第10話『探索者A/2人のS』
「くそっ!! あんな化け物みたいな奴らがいるなんて聞いていないぞ!!」
壊滅状態にある部下たちを見捨てる形で海の中を泳いで逃走しているソーシャークがぼやいた。
「愚痴を言っても仕方ない。いったん合流ポイントまで下がるか」
ソーシャークがしばらく泳ぐと、切り立った崖がある海岸近くに潜水艦が見えた。その周辺には、見張りのソルジャーAが数体見えた。
「あれが合流ポイントだな!」
ソーシャークは陸に上がり、ソルジャーAに近づいた。
「隊長!」
「作戦は失敗だ!! 一度撤退す――」
「熱源接近! ミサイルが3つです!!」
部下の報告にソーシャークが反応する間もなくミサイルは次々と潜水艦に着弾し、爆発させた。
「いったいどこから攻撃された!!??」
「隊長、右を見てください!!」
ソーシャークが右を見ると、ミサイルランチャー[ギガント]を構えたゲイザーとダブルCJがバイクで向かってくるのが見えた。ゲイザーは照準をソーシャーク達に変え、再度ギガントが火を吹いた。
「くっ!!」
ソーシャークはミサイルをなんとか避けるが、後ろにいたソルジャーA達は爆発に巻き込まれ、更なる爆発を起こした。
「意外とあっけないな」
「いきなりギガントを全弾ぶちこんどいてよく言うぜ」
バイクから降りたゲイザーはライドブッカーⅡ・Sモードを構え、ダブルCJと共に攻撃を仕掛けた。
「このっ!!」
ダブルCJは右ストレートをソーシャークに決めるが、ソーシャークだけでなくダブルもダメージを受けた。
「いってえ。なんだ、こいつの体は?」
【奴はノコギリザメの記憶を元に改造されている。奴を殴るのは、やすりを殴るのと同じだ】
右手を振るダブルに対し、ソーシャークが鼻で笑う。
「なら、これでどうだ!?」
ゲイザーがライドブッカーⅡで袈裟に斬りかかる。ソーシャークもノコギリ状の剣で応戦する。つばぜり合いになるが、ソーシャークが強引にパワーで押し切り、切り裂いた。
「パワーもあるか。近接型にはとことんやりにくい相手だな……」
【距離を詰めるのは危険だ。2人共、棒で戦うんだ】
「分かったぜ、フィリップ」
「棒術はあまり自信がないが、仕方ない」
ゲイザーはカードを取り出し、ダブルも2本のメモリを取り出した。
《KAMEN RIDE:KUUGA》
《FORM RIDE:KUUGA DRAGON》
《HEAT・METAL》
ゲイザーはGクウガ・ドラゴンにダブルはHMにフォームチェンジした。Gクウガ・ドラゴンはそこら辺の流木をドラゴンロッドに変化させ、軽く振り回して感触を確かめた。
「翔兄、初撃は頼むよ!!」
「了解した」
「いつまでも待たせるな!!」
ソーシャークが斬りかかってくるが、Gクウガ・ドラゴンは回避してダブルHMはメタルシャフトで受け止める。
「くっ!!」
「このまま切り刻んでやる!!」
「そうはいかない!!」
Gクウガ・ドラゴンがドラゴンロッドでソーシャークの足を引っかけ、転ばせる。
「小癪な!!!」
「後ろががら空きだ!!」
ソーシャークは素早く立ち上がり、Gクウガ・ドラゴンに攻撃しようとするが、ダブルHMが背後から痛恨の一撃を決める。
「はい、隙あり」
Gクウガ・ドラゴンはたたらを踏んでいるソーシャークを再び転ばせ、剣を遠くへ弾き飛ばす。ダブルHMはメタルシャフトをソーシャークの首元に突きつけた。
「もう勝負は決まった。投降しな」
「ここまでか……」
ソーシャークが目の前の現実を受け入れようとすると、周辺に黒い霧が発生した。その後、鞭がしなるような音がしてソーシャークが引きずられた。
「大丈夫か、ソーシャーク!!?」
「助かったぞ、スクウィッド」
(スクウィッド……イカ型の怪人か)
【霧で視覚を奪うのか。厄介だね】
Gクウガ・ドラゴンが敵の正体を推測し、フィリップが苦い顔をする。
「戦えるか、ソーシャーク?」
「武器は無くなったが問題ない」
「まずい!! ひとまず霧の外に出るぞ!!」
「させるか!!」
ダブルHMとGクウガ・ドラゴンは脱出しようとするが、スクウィッドフォルスが槍で2人に突きを入れる。
「さっきの仕返しだ!!」
ソーシャークが霧の中に突っ込み、ダブルHMに飛び蹴りを決める。
「翔兄!!」
「よそ見している暇はないぞ!!」
スクウィッドが槍でなぎ払いと突きを絡めたGクウガ・ドラゴンを攻撃しようとするが、Gクウガは剣士としての勘でなんとかさばいていく。
「ちぃっ、なかなかしぶといな!!」
(このままじゃジリ貧だ!! 今は、気配でなんとかできているが……気配? そうだ!?)
Gクウガ・ドラゴンは自慢の跳躍力で霧の中から脱出し、崖の上に着地する。
「これなら敵の姿が見えなくても問題ない」
《FORM RIDE:KUUGA PEGASAS》
Gクウガ・ドラゴンは狙撃を得意とする緑のペガサスフォームに姿を変え、流木となったドラゴンロッドを捨て、ペガサスボウガンを構えた。敵は警戒して黒い霧を増やすが、五感が鋭く研ぎ澄まされているGクウガ・ペガサスが相手では全く意味をなさない。Gクウガ・ペガサスは集中力を最大限発揮し、わずかな動き、呼吸の音、空気の乱れを感知し続ける。スクウィッドの動きを察知した刹那、Gクウガ・ペガサスは引き金を引き絞り、圧縮空気の弾丸がスクウィッドの額を貫いた。
「ばか……な……」
スクウィッドは爆発し、霧を吹き飛ばした。
「スクウィッド!?」
「こっちもとどめだ!!」
《METAL:MAXIMUM DRIVE》
ダブルHMは両端から炎が吹き出すメタルシャフトを振り回し、勢いをつけながらソーシャークに駆け寄る。
「【メタルブランディング】」
ダブルHMが放った灼熱の一撃は動揺していたソーシャークの命を確実に刈り取った。
「こんなに騒がしい戦いは、ミュージアムとの戦い依頼だな」
ダブルHMは変身を解除しながら漏らした。
「そうだな」
崖の上にいたはずの刹那が何気なく翔太郎の側にいた。
「お前!? いつの間にこっちへ来たんだ!?」
「ガードスキルを使った」
『つくづく常識外の存在だね、君は』
フィリップがメモリガジェットのスタッグフォンを介して2人の会話に入ってきた。
「それは置いといてひとまず戻るよ。皆、心配しているだろうし」
「だな。向こうのカオスが収まったかどうか確認も必要だしな」
刹那はバイクを回収しながらふと思案した。
(なぜアロガンスは数ある港の中でもこの港を襲って来たんだ? 神族や魔族なら他の港にも大勢いるだろうに)
刹那は疑問に思いながらもゲイズチェイサ―に跨り、イカロス達の所に戻った。
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[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305
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