No.346511
【C81】新刊RO生体4「せいたい☆りりぃ」本文サンプル![]() アキさん 2011-12-12 11:50:35 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:958 閲覧ユーザー数:958 |
「青春するには相手が必要になるわけだけど、異性仲間の総数はジェミニ達を入れてもやっと二十人。異性だけじゃ、その半分しか選択肢がないの。ならいっそ、同性は視野に入らないのかしらってことよ」
「恋人にするなら……やっぱり頼れる男の人が理想だけど……よく判らない」
「じゃ、逆に聞くけど。セリアは、私を恋人にしたいって思う?」
「あら、私はトレンティーニのこと好きよ? 食べちゃいたいくらい」
「私もセリアのことは好きだけど……食べちゃいたいとか、食べられたいとかは感じない……ような」
「ふうん。こんなに至近距離に顔があるのに、何も感じない?」
何かを感じるかと言われても――とりあえずトレンティーニは文字通り目と鼻の先にあるセリアの顔をじっと見つめた。
互いの息がかかるくらいの至近距離でセリアの顔をこんなに長く見るのは初めてかもしれない。長い睫毛に、意志の強そうな印象的な瞳。さくらんぼのような唇。整った容貌は見目麗しいという言葉が似合う。
男性だったら思わずキスしたくなるんだろうなあ、とは思う。残念ながら自分は女性なのだが。
「どう?」
意味ありげな視線を投げてくるセリア含め、周囲はトレンティーニのリアクションを心待ちにしているような雰囲気だ。
皆がいったい自分に何を期待しているかは知らないが、真面目な話、そんな風に待たれても困る。
だがとりあえず何か言わないとこの状況から解放されないような気がしたトレンティーニは、緩慢に口を開いた。
「……セリア」
「なあに」
感想を待ち侘びていたようにセリアが目を細めて微笑んだ。
――が。
「セリアって、美人ね」
素直な感想を述べたつもりなのだが、ただ一人胸をなで下ろしながらホッとしたような顔のアルフォシオを除き、周囲からガクッと拍子抜けした空気が伝わってくる。
当のセリアはというと、トレンティーニの回答を聞いて、唇をつんと尖らせていた。
「それだけ?」
「それだけ……って」
「他に感想があったら聞きたいわ」
「他にって……ううんと、思ったこと?」
「そ。ある?」
思ったことで良いなら、とトレンティーニは前置いて、
「あるけど……やっぱり、美人だなってことが一番で。あんな風にセリアの顔が近かったら……男性だったら、キスしたいって思うんじゃないかしら」
ね、とトレンティーニは周囲の男性陣へ問いを投げる。
一般的にそういうものじゃないかというだけで深い意味はなかったのだが、今の質問は自分で思った以上に爆弾だったらしい。
そうだねと笑顔で頷くフラメルに苦笑して軽く頷くにとどめるランデル、チェンは焦ったように視線をそらし、アルフォシオはぶんぶんと大きく首を横に振った。
揃うと思われた男性陣の反応が分かれたのは結構意外だ。
「ま、いいわ。今はそれで満足しておきましょ」
人差し指でトレンティーニの唇に軽く触れてから、セリアが同じように自分の唇へ人差し指を載せた。一連の行動の意図が読めなかったトレンティーニが不思議そうにセリアを見ると、ふふんと満足そうに微笑み返される。
「ふふっ、判ってないでしょ」
目をぱちぱちしばたたかせたトレンティーニはこくりと頷く。
「やあねえもうトレンティーニってば鈍いんだから。ゆ・び・さ・き・の。間接キスよ」
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