No.395097

ゲイム業界を駆ける炎の獅子 第1話 封印されし少女

書き置きしていてよかった....

2012-03-20 15:47:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:872   閲覧ユーザー数:852

「ここは?」

 

気が付くと俺は、真っ暗な、なのに自分の体だけはハッキリと見える場所に居た。

 

「.......たしか俺はゲイム業界に送られる為に深紅の炎で......あぁそうか死んだのか、俺」

 

俺は自分で、燃えて死んだのだろうと結論付け、誰に向かって言う訳でもなく一人呟く。

 

「いいえ、貴方は別に死んではいませんよ」

 

すると、何処からとも無く俺の呟きに答える女の子の声が聞こえた。

 

「え〜と君は?」

 

俺は一先ずその声の主にそう訪ねる。

 

「私の名前は〝イストワール〟と言います」

 

「え!じゃあ君が爺ちゃんの言っていた〝イストワール〟なの?」

 

「はい、その〝イストワール〟で違いないと思いますよ」

 

「そうか...........それでここはどこ?」

 

「ここは貴方の精神空間、夢の中とも言えますね。

 貴方の肉体

からだ

そのものは、いまゲイム業界(こちら)に向かっている途中です」

 

「......成る程」

 

「すいません。あまり時間が無いので、さっそく本題に入っても宜しいでしょうか」

 

「え!?あぁ、ごめん」

 

「いえ、それでは〝男神・ライオンハート様〟今回は貴方にお願いが合って参りました」

 

ん?いまなんて?........ライオンハート?

 

「..........質問!〝ライオンハート〟とはなんですか?」

 

「えぇ!貴方、お爺さんから何も聞いていないんですか?」

 

「聞いたは聞いたけど.......『お前は男神だから、ゲイム業界の危機を救って来い』としか」

 

「はぁ〜全くあの人は相変わらずですね.....確かにそれで間違ってはいませんけど......」

 

イストワールも結構、祖父の事で苦労してるんだな....分かるよ。と、俺は心の中で涙する。

 

「〝ライオンハート〟と言うのは、貴方の男神様としての名前で神名(しんめい)

と言います。

 現在の女神様達も〝パープルハート〟〝ブラックハート〟などと、各々名前を持っているんです」

 

「へぇ〜」

 

「それでは、本題に入りますね」

 

「あぁ、ごめん、どうぞ」

 

「はい。では......私は史書、名前はイストワール。神界で、代々続く女神様の補佐をしていました。

 私はゲイム業界(世界)の全てであり、ゲイム業界(世界)の全ては私です。まぁ、この話はまたいずれ。

 

 いま貴方が向かっているゲイム業界には2つの世界があります。

 人々が住む下界と守護女神達が住む神界。神界の守護女神は、人々の信仰によって力を得る。

 下界の人々は信仰によって女神の守護を得る。........2つの世界は互いに支え合っていたのです。

 そして、下界の大陸も。それを治める守護女神も。互いに、ひとつずつ.......それが当然の事でした。

 

 ですが私は、先代の女神と共にその伝統を破り、愚かにも4人の守護女神を.....造り出してしまったのです。

 寂しい程の静寂に包まれた神界は、今はもうありません。でもそれは私の思い描くものとは全く異なるものでした。

 4人の守護女神は、互いにいがみ合い、世界の統一をかけて、争うようになってしまったのです。

 そこで貴方にお願いがあります.....どうか彼女達をあの人の思惑から救い出してあげてほしいのです」

 

「あの人?.......それに、それは君に出来ない事なのかい?」

 

「.....すみません、あの人の名前は、いまの私に口に出す事は出来ません。

 それと私はいまその人に下界のどこかに封印されて、女神様達から遠く隔てられているのです」

 

「.......成る程ね......じゃあ君のお願いは〝4人の女神及び君、イストワールの救出〟。でいいのかな?」

 

「えっ!.....いいんですか!?」

 

「勿論さ!困っている女の子を黙って放っておく程、俺は弱くないからね。......それで?何をすればいいのかな?」

 

俺がそう訪ねると彼女は嬉しそうに『はい!』と返事をして、

 

「では貴方には、ゲイム業界に存在する4つの大陸を周ってもらい、

 それぞれの大陸に一つずつある〝鍵の欠片〟と言うアイテム計4つを入手して欲しいのです」

 

「〝鍵の欠片〟.....それが君の封印を解く鍵なんだね?」

 

「その通りです。しかしその〝鍵の欠片〟は強力なモンスターによって守られています。

 ........ですので、私から少し貴方に力を授けます』

 

「......力?」

 

「まぁ授けると言っても、本来貴方が持つ力を少し引き出してあげるだけですよ」

 

そう、彼女が言うと、一瞬俺の身体が紅く輝いた。

 

「!!!」

 

「........はい、終わりましたよ」

 

「早っ!!.....てか、何をしたの?」

 

「そうですね.............現在の女神様達には、2つの状態があります。

 普段生活している時の〝人型状態〟。女神様の力を完全に引き出した時の『女神擬人状態』の2つです。

 まぁ所謂、変身能力ってやつですね」

 

「.......つまり、俺にもその変身能力が備わっている.....と」

 

「はい、ですが貴方はまだ、男神様と言っても、まだ『仮』です。

 完全な男神様じゃありませんので、私が引き出せるのは半分くらいですけどね。

 貴方が変身したいと思えば、自然に変身します。きっと貴方の願いに応えてくれると思います」

 

まさか、俺に変身機能があったとは知らなかった.....今思ったんだけど、もしかして俺って普通の人間じゃない?

 

「いま頃ですか?」

 

「!!.......勝手に人の心を読まないでください」

 

「ふふっ........それとこれは私からの餞別です」

 

すると、今度は身体が白く光り出し、服装が変わった。

 

「先ほどの服じゃ動き憎いと思うので、動き易そうな服に変えてみました。

 その首飾りの牙は、貴方のライオンハートの名前にちなんだ、ライオンの牙です......どうでしょうか?」

 

確かに、さっきまではジーパンだったからな.......モンスター相手じゃ動き難くて、キツかったかな?

 

とりあえず、今の俺の服装を読者の皆にちょっとばかし詳しく説明しておこう。

紅い半袖のTシャツの上から長袖・フード付の白いパーカ(腕捲りをしている)を着ている。

裾が脛位までの長さで動き易い作りになっている黒いズボン(両腰に金色のチェーン)。

他には、首にライオンの牙を通した(長めの牙を両端に、間に短めの牙を3本挟んだ物)金色の鎖の首飾り。

両手首に黒いリストバンドを嵌めている。............理解出来たかどうかは、しらん。

 

「うん、良い感じ。ありがとう」

 

「それは良かったです.......では、最後に貴方の到着場所についてですが。

 貴方はゲイム業界は初めてですの、私のもう一人の協力者と共に4つの大陸を周り、鍵の欠片を集めてください。

 ですので、貴方は、その人の近くに到着する様になっています」

 

「.....もう一人の協力者?.....俺の他にも鍵の欠片を集める人がいるのかい?」

 

「はい.......その人の名前は〝ネプテューヌ〟。.......4女神の一人です」

 


 
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