No.414455 ゲイム業界へようこそ!その49くろとじるさん 2012-04-26 20:03:39 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1782 閲覧ユーザー数:1714 |
(あんた達一体なにやってるんすか!?)
俺が呆然としている間にも二人は淡々と進行役の人と話を進めていた。会場内も遂に決勝戦ということもあって恐ろしい程にざわついている。今この瞬間にも爆発してしまいそうな空気がここには漂っていた。
二人についての説明だが、方や一人はこの騒然とする会場の中、落ち着きを払っており周りに乱されることなく悠々と話していた。美しく流れる金髪をなびかせ、バストやヒップをこれでもかと主張し、女性として均等と取れたその彼女の姿に目を奪われない者はいなかった。
方やもう一人は、会場の空気にやや緊張しているようだったが、それでもこの後行われる死闘に期待を膨らませ、彼女の大きな瞳からは絶対に勝利するという強い意志が見られた。赤を主体とした服装に竜の装飾品、特徴的な髪型に小柄ながらもそれに反する大きめなバスト、それらを伴った彼女の姿は前者に語った女性にも負けず劣らず充分に魅力的である。
(ベールにREDちゃん…。)
そう、それが彼女達の名前である。
………………
多くの歓声の中、遂に時間となりベールとREDの二人が筐体のある場所に移動し着席をした。まず始めにそれぞれが使用するプレイキャラクターを選択する。観客側の席にいる俺からは眼前にある巨大モニターからゲームのプレイ画面を確認することが出来た。二人ともプレイキャラクターはもちろん決まっており、慣れた手つきでキャラクターを選択する。方やベールはこの格闘ゲームのメインキャラの一人である「ソル・バッドガイ」を選択、火の法力を高める役割を担う神器「封炎剣」を使用し、対戦相手を焼き払っていき癖があるが攻めの流れを掴めばとても強いキャラクターの一人だ。対してREDちゃんはというと「ファウスト」を選択、282センチという恐ろしい程の長身とそれに見合った長いメスを使用して、広範囲の攻撃とトリッキーな技を繰り出して相手を翻弄する中々にコアなキャラクターだ。
『二人とも共にプレイキャラを決定!さぁ遂にバトルが………今始まったぁあああ!!!』
「レッツロック!」という開始と同時に二人は使用するキャラクターの保有する技の当たり判定を巧みに扱い、間合いを計りながら相手を牽制していく。この格闘ゲーム「ギルティ・ギア」は性質上とてもコマンド技の連携が取りやすく容易にコンボが決まりやすいのだ。最初にヒットしたダメージの小さいパンチやキックでもそれが必殺技へと繋がりそれが結果的に大きなダメージになってしまう。その理由をもちろん知っている二人は牽制に牽制を重ねて、また最高のタイミングで相手へ踏み込もうと一つ一つのキャラクターの動作を食い入るように集中して観察していた。
(というかウマッ!?なに、どうやったらそんな動かし方出来るんだよ!!)
流石は格闘ゲーム決勝戦と言ったところか、二人共恐ろしい程までの僅かな距離で牽制、衝突を繰り返す。それはまるでこの小さな空間の中でキャラクター同士で演舞を舞っているかのようにさえ感じてしまうのだ。その光景に俺を含めた観客全員が興奮し食い入るように巨大モニターの方を見つめていた。
試合は順調に進んでいく。一戦目はファウストを使用するREDが勝利、キャラクターの持つ独特の動きに着いていけず後一歩のところでベールが敗北したようだ。逆に二戦目はソルを使用したベールの勝利、一戦目で何かを掴んだのか序盤から終始ベールが主導権を掴み、REDに見せ場すら与えず最後の最後まで圧倒してみせた。そして今、遂にラストバトルとなる三戦目へ突入する。
有利なまずベールで間違いないだろう、理由は二戦目で既に相手の動きを読み切り完全に流れを持っていったからだ。三戦目でもそのまま主導権を得てREDを追い詰めていくだろう。逆にREDが彼女に勝つためにはこの流れを崩せる程の新しい立ち回りを見せるしか他無い、三戦目は最終戦だけにより熾烈な戦いになるだろう。
そして息つく暇もなく三戦目が開始される。ベールはスタートと同時に壁際にREDを追い詰めていき、逃げ場を減らしていく。対してREDは防御を固め逃げ腰になりながらも、相手から離れキャラクターの持つ広範囲の攻撃で牽制を試みていた。
(なんとなくだけど……ベール頑張れ~~!!)
俺の心の応援は無関係だろうが、予想通りベールが流れを掴んでいた。REDの些細な反撃一つ許そうとしない、恐ろしい程の一方的な試合展開。試合は終盤へと差し掛かっていき、司会者、観客みな共にボルテージが最高潮に達していた。
ここで遂にベール決め手となる一撃が決まってしまった。防御不可の掴み技である。この技が決まると必ず一定時間相手キャラクターは無防備な状態になってしまう。本当に極僅かな時間であるが決勝戦まで勝ち上がってきたベールがその時間を無駄に扱うわけも無い。強烈なコンボが決まっていった。
『ハコマルがぁ!!!捕まえてぇぇ!!!ハコマルがぁ!画面端ぃぃっ!!!!バースト読んでぇぇっ!!!まだ入るぅぅ!!ハコマルがぁっ!!!!…つっ近づいてぇっ!!!ハコマルがぁ決めたぁぁーっ!!!!』
「「「「ウオオオオオオオオオオオッ!!!」」」」
………………
「そこよ!!たぁあああ!!」
「ガァアアアアアア!!」
「お茶が旨いですねぇ~。」
正義のヒーロー、日本一は未だ巨大なモンスターと戦闘を行っていた。理由は一つ、背後で怯えているであろう年端もいかぬ小さな少女を守る為。正義の名の下に日本一は一歩も引かずにモンスターへ立ち向かうのだ。
「真空熱風掌!ダイナミック・斬!!おまけの疾風迅雷よ!!!!」
「グルルル……。グギャアアアア!!」
「くっ…、あれだけ攻撃したのにまだ反撃する力が残ってるなんて…!強い…!」
「ギャァアアッ!!」
「これは私の必殺技、ジャスティスキックを決めるしか手段はなさそうね…。」
「ほぉああ~、日差しが暖かくて眠たくなってきました…。ですがこんな不衛生な場所で寝るわけにもいかなし…、これは早急に近くの街に行かなきゃ♪」
実際のところモンスターに怯えているだろうと予想された少女、カルナという女の子は日本一の後ろであくびをしながら眠たそうにしていた。それはまるで眼前で戦闘を行っている日本一とモンスターのことなど大して興味を持っていないかのように。一方そのカルナを背にして日本一は自身の持つ必殺技・ジャスティスキックを決める為、目を閉じて気を溜めていた。彼女の体の周りを赤いオーラが包みこみ、分散していた力を一つに集約していく。対してモンスターは日本一の膨大な気を察したのだろうか、一歩引いた位置に下がり彼女を迎え撃とうと構える。彼女とモンスターの動きから、次の一度の衝突で勝敗が決することが予想された。
「いくぞぉ!正義のヒーローの必殺技!」
閉じていた目を大きく開き、それと同時に跳躍する日本一。日本一に反応して眩い光が彼女を包み込んでいく。そしてその後頂点に達したであろう彼女はモンスターに向かってもの凄いスピードの突撃を開始した。それはまるで誰にも阻むことは出来ない一発の弾丸の如く。
「ジャスティス・キィイイイ~~「さてと……カルナちゃんびーーーむ♪」…って、ちょ、まっ……キャーーーー!!!」
ちゅどぉーーーーん。
………………
「へぇ~あなたカルナっていうのね、とても良い名前だわ!」
「やっぱり日本一さんもそう思いますか~、良かった~~この名前にして♪」
「(この名前にして?)」
「ところで日本一さん?」
「あ、うん?どうしたのカルナちゃん?」
「私達今のどこの街に向かっているのでしょうか?」
ダンジョンの出口から抜け出した日本一とカルナ、この二人は現在カルナの要望によって一番の近くの街へと向かっていた。ちなみに先ほど遭遇したモンスター戦ではカルナの攻撃によって無事に?倒すことが出来た。その攻撃のおかげで現在日本一の体の所々が焦げたり煤けていたりもするのだが、そこはまぁご愛嬌である。
自己紹介を済ませ、女の子同士で会話を弾ませ、そして現在に至る。
「私達が向かっている街はリーンボックスよ。カルナちゃんは初めて?」
「はい!街に行くのは初めてなのでとっても楽しみです!!」
「へぇ~、そっか。(街に行くのが初めて?どういうことなの、ダンジョンの中だけで今まで暮らしてきたとか?いやいや、さすがにそれは…。もしくは神界暮らしの女神様で今回偶然にもこのダンジョンに降りてきたとか?この推測もどうかと思うけどなぁ…、まさかこんなに小さな女の子が女神様なわけないだろうし…。)」
日本一はカルナの言動に疑問を抱いていた。今の隣を歩く女の子は少し発言がおかしい、頭で考える前に先に体を動かすタイプの彼女でさえそう感じてしまうのだ。そもそもカルナは何故あのような凶悪なモンスターが出現するダンジョンの中に一人でいたのか?問題が問題を生んでいき、日本一を次から次へと混乱させていく。
「あの~大丈夫ですか?難しい顔してるみたいですけど…。」
「えっ?あっ、あぁ~大丈夫よ、ちょっとだけ考え事してただけ。っと…そろそろ街が見えてくる頃だわ。(とりあえずしばらくは彼女の付き添ってみよう。そして彼女に何か困難な壁が立ち塞がったのであれば私がその壁を打ち砕く!そう、それがヒーローってものだから!!)」
「わぁ~もう着くんですね、凄く楽しみです♪(煉君待っててね、あなたの女神様カルナちゃんが今会いに行きますよ~♪)」
二人はそれぞれの思惑を持って眼前に見えてきた街へと向かう。果たして日本一がカルナに、カルナが日本一に、どのような影響を及ぼすのか…。もはやそれは神すらも予想出来ない。
これが二人の初めての会合である。
一方、とあるアニメエイトににて
パキッ☆
「え?なに、ウソ!?俺のマイフェイバリット武器、ツインダガー改が急に折れたんですけど!!」
「誰かに噂されてたのかもな~。」
「武器が折れるレベルの噂って凄く怖いんですけど!?しかも妙な寒気すら感じるし!!寒い!寒いYO!!」
「こういう時はあれだな!『もっとお米食べ…』じゃなく『もっと熱くなれよ!!!』」
「それで熱くなれれば苦労しねぇ!!」
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「てめぇは俺は怒らせた……かもしれない。」