No.408802

ACE学園 第14話『夏と言えばやっぱり海』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-15 10:44:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:862   閲覧ユーザー数:858

幾多ある次元世界……その全てに国が存在しているわけではない。廃墟のような世界もあればモンスターで溢れかえっている世界もある。

 

今回、舞台となるのはリゾート地として有名な無人世界カルナージ。そこの海に、高等部の2-Cに所属する生徒達を始めとするACE学園の関係者が遊びに来ていた。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「良い景色だね」

 

 

右手に鞄を持った士樹が青空を見上げながら言う。その隣では、テントを設置していた土見稟がキョロキョロしていた。

 

 

「どうしたの、稟?」

 

「いや、辺りから親衛隊がボソンジャンプしたりしてこないかと思ってな……」

 

「それなら問題ない。奴らにはセシル先生達が料理を振る舞うよう手配した。今頃、生死の境をさまよっているだろう」

 

「さすがは、黒の皇子。やることがえげつない」

 

「御愁傷様だな」

 

 

シートを固定するための釘を打っていたルルーシュがさらっととんでもないことを言うが、レイは普通に応え、稟は苦笑いする。

 

 

「よし、これで終わりだな」

 

「テントももう終わりだよ。ところで、女子の着替えはあとどれくらいかかる?」

 

 

鞄に不要な荷物をなおしている士樹の質問に対し、ルルーシュは後ろを指でさした。士樹が振り返ると、電光石火のごとき速さでトロピカルなビキニのヴィヴィオがレイに抱きついた。

 

 

「ちょっ!! 危ないだろ!!」

 

「だって、一刻も早くレイに水着姿を見てもらいたかったんだもん」

 

 

レイは怒るが、上目遣いで甘えてくるヴィヴィオの胸元に意識がいってしまっているため、あまり怒気はこめられていない。

 

 

「その体勢じゃあなたの水着はよく見えないわよ」

 

 

白いワンピースに身を包んだ奏が音無と共に現れ、さりげなく指摘する。ヴィヴィオは素直に従い、レイから離れる。

 

 

「他の皆は……もう来たみたいだね」

 

 

更衣室の方から歩いてきたアインハルトはライトグリーンの水着にクリアグリーンのパレオを装着していた。その水着は、大きい胸を強調するだけでなく清楚さを感じさせていた。

 

 

「士樹、どうですか?」

 

「似合っているよ、アインハルト」

 

 

出来るだけ平然を装ってアインハルトは尋ねる。士樹は全身を見渡し、パレオと胸に視線を奪われながらも応える。

 

 

「もう……どこを見ているんですか?」

 

「ごめん、君があまりにも綺麗だから見とれていたんだよ」

 

 

士樹とアインハルト以外のペアも水着が似合っているかどうかで論議が成されているが、稟は彼女側にペースを持っていかれている。

 

 

「せっかくですし、ボートでも借りませんか?」

 

「いや、この際だ。アクエリアスチェイサーを使おう。あれは、水中にも対応出来ることを知っているよね」

 

「でも、ここにアレは……そう言えばどこにでも転移しますよね」

 

「そういうこと」

 

 

士樹ががタクシーを呼ぶかのように右手を上げると、時空の壁を越えて愛機がやってきて、変型を開始した。タイヤが水平に倒れ、ゴムボートを連想させるパーツが装着されることにより水上・水中航行用のサブマリンモードへと変型した。

 

 

「乗って」

 

「はい」

 

 

士樹がバイクの前に乗り、アインハルトが士樹に抱きつく形で搭乗した。

 

 

「しっかりつかまっていてね」

 

「分かってますよ」

 

 

士樹はペダルを踏み、バイクは海上を走りだした。バイクの通行によって激しい水しぶきが発生し、2人に降り注ぐ。他の観光客や障害物に注意しながら海上を走行していった。

 

 

「水しぶきが気持ちいいですね」

 

「あ、ああ(僕の場合は、それ+背中に当たっている2つの感触が当たっているけどね)」

 

 

士樹はブイを通り越した辺りで海岸との距離を確認するためにいったん停止する。

 

 

「バイクだとここまであっという間ですね」

 

「これから海の中を見ようと思うんだけど、どうする?」

 

「ぜひお願いします」

 

「了解。じゃあ、これを着けて」

 

 

士樹はアインハルトに口にくわえるタイプの小型酸素ボンベを渡し、自身も装着してバンドの長さを調整する。装着した後、士樹はバイクを海の中へと潜らせた。

 

 

“キレイですね”

 

“なんでこうも海の中は幻想的なのかな?”

 

“生命の海とも言いますし、普段は人がいないからじゃないでしょうか?”

 

“そうだね”

 

 

水中のため、士樹とアインハルトは念話で会話していた。青い海の中を太陽の光が通り、たくさんの魚が泳いでいる光景は2人の心を虜にするのに十分だった。

 

 

“見てください、士樹。あっちに珊瑚がありますよ”

 

“本当だ。傷つけないように気をつけないと”

 

 

背中に張りついたアインハルトが指をさした方向を見て、士樹は近づきすぎないよう慎重にハンドルを操作する。海中旅行を楽しんでいると、深い溝や穴が見えた。

 

 

“あまり潜りすぎると大変だね。いったん上がるよ”

 

“そうですね。そろそろお昼ご飯の時間ですし海岸まで戻りましょう”

 

 

士樹は車体を上に傾け、ゆっくりと上昇してから海岸の方に戻っていった。すると、陣地として使っているエリアが慌ただしくなっていた。

 

 

「何かあったのでしょうか?」

 

「さあ?」

 

 

首を傾げる2人を見つけたレイが近寄ってきた。

 

 

「士樹、神王が食料の大半を1人で食いやがった!! 今から、手分けして食料を探しに行くぞ!!」

 

「……何をしているんだ、あの2人?」

 

「シアさんが確実にしばきあげているでしょうね」

 

 

今ごろ1週間メシ抜きを宣告されているであろう大の男を思い浮かべながら士樹はもう1度アクエリアスチェイサーにまたがった。

 

 

「仕方ない、もう1回海中デートをしよう」

 

「未熟ながらも全力を尽くさせていただきます」

 

「OK」

 

アインハルトがレイからモリを受け取って再びバイクに搭乗したのを確認した後、士樹は本日2度目の海中旅行へと繰り出した。

 

 


 
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