No.335115

恋姫夢想 ~至高の鍛冶師?の物語~ 第五話

第五話です。
真也の特技の一つが出ます。
今回は今まで以上に独自設定になっています。
読む方はご注意ください。

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2011-11-15 23:48:56 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:6495   閲覧ユーザー数:5373

いや、うん。この世界がいろいろおかしいっていうのは分かってたよ。

特に食関係。

日本の国民食と言われるラーメンがあったり、トウガラシが普通にあったり、

杏仁豆腐がデザートであったり、肉まんがあったり…いや、肉まんはいいのか?

明らかに発案者違そうだけど。

まあ、三国志に似た世界なんだから多少は目を瞑る。

瞑るんだが…

 

「…本当に何でもありだな」

 

今俺の目の前には元の世界では日本でもポピュラーな物。

サラダやパスタにも良く使われる野菜

 

 

 

 

 

 

トマトがあったりする。

 

 

 

 

 

 

ついつい一籠分買ってしまったこのトマト。時々店に入ってくるけど使い方が

分からなくてほとんど売れ残ってしまうらしく、かなり安く売ってくれた。

試しに一つ買って食べてみたけど普通に美味かった。それこそ、元の世界のと

変わらない位に。……元の世界では品種改良されてる物と変わらないって本当に

何なんだろうか、この世界。

 

 

とりあえず、その日の夕飯に切り分けたトマトが加わった。

 

 

 

 

 

トマトを手に入れて次の日、俺はある料理を作ろうとしている。

今日俺が手に入れたのはエビ。勘のいい人はこれで分かるだろう。

俺が作ろうとしているのは「エビのチリソース炒め」だ。

まあ、正確には「エビのトマトソース炒め」だけどな。

 

実は俺、結構料理好きだったりする。元の世界でも結構腕を振るってた。

自分で自分の包丁やら鍋やらも作った。こっちの世界には来てなかったけど。

まあ、この店が正式に俺の物になってから新しく作った。…愛着あったんだけどな。

 

 

 

話が逸れた。今俺は厨房にいる。

エビは殻を外し、背ワタも取り、水気を拭き取る。

それに塩、酒、片栗粉をまぶして軽く揚げておく。

トマトは潰して火にかけ、少量の調味料で味を整えて最後に

こしてトマトソースにする。

 

このままエビチリの調理開始……の前に作っておく物が。

 

 

それは炒飯。それも普通の卵炒飯だ。特別な何かをする訳じゃない。

 

 

 

 

 

まず卵を均一に溶き、そこにご飯を投入。米粒一粒一粒を卵でコーティングする。

鍋を火にかけ、熱くなったら油を適量入れ、鍋に馴染ませる。

そして卵とご飯を投入、お玉で手早くご飯を解し、鍋を振るって水分を飛ばす。

パラパラになったら刻んだネギを入れて手早く混ぜ、塩と醤油で味付けする。

塩は貴重な様なので醤油主体で。それを皿に盛り、

 

 

卵炒飯完成。

 

 

 

いよいよエビチリ。

熱くなった鍋に油を入れ、刻んだ香味野菜を炒める。香りが出てきたら豆板醤を入れ、

さらに炒める。豆板醤からも香りが出たらエビ、トマトソースを投入。

よく絡めたら水溶き片栗粉でとろみをつける。

 

 

エビチリ完成。

 

 

で、完成したエビチリを別に作っておいた卵炒飯にかけて

 

 

 

 

 

 

エビチリ炒飯完成!!

 

 

 

 

 

 

 

エビチリ炒飯をテーブルに置き、いざ食べようとしたら飲み水が無かった事に

気付き、取りに行ってすぐに戻る。掛かった時間は僅か数秒。その間に

 

 

 

 

 

いつの間にか居た恋が俺のエビチリ炒飯を食べてた…ってちょっと待て。

 

「…なんでお前が俺のエビチリ炒飯食べてる?っていうか何で居る?」

「……いい匂いがした」

「…それで?」

「……ご飯が置いてあった」

「…だから?」

「……美味しそうだった」

「…全然答えになってないんだが…って食う手止めんか!?」

「……美味しかった」

「……全部食っちまいやがった………」

 

 

俺の…俺のエビチリ炒飯……!

 

 

 

「……おかわり」

「ねえよ!!」

 

 

 

結局その日の昼食は飯屋で食べた。

明日こそエビチリ炒飯を食べてやる…!

 

 

 

 

 

 

エビチリ炒飯を恋に食われた次の日の昼

 

「……なんで勢揃いしてる」

 

俺の店の前にいつもの面々がいた。月様と詠もお忍びの姿で。

けど華雄と霞と恋まで揃ってたら意味無いような気がするんだが。

すごい注目されてるぞ。

 

「恋があんたに美味しい物食べさせてもらったって聞いてね」

「食べさせたんじゃない。食べられたんだ」

「で、今日も作るって聞いたからご相伴させてもらおうと思って」

「……俺は自分の分以外作る気はない」

「え、詠ちゃん。やっぱり悪いよ…」

「董卓様の仰る通りだ。やめた方が…」

「そないな事言うて、月っちも華雄も気になるやろ?真也の料理」

「う…」

「へぅ…」

「…本音は?」

「次の俸給が本気できついんです。節制しないと駄目なんです。お願いです。

 ご飯食べさせてください」

 

…あの霞が敬語だけで話してくるとは。まあ、あの金額はやばいよな。立て替えた俺が

言うんだから間違いない。元を辿ればお前の自業自得だけどな。

 

「…一人一皿限り。それ以上は絶対に作らん」

「ほんま!?ありがとな真也!」

 

そんなに嬉しいか。

 

「恋殿がお待ちなのですぞ!とっとと作るですぞ、へっぽこ鍛冶師!」

「…お前の皿だけ超激辛にしてもいいんだぞ?」

「ごめんなさいですぞ」

「先に断っとくが、恋も一皿だけだからな」

「………………ん」

「返事するまでが長いな、おい」

 

 

華雄に追加分の食材を買ってきてもらい、俺を含めた7人分のエビチリ炒飯を作った。

 

 

 

「美味しいです、真也さん」

「あんたにこんな特技があったとはね」

「美味っ!?レンゲが進むで、これ!」

「確かに美味いが…ちょっと複雑だ」

「……やっぱり美味しかった」

「く、悔しいですが確かに美味しいですぞ…」

 

どうやら全員に好評だったようだ。

けど華雄よ。複雑っていうのは俺が料理できる事でいいんだよな?

あと御前試合のもう一つの目的である軍の士気の向上だが、以前にも

増して高くなったらしい。兵士ですらない人間が将軍に勝ったのが

衝撃だった様で、かつての腑抜け具合を払拭するかのような勢いで調練に臨んでるそうだ。

 

 

あれで何も変わらなかったらどうしてやろうかと考えたりもしたが。

 

 

 

 

 

その後、また腕を振るう事を約束させられた。気が向いたら、かつ材料費は

向こう持ちって条件も確約させたが。それと華雄がやたら張り切ってたが。

ところが、話はこれで終わらない。

 

「頼む!あの料理を教えてくれ、大将!!」

「……何でこうなった」

 

今俺に頭を下げてるのは飯屋の店主だ。

店主はあの食事会(?)を遠くから見てた内の一人なのだが、俺の作ったエビチリ炒飯を

見た瞬間料理人魂を刺激されたらしく、俺に教授を頼んできたのだ。

ちなみに大将っていうのは、この街での俺の呼び名だ。

なんで大将なのか聞いたんだが

 

「「「「「『大将』は『大将』だから」」」」」

 

って言われた。全然答えになってないんだが…。

 

閑話休題

 

正直気が進まなかったんだが、連日連夜来られたらもう観念するしかなかった。

エビチリ炒飯の他にもいくつか料理を教えた。

まあ、条件もつけたけどな。

…けど店主、完全な営業妨害な上に自分の店をほったらかしで良かったのか?

 

 

 

 

 

「店主、どうだ調子は?」

「おう、大将!おかげで大繁盛だ!あとこれが…今回の分だ」

 

飯屋を訪れた俺の前に、店主はある物が入った袋を置いた。

俺はそれを取り、中身を確認する。その中身は…金だ。

誤解のないよう言っとくが、危険な金ではない。

この金は俺が出した条件の報酬だ。

俺が出した条件は俺が教えた料理によって発生した利益の何割かを報酬として

もらう事。

元の世界でいう「特許権使用料」みたいな物だ。

他にも「俺が教えた料理を第三者に教えない事」や

 

「店主、汁あり担担麺4つ」

「あいよ!『羽丸印(はねまるじるし)』の汁あり担担麺4つね!」

 

俺が教えた料理には「羽丸印」の名前をつける事も条件につけた。

「羽丸印」は俺が考えたブランド名で、丸の中に鳥の翼の絵が描いてあるマークである。

このマークができてから、俺が作った全ての作品には焼印で入れたり、彫ったりしている。

いやこれだけ好評だと自分が作った物だって証拠を残したくなってしまって。

ちなみに、このマークの存在を知った将達が自分の得物にマークを入れに来てくれた。

 

 

そんなこんなで、自分もいろいろやり始めたりしている。

……鍛冶師のする事じゃない、って自覚もあるけどな。

 

 

 

 

 

~後書き~

真也のブランドが設立(笑

真也が「大将」と呼ばれるのは自分達が包丁や鎌などの日用品で世話になっており、

御前試合で将軍である華雄に勝ったからです。

調理の描写は恐らく今回が最初で最後です。

そしてエビチリ炒飯は某漫画に出てきた料理です。

恐らくは今後も様々な漫画やアニメに出てきた料理を使うと思います。

ちなみにエビチリ炒飯は実際に作りました。

美味しかった。


 
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