No.393450

シャルルの秘密

十河さん

まあタイトル通りです。

2012-03-17 23:58:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3316   閲覧ユーザー数:3271

その夜、唯は藤丸から送られてきた資料に目を通していた。

それを見て唯の疑問の9割が確信に持っていくことができた。

 

「・・やはりな。シャルル・デュノア・・。本名はシャルロット・デュノア。特異ケースを装い、中性的な容姿を利用して男子として転校。その目的は・・俺のIS・黒百合のデータ採取、もしくはサイコフレームや高出力ビーム兵器の製造方法・・。ふざけんなよ・・。」

 

唯は過去自分が実験されたように人を道具として扱う人間を一番嫌悪している。

唯は携帯を手に取って部屋を出て中庭に向かい、デュノア社社長から詳しい事情を聞くことに。

 

「もしもし、おっさん?」

『・・唯くんか?』

「ああ、友人に頼んで資料を見せてもらったが・・あれは本当にあんたの差し金なのか?」

『まさか!私がシャルロットにそんなことを絶対にさせない!!』

「なら考えられるのは・・本妻か?」

『・・すまない。私は最後まで反対したのだが・・イグニッションプランからはずされてしまうことを恐れた妻が君のIS・黒百合と高出力ビーム兵器に目をつけシャルロットを男子と見立てることでわが社の広告塔として利用するために強引に手続きを進めてしまったのだよ・・。』

「そういうことか・・。安心したよ。」

 

とりあえず最後の疑問が唯の勘違いであったことに安堵する。

 

『唯くん、君に依頼したい。』

「わかってる、シャルル・・いや、シャルロット・デュノアの解放だろ?報酬はあいつのISの改造とあいつの心からの笑顔・・でいいか?」

『シャルロットを・・どうかよろしく頼む・・!』

「わかった。余裕ができたら一度話をしておいたほうがいいぞ。」

『フム、シャルロットは私に対していい印象を持っていないだろうが、話し合うことは大事だな。』

「分かり合えるさ。絶対に。じゃあな。」

 

唯は通話を切る。

時間を見ると夜9時を過ぎていた。

 

「ボーデヴィッヒの資料は明日でいいか・・。」

 

翌日の放課後・束の研究所

 

唯は簪を連れ、研究所に来ていた。

そして・・。

 

「真っ暗・・。」

「今明かりをつける。」

 

唯が部屋の電気を入れる。

 

「まぶしい・・。」

 

簪は目を細める。

室内の明るさになれ、目の前の物を見ると目が輝く。

 

「これって・・。」

 

そこに青のISがあった。

 

「簪、お前の専用機のアストレイ・ブルーフレームセカンドだ。」

「もしかして・・これを私に・・?」

「その前にお前に聞きたい。」

 

唯は先ほどとは違う声で簪に問いかける。

 

「お前・・覚悟はあるか?」

「覚悟・・?」

「そうだ。こいつに使われているコアはな、いわゆる無番号(ノーナンバー)なのさ。さらに第3.5世代型ISだ。まぁ、簡単に言えば世界を相手にケンカする覚悟があるかってことだ。」

「・・私は覚悟はできてる。」

 

迷いのない目で簪が答える。

その目を見て唯はウソは言っていないと判断しカタログを渡す。

 

「完成は学年別対抗戦の後だ。それまでにこいつを読んでおけ。あとは要望があれば極力取り入れるから遠慮なく俺に言え。」

「うん・・わかった・・。」

 

カタログを受け取った簪の表情は少し笑っていた。

帰った後箒の部屋を引越し、シャルルと同室になった。

 

土曜日

 

この日唯はシャルルとともに一夏と鈴、セシリアと模擬戦をチェックしていた。

一夏と鈴の戦績は五分五分である。

 

「一夏、筋はいいけど射撃武器の特性について理解してる?」

「一応理解してるつもりだけど・・。」

「ならこうするか。デュノア、射撃武器なんでもいいから一夏に貸してやってくれ。認証も忘れるなよ。」

「え?・・ああ、そういうことか。わかった。」

 

シャルルは唯の言いたいことを理解したようでアサルトライフルを呼び出し一夏に渡す。

 

「はい、認証はしてあるから。」

「ありがとう。」

「よし、あそこにある的を撃て。」

「うん。」

 

一夏はアサルトライフルを構え撃つ。

振動で銃口がぶれるものの的を撃ち落とせた。

 

「ふむ、なかなかいいじゃないか。」

「そうかな?」

「次はセシル、スターライトを貸してやってくれ。」

「わかりましたわ。」

 

セシリアからスターライトMK-2改を受け取った一夏は構えて撃つ。

これも的を打ち抜いた。

 

「さっきより振動が少ないね。撃った感じがしないというか・・。」

「さて、次は俺の番だな。こいつで撃ってみろ。」

 

唯はビームガトリングを呼び出し一夏に渡す。

一夏はビームガトリングを受け取り構えて撃つ。

 

「うわ、さらに振動が少ない。」

「一夏、実際に射撃武器を使ってみてどうだった?」

「えっとね。」

「待った。」

 

感想を言おうとした一夏を唯が止める。

 

「え?」

「・・どうやらお客さんのお出ましのようだ。」

 

アリーナがざわつき始めたのでその方向を見るとラウラが自身の専用機・シュバルツレーゲンを展開してこちらに向かってきていた。

 

「織斑唯、私と戦え・・!」

 

ISのオープンチャンネルで話しかけてきた。

 

「そんなことをして何のメリットがある?それに今は訓練中だ。模擬戦がしたいならちゃんと申請してから来いよウサギさん。」

「貴様・・!」

 

逆行したラウラはレールキャノンを展開して撃とうとするが唯はすばやくメガキャノンを低出力で放ってレールキャノンの砲身をずらし、足元に威嚇射撃を行う。

 

「聞こえなかったか?模擬戦がしたいのならちゃんと申請をして来いって言ってんだよ・・!ほかの生徒たちの迷惑になるって気づかないのか・・!」

 

唯は威嚇と殺気をこめて言う。

 

「ちぃ!」

 

ラウラは引き返していった。

それと同時に殺気を緩める。

 

「すごいよ!唯!」

「本当だね!」

 

一夏とシャルルが唯の方に駆け寄り賞賛の言葉を言う。

 

「まぁ、あそこまで行けとはいわないが・・参考にはなったと思う。銃身をずらすだけで射角が大きく変わるって言うことをな。」

 

その後、部屋に帰宅。

 

「ふぅ。疲れた。」

 

ガチャ

 

「ただいま。・・デュノア?」

 

部屋に帰るもシャルルの姿はなかった。

耳を澄ますとシャワーの音が聞こえてくる。

 

「・・シャワーか。上がるまで宿題でもして待っているか・・。」

 

シャルルが上がるまでの間、宿題を済ませる唯。

するとドアの開く音が聞こえてくる。

 

「ふぅ、まさか着替えやタオルを忘れて入ってしまうなんて唯が戻ってくるまでに早く・・。」

「・・・。」

 

シャワールームから出てきたのは生まれたままの姿のシャルルだった。

そしてバッチリと目線があってしまう。

 

「・・とにかく着替えろ。話はその後だ。」

「う、うん・・。」

 

仕切りを出し、着替え始める。

 

(くそっ、わかっていたのにデュノアの裸を見てしまうなんて・・///)

(シャルちゃん、結構胸大きかったね。ほーちゃんやいっちゃんほどじゃないけど揉みごたえはありそうだったな~。)

(お前は黙ってろ!お前は俺の本能みたいなものだから絶対に表に出てくるなよ!)

(わかってるって~♪)

 

ユリに釘を刺すと同時に仕切りが引っ込まれる音が聞こえてくる。

 

「き、着替えたからいいよ・・。」

「・・ああ。」

 

唯はシャルルの方を向くとそこにはジャージのシャルルがいた。

 

「・・・。」

「・・・。」

 

しばらくは無言で居心地の悪い空気が漂っていたが唯が口を開く。

 

「まさかこんなに早く正体を見ることになるなんてな。」

「え!?唯ははじめから僕が女の子だってわかっていたの!?」

「俺の交友関係をなめるなよ。お前の正体も目的もわかっている。」

「そう・・なんだ・・。・・ヒック。」

 

唯の言葉にシャルルはうつむき泣き始める。

唯はため息をひとつ吐き、シャルルをそっと抱きしめる。

 

「心配するな、お前の正体もばらす気もないし、ある人からお前のことを頼まれてるからな。」

「え・・?」

「俺はお前を自由にしてほしいっていう依頼を受けている。だからもう一人で抱え込むな。今は俺とお前しかいないから泣いてしまえ。」

「うん・・。ふぇぇぇん・・。」

 

唯はシャルルが泣き止むまで頭をなで続けた。

しばらくしてシャルルが泣き止み唯を見つめる。

 

「ごめんね。服汚しちゃって。」

「かまわないさ。シャルル・デュノア・・いや、シャルロット・デュノア。お前はどうしたい?」

「僕の正体がばれたんだ・・。本国へ強制送還されるだろうね・・。」

 

それを聞き、唯はシャルルの肩をつかむ。

唯の表情は悲しそうだ。

 

「お前はそれでいいのか!?そこに自分の意思はあるのか!?」

「ゆ、唯・・?」

 

シャルルは戸惑いと怯えの表情をしているけど止めない、唯はさらに言葉を続ける。

 

「確かにお前のやったことは悪いことかもしれない。だけどそこにお前の意思はなかったのだろう!?大人の勝手なエゴでお前という個人が汚されるのはいやなんだ!!」

「唯、どうしたの?」

 

唯は知らず知らずにシャルルの方を強く握ってしまっていた。

 

「あ・・すまない。」

「うん、大丈夫。でも本当にどうしたの?」

 

唯は意を決し、千冬と一夏にも話していない秘密を話す。

 

「俺さ・・両親に捨てられたんだ。」

「え・・?」

 

唯の言葉にシャルルは驚く。

唯はさらに話し続ける。

 

「捨てられた先のある病院で人体実験や薬漬けの毎日・・。この目もその影響から元に戻らなくなった・・。あとは・・。」

 

唯はカップに手をかざす。

するとカップが宙に浮く。

 

「浮いた・・?」

 

シャルルはそれを見て驚く。

 

「超能力と身体能力の異常向上・・。その病院を脱走して世界に絶望したときに束にあった。まぁ、その後いろんなこともあったけど今を楽しんでいる。だからだろうな。デュノアを道具扱いした大人を許せなかったのさ。」

「そうなんだ・・。それでも僕は・・。」

「ここにいればいい。国家も特記事項第21項で手出しはできない。」

「あ・・!」

 

シャルルは特記事項第21項を思い出す。

IS学園に在学中はいかなる国家や団体も手出しはできないというものだった。

 

「ありがとう唯・・。でもどうして僕のために動いてくれるの?」

「友達をなくしたくないから。」

 

シャルルの問いに即答で答える唯。

それを聞いたシャルルは笑う。

その後、唯はシャルルの分の夕飯を取りに行き一緒に部屋で食べた。

 


 
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