No.326556

御菓子屋妙前 ~閉幕~

帽子さん

蛇足回ですな
最終章ですぞ
最近はリリなのの二次を漁ってます

2011-10-30 16:53:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:858   閲覧ユーザー数:848

 

「ふふふ、ホント役者だよねー」

 ここはどこの誰だか知らぬ、マンションの一室。部屋の中は、そこそこ明るくなっており。所狭しにパソコンやそれに準じた電子機材が散乱している。

 そこの中央に座っているのはこの部屋の王様、いや。女だから女王だろうか……。それもまた否、そこの中央にいるのは一人の暴君である。

 その暴君は一つの映像を見ていた。

「そんな事言わないで」

 それに答えるのはその部屋の入り口の付近にいる一人の女性。眼鏡をかけている。

「だって見てほら、このお顔。素敵でしょう? この顔のためには少しの嘘も仕方ないわ」

「ふぅ、まっどうでも良いんだけどね」

 眼鏡をかけた女性も、その映像を見ている。その映像に写っている男の表情に見ほれているようだ。

 

 そして、その映像も終盤になる頃、荒々しくドアが開けられた。見ると、足が見えていることからどうやら蹴破ってきたらしい。その衝撃で扉近くにいた女性は少しだけ吹っ飛び地面に臥していた。

「いったーい。まったく誰よって、あー。ちょっとこのマンションの警備は完璧なんじゃなかったの?」

 女性はその蹴破って入ってきた。人物をみると、だるそうに暴君に批判を浴びせる。そして立ち上がった。

「あれー、おっかしーなー」

 暴君はそう言ってカタカタとパソコンをいじくる。

 その間に入ってきた人物は、大股でケーブルだらけのその部屋を歩いていき。眼鏡の女性に銃を突きつける。

「おぉー、凄い。全部力づくでぶち壊してきてるよ。無理したねぇ」

 暴君はそういうがその侵入者は一切表情を変えない。しかし、その服は所々やぶかれ、そして煤がついていた。

「おまえ、店主さんを裏切った?」

 その侵入者はここへきて始めて口を開く。そして問われた眼鏡の女性は突きつけられている銃の銃身を掴んで言う。

「裏切る? 私が店主さんを? そんな事ありえないわ」声だかに笑う彼女「私はね、店主さんのためには何だってできるの。留置所に入る事だって。演技をする事だってできるのよ。貴女だってそうでしょう? 店主さんのためなら相手が誰であろうとその引き金を引いたでしょう? 確かに、店主さんには嫌な思いをさせてしまったかもしれないわ。けどね。それも仕方なかったのよ。店主さんをいじめるゴミを排除するためにはね。そして、店主さんの邪魔をするならあなただって殺せる」

 彼女はそういうと銃身を掴んでいた手に力を込める。

 彼女の狂気差を感じた侵入者は不覚にも今の彼女にわずかばかりの恐怖を感じ少しばかり後ずさりしようとしたが、銃身をつかまれていた事によってたいした距離は離れられなかった。

「もう、彼女の狂気は諦めた方がいいですよ。私は諦めました」

 そういう暴君の表情にはなんとも言葉に言い表せないような表情をしていた。

 それを聞いた狂女は言う。

「そうよ、彼女は賢いわ。私に敵わないと知った途端、急に自分が成り下がると言ったのだから。私には出来ないわ、だって彼への思いが強すぎるもの。彼の一番になれないくらいなら死を選ぶわ」だからと言って狂女は続ける。「貴女も負けを認めて欲しい。私もまだここで死にたくは無いし。あなたに勝ったとしてもこれまでのような生活はもう送れないでしょう? それは嫌なの。これからもあなたには私の友達でいて欲しいわ」

 狂女は侵入者に近付いていき、頬を撫でる。

「でも、あなたのその考えは店主さんの害になるかもしれない」

 しかし、あくまで闘おうとする侵入者。そんな彼女に狂女は溜息をつく。

「大丈夫よ。言ったでしょう? 私は演技が上手いの。それに自惚れるつもりではないけれどそこそこ賢いわ。ミスはしない」

「うっ……」

 狂女はそう言うと、侵入者の鳩尾に強烈なパンチを食らわせた。侵入者は自分で下が向けないほどに狂女に接近されており彼女が攻撃するという事が察知できず。まともに受けてしまった。

 侵入者はその場に足から崩れるように倒れこんだ。

「まぁ、反則くさいけれど、これで私の勝ちとしましょう。あなたの部屋に寝かせておいて貰えると助かるわ」

 狂女は自分が気絶させた侵入者を暴君へと任せてそのマンションを後にした。

 

 

 ここは、その暴君のマンションから離れた。見晴らしの良い公園。狂女が休憩しているベンチからは先ほどまで自分がいたマンションが良く見える。

 そして、そこにいた狂女は今なにやら怪しいスイッチを持ちそれで遊んでいた。先ほどまでいたマンションを見ながら狂気的な笑みを浮べていた。

 狂女は自分と彼の邪魔をするものは何人として許すつもりは元から無かったのである。

 

                                                                            <完>


 
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