No.355202

寂しがり屋の女の子の為に…… 廿話

DOWANNGOさん

廿話目投稿します。

2011-12-30 21:30:29 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:4197   閲覧ユーザー数:3564

協に会った後董卓らしき少女達を貂蝉に任せ俺は華琳達の所に向かっていた。

 

「あ、居た。お~い!華琳!」

 

俺の声に気付いたのか華琳は俺の方を向く。

 

「一刀!遅いわよ!何かあったの?」

 

「今すぐ城の玉座の間に向かうんだ。

 

「何があったのよ?」

 

「劉協陛下の命だ」

 

俺がそう言った瞬間華琳だけでなく周りに居た全員が驚愕の表情を浮かべた。

 

「何て言う命令?」

 

「『反董卓連合に参加した諸侯は今すぐ玉座の間に集合せよ』」

 

すると、華琳は思案顔になる。

少しして華琳は頷きこう言った。

 

「分かったわ、向かいましょう」

 

「ああ」

 

俺達は城の玉座の間に向かった。

城の玉座の間

 

あの後反董卓連合に参加した諸侯と合流しながら玉座の間に着いた。

玉座には協が座っている。

因みに貂蝉は隠れて諸侯達を監視している

 

「良く来ました、私が劉宏の娘、劉協です」

 

協は声に威厳を纏わせている。

いつもこんな感じでブラコンじゃなかったら皇帝として合格なんだけどな……

 

「顔を上げなさい」

 

協がそう言って全員顔を上げる。

やはり協は兄貴の俺が見ても美人だと思う。

協の顔を見て若干何名か見惚れてるからな。

 

「早速ですが董卓はそこに居る劉郷が討ちました」

 

やっぱりこう言う展開にするんだな……

しょうがないな……

 

「私は董卓が陛下に手を出そうとしているのを見て董卓を肉塊に変えてしまった為にその首はもうありません。

運んできても良いのですが見るに堪えない物ですので」

 

想像してしまったのか何名かが吐き気を堪えている。

でも、肉塊に変えたとでも言わないと首を持ってこいとか言いそうだから仕方無いよな……

 

「郷は確か曹孟徳の家臣でしたね」

 

「はい、ですから私への褒美は全て我が主曹孟徳に与えてください」

 

「ふふっ……分かりました、曹孟徳への褒美は考えておきましょう

それと反董卓連合に参加した諸侯への褒美も。

それと郷、私を助けてくれた個人的な礼をしましょう」

 

協はそう言って立ち上がりゆっくりと俺の方に近づいてきた。

……恍惚とした表情で。

 

「あ、あの、陛下?」

 

「ふふっ、郷、ずっとしたかったんですよ?」

 

ゾクッ!

 

何を!?何をしたかったんだ!

 

「大丈夫、激しくしてくれても構いませんから。

いえ、むしろ、激しくしてください」

 

「何を激しくしろ言うんですか!?」

 

もう、堅苦しい形式なんて忘れて後ずさる。

俺は華琳のなんだ!

それに実の妹とだなんてやれる訳無いだろうが!

 

「ふふふっ……」

 

何故だ!年下の筈なのに俺より年上の様な笑みを浮かべているのは何故だ!

 

「郷……」

 

誰か俺を救ってください!

華琳さん!俺の妻の華琳さん!

 

「………」

 

駄目だ!呆然としている!

劉備さん!顔を赤らめないでください!

孫策さんも面白そうだと言う顔をしないでください!

張勲さんも袁術さんの目を塞いでないで助けてくれます!?

こうなったら袁紹さんに……!

 

「………」

 

駄目だ!この人も華琳と同じで呆然としている!

誰か俺を助けてくれる人は居ないのか!

 

「陛下、郷殿も困惑しています。

そこらでやめてあげてください」

 

こ、この声は……!

 

「翁!」

 

「お久しぶりです、郷殿」

 

翁はそう言いながら協の肩を掴み俺に近づけない様にしている。

俺はゆっくりと立ち上がりながらこう言った。

 

「翁、助かったよ。

あのままだったら俺は……俺は……!」

 

想像して恐怖のあまり頭を頭を抱えてしまった。

 

「そう言えば、郷殿、あなたの武勇伝は良く聞いていますよ。

何でも五胡を滅ぼしたとか」

 

「ああ、涼州の民が困っていたからな。

俺が出来ることをやったんだよ。

それじゃあ、俺はこれで。

ああ、そうだ、協陛下、街を復興させても良いでしょうか?」

 

「良いですよ、ですから……」

 

「華琳!早く行こう!さっさと行こう!すぐに行こう!」

 

俺が実の妹に犯される前にな!

 

「え、ええ、分かったわ」

 

俺はその返事を聞いて華琳達を連れて玉座の間から出た。

ある裏路地

 

「ここいらで良いか……」

 

俺はそう言ってある裏路地の行き止まりで止まる。

街の復興作業は華琳から休みをもらったから大丈夫だ。

 

「貂蝉、出て来い」

 

「どっふぅぅふごっ!」

 

一応出現がうるさかったから殴っておいた。

反省も後悔もしてない。

 

「それで?この世界はパラレルワールドって事で良いのか?」

 

「あら、鋭いわね」

 

「史実では男の将が全員女だって言うのはパラレルワールドだからって言う認識で良いだろう。

でも、何で俺が居るんだ?『北郷一刀』だった俺が」

 

三国志の登場人物が女ならそれでも良い。

でも、何で『北郷一刀』だった俺が居る?

劉弁は確かにイレギュラーじゃない。

実際に史実にも居た人物だ。

 

「それはね、あなたがこの物語の原点だからよ」

 

「俺が原点?」

 

「ええ、別に世界でのあなたがね」

 

貂蝉曰く貂蝉達はパラレルワールドを管理する『管理者』と言う者達らしい。

管理者はパラレルワールドを外史と呼び俺『北郷一刀』が生きていた世界は正史と言うらしい。

管理者は二つの派閥があり肯定派と否定派の二つがある。

俺は正史で外史の否定派と対立したことがあるらしい。

その否定派は外史の突端となる銅鏡を盗んでおり俺は対決の途中でその銅鏡を割ってしまったらしい。

そして俺は劉備の居ない蜀に飛ばされ孫権や華琳を倒し天下統一したらしい。

だが、その外史は結局外史の否定派の所為で強制的にその世界の俺が終了させた。

だが、その外史から三つの外史が派生した。

北郷一刀が蜀に飛ぶ外史、呉に飛ぶ外史、魏に飛ぶ外史の三つ。

蜀に飛ぶ外史では俺が劉備と共に蜀、呉、魏で三国同盟をして乱世を鎮めた。

呉に飛ぶ外史では俺が孫権と共に蜀と呉で魏を破り二国同盟で乱世を鎮めた。

そして、魏に飛ぶ外史では華琳と共に天下を統一したのだが俺は歴史を捻じ曲げた為に外史から弾き飛ばされその生涯で華琳達に二度と会えなかった。

その魏の外史の俺の魂は今の俺つまり『劉弁』に使われているらしい。

 

「成程なぁ……でも、何で魏の外史の俺がここに居るんだ?」

 

「分からないわ、私達にも分からない物はあるもの」

 

「そうか……ならもう一つ聞いて良いか?」

 

「どうぞ」

 

「何で三国志にも三国演技にも名前が無い霍周幸と言う人物がこの外史のに存在してるんだ?」

 

それは俺がずっと疑問に思っていたこと。

霍周幸という人物は俺が知る限り三国志にも三国演技にも存在していない。

ならば何故そんな人物が登場しているのか。

それが知りたかった、

だが貂蝉は微笑み

 

「ご主人様、考え過ぎよ~♪確かに霍周幸と言う人物は史実にも演技にも出てきてないけどここは外史よ?

存在する筈の無い人物が居てもおかしくないの♪」

 

こう言った。

 

「成程な……じゃあ、もう一つ。

正史って言うのは幾つもあるのか?」

 

「いいえ、一つだけよ。

ご主人様は特殊でね。

外史で死んだら正史に強制的に戻されるのよ~♪」

 

「それともう一つ、外史の概念を詳しく教えてくれないか?」

 

「外史とは可能性の世界よ。外史の数は無限に等しいわ」

 

「え?ちょっと待てよ。じゃぁ……いや、何でも無い」

 

確かにその考えは間違い無いかもしれないけど間違いかもしれない。

曖昧なことは言わない方が良いだろう。

 

「話が聞けて良かった。

それじゃあな、貂蝉!」

 

「ええ、また何か聞きたくなったらいつでも洛陽にいらっしゃ~い♪

肌を重ねるのも『絶対に無い!』ご主人様ひどい~!」

 

全然ひどくない。

むしろ普通だ。

俺はそんなことを思いながら駆けだした。

第三者視点

 

翁の部屋

 

「誰です?」

 

翁は筆を走らせながらそう尋ねた。

すると、天井から一人の少年が出てきた。

 

「俺だよ、翁さん」

 

「ああ、あなたですか」

 

翁はそう言いながら仕事を中断させてその青年の方を向く。

 

「もう、物語はここまで来たんだね」

 

「ええ、物語も中盤の中盤と言ったところですね」

 

「ああ、でも、本当に良かったの?」

 

青年はそう言いながら寝台の上に座った。

翁は頷きながら答える。

 

「構いませんよ、『あのお方』に私は相当救われましたから」

 

「そっか……そう言えば彼が劉宏の義理の息子だ。

何て言う噂が広まってるんだけど……彼って実の息子だろ?

やっぱり君達がその設定作ったの?」

 

「ええ、もし『あのお方」の大切な人が貶められたらあのお方が救えるようにと……」

 

「優しいね……」

 

青年はそう言って立ち上がった。

 

「そろそろ干渉してることがバレちゃうから行くよ。

それじゃ」

 

青年がそう言うと青年の姿は無くなっていた。

翁は何事も無かったかのように仕事を再開した。

 


 
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