(2010年4月10日(3日目)・放課後・母香炉女学園 学園長執務室)
学園長:MEIKOさん、随分早い報告となるんですが、その情報、確かなんですか?
MEIKO:生徒会役員の特権と細工を使って、生徒会サーバに潜って入手した情報です。出所はこれ以上ないほど確かです
学園長:なるほど。で、その情報をサーバにアップさせた人物は誰なんですか?
MEIKO:生徒会長“巡音ルカ”本人です。その日誌から入手しました
学園長:ほぉ~やりますね。では、報告を聞くことにします
MEIKO:はい。あ、その前に、あまりに信じられないような内容がこれから出てきますが、怒らないでください。入手した情報をまとめただけで、脚色は一切してませんので
学園長:わかりました
MEIKO:まず生徒会、というか、生徒会長の“巡音ルカ”の単独行動だと思いますが、彼女は、作った性格である“百合な性格”を利用して生徒会役員に近づき、彼女らの髪の毛を集めてます
学園長:・・・・(何!)
MEIKO:そして、それを“DNA情報元”にし、他に髪の毛の持ち主の趣味に関連した“ベースマテリアル”、“宝石”を集め、一種の“人造人間”である“マギカント”というものを作ろうとしてます
学園長:・・・・(何だと!)
MEIKO:というか、日誌の記載から判断すると、“現在2年、3年の生徒会役員の髪の毛”は入手済みらしいので、すでに彼女らの“マギカント”は作られている可能性が高いです
学園長:・・・・確かに突拍子もない話ですね。しかし、自分の日誌に嘘を書くとは思えないこと、生徒会長が百合な噂は聞いてますので、とにかく信じる事にしましょう
MEIKO:ありがとうございます。そして、ここで1つの仮定を立てました。この“マギカント”というのは、“本人のコピーのような存在”ではないかと
学園長:コピーですか(!)
MEIKO:学校にバケモノを隠せるとは思えませんし、戦争屋や映画じゃないんですから“バケモノ”を作る意味もないと判断したからです。そしてその使い道ですが、例えば、本人の姿でないと活動できないような“何らかの行動”をさせる目的で、マギカントをダミーとして使うとか、もしくは本人に活動させてダミーに授業を受けさせるとか。まぁそれも映画のような世界なんですが、妥協してこういう考えを持ってきました
学園長:なるほど
MEIKO:なので、まず裏を取る事にしました。今日の昼休みに、生徒会役員と同じ学年かクラスで、私が知っている生徒に、その役員の学年やクラスでの行動や噂を訊いてみることにしました。訊いたのは、1年A組の勇気めぐみと一緒である、亞北ネルと弱音ハク、そしてその知人であり、2年A組の重音テトです。テトは初音ミクと同じクラスです
(回想・昼休み・中庭)
ネル:めぐみさんの最近の行動ですか? なんか変わったところあったっけ? ハクちゃん?
ハク:えっと・・・・凄く変わっているんですけど、変わっているのが“普通”なので、逆に変わってないというべきかも・・・
ネル:ははは、メイコさんも生徒会で知っていると思うんですけど、めぐみさん、スゴイキャラなのよね。だから“変わっている”方が“普通”で、逆に静かになっちゃうとかあった場合が“変”なんです。ややこしいですが
メイコ:なるほど。行動は普通か・・・。じゃあ、身体的な面で変なところはあった?
ハク:身体的ですか?
メイコ:そう。例えば、これはあり得ないと思うんだけど、額に宝石が埋め込まれているとか、目の色が前と違うとか
ネル:いや~さすがにそういうのはないですよ。というか、その手の変化って無かったよね?
ハク:そうですね、特に変わりないですよ
メイコ:そうか、変化無し、っと。あ、そうそう、同じ1年で、B組のリンちゃんとC組のレン子ちゃんは、こういう変化とかあるなんて話、聞いたことある?
ネル:ああ、あの双子ちゃんですか。かわいいとか、リボンちゃんとボクっ子で先輩から狙われているとかいう話は聞いたことありますけど、そういう変わったこととかの話は聞かないですね
メイコ:あ、そうなの。あ、ごめんね、変なこと聞いて
ネル:あの~、
メイコ:何?
ネル:なんか、凄く興味がある話なんですが、もしなにかありましたら、“優先的に”私たちも誘ってくださいね。一般生徒代表としてお供させていただきます!、ね? ハクちゃん?
ハク:私はあの~、
ネル:ね!!!!
ハク:はひ・・・・お供いたします・・・・
メイコ:ははは(ハクちゃん、健気だな・・・)
メイコ:あ、ごめん、それと2年に知り合いいる?
ネル:2年ですか? 会話が成立しない方なんですが、入学式の時に学校案内で、重音テトって先輩と知り合いになりました。いつも屋上で物思いに耽っているんですけど
ハク:優しい先輩ですよ
メイコ:屋上ね、ありがとう!
(回想・昼休み・屋上)
メイコ:はぁはぁ・・・テトちゃん、やっとめっけたわ
テト:(゚Д゚≡゚Д゚)?
メイコ:ここ、ここ。あなたの後ろ
テト:( ̄□ ̄;)!!
メイコ:そんな驚かなくていいわよ。私は3年B組の咲音メイコよ。亞北ネルちゃんと弱音ハクちゃんから教えてもらってきたの。ちょっと同級生について聞きたいことがあってね・・・・・って・・・・もしかして“話せない”?
テト:(`・ω・´)ノ
メイコ:あ、いや、そんな自信満々で表現しなくてもいいことだけど・・・。まぁそれなら仕方ないわ、“YES/NOで答えられる質疑応答”で行くわね
テト:(>▽<)ノ
メイコ:えっと訊きたいのは、あなたと同じクラスで学級委員長の“初音ミク”さんの事なの。まず最近でもいいんだけど、彼女に変わった行動とかあった?。例えば授業を抜け出すことが多いとか、休みが多いとか、病気がちだとか
テト:((-ω-。)(。-ω-))
メイコ:ないか。じゃあ、姿になにか変化があった? 例えば髪の毛が突然伸びたとか、明らかにおかしいところに光り物を見つけたとか
テト:(・д・=・д・)
メイコ:これも無しか。って事は彼女も本人で間違いないか
テト:o(゜▽゜o)(o゜▽゜)o
メイコ:あ、いや、そんな凄いことがあるわけ・・・・・・でもあるか。えっとね、要するに、クラスにいて授業を受けているミクさんが“本人”かどうかを知りたかったの。全く同じモノは用意できないだろうから、それで“変わっている事”を知りたかったのよ
テト:━━━━━━∑(゚д゚lll)━━━━━━
メイコ:あ、いや、まだ“事件”って確定したわけじゃないんだけど、生徒会って、ほら、いろいろ言われているでしょ? でもって私、生徒会役員とはいえ、“諜報委員”だから、いろいろ調べているのよ。うん、でも大丈夫だから。このミクさんは本人で確定。だから事件性無し! 安心してね
テト:(*´∀`*)
メイコ:情報ありがと!。それじゃ
テトはメイコの袖を引っ張った。
テト:(*゚д゚*)
メイコ:あーなるほど。ネルちゃん達と同じわけか。うん! ありがと! あなたも、そうね“美少女高校生探偵団”みたいな感じで、何かあったら声をかけるわ。えっと、いつも昼休みとか放課後はやっぱりここ?
テト:d(。ゝд・)
メイコ:わかった!、協力感謝します!。また声をかけるわ!。じゃあね
***
MEIKO:という感じで、今学校にいる生徒会役員は全員、シロ、つまりマギカントとかそういうのではないと考えられます
学園長:わかったわ(そんなに早く作られたらたまったもんじゃないわ。こっちだって解析中なんだから!)
MEIKO:で、まだいろいろ調べないといけないんですが、いかんせん、今入手したパスワードでは、PHASE3までしか入れず、サーバから得られるのはこれくらいなんですよね。それに進入痕跡を消せるとはいえ、何度も入るのはリスクが高いです。今回調べた情報に関わる、何か重要な情報はないですか?
学園長:・・・・口外しないのならいいですよ
MEIKO:口外しないのは探偵の常識です
学園長:わかりました。ついてきてください
MEIKOは学園長のあとを付いていくことにした。
執務室を出て、時計台に移動し、人気がない事を確認した後、地下1Fに移動した。
到着した場所は、時計台の地下1Fにある、大きな物置だった。
MEIKO:あの~、いかにもな所なのはわかるんですが、ここに何が?
学園長:あなたの報告にあった“マギカント”。実は私と教師達だけの秘密事項になっていた事なんですよ。今日報告で言葉が出てきて、内心驚きました。あの時点では、“信じましょう”と婉曲な表現でごまかしましたが、そうも言っていられないようですね。とにかくみてください。これがその“マギカント”に繋がる“モノ”です
学園長が物置を開けると、でかでかと大きな石版が現れ、そこにはいろいろな謎の絵が彫られていた。
MEIKO:うっわー、こういうの漫画とかアニメでしかみたこと無いわ。まさか本当にあったとは
学園長:ここに書かれた情報を解読することで、魔法造成人間=マギカントが製造できるらしいのです。社会のミリアム先生とか理科のプリマ先生などの一種の専門家とも相談した結果、とりあえず警察沙汰、ニュース沙汰にするのはやめました。爆発物とか危険物でないことは、学園側の調査でわかりました。そして、騒ぎにならないように私と教師の間だけの秘密事項にした・・・・つもりだったのですが、どうやら生徒会にはすでにリークされていたみたいですね。ここの鍵は私しか持っていないはずだったんだけど
MEIKO:どこからか鍵の複製、情報の漏れが生じていたのでしょう(まぁ、あのサーバの不用心さじゃ、いつか見つかりますわね)
学園長:とにかく、私が生徒会に不信を持っていた理由の半分がこれですから、嫌な当たり方をしてしまったようですね。とにかく鍵は掛け替えます。それとこれ以上、“未知の技術”、を生徒に興味本位でいじらせるわけには行きません。ここの警備は厳重にしておきます
MEIKO:ということは、私のお仕事は終わりですか?
学園長:いえ、もう少し生徒会の動向をみていて欲しいです。以降の報告方法ですが、このメルアド宛に、あなたの携帯から連絡をください。必要があると判断した場合は、執務室で会いましょう
MEIKO:わかりました
こうしてMEIKOは学園長と別れた。
MEIKO:(どうやら学校側もマギカントの研究をしている・・・・か。これは裏があるな。生徒会と同時に教師側も当たってみるか)
(2010年4月10日(3日目)・放課後・母香炉女学園 生徒会室)
ルカはアノ椅子に座っていた。どうやらこれは“生徒会長が専用で座る椅子”らしい。
GUMI:それわぁ~、会長専用椅子なんですねぇ。赤くなくてツノも付いてないから、3倍じゃないんですね~きゃは☆
ルカ:その口調はもういいです。報告にならないから、“素”に戻ってください
GUMI:ちぇ! バレバレだったか~。まぁ“きゃは☆”は疲れるからもういいか・・・・わかりました、報告に移ります
ルカ:出来るじゃないの
GUMI:あなたのくれたパスワードでは、学園側のサーバでは“教師の日誌”までしか入れませんでした
ルカ:すまない。私もこれ以上先まで入れるパスワードは入手していないのだ。君に仕事を頼んだ理由である“学園長に動きがある”という情報は、その“教師の日誌”から掴んだものなのだ。君に頼んでからは私自身はサーバに入っていない
GUMI:なら学園長が主導で動いている“マギカント”の事は知らないのですね?
ルカ:何!
GUMI:ミリアムという社会科教師の日誌に書かれてました。学園長が最近、時計塔の方へ行くところが目撃されていると。それがマギカントとかいうモノと関係しているらしいのです。ついでに理科教師のプリマも鑑定に関わっていたとも書かれてます。教師側の秘密の日誌にしか記載がない事を考えると、秘密裏の内容だと考えるのが妥当です
ルカ:他にはなにか書かれていたか?
GUMI:はい。学園長は職員の“髪の毛”を全員分集めさせたそうです。関係者にも理由を話していない事から考えると、“話せないような内容”と考えるべきですね。あと、今動いているのは“学園長だけ”と判断できます
ルカ:・・・・
GUMI:ところでこの“マギカント”ですが、先ほどあなたは“何!”と答えてましたが・・・・知っているんですね、“マギカント”の事を
ルカ:・・・・さすが有能探偵。隠せないな。そう、アレが発見されてから教師側はひたすらに情報の隠蔽をし、アレの入っている場所を封鎖していたが、生徒会側の目からは逃れられないのよ
ルカは1つの鍵と、予定表らしい紙を取り出した。
ルカ:生徒会側も、この“合い鍵”と“門番の予定表”を使い、少しずつだが、アレの解析を進めていたのだ。勿論、“マギカント”の事はここ数日の研究でわかった、新しいネタだがな。“アレは隠しておく”とか学園長は言っていたが、やはり学園長自らがその則を破っていたとは。マギカント、髪の毛、までわかっているのなら、おそらく“ベースマテリアル”、“宝石”の事も知っているはずだ
GUMI:・・・・随分詳しいですね。私見ですが、こちら側もこれだけ研究しているのだったら、目的次第ですが、“向こうと同じ穴の狢(むじな)”と考えていいんですか? それなら、この一見、おろさせて貰うことも考えますよ?。探偵の約束から、“口外”はしませんが、あなたとの約束である、向こうの動向調査は、こっちがやっている事とほぼ同じであり十分と考え、以上の報告を持って終わりと判断しますが?
ルカ:君は我々からは逃れられないよ
*****************************
ルカは髪の毛の入った2つの試験管を箱から取り出した。
GUMI:そういえば髪の毛を1本、契約の時に採取されましたね。つまり私の“遺伝子”がそっちの手に渡っているからマギカントに関わっているため、私はこのヤマからは降りられない・・・と
ルカ:それだけではない。最大の理由はもう1つの試験管だ。この試験管に入っている“髪の毛”。誰のモノだかわかるかな?
GUMI:紫色の髪の毛・・・・?
ルカ:ここが女学園である事は忘れて貰おう。生徒会役員で一人、引っかかった人物がいたはずだが
GUMI:女学園であることを忘れる・・・・紫色の髪の毛・・・・!!!!! まさか! 学歩兄さん!!
ルカ:そう。生徒会風紀委員長、“神威学子”のモノだ。彼女は、洗脳されて女装している、君の兄“勇気学歩”、つまり男なのだよ
GUMI:2年前から行方不明だったのは、ここに隔離されていたからか!
ルカ:2年前から切り札を作っていたわけではない。彼の身の上を調べた線上に、君が出てきたのだよ。ちょうど良かったので使うことにした
GUMIは隠し持っていた強化プラスティック製のハンドガンを構えた。
GUMI:兄さんを返しなさい!
ルカ:とりあえず銃はおろして貰おう。こちらが兄という駒を持っている事を忘れないで欲しい。そして、たぶん誤解している点があるので、それをまず話したい
GUMIはギリギリ言わせながらも、銃をおろして、服にしまった。
ルカ:それが賢明だ。さて、“誤解している”事だが、先ほど、君は“同じ穴の狢”と言っていたが、そうではない
GUMI:同じだろうが! マギカントなんてバケモノを作っている事、違うとは言わせんぞ!
ルカ:マギカントはバケモノではない。普通の製法を守った場合は、使った遺伝子の所有者と全く同じ“コピー品”となる
GUMI:!
ルカ:ただアレに書かれていた事を解析すると、“作り方”と“ベースマテリアル”を変えることで、意図的に変える事ができるそうだ。例えば、マスターに従順な“愛玩用”とか、戦い専門の“戦闘用”とか
GUMI:おまえはどっちにするつもりだ。どうせ“ノーマル”なんて作る気ないんだろうが!
ルカ:私は愛玩用だけだ。まぁ、“従順”だから、おまえを襲え、と言えば襲うだろうがな。特に君の兄はこの学園の剣道部主将。愛玩で作っても、かなりの剣の腕前だろうが
GUMIは爆発寸前だった。が、兄の事を思い、なんとか押さえる事にした。
GUMI:・・・で、おまえは私にこれ以降、何をして欲しいのだ
ルカ:この人物を闇で消して欲しい
ルカは隠し撮りしていたと思われる写真を1枚、GUMIに手渡した。
GUMI:これは・・・・生徒会室にいる“咲音メイコ”?
ルカ:そこの散らばっているハンディカメラ、あれは“監視カメラ”でもある。昨日の放課後以降のビデオを確認したら出てきた。私とレン子、君、そしてその彼女だけが入室していた。そして彼女がPCでやっていたことを解析した結果、どうやら彼女は学園長から送られたスパイである事がわかった。私のデータをハッキングしていた
GUMI:つまり、私と同じく、“通常で入学、転入してきた学生ではない”、と
ルカ:そうだ。まさか生徒会に自ら飛び込んで調査しているとは思ってなかった。とにかくこれ以上嗅ぎ回られるのは困る。同じ探偵だ、闇で動いているだろうから、闇で消す事もできるだろう
GUMI:約束しろ、始末が確認できたら、兄を退学扱いにして洗脳を解いて、私の探偵社までつれてきなさい
ルカ:いいだろう。そのときは君とメイコの退学と情報の抹消もやっておこう
GUMI:約束は守れよ
ルカ:学校側と一緒にしないで貰おう
こうして、GUMIは生徒会室を後にし、メイコが立ち寄りそうな所を探すことにした。人気がなく、音が共鳴しないところで始末しようと思ったからだ。
(夕方・母香炉女学園・3年B組教室)
めぐみ:あの~
女生徒:ん? 何?
めぐみ:このクラスのメイコ先輩は、今どちらに?
女生徒:メイコさん? 1回出ていったけど帰ってきて、鞄を持って帰ったと思うけど、ついさっきだったから、今は玄関にいるんじゃない? 学級委員長とか生徒会の活動は今日はないから
めぐみ:ありがとうございます!
(夕方・母香炉女学園・玄関)
めぐみ:(・・・・・・・いた)
メイコは運が悪いのか、ちょうど下駄箱で靴と上履きを交換していた。
メイコ:全く、ここの教師ども、噂話で入ってもマギカントのネタになったとたん、黙りになって・・・・。逆に怪しいじゃないの!というか私も生徒会役員の特権を使ったとしても、あんまりこのネタを教師にダイレクトで投げるのはやめた方がいいみたいね
カチャ
めぐみ:そのまま振り返らずに、裏庭に来なさい
メイコ:素が出たか、GUMI。とにかく銃をおろしなさい
GUMI:よくわかったな
MEIKO:声質までは変えられないからな。それと作った性格でボロを出していたな。“グミって呼んでね♪”、と。うちらの業界では有名なんだよ、天才探偵GUMI、はね
GUMI:ますますここで撃ちたい気分だが、闇で葬るのが約束だ。とにかく裏庭まで来い
MEIKO:わかった。死ぬ前に事情も訊きたいからな
GUMIは銃をおろし、二人で目立たないように裏庭に移動した。
(夕方・母香炉女学園・裏庭)
裏庭やその近くには誰もいなかった。MEIKOとGUMIは対峙しており、GUMIはまた銃を構えた
GUMI:あんたも運が悪いね、まさか両極の探偵二人が同時に潜入調査していたなんてね。私も驚いているわ
MEIKO:サイレンサー付きのプラスティックハンドガンか。音も消し、金属反応も出ない、暗殺用の銃
GUMI:最近の探偵はこういうモノを持っていないと商売にならないのでね
MEIKO:それは私も同じなんだけどね
MEIKOも同じような銃を持っていた。どうやら袖口に隠し持っていたらしい。
チャキ
GUMI:詳しい事を話さなくても、お互い事情はわかっているみたいだが、一応“確認”を取ることにしよう。“マギカント”を極秘裏に研究しているのが、学園側、生徒会側、両方である事は、お互い掴んだようだな
MEIKO:その通り。そして、どちらも“悪”と呼称していいような事をやっている。さしずめ、あんたも生徒会長に“脅迫”されて、私を消しにきたのでしょう
GUMI:あんたも銃を構えているが?
MEIKO:私は“護身”目的だ。正直、あんたを消すつもりはない。だが私もここで消えるわけにはいかない
GUMI:それは私も同じ事だ。“仕事はキッチリ”、これが私の信条だ。じゃあね
パシュ!
GUMIのプラスティック製の弾はMEIKOの左胸に当たった。しかし・・・。
ポロっ
弾は垂直に落ちていった。
GUMI:防弾チョッキ!
MEIKO:防弾プレートよ。言ったでしょ? “護身”だって
パシュ!!!
MEIKOのプラスティック弾はGUMIが銃を持っている手に当たった。
GUMI:イタッ!
この弾には殺傷能力がないのか、GUMIが銃を落とす程度の威力しか持っていなかった。それでもGUMIは痛さで左手で赤くなった右手を押さえてうずくまった
MEIKOはGUMIの左目に銃を突きつけた。
GUMI:殺せ
MEIKO:だから私は護身目的だっての。これで対決は終わり。殺さない代わりに、事情を教えて貰う事、そして内容によっては目的が同じになったはずだから、私に協力してもらう事にもなるわ。探偵の鉄則である“口外しないこと”を破ることになるけどね
GUMI:ぐぬぬぬ・・・・・・仕方ない、お互いの事情、腹を割って話すしかないか
MEIKOは銃をおろしてしまった。GUMIも銃をしまった。
MEIKO:はい、これ
MEIKOは持っていた救急セットの“軟膏と絆創膏”を使って、GUMIの手を手当した。
GUMI:うう、あんた本当に私の敵なのか?
MEIKO:あなたの話を聞く以前に、おそらく“同じ敵”と戦う事になりそうだから、足手まといにならないように手当した
GUMI:すまぬ。では、こちら側の事情から話すことにしよう
こうして、お互い、事情を話し合う事になった。
(続く)
CAST
咲音メイコ(MEIKO):MEIKO
勇気めぐみ(GUMI):GUMI
生徒会長・巡音ルカ:巡音ルカ
副生徒会長・初音ミク:初音ミク
生徒会書記・鏡音リン:鏡音リン
生徒会会計・鏡音レン子:鏡音レン
生徒会風紀委員長・神威学子(=勇気学歩):神威がくぽ
亞北ネル:亞北ネル
弱音ハク:弱音ハク
重音テト:重音テト
プリマ先生:Prima
ミリアム先生:MIRIAM
学園長、女生徒:エキストラの方々
***
<学級委員長と生徒のクラス割>
学園長:黒井木之子
1年A組:委員長・勇気めぐみ、生徒・亞北ネルと弱音ハク、先生・レオン
1年B組:委員長・鏡音リン
1年C組:委員長・鏡音レン子
2年A組:委員長・初音ミク、生徒・重音テト
2年B組:
2年C組:
3年A組:委員長・工藤カイ子
3年B組:委員長・咲音メイコ、先生・プリマ
3年C組:委員長・神威学子
3年D組:委員長・巡音ルカ
<部活動>
剣道部:部長・神威学子
軽音楽部:部長・初音ミク、部員・重音テト
アイス同好会:会長・工藤カイ子
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○ボーカロイド小説シリーズ第5作目の”母香炉女学園の謎 MEIKO vs GUMI!“シリーズの第4話です。
☆ジュブナイル探偵SFファンタジーモノ(?)です!
○今回はMEIKOさんとGUMIさんのダブル主役です。
○pixivで人気の良かったシリーズです。