No.395604

迷子の果てに何を見る 第五十六話

ユキアンさん

この教祖を見ているとあのジジイのことを思い出します。
目障りですね。潰しましょうか。
まあ、気が楽で良いんですけどねえ、ここは。
隠居生活にはぴったりですね。
byアリス

2012-03-21 08:17:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2866   閲覧ユーザー数:2712

ある日の休日

 

 

side リーネ

 

 

零樹達が麻帆良を離れてから早1週間が過ぎた。

あの後、結界が全て解呪し終わると同時にあれは学園側の治癒術士に治療を施された。今回は普通の怪我なのでお父様が出る幕も無く完璧に治療された。その後、事情聴取の為に学園長室に来る様に言われるもこれを拒否、というより学園側に魔法関係の指示を聞く必要がなく強行すれば逆に訴える事も出来る為完全に無視をする。その事に対して怒りを露にした魔法先生の一派が何をトチ狂ったか女子寮に襲撃をかけようとした所をタカミチに制圧されオコジョ刑となった。これにより学園長の戦力が更に低下する事に。

 

 

 

 

零樹達は学園の方に休学届けを出しておいたのであまり問題は無く、魔法関係でも表向きには賞金を賭けられる様な自体にはなっていない。もちろんMMの裏では賞金を賭けられているでしょうけど問題は無いと言っても過言ではない。現在は中国にいるみたいなんだけど、お土産というか研究対象らしきものが送られて来た。見た目はただの桃なんだけど明らかに普通とは違う感じがする桃。魔力でも気でも咸卦でもないオーラの様なものを感じさせる桃の取り扱いに悩んだ結果

 

「「「「いただきます」」」」

 

ろくに調べもせずに食べる事に。

 

「これは」

 

「まずい、吐き出しなさい」

 

別に味が悪いという訳ではなく、むしろおいしいと言える物だったのだけれども主成分がアルコールだという事に私と刹那が気付き、アルコールに強くない木乃香が暴走、刹那がそれに巻き込まれ桃を一気に食べさせられダウン。チウちゃんも酔いがすぐに回り寝てしまう。木乃香は残っている桃を食べながら私に絡み続け、面倒になり気絶させてから茶々丸と共に各自をベッドに寝かせた後、残っている桃を保管する事に。

翌日、全員が二日酔いにならずにいる事から桃が仙桃であると判断する。あの子達は一体何をしているのやら。

 

 

 

 

さて、今回の事件を引き起こしたあのガキだけど、とうとう3-Aの担任から副担任に降格、タカミチが担任に昇格ということになった。これはかねてよりの独断専行及び魔法の秘匿に関しての厳しい教育が必要と判断したぬらりひょんの指示らしい。元から求心力もほとんど無かったから委員長以外からは不満も上がらなかった。副担任に降格した事で生まれた時間をその教育に当てる事で少しでも『立派な魔法使い』になれる様に教育するらしい。まあ、あれの未来は既に確定しているんだけれどね。それからタカミチが空いている時間に戦い方を教えているみたいだけれどその戦い方に納得できないのかぬらりひょん派の魔法使いに戦い方を教わっているらしい。本当におばかさんね。この学園でお父様達以外で一番戦闘経験があるのはタカミチなのに。他の魔法先生達は精々ここにちょっかいをかけてくる低級の妖怪位なのにそんな奴らが戦闘法を語れる訳が無いでしょうが。タカミチに教えてもらっていれば、基本である瞬動、虚空瞬動、戦いの歌、気の運用法、接近戦、場合によっては咸卦法まで習得できるはず。これがMMの魔法使いならたぶん、現在使用できる魔法の確認から始まり、新しい中級または上級呪文の習得、『立派な魔法使い』としての心得、みたいなことを教えられるのでしょうね。どうでもいいけど。

 

 

 

 

 

「それにしても暇ね。杏仁豆腐お代わり」

 

「やれやれ、人を呼び出しておいてそれは無いだろう。こっちもあんみつ」

 

「それはいいケド、食べ過ぎじゃナイカ」

 

今日は日曜日、チウちゃんはパソコンのパーツやら衣装の生地等を買いに秋葉原へ、茶々丸はオーバーホールの為に工学部へ、刹那と木乃香は昨日から図書館探検部の活動に出ている為いない。いつもならアリスか零樹で遊ぶが二人は中国の方にいる。よって暇なので真名を呼び出して超の店で杏仁豆腐を食べている。

 

「私、いくら食べても太らない体質なの」

 

「私は運動するから問題ないな」

 

「はい、お待たせネ~。リーネさんが羨ましいヨ」

 

「正確に言えば燃費が悪いのよ。普通に生活する分には普通で良いんだけど、ちょっと訓練とかするとすぐに燃料切れになるのよ。おかげで高カロリーの携帯食を作成する羽目になったんだから。最もそれの開発のお陰でお金が大量に転がり込んで来たんだけどね」

 

高カロリーな上に安く、栄養バランスも取れている事から売り込んでみたらあっという間にヒット商品に。おかげで一般生活に置いてお金に困る事は無くなった。

 

「それよりも最近研究も訓練も、全部が行き詰まってる感じなんだけど、どうすれば良いと思う」

 

「そう言われても私よりも遥か先にいるリーネに対して何を言えと言うんだい」

 

「とりあえず気分転換でもしてぼーっとしてると天啓が降りてくるってお父様が言ったからこうしてるんだけど。どうもその天啓が降りてこないのよ」

 

「ふむ、なら気分転換に佐久間で遊んでみれば良いのでは」

 

「あいつ、今は研究の最終段階で地下に籠ってるみたいなのよ」

 

「何を研究してるんだい」

 

「今まで以上に高度な疑似知的生命体の創造というお題目で予算やら資材を手に入れて、ケモノ耳っ娘のメイドを作ってるわ」

 

「……超、おかわり」

 

「聞いておいて流さないでよ」

 

「いや、どう返せと」

 

「まあ、巫山戯ているけど性能自体は凄いわよ。気も魔力も使えて基礎身体能力もライダー並みで家事能力は茶々丸並み。コストはちょっと割高らしいけど」

 

「家事能力は趣味なのか」

 

「趣味でしょうね。何が良いのか理解に苦しむけど。ちなみにそれが終わったら今度は悪魔と天使についての研究をするとか言ってたわね」

 

「どんな事をするのか興味深くはあるね」

 

「どうせしょうもない企みはあるでしょうけどね。あいつ、どこかに頭のネジを一本落として来たんじゃないでしょうね」

 

「だとすると零樹を庇った時に外れたんじゃないかい。彼、その時に三途の川の手前で変な形の鎌を持った巨乳の橋渡しに会った事があるとか言っていたが」

 

「ああ、修学旅行の時にそんな事言ってたわね。鶴子姉さんにやられて世間話をしてたらロリッ娘閻魔様に説教されて帰って来たとか」

 

「……閻魔がロリッ娘か、その手の人種なら喜んであの世に逝くんだろうな」

 

「そうね」

 

ああ、暇だ。

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

side 刹那

 

 

「ゆ〜え〜、こっちであっとるん?」

 

「ええ、そのまま降り続ければ足場があるはずです〜」

 

「せっちゃん、その足場って見える〜?」

 

「ちょっと待ってね、このちゃん」

 

本棚に捕まりながらズボンのポケットから望遠鏡を取り出して底の方を見る。

 

「ここから60m位降りた所にそれらしいのが」

 

「ほんなら行こか、時間的にはそろそろゴールが見えるはずやし」

 

「そうやね、じゃあ先に足場の確保をするからロープの方はお願い」

 

部活中は気や魔法を使わないようにしているので今のこのちゃんはちょっと鍛えただけの女の子だ。だから父上に鍛えられていてこういう事に慣れているウチが先に足場を確保しつつゆっくりと本棚の崖を降りていく。その後をこのちゃんが付いて来て5分程で目的の足場まで辿り着く。ここで普通の人なら問題が発生する。崖から足場まで3mほど離れているのだ。さすがMM魔法使いが作っただけあって魔法を使う事を容認して作られているだけの事はある。

 

「先に飛びます」

 

「うん、しっかり掴まっとくから気にせんでええよ」

 

「行きます、せえの」

 

本棚を蹴り足場に綺麗に着地します。

 

「ほんなら行くから受け止めてぇや〜」

 

「うん、いつでもええよ」

 

「せえの、よっと」

 

ロープを持ったこのちゃんがこっちに飛んでくるので抱きとめる。

 

「ありがとなせっちゃん」

 

「いいよ、それよりロープの固定やろう」

 

このちゃんが持って来たロープを専用の道具で固定した後に上に向かって懐中電灯をむけて3回点滅させる。しばらくするとロープに滑車を付けて、上で待機していた4人が降りて来る。同じクラスの綾瀬さんに宮崎さんに早乙女さん、それに顧問のルーティ先生の4人だ。

 

「いやぁ〜、さすがに天流先生の娘さんだけあって慣れてるわね」

 

「昔から色々な所に連れて行ってもらいましたから、このちゃんも一緒に」

 

本当に色々な所に連れて行ってもらった。海に山に湖に河に雪山、火山、遺跡にジャングル、深海、宇宙、戦場に異世界。本当に色んな所に連れて行かれたな。

 

「ちょっと、どうしたの二人とも遠い目をして」

 

「いえ、ちょっと昔を思い出しまして」

 

「ウチらよう今まで生きてたよな、せっちゃん」

 

「そうやね、なんの装備も無しでエベレストにあると思われる遺跡を発掘しに行った時はほんまに死ぬかと思ったね」

 

「あれは酷かったな〜、結局遺跡は風化してもとったし。下山中に雪崩に巻き込まれるわで踏んだり蹴ったりやったな」

 

「ちょ、ちょっと二人ともそんな目に会ってたの」

 

「一家揃ってそんな目に会っていますが」

 

「まあ、お師匠様がちゃんと助けてくれるから実際に死にはせえへんけど。けど、あの時は酷かったでぇ、雪崩に巻き込まれた時、お師匠様エヴァさんを抱きかかえて偶々落ちとった板に乗って麓まで降りてってまうんやから。リーネちゃんも似た様な事して降りてってまうし零樹君が居らへんかったら本気で不味かったでぇ」

 

「あの雪室が無かったら本気でどうしようか悩んだもんな」

 

「何気にハードな生活を送っていたのですね」

 

あの頃は自分も若かったなぁと思いつつ、足を進める。今回の目的地は麻帆良地下湖図書館(原作2巻で出て来た場所)。正規ルートから目指すと半日とちょっとかかる場所にある……らしい。図書館探検部の昔の資料によると最後に辿り着いたのが30年程前になるらしく地図も曖昧な物で図書館探検部で優秀な班が送られる事になった。そして昨夜から潜っている。ほとんどの罠をウチとこのちゃんで除去したり、さっきの様な場所を簡単に移動できる様にし、かつ気や魔法を使っていないので少し疲労が出てくる。

 

「ちょっと疲れが出てるみたいね。はい、一旦ここで休憩」

 

ルーティ先生の言葉で周辺の安全を確保してから休憩に入る。

ルーティ先生は麻帆良に来るまでは魔法世界でトレジャーハンターをやっていたそうだがそれで一山当て、トレジャーハンター仲間だった人と結婚して、今は麻帆良でお子さんと三人で暮らしているそうだ。

 

「それにしても何を考えてこんな場所を作ったんだか。普通の図書館を何階層にもした方がよっぽど収納数が増えるってのに」

 

「司書が代々変態だったからというのが父上の見解ですが、今代の司書はかなりの変人なので変なトラップが増設されたり個人的な部屋も作られているみたいです」

 

「ああ、なんか見たことあるわ。薄っぺらい漫画が大量にある部屋とか」

 

アルはそんな部屋も作ってるんですか。軽く頭痛のする頭を抑えながらも持って来ている携帯食を食べる。やっぱりフルーツ味が一番おいしいなぁ。

 

 

 

side out

 


 
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