No.414439

ゲイム業界へようこそ!その44

リーンボックス編すたーとです^^

2012-04-26 19:45:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1805   閲覧ユーザー数:1718

 

ふと気付いたら既にリーンボックスの接岸場に立っていた。途中に短いダンジョンを通ってきたようだが、いまいち思い出せない。淡々と進んでいるうちにいつの間にかリーンボックスの大陸にたどり着いていたのだ。俺がこんな現状になっているのは極めて容易な理由からである。

 

 

ラステイションにてノワールとの別れ際、頬にキスされたこと……このイベントが現在俺をぼんやりとさせている理由。初めての女性からキス、今でもその感触が思い出せてしまう。全く予想が付かなかったよ…、ノワールとは良き仲間でありクエストや買い物へ一緒に行く友達以上恋人未満のような関係、まぁ言ってしまえば確かに俺の方は少なからず彼女へ好意を抱いていたのだが、まさかノワールの方が俺へそこまでの好意を持ってくれているとは思いもしなかった。いや、彼女が好意を持ってると思うのは俺の主観なのだが、しかしキスされたのだぞ?好意を持っている以外で他に何があるっていうのだ!

 

 

前世で女性とのイベントが限りなく皆無だった俺にとって今回のような事件は幾分刺激が強すぎた。もう頬が緩みっぱなしで、ニヤニヤが止まらない。はぁ~早くノワールとまた会いたいなぁ。

 

 

 

 

そんなこんなでリーンボックスの街に到着。町並みを見渡してみればそこには洋風の建物が立ち並び、ラステイションとは違った趣きのある街並みがとても印象的だった。また自然が多く空気も美味しい、当初思っていた通り住みやすそうな大陸である。

 

 

さて、気持ちを引き締め街探索を始めるとするとしよう。リーンボックスに来たはいいものの、協会やクエストを受けれる店舗、宿屋などの場所を何一つ把握出来ていない。時間はまだ昼前、今からゆっくりと探索しても時間は充分に有り余る。焦らずにリーンボックスの街並みを見て回ろう。

 

 

 

第一に探した場所はもちろん宿屋。リーンボックスにいる間はおそらく継続的にお世話になるであろう施設だし、何より今日から使用するだろうから、一番知っておかなければならない場所なのである。もし遅くなってから店を訪ねて、空き部屋が無いとか言われたら堪ったものじゃない、野宿とかほんと勘弁願いたいからな。

 

宿屋は思っていた以上に直ぐに見つけることが出来た。何せ街に入って直ぐの建物が宿屋だったからである、なんて都合の良い。

 

建物の外観はリーンボックスに建築されてあるだけあって中々に風情なもので、どことなく緑色を基調としているようだ。さっそく店内へ入ると、向かって左側にカウンターがあり、店員らしき女性が座って読書をしていた。その様子を見るにこの店にはあまり客が来ていないのだろうか?せっかく来たのだし俺は話しかけてみることにした。

 

 

話してみると女性はやはり店員だったようで、この時間帯に客が来ることはあまり無いらしく、普段から先ほどのように読書などして時間を潰しているらしい。更に深く聞いてみると客が来る時間帯は夕方頃からで、滅多なことが無い限り部屋が全て埋まることは無いと言われた。

 

 

せっかく訪れたのだ、部屋の予約でもしておこうと思い店員に尋ねると、一人用と複数用の部屋があるがどちらにするか聞かれた。もちろん俺は一人用を選択、別に連れがいるわけでも無いし、広すぎてもただ寂しいだけだ。代金先払いのみ部屋の予約可能と言われて、こちらも別段問題もなかったので快く了承した。気になる料金だが、どうやら自身のレベルによって変動するようなのだ。詳しく説明すれば一人につきレベル×30の値段、これが一泊二日の料金らしい。ここで俺はステータスを開いて確認してみることにした。

 

 

 

  井上 煉 レベル20

 

  7130クレジット

   

  HP790  AP68

 

  武器 ツインダガー改

 

  

 

レベルは20、よって宿泊料金は20×30=600クレジットという計算になる。確かに一人でこの値段なら妥当なところか、金銭的にも特に問題ないし。俺は600クレジットを店員に支払い、店員は支払い金額の確認が取れると部屋の鍵を渡してくれた。基本的にいつでも店は開いているのだが、夜10時から朝4時の間は正面入り口を閉めてしまうので、もしその時間帯に店に入りたいのならば、裏口から入るようと店員に追加で教えられた。まぁそこまで遅く戻って来ることは無いだろう、心配することではないな。

 

 

俺は部屋の鍵を受け取り、そのまま宿屋を後にした。さて、次は…協会へでも行くとしますか。

 

 

協会へは道行く人に聞きながら向かった。皆とっても親切に教えてくれて多少道に迷ったりはしたが、それでも宿屋から約15分程度で目的の協会にたどり着けた。おそらく道に慣れれば10分も掛からないだろう距離、遠い場所じゃなくて良かった。

 

協会の場所を把握出来た俺は建物の中に入ることもせず次の目的地に向かうことに。理由は二つ、一つは外から見た協会の様式がラステイションと同じで、多分内装も同じだろうから、もう一つは運が悪いとグリーンハートと接触する可能性があるからである。確かにグリーンハートとは一度会っておきたいと思うのだが、何もリーンボックスに来た今日この日に会う必要は全く無い。もう少し身の周りが落ち着いてからの遭遇の方がいいだろう。俺は協会を後にして、クエストを受けられる店舗探しへと向かった。

 

 

 

…結果として目的の場所は見つかった。大型店を2つ、小型店を4つ発見出来た。

 

小型店の説明はどうせ行かないだろうし省くとして、大型店の2つの説明である。一方は皆さんご存知アニメエイト、伊達にラステイションでも経営していないと言ったところか。さて、もう一方の大型店の方なんだが………「ゲイ・マーズ」、何かがオカシイ……。とりあえず前世の「ゲーマーズ」からもじったというのは簡単に理解出来るのだが、何故「ゲイ」と「マーズ」の間に「・」を入れた!?「ゲイマーズ」であれば俺もそこまで変には思わなかったんだぞ!本来なら可愛い猫耳の女の子が店員として受け付けしてくれる良い店だと思うはずなのに、「ゲイ・マーズ」という名前のせいで、ある、一人の、奇妙で、恐ろしい男性が思い浮かべてしまうのだ。

 

 

 

 

 

(やらないか?)

 

 

 

 

「俺はノンケに興味はねぇえええええええ!!」

 

 

 

俺はわき目も振らず駆け出していた、周りの視線なんてお構いなしに。何故か怖かったんだ…、もしあの場に留まっていたならば、俺の歩むべき道が大きく変わっていた気がしたから…。

 

 

 

 

 

俺は必死に走り続けること数分、幾らか落ち着いてきたのもあって、そろそろ立ち止まろうかと考えていた丁度その時、横から歩いて来た小さな女の子と衝突してしまった。お互いぶつかった衝撃で地面へと倒れこむ形となる、しかしながらそれは周りから見ると非常に危ない形であって……。

 

 

 

「い、痛いんですの…。」


 
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