No.333084 恋姫夢想 ~至高の鍛冶師?の物語~ 第二話2011-11-11 22:36:35 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:6267 閲覧ユーザー数:5238 |
再びこんにちは。俺の名前は鷹原 真也。
月様の治めるこの街で鍛冶屋「鋼鷹」を営んでいる男だ。
俺の事を知ってる人間からすれば「何を今更…」と思うだろう。
だが、俺の事を知らない人間もいるかもしれないので簡単に説明する。
俺は、現代日本から何故かこの「俺が知る三国志とは武将の性別が違う『三国志に似た世界』」に
来てしまい、流れに流されてこの街で鍛冶屋をする事になった男だ。
ついでに、華雄という女性武将から戦いを挑まれては断り続け、逃げ続けてる男だ。
そんな俺が今何をしてるかというと…
「ふっ。今度こそ、お前と雌雄を決する時が来たようだな、鷹原」
「……ああ」
先程言った華雄と、戦う為に対峙している。
普段なら、さっさと断ってさっさと逃げてる筈だ。
だが、今の俺にその選択肢はない。何故なら…
「へぅ……すいません、真也さん…」
これは御前試合であり
「(さて、結果は神のみぞ知る、ってね)」
月様や華雄には知らされていない目的があるからだ。
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霞との会話(※前話参照)から数日後、俺は再び登城を命じられた。もう注文分の武具は
城に納めてあるので、「追加注文か?」とか考えてた。
だが、それならば兵士に言伝を頼めばいい筈なので疑問もあったが。
登城した俺は初めての時の様に謁見の間に通された。それも武将達が立っている状態の所に。
もうこの頃から嫌な予感がし始めた。部屋に入ってすぐに目に入った霞の含み笑いがそれに
拍車を掛けた。
しばらくすると、月様と詠(賈駆の真名だ)が現れた。挨拶もそこそこに、詠はこう言ってきた。
「華雄と戦ってほしい」
と。
一瞬思考が停止した。俺が華雄との戦いから逃げてるのは詠も知ってる筈だからだ。
華雄の差し金か?とも思ったが
「本当か!?賈駆!!」
この言葉で華雄は関わっていないと確信した。あいつは良くも悪くも嘘や演技ができない奴だ。
すごい嬉しそうな顔してたし、あいつにとっても寝耳に水だったのだろう。
そうなると誰が?と考えたが、その答えはすぐに分かった。
「霞から聞いたわ。あなた、華雄の攻撃を躱せるそうね。それも何度も」
その言葉を受けて、俺は即座に霞を睨みつけた。当の本人は飄々としてたが。
「(あの含み笑いはこれが理由か…!)」
かなり腹立たしかった。
それはともかく、戦えといわれて戦うほど、俺は酔狂じゃない。すぐに反論した。
「……それは事実です。ですが、この身が一介の鍛冶師である事に変わりはありません。
自分で言うべきではありませんが、私は民のつもりです。なのに軍の武将である華雄将軍と
戦えなどと。無礼を承知で申し上げますが、正気の沙汰とは思えませぬ。
民に戦いを強いると?董卓様はそれをお認めになるのですか?」
「いいえ。私は、民を無用な争いに巻き込む気はありません」
「ならば…」
「待ちなさい、真也。これはあんたの作った武具にも関係のある話しなんだから」
……俺が作った武具に?おまけに俺を「あんた」と呼ぶって事は、ここからは非公式か。
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「それで?いったいどういう事だ、詠」
武具に関係があると言われたが、欠陥や損傷は無い筈なのだ。
「勘違いしないで。あんたの作った武具自体に問題がある訳じゃないわ。
どれも良い物だっていうのはボクでも分かるし、兵達にも好評だし」
考えてる事が顔に出たのか、詠はそう言ってきた。だがそれ以外となると
武具にどんな関係があるのか、俺には分からなかったのだが…
「けどそのせいで軍の士気が落ちてきてるのよ。これがあれば自分達は
何があっても勝てるって」
「……そっちか」
確かに関係があった。
「けど詠。それで何で俺が華雄と戦う事になる。将達が兵達の気を引き締めて
やれば済む話だろう」
「忘れたの?華雄も霞も恋もあんたの作品を使ってるのよ?むしろあんたの武具の
良さの証明にしかならないわ。華雄に至っては特注品だし、調練の時だけ
武具を変えたって実際の戦の時に使ったら無意味だし。いえ、余計に調練に
身が入らなくなるわ」
「…確かに、戦の時は俺の武具を使うんだからって考えそうだな」
武具の質を落とす等とは、俺も詠も言わなかった。俺は質を落とした武具を
作りたくは無かったし、詠も折角の武具を手放す気はなかった筈だからだ。
だがそうなると、俺にとってはうれしくない事になる。が…
「……分かった。引き受けよう」
「あり『本当だな!!鷹原!!』ってちょっと!?」
俺が了承すると詠の言葉を遮って華雄が俺に詰め寄ってきた。
「本当に私と戦ってくれるのだな!?」
「お、おう」
「そうか!では楽しみにしてるぞ、鷹原!」
そう言って華雄は上機嫌で謁見の間を出て行った。
「……いいのか?あれ」
「もう行っちゃったんだからしょうがないじゃない。ごめん月。真也とちょっと
話したい事があるから先に戻ってて?」
「う、うん、詠ちゃん。すいません、真也さん。よろしくお願いします」
「はい、月様」
そう言って月様も出て行った。
だが、ここからが重要だったのだ。
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「さて…確認するぞ、詠」
「ええ…」
「……お前は俺に、装備なしで華雄と戦え。そういう事だろう?」
「………その通りよ」
「な!?ち、ちょい待ち詠!?」
「……!」
「ま、待つのですぞ、詠!?」
霞と恋が詠を非難するように叫んだ。いや、恋は叫んでなかったけど、雰囲気が
そう言ってた。けど俺は一つ、いや二つ気になる事があった。まず一つは
「何でお前まで驚くんだ?霞」
黒幕の霞まで驚いてた事だ。
「え、いや、うちは確かに真也と華雄戦わせればええんやないかって詠に話したけど…」
「確定情報ありがとう。後でたっぷりお返ししよう」
「うげ!?ってちゃうやろ!何で装備無しになんねん!!」
「まず落ち着け、霞」
「あんたは落ち着きすぎや!!!」
お前が熱くなってたから却って冷静になったんだが。
「まずは詠の言い分も聞け。話はそれからだ」
「そ、そやな…」
まあ、俺と同じ考えだとは思ってたんだけどな。
「……装備無しでも真也の武具持ちの相手と同等に戦えるなら、それはそのまま真也の武具も
絶対ではないって証明にもなるわ。武具の信頼を落とす事になるけど…」
「そこまで信頼してくれるのは鍛冶師冥利に尽きると言いたいが、それで扱う本人が堕落しちゃあ
意味がない。そこは気にしなくていい」
「そう…」
「そ、そんなら一般の兵士相手にするとか、質の劣る武具使うとか…」
「一般兵相手だと仮に勝ってもそいつが弱かっただけ、自分なら負けないと
取られかねない。上の存在の将と戦えてこそ意味がある。
そもそも質の劣る武具じゃあ、着ける意味がない」
「う…」
さすがの霞も何も言い返せなかった様だ。
「せ、せやけど華雄や月っちにも知らせた方が…」
「華雄には俺が初めからその気だったと思わせた方が本気を出せるし、月様がこの事を知れば
確実に止める。それでは目的が果たせない。なかなかにつらいな、詠」
「あんた程じゃないわよ」
「違いない。いずれにしろ、貸し一つだ」
「ええ。必ず返すわ」
これでとりあえず華雄との戦いの件は終了。だが俺には
もう一つ気になる事があった。それは…
「……ところで恋」
「……何?」
「…誰?その子」
俺から見たら恋が壁になってる所に一人の幼女がいた事だ。叫んだ拍子に俺の視界に
入ってきたんだが、始めて見る子だった。
「……ねね」
「いや、真名だよな?それ」
真名だけ教えられても困るんだが
「ね、ねねはちんきゅーなのですぞ!」
本人も普通に真名をバラしてた。
「ああ、真也は初めて会うんやったな。董卓軍の軍師、陳宮や」
「恋殿の軍師ですぞ!そこを間違えないでほしいですぞ!」
元気だな、が俺の第一印象だった。
「新入りか?」
「前から居たのですぞ!?」
「俺が初めて登城した時居なかった筈だが?」
「か、風邪で寝込んでたのですぞ!」
「……そうか」
「暖かい目で見るのはやめるですぞ!?」
「……ねね、うるさい」
「れ、恋殿~~~」
…訂正。見てて飽きない子供だった。
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「本当に装備無しで私と戦うつもりか?鷹原。私を舐めてるのか?」
「お前を相手にしてそんな馬鹿な真似する訳ないだろう。お前こそ、俺が
装備無しだからといって手加減すると痛い目を見るぞ」
俺にそんな余裕はないし、華雄が手加減をするとも思わないけどな。
「まあいい。お前の言葉が真実かどうかはすぐに分かる。お前の手で生まれ変わった
『金剛爆斧』改め『金剛烈斧(こんごうれっぷ)』でな」
華雄がハルバードを、いや、金剛烈斧を構える。にしても、まさか
この世界に来て最初に戦う相手の得物が俺の作った武具とは。
「華雄。始める前に一つ聞かせろ。その金剛烈斧は、お前のお気に召したか?」
「無論だ。だからこそ、感謝の意も込めてお前に勝つ」
「それはうれしいな。だが、一つお前の言葉を訂正させてもらう」
「何?」
「勝つのは俺だ」
そう言って俺も構えを取る。ここでは初めて見られるだろう、
ボクシングのファイティングポーズを。
「……見た事の無い構えだな」
「だろうな。これが初披露だ」
あくまでこの世界では、だが。
「そうか。賈駆、合図だ!」
華雄の言葉を受け、少し離れた場所に居る詠が頷く。
「では特別御前試合、華雄対鷹原……!」
詠の右手が掲げられる。これが振り下ろされた時が開始の合図だ。
周りの観客も、月様も、俺と華雄も、誰もがその瞬間を待つ。
そして……
「始め!!!」
その言葉と共に詠の右手が振り下ろされ、俺と華雄の戦いが幕を開けた。
後書き
とりあえず第二話もこれで投稿完了です。ちょこちょこ修正するかもですが。
戦闘描写、どうしよう……。
次話の投稿は確定なので、気長にお待ちください。
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コメントをくれた方々が続きを希望されたので
書いてみました。
前作以上の駄文かもです。
相変わらず独自設定です。
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