No.334419

恋姫夢想 ~至高の鍛冶師?の物語~ 第三話

第三話です。タイトル付けました。
初の戦闘描写です。
難しいです…。


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2011-11-14 11:41:33 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:6094   閲覧ユーザー数:5116

「始め!!!」

 

詠の合図で俺と華雄の戦いが始まった。

装備無しで身軽な俺と重量武器持ちの華雄。普通なら俺が

突っ込み、華雄がそれを迎撃って形だろうが…

 

 

 

あいつがそんな悠長な事をする筈がない!!!

 

「疾っ!」

 

合図と同時に華雄はこちらに向かって駆け出し、俺が間合いに入ったと同時に

横薙ぎの一閃を放ってきた。

勿論俺がそれを食らってやる道理はない。軽いバックステップでその一撃を

躱す。そして振り終わった直後を狙い、接近しようとした。

だが…

 

「ふっ!」

「ちっ!?」

 

華雄は振るったハルバードの勢いをそのままに身体を回し、完全に背中を向けたと

思えば、身体の左側から石突で突いてきた。出だしを潰された俺は先程の様に

バックステップで回避した。その間に華雄は正面を向き直し、身体を軸にして金剛烈斧を

右手に移動させ、俺を追撃してくる。

駆ける勢いを利用しての刺突を、俺は身体を横にずらして躱す。それを見るや、華雄は

力任せにそのまま横に薙いできて、俺の身体を宙に飛ばす。

真横だった事もあり、勢いが付く前だったのが幸いした。吹き飛ばされたと

いうより、投げ飛ばされたといった方が正しい状況だ。

なんとか無事に着地し、華雄とある程度の距離を取る。

華雄はその場で金剛烈斧を立てるように持ち変え、舞台に石突を置いた。

 

「やはり、この程度では勝ちは取れないか」

「始まったばかりなのにせっかちだな。かなり肝を冷やしたぞ」

「しっかりと紙一重で躱しておいて良く言う。さっきの一撃も効いていない様だしな」

 

そう言いながら華雄は再び金剛烈斧を構える。

いや、効いてるぞ華雄。実際脇腹が痛むし。顔には出さないようにしてるが。

…もしも華雄の得物が金剛爆斧のままであれば、俺はたやすく懐に入る事ができただろう。

金剛爆斧では攻撃を回避されるとその重量故に制御が利かず、致命的な隙になる。

先程のように身体を回転させてもう一撃加えようとしてもスピードが無い分

見切られやすく、正面を向いて止まろうとしても慣性が働き、それを止めようとして

身体が硬直する。

いずれにしろそのまま一撃を与えて試合終了となっていたはずだ。

 

と言っても、これは仮定の話。今の華雄相手では意味のない事だが。

槍、斧、突起を組み合わせる事で一つの武器で突く、斬る、叩くといった多彩な攻撃方法ができるのが

ハルバードの特徴だが、それなりの重量があり、多芸な事もあって適切な判断と

迅速な対応、さらに振るえるだけの筋力が必要。

だが、今の華雄はその条件を明らかにクリアしている。

 

「(お前に合わせて作ったから当然と言えば当然だが…)」

 

今まで大斧を使っていたから、扱い切れるのはもう少し先だと思っていた。

戦う者としては厄介だが、作る者としてはうれしい限り。なかなかに複雑だ。

 

「さあ、続きといこうか。鷹原」

「ああ。ただし…」

「ん?」

「今度はこちらからだ!!」

 

やられっぱなしは性に合わん!!

 

 

 

 

 

「へぅ……すごい」

「華雄の奴、ただ斬りかかるだけや思うとったらいきなり搦め手とはな」

「ん……」

「あの程度、恋殿ならたやすく躱せるのですぞ!」

 

今うちらは月っちの近くで観戦しとる。もっと近くで見たいのが本音やけど、

護衛も必要やからな。にしても

 

「得物が変わるだけでああも変るもんなんか?」

「ん…」

「恋殿なら変える必要なんか無いのですぞ!変えるとしてもあんなへっぽこ鍛冶師に

 頼る必要はないですぞ!」

 

以前真也は、あの大斧では華雄に合わないから【はるば~ど】に

作り変えた言うとった。得物が新しくなってから今まで真剣に

見てへんかったけど……

 

「大斧使ってた時の戦い方が嘘みたいやな」

「ん…」

「恋殿の方が強いのには変わらないですぞ!」

 

とりあえず今言える事は…

 

「「ねね、うるさい」」

「ひどいですぞ!?」

 

そんな事しとる間に、今度は真也が攻め始めとった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ!」

 

渾身の力を込めて右ストレート一発。躱しにくい様、胸部を狙う。

当然華雄は防御に回る。金剛烈斧の柄を使って俺の拳を止めた。

装備無しとは言っても布を何重にも巻く位の事はしているから、拳は痛んでいない。

 

「簡単に止めてくれるな」

「当然だ。お前こそ、この程度で私に勝てると?」

「思っちゃ…いないさ!」

 

右ストレートが止められるのは織り込み済み。俺の狙いは間合いを詰める事だ。

俺は右の拳を引き、今度は左で攻撃する。

ただしこちらは一発だけじゃない。弾幕とも呼べるジャブによる連撃だ。

 

「くっ!?」

 

華雄は先程の様に金剛烈斧の柄を使って迎撃する。重量のある穂先では防ぎ切れないと

判断したのだろう。穂先は舞台に置き、石突の部分を上下左右に振る事で俺の拳を

防いでいた。

……正直驚いた。重量武器で俺の攻撃を全て防いでいるのだ。それも防御の隙間を

狙っている攻撃をだ。流石に余裕はないらしく、表情は必死だが。

 

「(これじゃあ、ダメージは期待できんか。むしろこっちの拳が先に使えなくなる)」

 

布で保護してはいるが、衝撃をすべて消せる訳ではない。事実少しずつだが痺れが

蓄積してきている。

 

「(少し、攻め方を変えるか)」

 

俺は僅かにジャブのスピードを落とし、華雄に対応させやすくする。

その際、疲労で速さが落ちてきたと認識させる為に拳筋をやや荒くする。

少し続けると華雄の顔に余裕が生まれてきた。いや、この場合は油断が正しいだろう。

 

「(……今!)」

 

俺は一発だけジャブのスピードを上げ、金剛烈斧の柄の下に拳を滑り込ませる。

そしてそのまま左拳ごと柄を払う。

 

「なっ!?」

 

そして空いた脇腹に右拳の渾身のコークスクリューを打ち込む!…筈だった。

 

 

 

 

 

 

柄を無理矢理払われたせいで確かに華雄の体勢は崩れていた。確かに脇腹が

がら空きだった。俺自身も脇腹の痛みはあったが、それを無視して打った。

寸止めする気はあったが、俺はそれを行えなかった。

なぜなら…

 

「……嘘だろ」

 

俺の右拳を、華雄が自身の左手で止めたからだ。

 

「くっ!」

「…!」

 

俺は華雄の手から拳を退き、直ぐに離れる。そしてその眼前を金剛烈斧が通り過ぎた。

華雄が右腕だけを使って切り上げをしてきたのだ。

俺のコークスクリューを素手で受け止めたせいだろう、華雄の左手は

小刻みに震えていた。骨が折れる感触は無かったから、おそらく

単純な痺れだとは思うが。

 

「…よく防げたな」

「たまたま手を置いた場所にお前の拳が来ただけだ。次は防げん」

 

偶然でも無意識でも、防いだ事には変わりないがな。

 

「いずれにしろ、その左手は当分使えないだろう?右手だけでは俺の攻撃は

 防げない」

「…それがどうした?まさか降参しろとでも言うつもりか?」

「まさか」

 

この好機を逃す気もないが。

俺は再びファイティングポーズを取る。

 

「次で決める」

「いいだろう。これで痺れが取れるのを待つつもりだ等と言ったらその首を

 落としているところだ」

 

そう言って華雄も金剛烈斧を構える。ただし、先程までと違い、まるで鏡に

映したように構え方が左右反対だ。

 

俺も華雄も、周りの観客も、誰一人言葉を発しない。

文字通りの静寂が舞台を包んでいた。そして

 

 

 

 

 

 

汗が舞台に落ちる音が響き渡ったような気がした。

 

 

 

 

 

その瞬間、俺は一直線に華雄に向かって駆け出す。

すると華雄は左半身をこちらに向け、金剛烈斧を腰だめに構え直す。穂先を

横に寝かせながらこちらに向け、左手は添える程度。そして

 

 

 

 

 

俺に向けて、轟音が聞こえてくる様な『突き』を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

華雄が突きを放った直後、舞台の上には

 

 

舞台に罅を入れる程に右足を踏み込み、伸ばしきった右腕のみで金剛烈斧を

支える華雄と

 

 

 

 

 

「……俺の勝ちだ」

「…ああ。私の敗北だ」

 

 

その華雄の懐で、華雄の顎に拳を当てている俺がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はっ!そこまで! 勝者!鷹原!!」

 

一瞬の静寂の後、詠が俺の勝利の宣言をした。

それを受けて、舞台を歓声と拍手が包んだ。

…正直、かなり恥ずかしかったりする。

見てる側はすごく短い時間だったろうが、俺にとってはとても長い時間が終わった。

俺は自分の拳を引き華雄も金剛烈斧を舞台に下ろした。そして互いに背筋を伸ばす。

 

「ふう…」

 

そのすぐ後におれだけ身体の力を抜いたが。

 

「お前が勝者なんだぞ。もっとしゃっきりしろ」

「無茶言うな。本気で冷や汗掻きっぱなしだったんだぞ」

「あんな真似した癖にか?」

「あんな真似した癖にだ」

 

俺達が言うあんな真似。それは先程の華雄の突きを俺は横でも後でもなく、前に進んで

躱したのだ。正確には金剛烈斧の下を潜り抜けて。

華雄が金剛烈斧を横に寝かせて突きを放って来た為に十字槍の様になり、横に

躱す事ができず、かといって駆けて加速してる状態では後ろに跳ぼうとしても

間に合わない。だから俺は飛び込むように斧の下のわずかな空間を抜け、華雄の懐に

入ったのだ。そして起き上がりながら拳を突き出し、あの体勢となったのだ。

 

 

 

 

 

この後だが、月様からねぎらいの言葉と褒賞をいただき、御前試合は終了。

観客達も皆自分の家へと帰り、俺もそれに倣おうとしたんだが…

 

「ちょっと話ええか?真也」

 

まだ俺の戦いは終わってなかったらしい。

 

 

 

 

「それで?話ってなんだ霞。しかも月様達がいる状況で」

「まどろっこしいのは苦手や。単刀直入に訊くで、真也」

 

どうやら真面目な話の様だ。いつものおちゃらけた空気が一切ない。

しかし一体何が訊きたいんだ?

 

「あんた、ほんまに鍛冶師か?」

 

………は?

 

「…熱でもあるのか?霞」

 

今更にも程があるだろう、その質問。

俺が鍛冶師じゃなかったらなんだっていうんだ。

 

                              ・・・

「うちは至って正常や。ほんならこう訊くで。あんたはほんまに、ただの鍛冶師か?」

 

…なるほど。

 

「ど、どういう事?霞」

「正直うちは、華雄の攻撃躱せる言うてもそれだけやと思っとった。

 うちが戦いたい言うたのも、それがどれ程の物なのか知りたかったからや。

 せやけどさっきの戦い、構え自体は見た事無かったけど、あれは明らかに

 戦闘慣れした人間のそれや。それでただの鍛冶師?うちにはとても信じられへん」

 

そう言われて月様や他の面々も気付いた様だ。俺に視線を向けている。

 

「で、どうなんや?真也」

 

 

 

 

 

~後書き~

 

第三話投稿!

そして戦闘終了!!

描写が難しすぎる!短すぎる!(涙


 
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