「一体この国はどうなっているのだ…」
私は考え事をしながら街中を歩いている。
一刀様の供として劉備の治めるこの国に来て数日、私は衝撃の連続であった。
それは、この国の会う武将会う武将の胸がでかいのだ。
それはもう、とてつもなく。
「特にあの、黄忠と厳顔と言ったか。なんだ、あの胸!穏よりもでかいでは無いか!」
そうブツブツ言いながら歩く私の姿は今思い返せばとても奇妙なものであっただろう。
「もう年よ(ゾクッ)……この話はしないほうが良いな。なぜか知らんが命の危機を感じる」
歳のことを言おうとしたらどこからとも無く殺気を感じたのでよすことにした。
あの殺気の強さは尋常では無い。
「いや、別に黄忠達のことはどうでも良い。
問題は劉備と関羽だ。あの二人の様子を見ると少なからず一刀様の事を思っているように感じる」
そう、あの義姉妹はどうやら一刀様に心惹かれている様子である。
まだ、芽生えかけであろうその感情はほっておくと今後厄介なことになりそうだ。
「やはり、大きい方が良いのだろうか……」
そう言い自分の胸に手を当ててみる。
あまり豊満とはいえないその胸を見て少し悲しくなる。
「いや、そんな事ないはずだ」
私は知っているのだぞ、一刀様が袁術と張勲とその…をしたことを。
張勲はさておき、あのまっ平らな袁術としたのだ、決して大きい胸が好きと言うわけではないはず。
しかしこのままこの巨乳の国に長く留まることになると、一刀様が巨乳好きになってしまうかもしれない。
あんなもの、大きいだけで気色が悪いというのに、どこが良いのだ!
普通こそが至高で究極なのだ!
さて、巨乳の魔の手から一刀様を守るためにどうするべきか…
「フフフフ……」
周りに黒い靄を纏いながら、私は街の市の方へと無意識に足を向けていた。
「ちょっと、そこのあなた。考え事かしら?」
市に来たものの商品など見ずに考え事をしているとふいに声を掛けられた。
声の聞こえた方を向くと、
「なっ!?」
そこに居たのは筋肉隆々で全裸に近い格好をした変態だった。
「だぁ~れがムキムキ筋肉達磨の怪物ですってぇ~~!!」
いや、そこまで思っていないぞ。って言うより自覚があるのか……
「それより、あなた何か悩み事があるんじゃなくて?」
気持ちが悪かったので、その筋肉から質問されたが無視して立ち去ろうとした。
「ちょーっと待って。あなたの悩みってズバリ男についてでしょ?」
「なに?」
何故分かったのだ。
「なんで分かったんだって思ったでしょ。
簡単よ。あなたの歳くらいなら男のことかなーって思ってね、カマかけたのよ」
なんだ、つまり当てずっぽと言うことか。
「それよりも、そんなあなたにぴったりのモノがあるんだけど、どう?」
そう言ってその筋肉は大きな箱から商品らしきものを取り出した。
「これを使えば男なんて皆、メロメロよ。あなたは可愛いんだから、きっと相手も骨抜きにすることが出来るわ」
「なに、本当か?」
これを使えばそんな事が可能なのか?だが、思い返してみると、一刀様のこれまでの傾向からして効果はあるかも知れない。
「うむ……そうだな、そうかもしれん。分かった、ひとつもらおう」
金を払おうと巾着を探っていると筋肉が、
「お金はいいわ。
同じ
タダで持ってい行きなさい」
そう言い商品を渡してきた。
正直ほぼ全裸の筋肉達磨がくねくねしているのを見たときは気持ち悪いと思ったが、意外と良い奴なのかもしれない。
「……分かった。そう言うならありがたく頂戴する」
私は商品を両手で受け取り、筋肉に頭を下げてその場を後にした。
「…頑張りなさい…思春ちゃん……」
筋肉のそのつぶやきは私には届かなかった。
その晩、早速あの筋肉にもらったものを装備し、外出中で留守にしている一刀様の部屋で待機していた。
程なくして一刀様は劉備たちとの話し合いを終えて戻ってきた。
「は~あ、結構長引いてしまったな。疲れた疲れ……た…」
「お、おかえりなさいませ…一刀様……」
独り言をつぶやきながら部屋に戻ってきた一刀様に、私は筋肉からもらった服を、丁度董卓や賈詡が着ているような侍女の服を来て迎えた。
着てみて初めて気がついたのだが、この服、とても恥ずかしい。
なんだこのヒラヒラは!このような類いの服を着たことが無い私にとってはなかなか勇気がいるものであった。
「………」
一刀様もそんな私の姿を見て呆けておられる。
「…やはり私の様な者にはこのような服は似合いませんよね……」
もうやめようと頭にのせた髪飾りを外そうとすると、
「いい……とっても良いぞーー!!」
そう叫ぶと一刀様は私に飛びかかり押し倒した。
あまりに突然のことで私は呆然としてしまった。
「いいよその格好!
普段の凛とした感じの思春も好きだけど、その服を着たなんだか弱々しい感じの思春も、保護欲をそそって良い!」
一刀様は私の胸に顔を埋める格好で熱く力説した。
「あ…一刀様…その、疲れているのではないいのですか?」
「思春のその姿を見たら、疲れなんて吹っ飛んでしまったよ」
その夜、私はなかなか寝かせてもらうことが出来なかった。
翌日、昨日の筋肉のところに礼を言いに再び市へと向かった。
「…ヌフフ……はっ、いかんいかん」
昨晩の事を思い出すとつい顔がにやけてしまう。
「それにしても昨日はすごかった……あんなにも激しく私を求めてきて…ヌフ、ヌフフフフ……」
そんな私を周りのものは少し離れて見ていた。
程なくして目的の露天に着いた。
昨日と同じ様にあの筋肉が店番をしていた。…あの格好で良く捕まらないな。
「あら~ん、あなたは昨日の。その顔だとどうやらうまくいったようね」
私に気が付いた筋肉が気さくな様子で話しかけてきた。
顔を見ただけで結果が分かるほど表情に出ているのだろうか。今度から気を付けなくては…
「それで、どうだった?」
「ああ、それはもうすごかった……」
照れながら答えると筋肉は妬けちゃうわ~と茶化してきた。
……そういえば、いつまでもこいつの事を筋肉と言っていてはいけないな。
「その、お前にはとても感謝している。
よかったら名を教えてもらえないだろうか。私の名前は甘寧だ」
すると目の前の奴はニッと口の端を上げ、
「わたしは愛の漢女道を極めんとするしがない商人、貂蝉よ」
丸太ほどあろうかというその腕を突き出し、手をこちらに向けた。
促され私は筋肉と、貂蝉と握手を交わした。
「そうそう、そんな幸せそうな甘寧ちゃんにおすすめの商品があるんだけど」
昨日と同じ様に大きな箱から再び商品を取り出す貂蝉。
「こ、これは……こんなもので本当に?」
「ふふふ、こんなのもあるわよ」
こうして貂蝉にすすめられ、私はあの人を虜にするための品を抱えて城に戻った。
「今夜も……グフフフ…」
夜の事を考えると思わず笑いが漏れてしまった。
今回は思春拠点でした。
蜀のチチから一刀を守るための奮闘が描かれています。
紫苑とか桔梗なんてデカすぎますからね。あの破壊力はもはや凶器。
そして今まで存在がほのめかされていた貂蝉も登場!
相変わらずの姿で思春の前に現れます。
貂蝉が思春に渡したのはメイド服です。版権絵で良くメイド姿の思春が描かれているのでそれを参考に。思春は主の後ろについているってイメージだからメイド絵が多いのかもしれませんね。
次回は新しい章になります。場所は蜀から再び呉に。そこで一刀たちを待つものとは…
ではまたノシ
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今回は思春視点。
蜀の国であることに危機を感じた思春がとった行動とは…
ではどうぞ!