No.393755 とある【正義】を持っているヒーロー 第29話作者さん 2012-03-18 13:17:47 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:564 閲覧ユーザー数:563 |
【女子寮 管理人室】
「さて、どうするかなぁ……これを……」
白く、夕映の顔だけが映るカード。
これは一体何なのか……
契約はされた、と覚は思うのだが、どういうことなのか理解できない……
「しかしあいつまでもが俺の事を……なのかなぁ?カード白いし……」
契約が完了をちゃんとすれば白ではないはずだ。
「しかし、この白いカード……何の意味があるのかなぁ……」
そう言いながらカードを眺め続ける覚……
「今日は色々ありすぎて明日が大変そうだな……」
[ドンドン]
「ん?誰だろうか」
[ガチャ]
「先生なんで午後の特訓に来てくれなかったの~!」
「あ……」
「すっかり忘れてたみたいですね……」
「にゃはは……」
そんなこんなで一日は過ぎていくのである……
【次の日 中等部 ホール】
「今日は刹那にちゃんと言わなくちゃならないなぁ。昨日はいろいろありすぎた……」
噂をすると刹那が視線の先にいた。
覚を見つけるや否や走り近づいてきた。
「どうした、刹那」
「覚さん!お嬢様を見ませんでしたか!」
「木乃香は見てはいない」
覚の表情が少し曇る。
いやな予感がしたのだ。
「朝からどこにもいないんです!」
「!……お前今日は用事があるって事にしといてやる。探せ、集合は広場だ……」
覚の表情は驚いた表情を一瞬とるが、すぐにいつもの顔に戻り。
静かに刹那へと指示を出す。
「はい!」
「集合は放課後と言う事にしておく。他の奴らにいらん騒動など起こされても困る……」
そして刹那はその場を走り去って行った。
「……犯人は悪人確定で死刑だな」
【昼休み 職員室】
「……ぶづぶつ、ぶつぶつ」
「?覚先生?」
ネギはずっと独り言をしゃべっている覚が気になり話しかける。
「ぶつぶつ…ぶつぶつ…殺す…」
「せ、先生?」
物騒な言葉が聞こえてきたのでネギは覚を心配する。
「坊主か、気にするな。昼休みの特訓はお前に任せる……」
「え、あ、はい」
「頼んだ、頼んだぞ……」
そして覚は再び考え事をしながら
職員室を去って行った。
「ぶつぶつ……ぶつぶつ……」
昼の体育の授業にも覚の姿はなかった。
ネギは指示をしたが駄目駄目であった……
【放課後 広場】
覚は学校が終わると同時に広場に移動した…偶然周りに人はいなかった…
「刹那!」
「さ、覚さん!お嬢様が、お嬢様が見つかりません……!」
刹那は少し泣きそうな顔をしている。
「そうか、学園から出た形跡はないんだな?」
「はい……」
「こんなことになったのもすべて私が悪いのです……」
「刹那!」
覚の表情が変わる。
しかし刹那は下を向きその表情を見ないで話を続ける。
「幼少の頃……愚かな私が身分をわきまえず接して、お嬢様のご好意を頂戴するような真似をした……そのために!」
「馬鹿なこと言うんじゃねぇ!」
[パシィ!]
聡は刹那の頬をはたいた。
赤い跡が残るほどに。
「…!」
「お前は、お前はよぉ!」
覚は涙を少し流している。
「さ、覚さん…」
「お前が木乃香の友達になって!悪い事があるってのか!身分がなんだぁ!」
覚は怒鳴り続ける。
「刹那、木乃香もお前も……あの頃に出会い仲良くなった!なるべくしてだよ!」
「……」
「考えろ。お前の本当の気持ちと木乃香の気持ちって奴をな。身分無視でな」
そして黙る二人。
「……刹那。そこにあるマンホール調べたか?」
「……マンホールですか」
少し黙っていた刹那が覚の言葉に答える。
「そうだ。こんな所にマンホールが普通あるわけない……とりゃっ!」
マンホールらしき物を殴ってつぶす覚。
「ほらな」
「ならばお嬢様はここに!」
「多分な……」
「お嬢様!」
刹那は何も考えずに穴の中へと飛び込む。
「自分の心の答えは出るかな……刹那」
……そして覚は後を追った。
【マンホールらしきものがあった所の穴の中空洞】
「…おやおや見つかってしまいましたなぁ…」
奥のほうから女の声がする。
刹那と会話している様子だ。
「お前かっ!?木乃香お嬢様をさらったのは!」
「ほほほほほ、人聞きの悪い事言わんといてほしいわ。お嬢様から自発的にお越しいただいたようなもんやからな」
女は少し笑いながら話す……
「貴様!お嬢様に何をした?なにをたくらんで……!」
「まぁ、ホンマはなちょっと様子見に関東来ただけなんや。まさか一人でトボトボ歩いとるお嬢様にお会いできるとはなぁ」
そうして刹那を見て笑っている顔で……
「寂しそうな顔しとりましたえ~」
「くっ!」
「ま、そこまではあんじょううまい事やれたんやけどなぁ……」
苦笑いをしながら女は話続ける。
「この学園の結界は難儀おすな。何重にも仕掛け取るさかい……どないしたら解除できるんどすか?」
「黙れ!その口塞いでやる!『斬空閃!』」
「おっと!さすがは音に聞こえし神鳴流……アブナイとこやったわ」
「今の状況のほうがものすごく危ないぜ?」
「!」
覚がディエンドライバーで攻撃するがよけられる。
少しかすった程度である。
「おいおい、今のをよけるのかよ……殺る気だったのによ」
覚は無表情で女を見つめる。
「あんさん、いつの間に人質のお嬢様を助けて……!あんたは!」
「どうやら俺を知っているようだなぁ。そりゃ知らねぇわけねぇかぁ」
「仕方がないえ……まぁ、修学旅行も近いことやし、急ぐこともありませんやろ……」
そういうと女は姿を消した。
「逃げちまったか……しかし、修学旅行か……ものは考えようだぜ、爺さん」
「お嬢様!?お嬢様……!」
「ん……んん……あ、せっちゃんや……」
刹那の呼びかけが効いたのか、木乃香が目を覚ます。
「大丈夫ですか、お嬢様!あの女になにか変な事をされませんでしたか?」
「あの女……ってなんのこと?」
「どうやら覚えていないようだな。その方が都合がいい」
「お嬢様……」
「あのなせっちゃん、迷惑やなかったら……友達でなくてもええから……側にいてええ?」
「も、もちろんです!」
「……それが答えってやつだな。刹那……」
苦笑しながら覚はその場を去って行った……
次回に続く
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