいいよ」

 

「よし、じゃあ、こうしてやる」

 

「にいにい?」

 

俺はすぐ近くにあったベッドにアイエフを

押し倒し覆いかぶさるようにしてアイエフの両手を押さえる。

 

「ごめんな、アイエフ」

 

「にい......」

 

これぞ、地獄の修行で手に入れた能力の<魅惑の魔眼>である。

これを発動中は俺の目を見たものは眠りに入ってしまうというあんまり使いどころのない技である。

モンスターに対してやそれなりの魔力耐性がついてるものにはくらわない。

四女神などはもちろん無理なのである。

だが、アイエフのような魔力耐性がほとんどないような人だと一撃で落とすことができる。

まさか、こんなところで役に立つとは思わなかったな。

 

「さてと、風呂に入るか」

 

オレは出来るだけ早く風呂を済ませた。

 

まさか、アイエフがにいにいとはなー。アイエフの可愛い寝顔を見ながら俺は思った。

昔は幸せなんかしらなかったもんな.........オレは昔のオレにはならない!今度は英雄として生まれ変わる為にオレは.......全ての世界を救済するんだ。

再び、同じ罪を重ねる気は全くない。しかし、オレの意思とは関係なくセフィアが俺から離れてしまったことによって、魔王の力は少しずつであるが、開放されつつある。地獄での第一の試練まではほんの少しだけあった騎士としての力と魔王の力がつりあっていたがこのままじゃ、明らかにやばい。だが、対処の使用はある。オレの魔王としての力を別の者にある力として授ける方法だ。

今日ノワールに預けた水晶がそれなのだ。しかし、こうすることはつまるところ、オレの魔王としての素質を薄める代わりに、同時に弱くなっていくと言ったメリットとデメリットがある。

しかし、オレには地獄で身に付けた炎の変身能力がある。.........今は考えても無駄だな。

 

「明日からはしっかりしてくれよ、アイエフ。........おやすみ」

 

こうして、オレは深い眠りについた。


 
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