No.393348

IS〈インフィニット・ストラトス〉 転生者は・・・

ISさん

第15話『中国の代表候補生』

2012-03-17 22:18:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8707   閲覧ユーザー数:8273

 

 

 

 

「そうよ、中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告にきたってわけ」

 

 

 

 一夏の方を見て、ふっと笑みを見せた鈴。

 

「何格好付けてるんだ? すげえ似合わないぞ」

 

 はあ、まった余計なことを。

 

「んなっ……!? 何てこと言うのよ、アンタは!」

 

 さて、俺は席に戻るか。鈴の背後に鬼が見えたからな。

 

 

「おい」

 

「なによ!?」

 

 バシンッ!

 

 織斑先生の一撃。

 うん、今日も良い快音だ。

 

「もうSHRの時間だ。教室に戻れ」

 

「ち、千冬さん……」

 

「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、そして入り口を塞ぐな。邪魔だ」

 

 圧倒的な力、これこそが織斑先生!

 ……はあ。なんでこんな馬鹿なこと考えてんだろ。

 

「す、すみません……」

 

 織斑先生にビビッてそこからどいた鈴。

 

「また後で来るからね! 逃げないでよ、一夏!」

 

 そんな台詞を残して、ダッシュで帰ってった。

 それでも、転入生が一夏と知り合いとなれば質問攻めにされるわけで。

 箒とセシリアを先頭に、クラスの女子が一夏に詰め寄る。……織斑先生が居るのにな。

 

 バシンッ、バシンッ、バシンッ、バシンッ!

 

「席に着け馬鹿ども」

 

 あーあ、一夏のせいで出席簿アタックの餌食となった女子が多数…

 俺はだから席に戻ったんだよ。

 

 

 

 授業中、集中してなかった(出来なかった)箒とセシリアが何度も出席簿の餌食になったのは余談だ。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 時間は飛んで昼休み

 

 一夏たち? 知らないけど? 今も一緒に居ないし。理由は―――

 

 

 

「それで、用事ってなあに?」

 

 楯無と一緒に居るから。

 呼び出したの俺だけど。ちなみに場所は生徒会室だ。

 

「変な想像しないでくれよ? 普通の話だから」

 

「あら、残念」

 

「期待してたのかよ」

 

「少しね」

 

「本題だ……楯無はクラス代表とかやってるのか?」

 

「ううん、私は生徒会長だけ。でもどうして?」

 

「ならよかった、これが本題。今日の放課後、ISの訓練に付き合ってくれないか?」

 

「必要なの? 私に引き分けてるのに」

 

「それは楯無がこっちのことを知らなかったからだろ? 単純な技量じゃ楯無のほうが上だからだよ」

 

「まあ、今日は仕事無いし、いいわよ。で、どこで?」

 

「放課後、第三アリーナでよろしく」

 

「わかったわ……もう、拓神から呼び出されるなんて、告白されるのかと思ったんだけど」

 

「昨日の話から、時間経ってないだろ」

 

「そうね。で、付き合う報酬は?」

 

「……必要なのか?」

 

「できるのなら、君の心が欲しいな」

 

「俺の心どんだけ安いんだ……。俺と一緒に居られるってのだけじゃダメ?」

 

「そんなの、いつもじゃない」

 

「……無許可だけどな」

 

「ま、冗談よ。じゃあまた放課後ね♪」

 

 ちくせう、コイツに振り回されるのは絶対なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 また時間は飛んで放課後、第三アリーナ。

 

 

 

 

 ガキッ、ガキャンッ!

 

 金属のぶつかり合う音。

 発生源は俺と楯無。

 理由は、模擬戦をやろうという楯無の提案から。

 一応言っておくが、俺の装備している機体はアストレアTYPE-F2だ。

 

「おわっ!」

 

「ほら、どうしたの?」

 

 楯無のランスのひと薙ぎをシールドでガード。

 でも、そのまま弾き飛ばされる。

 体勢を崩されたが、その体勢のまま左手のビームライフルを撃つ。

 でもその関係上、狙いが雑なので当たるわけもなく牽制程度。それでもその間に体勢を整えて再度接近。

 遠距離からの射撃では、楯無の機体―――霧纏(ミステリアス)淑女(・レイディ)―――の水のヴェールで、ビーム兵器が主なこの機体の射撃は威力と弾速を減速させられた挙句回避される。だから、クロスレンジでの近接格闘戦で攻める!

 

「このっ!」

 

 接近した勢いのまま右腕のプロトGNソードを横に振る。

 それはランスで弾かれ、そのランスは俺に向かってきた。

 それをシールドを斜めに構え、受け止めるのではなく受け流す。

 その後、楯無に蹴りを入れて一度離れた。

 

「もう、女の子を蹴るなんて酷いなあ」

 

「模擬戦だから、なりふり構ってられないんだよ」

 

 プロトGNソードの刀身を折り畳む。グリップも収納してハードポイントだけで保持させて、ビームサーベルを引き抜く。

 左手も、シールドとビームライフルを収納。腰からビームサーベルを引き抜いた。

 

「行くぞっ!」

 

「来なさい。おねーさんが受け止めてあげる」

 

「まだそんな軽口を言う余裕あるのかよ……っ!」

 

 楯無にビームサーベルの二刀流で切りかかる。

 だが両方とも逸らされる、あるいは弾かれて決定打が入れられない。

 だったら―――

 

 ――ティエリア! 右足ハードポイントにGNミサイルユミット!

 

 ――了解!

 

 セシリア戦でピストルのホルスターを展開したハードポイントにミサイルユニットを装備する、それと同時に発射。

 それに一瞬驚いた顔をした楯無は、ランスで俺のビームサーベルを弾いてすぐさま“後ろ向き”の瞬時加速(イグニッション・ブースト)で距離を取った。そして追尾してきているミサイル十八発をランスのガトリングで全て撃ち落とし、落されたミサイルの爆煙の中から楯無が飛び出して向かってくる。

 

「さすが……だなっ!」

 

 全く、あの状況から回避とか。

 俺も、向かってきた楯無に両手のビームサーベルを構えて向かっていく。

 

 

 

 

 

「褒めてもらっちゃった♪」

 

 そして、楽しげな楯無の声が――

 

 

 

 

 ―――俺の"後ろから"聞こえた。

 

 っ! まさかっ!?

 そのまさかは的中。目の前の楯無は水になって崩壊、直後には背中に重い衝撃が走る。

 

「あぐっ!」

 

「同じ手に二度も引っかかっちゃダメだぞ?」

 

 吹き飛ばされた俺に対する突きの連発。そして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――S・E残量0―――

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

「負けたぁ……」

 

 ヒュー、と自然落下中。もちろんISは装備したまま。

 

 ギリギリで浮くようにして、着地する。

 

 

「あは♪ 私の勝ち」

 

 ISを解除すると、同じくISを解除した楯無が近寄ってきた。

 

「どうやって見分けろって言うんだよ、あれ」

 

「見分けられたら困るもの。でも、冷静に考えれば対処は可能よ」

 

「じゃあ今回は俺のミス……か?」

 

「そうね、あの爆煙のおかげ。あんな至近距離でミサイル撃ってきたのは驚いたけど」

 

「避けることは予想済みだよ」

 

「あら、以心伝心のようでおねーさん嬉しいな♪」

 

 はあ……疲れた。

 

「それで? どうだった、俺は」

 

「んー、動きが雑だね。まだ機体に少し振り回されてる。あとは、冷静に状況を見て行動することくらい。後者は経験あるのみだけど」

 

「そうか。なら、また付き合ってもらえないか?」

 

「いいよ、。拓神のためならね♪」

 

 じゃあね、と言い残して楯無はアリーナから出て行った。

 さて、この後どうするか。ん? あれは……。

 アリーナの出入り口には、楯無と入れ替わるように一夏たちが来ていた。

 

「ま、問題に巻き込まれたくは無いな」

 

 どうせまた楯無は俺の部屋に居座ってるんだろうな、と思いつつ一夏たちと軽い会話だけをして俺もアリーナから出ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

「なあ楯無、お前何をした?」

 

 

「? 何って……引越し?」

 

 なぜ疑問系だ。

 

「今日から私、ここに住むから」

 

「今更な気もしないでもないが……つーか既に荷解き終わってんのかよ…」

 

 部屋を見回すと、今まで無かった物が色々と置いてある。

 

「てか、なぜ引越し?」

 

「善は急げっていうでしょう?」

 

「俺にとっては善じゃないんだが……」

 

 もはや抵抗する気が起きない。

 流石に荷解きまでされると……原作の一夏がどれだけ振り回されたのか、こんなにも早く実感することになるとは。

 

「これで毎日君に迫れるね♪」

 

「迫るな!」

 

 本当止めてくれ、無理だ。多分持って一週間くらいで理性が切れる。

 

「……七割は冗談よ」

 

「残りの三割は!?」

 

「じゃ、改めてよろしくね♪」

 

 本当に残りの三割はなんなんだ!

 ああ、これで残った平穏の全てが壊されたよコンチクショウ。

 

 

 

 本日の報告

 

 IS操縦技能↑

 楯無からの好感度↑

 平穏↓

 

 ……現実逃避だ。このくらいさせてくれ。


 
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