No.288705

真・恋姫無双 花天に響く想奏譚 6話(4)

華狼さん

 6羽の(4)です。 初めて20日以上の間が開きました。っちょ、別に待ってないとか言わないでへこむからっ!
 一刀のした仕打ちは、 …なかなかのもんですたい。色々と。

 あと同時に扱ってる時間軸でも大きな出来事が起こりました。 …いや、ここまでくるのにどんだけ時間かけてるんだ、というのは一番作者が自身に声を大にして言いたいことなので御容赦願います。

2011-08-30 20:07:27 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:2337   閲覧ユーザー数:2044

 

 

 第6話(4) <動き出す色々 4>

 

 ・まえがき

 

 作者の暗黒面が、

 

 「Hello, Nice to meet you!」

 

 とか言ったかどうかは知りませんが(なんで英語か。)出てしまいました。新しい自分との遭遇。

 

 痛ましい描写の文章が苦手な方はやめた方がいいかと。

 

 逆に「この程度で痛ましいとは片腹痛いわぁっ!!」等の誹謗中傷もご遠慮願います。力量不足は自覚してます。 …こういうの初めて書きましたが難しいですね。

 

 では。以上を踏まえた方はどうぞ。色々テンションがおかしいです。

 

 

 ・The Sword of Punishment(裁きを下す『一』振りの『刀』)・

 

 

 

 

 

 ・これぞまさしくいわゆる 蹂★躙♪

 

 

 

 

 

 ベギョめ”ギッ 文字にするとそんな音がした。同時に、

 

「ギャア゛ア゛ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 耳障りな そう、雑音。破壊音の音源は賊の内の一人の左前腕部。 前腕は親指側の『橈骨』と小指側の『尺骨』の二本で形成されている。 一刀は前腕の中心を踏み付けて、梃子の原理でそれらをへし折った。

 

 太めの木の枝を折る感触に似てるか。折れる瞬間とかそのものだしな?

 

 のた打ち回る、と行きたいところだが残念。そいつは片足を他の奴の手に繋がれていて、もう片方の足は膝から下がありえない方向に曲がっていた。 そんなのではまともに動けるはずが無い。 残った右腕も、上腕が真ん中辺りから緩いくの字に折れていた。

 

「ってと次は… あぁ、確か最初に肘外した奴かあんた。 それじゃついでに骨も折るか?関節増えて軟体人間…って、っはハハ常人離れってレベルじゃ無いなそれ。 なぁ?」

 次いで目に入ったのは最初に肘を外してそのまま放置していた男。

 

 そして一刀、『有言実行』。 薄く、しかし確かに口元には 凶悪な笑み。目に情け容赦は 一切無い。

 

「ァガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!」

 前腕は両手で持って膝蹴りで、上腕はそいつを地面に放り捨て、地に着いた瞬間に『龍歩』で踏み折った。『龍歩』は本来踏み込みなのだが、攻撃に用いればこんな結果を生む。 応用力ってすばらしい。

 

 始まってから一時間。一刀の『それ』はもう蹂躙だった。蹂躙。そう、暴力で踏み躙ること。賊共がここでやったこともそうだが、

因果応報がここまで的確に表されるのも珍しいものだろう。

 動けない状態の計四十八人に、立て続けに苦痛を与え続ける。それは骨を折るに留まらない。  否、骨を折られるなんてのはまだましなことだった。

 

「次。 あんたは両足外れてるか。 ならナイフで… 爪と指の間に切っ先を、」

 腰のシースナイフを抜いて、

 

 ざくっ と一刀、切っ先を人差し指の爪の下にぐりぐりと抉り込む。

 

「ぁ ぁっ あ あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 指に鮮血が溢れる。徐々に爪が剥離していく。暴れようにも脚は機能せず、逆の腕は踏み付けられていて動かせない。

 そこで間髪入れずにナイフを ぐりっ と捻ると、爪は皮一部を残してほぼ剥がれて、一刀はその爪を躊躇い無く ブチッ と引き千切った。すぐに爪は捨てられてイエス、フォーリン地面。血まみれの小さな貝殻みたいであはハハこれなんてシュール?

 

「あ”、っグぅっ ハァッハァッハァッ も”、もうやめて」

 聞く耳持たずに一刀は手を地面に踏み付け、爪の剥がれた指先をかかとでぐりぐりざりざりと踏み躙る。露出した爪の下部分に、細かい砂や小石がめり込んで擦れて肉が抉れて血が

「あ”あ”ア”ア”ア”ア”アアアアアアアアアアアァァア!!」

 

「どうかな? はハハハハハハまだ爪は手足合わせて十九枚あるから慌てなくていいよいっそ爪ごと挽き砕くのも楽でいいかそうするか

まだたくさん居るんだしな?」

 

 ザシザシザシザシぐりぐりぐりぐり。 地面には他の誰かのもの『だった』爪が何枚も落ちていて、一刀の足の下にも親指の爪らしい大きなものが。一様に共通するのは、全部血にまみれているところだった。

 

「痛いか?痛いだろうなそりゃ痛いようにしてるんだから。 もしかして痛いのが気持ちいいとか言う奴なんかいないよなそんな変態気色悪いだけだよ人殺しで変態って最悪の組み合わせだよアハハハハハ!!」

 

 爪を剥がすのはよくある拷問の一つ。これの優れている点は、たとえ全部剥がしたところで死なないという点だろう。爪の下に針を打ち込んでもいい。ただ痛いだけで『決して死ぬことは無い』。だって末端器官だもの。 まぁ感染症起こしたら別だけど、それはただの擦り傷にも言えることだから言いっこ無しで。

 

 まだ他の方法はいくらでも。 適当に目をつけた奴の頭頂部の髪を一掴み、

「ほーら よっとぁ!」

 ぶちブヂィッ と引き抜いて、はいインスタントてっぺんハゲの完成です。毛穴からポツポツ血が滲む。喘ぎ 間違えた、呻き声が上がるけど気にしない。

 

 口を両手で限界まで上下に広げて ゴキッ と鳴ったら顎は外れてだらしなく開かれて、

 

 肋骨に加減した掌打を喰らわせればひびが入って呼吸困難。

 

 鼻骨を膝で ぐしゃ と潰せば、もうこの時代だと整形は不可能だろう。まぁ可哀想。もともとの顔ですらアレなのに、鼻がつぶれて両方の鼻の穴から血が流れるなんていっそのこと滑稽であぁ無情。レ・ミゼラブル。

 

 道具なら賊が持っていた大小様々な刃物がたくさん。 その内のナイフぐらいの短刀を数本拾って、焚き火の中に刃をくべておいた。 それを一本抜いて持ち、

 

「はい背中に『私・は・人・を・殺・し・ま・し・た』っと。文字通り罪を背負うだなアハハハハハハハ!」

 

 焼けた刃で一人の背中に字をザクザクザクと刻み込み、人体の焼ける臭いが鼻につく。これもある意味焼肉のにおいと言えるだろうか。無理か。吐き気するし。

 

「ア”ア”アアアアッ ア”ア”ア”アアアァァァァァ!!!」

「あぁ失禁なら大小どっちでも好きなときに垂れ流していいよ? そこまで禁止するほど鬼じゃないから。ん、…失禁を止めさせる、略して禁止、クッ、ハハハハハハハハハ!! 上手いこと言ったかな俺!!」

 そう、鬼じゃない。泣いた赤鬼はこんなことしない。

 

「…、やっぱり血って不味いよなぁ。 ゴミの血なら尚更か?」

 切っ先に付いた血を舐めるが、すぐに白目むいて痙攣している血の持ち主の背中に ペッ と吐き捨てた。

 

 地獄、だった。暗い中焚き火が照らすそこは、たった一人が作り出す地獄だった。断続で続く呻き声、それが恐怖をより煽り、時折響く一刀の高い笑い声が更に恐怖を大きくする。 悪人は死んだら地獄に落ちるという話だが。 死ななくても地獄には行けるのですね。

 

 そして。極め付けが少し離れたところに居る賊のお頭、だった。

 

「気分はどうかな? 最悪、最低? 変わんないか。」

 

「!!! フッ、フッ フゥッフゥッ!!」

 近づく足音に反応して、一刀に声をかけられた瞬間、恐怖で呼吸が荒くなる。

 お頭は木に背を預けていた。 …もとい、貼り付けられていた。

 

 両腕を上げ、手は重ねられて木の幹に  短刀で穿ち留められていた。

 

 中手骨の走行に沿うように、刃は両手の中心を貫いて幹に届いていて、お頭を貼り付けにしていた。当然出血を抑えるために、大きな血管は意図的に避けるラインを貫いている。

 その腕も足も、橈骨・尺骨の前腕骨、上腕骨、脛骨・腓骨の下腿骨、大腿骨、全てが折れている上、肩、肘、膝の関節も外されていて もう胴体しかないのと同じ状態だった。 あれだ、糸の切れた操り人形を想像してくれれば分かりやすい。

 

 髪の毛なんか引き千切られていて残っているほうが少ないし、鼻はひしゃげて形がおかしい。歯も前歯がほとんど無くなっていて、

 

「ぁ … も、 も”う ゆる して くださ、い  ぉねが い、しま す…」

 かすれかすれのその言葉と同時に一刀が踏み付けたのは、

 

 

「なんで俺に許しを請うんだ?」

 

 

 そのお頭の右の目玉、だった。 血まみれで、千切れた視神経もおまけの如くにくっついていた。 

 

 もう機能を果たせないその眼球には正面からナイフで突き刺した傷があり、…即ち、一刀が右目をナイフで抉り取ったのだった。もう彼の右眼窩に眼球は無い。眼窩からは、文字通りの血涙が頬に血の筋を作っていた。

 

 ぐじゅり と右眼球を靴底で踏み躙り潰して一刀、一転して感情の無い氷のような表情に戻った。

 

「俺は別にあんたらに大切な人を殺されたわけじゃない。俺自身に恨みは一つも無い。 だから俺に許してって言うのは間違ってるよ?謝るならあんたらが殺して死んでいった人や、残された村の人達だろ? 

 …あぁ、そういえばあんたらは知らないっけ。 俺達は単なる通りすがりなんだよ。ここの人達とは何の縁もゆかりも無い。 それがどうしてここまでやるのかって?

 

 言ったよな?俺は人間が好きなんだ、って。だから知ってる知らないは関係なく、泣いて悲しんでるのは見たくないし、少なくとも目の前にそんな人が居れば助ける。 …で、その原因が居るなら潰さないと気が済まないんだよ。」

 

 一旦言葉を切って、一刀は右眼窩に親指を突っ込んで引っ掛けて頭を掴み、自分の顔を突きつけた。

 

「気に食わないんだよ。虫酸が走るんだよ。 本当に手前勝手な理由だけで他人を悲しませる、泣かせるってことするようなあんたらみたいなクズ共が俺は。 だから俺の前でバカやって五体満足で居られると思うな。 この先まともな体で生きていけるなんざ思うんじゃねぇぞ? あぁ?」

 

 目は真紅にすら錯覚できる凶悪極まる鋭さの火眼金睛で、もう口調すらも変わっているが。

 悪に見えるだろう。恐怖でしかないだろう。逆に正義に誅されるだろう。

 しかし一刀は自分の行いを正義とは一度も思ったことは無い。たとえそれを咎められても、そしてそれが咎められると自覚していても。

決して己を曲げることはせず、許せないことを誅し、罪には罰を。

 

 それが一刀の信念だった。

 

 『多少』病んでるように見えるかもしれないが、実際は至極冷静だった。 事実誰一人として死者は出ていない。 極めて冷静に怒り狂っていた。氷のように、炎のように。

 

「…殺さねぇよ。いや、本当は『死ねない』わけだけどな? 俺は絶対にあんたらを殺しはしねぇ。

 死は救いだ。死ねば空腹に、悩みに、貧困に、痛みに苦しむことは無くなる。生きることの苦しさから救われる。あんたらが感じてる痛み、それからも解放されるし、そんな体で生きていく苦しさも無くなる。

 

 だからこそ、俺はあんたらを殺さない。殺してやらない。救いなんざ誰がやるかよ。

 

 せいぜい生きろ。生きて生きて、潰れたその汚ったねぇ顔で生き恥さらして、 一生馬鹿な自分を呪いながら生き続けろ。」

 

 真に人を想い、本当に人が好きだから。 だからこそ、許せないことを許さない。

 圧倒的な力を携える絶対の信念。 『猛る絶冷』であり『静かな業火』。

 

 それが、北郷 一刀の本質だった。

 

「それじゃ覚悟はいいな? あんたの『男』、 終わらせてやるな?」

 

 そして一刀、再び凶悪な絶対零度の笑みを浮かべて、

 

「…けて、」

 

 お頭の、誰からか奪ったのか上等な生地を使ったズボンをナイフで裂いて引き剥がして、

 

「…たすけてっ、」

 

 [自重します 私だって書きたくないので。]、準備完了。 血糊の付いたナイフを逆手に振りかざして、

切っ先は股の間に向か

 

 

「た゛れ゛か゛た゛す゛け゛て゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

 

 さよーなら歩、こんにちわー綾 だった。  (某シルバーソウルの東城さんのセリフ)

 

 

「…残念だったな。  俺はあんまり優しくないんだよ。」

 

 

 股の間から血が広がっていく。 お頭はついに失神した。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 けど、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マダ  夜ハ   終ワラナイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、いうのは冗談です。 『ドッキリ大成功!!』

 

 …なんですかその「え?何これ」とでも言いたげな顔は。 ってうわぁぁぁ!温度差凄くて台風が起きて吹き飛ばされ~る~ぅ~… (作者はどこかに飛ばされました。 逃げたのではない。)

 

 ・なかがき

 

 いきなりの台風でなんとインドネシア辺りまで飛ばされましたが。なんとかイカダで帰還しました。いやぁ熱帯の海上の日差しは殺人光線ですね。日本各地でも殺人光線での被害(熱中症、日射病、熱射病、他)が甚大ですが、皆さん被害には遭いませんでしたか? 私は雨傘を日傘として使っています。

 

 はいそういうわけで。 一ページ丸ごと使ってしかも内容が『ちょっとだけ』アレなMade in 華狼ジョーク、でした。キャラ崩壊してたのは実は作者だったのですというオチでした。 やってみたかった。そしてやってやった。なんか充実感。たぶんやりすぎた。

 

 そりゃあもう冗談に決まってるでしょう。題名からして。それに口塞いでないと気付かれますし。 人の痛がるところ見て悦に浸るなんてのは北郷 一刀じゃないでしょうたぶん。 彼の優しさに恋姫が惹かれるのでしょ原作やってないけど。

 本編で書いたと思いますが、本当に優しい人は逆に冷酷になれるもの、です。でもだからって前ページのようなことしたらそれこそ北郷 一刀じゃ無い。 …まぁ、要は自分の主人公像にそぐわない、ということなのですが。

 

 前回の一刀が言っていた拷問メニューですか? あれはこのジョークをより自然に冗談に思えないようにするための伏線と、本編においては一刀の考え方を示す際、それをより効果的に演出するため、です。詳しくは次ページからの本編で。

  

 私はけっこう、冗談・言葉遊び、ブラックジョークも好きだったりします。

 

 ですが、それがたたって今回のブラック、行き過ぎてダークジョークが降臨してしまったわけです。成程、これはもうあれだな、『ダークネスブラックジョーク』ですね転生はりまえ$さん(詳しくは前投稿のコメント欄参照)。 『悪辣な冗談』、ですね。

 で。 どうでしょうか私のダークネスブラックジョークは。 目指すのはもう読んでて背筋が寒くなって、体がなんだか痛くなってくるような文なのですが。 どう、ねぇどうかなっ? (無邪気なまなざし)

 

 

 私は本編の地の文にも、文のアクセントとして時折ジョークを入れています。だって末端器官だもの、とかは『だって人間だもの』のパロディです。…面白いかどうかの判断は任せますが。 とにかく、地の文に時々出てくるのが私の冗談の基本スタイル、です。

 しかし今回のはその基本から逸脱した。ブラック過ぎた。暗黒面こんにちわ仲良くしましょう。このサイトのなんらかの規制に触れないといいけど。  …まぁ、

 

 

 

 反省はしないけどなっ!!! (誇らしげな仁王立ちで腰に手を当てて)

 

 

 

 兎に角そんなわけで。これからももしかしたらまたダークな冗談を放り込むかもしれませんが。

 

 そのときはあくまで冗談としてお付き合いして頂きたいです。

 

 では。次から本編です。 さっきのは忘れて下さい。ただの夢だったのですよ、あれは。

 

 

 PS、正直書いてて楽しかった。それでも私には人を痛めつけて喜ぶ趣味は無い。 ちょ、なにその「いや絶対嘘だろ」みたいな目はぁっ!

 

 PSのPS まぁ真面目な話、人が痛がるところなんて本当に見たく無いです。 痛いの嫌ですから。

 

 ・主に愛紗視点

 

 住人の男性に交代を告げられ、私はそれに従って孔明殿や鈴々が寝ている家屋に戻った。

…こういう場合も戻ると言うのだろうか?一応拠点と定めているのはそうなのだが。

 

「あら、関羽さん。」

「慈霊殿、起きていたの、か… あの、華陀殿はどうかしたのか?」

 そんなことを考えながら家屋の中に入ると、座って床にすり鉢や火にかざした鼎などを広げた慈霊が愛紗に声を掛け、朱里や鈴々から離れたところに敷かれた布団で華陀が寝ていた。

 …いや、寝ていたというよりむしろ気絶していた、とすべきだった。仰向けで手足を投げ出すように倒れていて、なんというかそう、ぐったりしているような。  な、何かあったのか?

 

「えぇまぁ。 いつまでも寝ないので眠ってもらいましたの。 こう、鳩尾を。」

 言いつつ肘で何かを鋭く突く動作を。 …意外と中々に苛烈な女性だ…

 

「ふふっ、力づくな治療も必要なのですわ。」

「…じ、慈霊殿、心の中が読めるのか?」

「いえ、顔に出ていらしたので。 あら、北郷さんとしたやり取りと同じですね。」

 

 一刀の名が出たので、愛紗は気になっていた事を訊くことにした。

 

「…ところで慈霊殿、御主人様は一度でもここに戻られたか?」

「いいえ一度も。 私も気になってはいますが、…おそらく戻られないでしょうね。」

「…と、言うと?」

「北郷さんの責任、ですわ。 そうでしょう?」

 この一言で私は慈霊殿が理解してくれていることを察した。

 

「慈霊殿はそのあたりの深い理解がおありなのだな。」

「深いかどうかは分かりませんが。私、強い意志は尊重したいのですわ。 関羽さんも同じ考えなのでは?」

 

 いくつもの火の元に照らされた慈霊殿の顔は、柔和な笑顔のなかに強い芯を感じる表情だった。

 

 その芯の強さが表に出ているからだろう。 御主人様や華陀殿のように無条件で信用できる空気が 出ているから、先刻も今もこうして気負いなく話せているのだろうな。 

 

「…あぁ。 賊共を殺そうとするのを御主人様は止めさせた。 地に膝を付くことをしてまで、な。その代償として、それを止めさせた責任を取るべく一人での寝ずの番を買って出た。

 他人のために膝をついて頭を下げた方が、その責任を取るために一人で番をすると言われたのだ。

…寝ずの番をされているなら定期的に様子見に行きたくはある。しかしそれは主とした方への不信になる。あれほどの方の意志を無碍には出来ない。」

 

「そうですわね。 北郷さんは本当に優しい方なのでしょう。優しい、真っ直ぐな人。ですから、他の人であっても道に外れることを為そうとするのは見過ごせないし、取るべき責任は取る。会って数刻ですが、彼のひととなりはこういったところでしょうね。

 そんな北郷さんだから、関羽さん達は主となされたのですね。」

 

「いや、 …最初は我等を導く存在、天の御使いとして桃香様が主としたので、私も主としようと思っていただけだった。 しかし賊共を一人で制圧し、桃香様に優しく言葉を掛け、 今の話にあったように、本当の意味で強く優しい方なのだと思い至った今、 彼は真に主とすべき方。

 

 必ず桃香様と共に、この乱世を鎮めて下さると信じるに値する。

 

 …いや、是非ともお仕えさせてほしい方だ。」

 

 …そうだ。 予言ではなく、私自身が見、感じた北郷 一刀様。あの方こそ、桃香様と共に今の世に必要な

 

「ふふっ。 関羽さん、すっかり北郷さんに惚れてますのね。」

 

「っ、なうぇぁぁっ!?」

 ほ、惚れっ!? 

「えぁ、ぃやっ!その私は御主人様の心に惹かれてっ、そのっ!」

 いやたしかに御主人様は今日会ったばかりではあるが危機を共に越え素晴らしい方とお目見受けしたがしかしそれは主としてであっていや決して御主人様が男性として見られないなどということはなくでも

 

「えぇ。 会ってわずかですが、私も華陀も彼という人間に惚れましたわ。 当然、劉備さんにも、です。

 …関羽さん、どうかなされましたか?」

「ぇ、え、あっ、と、 …な、なんだそういうこと、か…」

「あら、他になにかありまして?」

「なっ に、も無いぞ!」

 

 沸いた愛紗を、落ち着いた慈霊の声が冷静へと引き戻した。「ふふっ、分かりやすい方ですわ。」という慈霊の声は愛紗には聞こえなかったらしいが。 慈霊、確信犯であった。

「空虚なひと月よりも濃い一刻のほうが相手のひととなりが分かるものですわ。 他人のために必死になれる劉備さん、北郷さん。 付いて行ってみたいと惹かれるのは、他者を想ってこそ成立する医術の者だからなのでしょうね。」

「他者を想う、か。」

「はい。 私たちがこうして医術を振るっている理由はひとえにそれに尽きます。 貴女方に付いて行けば、必然的にここでのように人を助ける機会に遭遇することでしょう。

 

 ですから、これから宜しくお願いしますわ。」

 

 手にしていたすり鉢を床に置き、慈霊は居住まいを正して愛紗に頭を下げた。

 

「慈霊殿… いや、こちらこそよろしく頼」

 慈霊の折り目正しさに倣って、愛紗も頭を下げようとした。 のだが、

 

「んにゃぁ~、お兄ちゃんくらう のだぁ~…」

 そんな声がして、次いで掛け布団が跳ね上がる。 おぉ!これぞまさしく布団が吹っ飛ん(止めろ。)

 

 与太は置いといて。 二人が目を向けると、布団がはだけた鈴々の姿があった。

「あらあらまたですか?」

 柔らかい笑顔のまま、慈霊は鈴々の掛け布団を直した。 愛紗は愛紗で呆れた顔で、夢の中で一刀と組手でもしているらしい鈴々を見ていた。

「鈴々… 慈霊殿、こいつの寝相の悪さは嫌なほどに知っているがやはり…」

「えぇ、それはもう何度も。 可愛らしいからいいのですが、風邪でもひいたら考えものですね。」

「…こいつは風邪で参るとも思えないがな…」

 

 ・

 

 関羽さんが寝について四半刻(三十分ぐらい)ほどが経ちましたか。ずっとしていたこれから必要になるであろう薬の調合はもう終えています。

 私こと慈霊は未だに起きていて、劉備さん達から離れた所で眠っている華陀の隣で座って待機しています。 離れているのは、私が華陀に眠ってもらって布団に寝かせた際に布団ごとずるずると引きずって離したから、ですわ。

 

「華陀は、まだ…起きそうにはありませんね。 まぁ、しっかり休むいい機会ですわ。」

 鳩尾に入った肘打ちはなかなかに手ごたえでしたので。 私が落としておいて言い訳がましいかもしれませんが、事実 華陀は昨日野宿していた際にもほぼ一晩中寝ずの番をしていましたから。 交代で、と今までも言い聞かせていたのですが、この性格は死んでも治ることは無いでしょうね。

 

「…本当に。 私だけにという気持ちでのことなら良いのですが。 華陀はどなたにもこうですからね…」

 独白しつつ、寝息を立てる華陀の頭を撫でてみました。 実際、華陀は他の人の健康だとかに関しては休憩を無視してまで動き回りますから。熱血と言うのか一本気と言うのか。 それか唯の単純、とでもしてみましょうか。

 いえ、馬鹿にしているのではありませんよ?単純だからこそ真っ直ぐなのですから。 揶揄は多少入っているかもしれませんが。

 そして一本気という点では、あの北郷さんと似通っていると言えます。 見た印象はまったく違うのですが、私がどこか似たところを感じたのはおそらく一本気な芯を持っているからでしょう。

 

 しかし。

 

「劉備さん、関羽さん。…ああいった方は、得てして影を持っているものです。」

 

 華陀の天然的な性分に対して、北郷さんは相応の考えがあってのこととお目見受けします。

 

 そういった方ほど、強い意志を持っているからこそ。

 

 

 光は強ければ強いほど、その分影も濃くなるのですわ。

 

 

 

 いえ、あくまでこれは推測です。

 

 今はまだ、それがどういうものかは、そもそも影が存在するのかどうかも分かりませんが。

 

 

 

 

 痛いのは嫌い。 そんなのは誰だってそうだし、当然俺だって断固拒否したい。

 

 だからこそ、俺は他人にも苦痛を与えたくはない。自分がされて嫌なことは他人にも

するべきじゃない。人が痛がってるところなんてのも見たくない。

 

 でも、

 

 でも、

 

 ・(真)The Sword of Punishment (裁きを下す『一』振りの『刀』)・

 

 うつ伏せに踏みつけた相手の腕を上に捩じりあげて、肘を支点に一気に捻る。すると

 

 ごグりゅッ

 

 そんな音が鳴って肩と肘の関節が同時に外れ、もうその右腕は使い物にならなくなった。 でも大丈夫。入れれば元通りになる程度の軽~い怪我。 粉砕骨折なら何週間もギプスと同居生活、だ。

「む゛う゛う゛うぅぅぅ ぐぅっ!?」

 猿ぐつわの隙間から声が漏れるが、一刀がその頭を踏みつけたことで途切れた。

 

「っと、噛ませが甘かったか? あんまり大きな声出さないでくれるか。 皆に気づかれるだろ?」

 すかさずくつわを手早く噛ませ直す。太く束ねた布を隙間なくきっちり噛ませて、その上から覆うようにもう一枚巻きつければかなり声を遮断できる。

 

 外された腕はおかしな曲がり方をして、地面にだらしなく横たわっていた。

 

「っと今度は… ん、あんたは前に肘外した奴か。ならその外れた肘は入れ、てっと。」

 次には肘の外れていた件の三人組のチビに近寄って、無理やり組み敷いて肘を入れて、

「グぁぅっ! グ、ウぅぅっ、フゥぅっ!」

「で、逆の左の肩を っ、ふっ!」

 無慈悲なまでに今度は左の肩を外した。 自由になった骨が捩じられて、皮膚と筋肉を異常な形で突っ張る。

「ウ゛ウ゛ゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

 腕の中にメリメリと捩じれる感覚が奔るそいつの肩を、しかし一刀はすぐに戻した。

「よっ さ てと、じゃあ次はあんたに訊こうか。 さっき他の奴に訊いたこと、もう他に潜んでる

仲間は居ないのか、ってやつ。 あれ本当?聞いてたよな?」

 そしてチビのくつわを解く。

「っ、ぁっ、はぁっはぁっ ほ、本当だっ!もうおれ達以外には居な」

 

「本当だろうな嘘つくなよ?」

 

 と、思えばまたもや素早く口に噛ませて、腕に今度は関節技。うつ伏せの相手の肘を逆に曲げつつ、腕を真上に上げて肩にも同時に負担をかける。

 くぐもった叫びを無視しつつ、

「もう一回訊くぞ、本当だな? これ以上やると関節壊れるよ? 本当なんだな?」

 うつ伏せのまま地面に頭を叩き付けるような肯定のサインを認めて、一刀はようやく手を

「じゃあ、とりあえず信じようか、」

 

 離す、

 

 「な、っと。」

 

 なんてことはせずにそのまま肘を ごるっ と外した。 飽きもせずチビは涙目でくつわの下から叫びを上げる。

 

 そんな一刀の動きには容赦がないように見えるが、

 

 その表情は、どこか苦しそうに見える気がした。

 

 

 ・

 

 動けない相手を痛めつける、なんてのも大嫌いだ。 武士道精神? 正義にもとる?

 

 そんな大層なものじゃ無く。 単純に自分の心が許さないんだよ。

 

 自分がやるなんてのは吐き気すら覚える。 痛がってるのを見てたら自分も顔が泣きそうに

なるのも自覚してる。

 

 でも、

 

 でも、

 

 

 

 

「そんなわけで。 この集団を率いたあんたには特に『反省』してもらうことになるからそのつもりで。見えてないやつにも分かりやすく言えば、今俺はこっちの木に縛り付けてるあんたらのリーダー…じゃなくて、えっと…お頭、か。そのお頭の右腕を取って捻ってる。 この腕を捻ったまま横に曲げると、」

 

 ごるっ 

「グウゥゥゥッ!! フゥッ フッゥゥッ!!!」

「…これで両肩 両膝 両肘の全部が外れた。 因みに今更だけど注意しておくと、下手に動いて腱や筋が傷付くと治るものも治りが遅くなるから。動かないほうが痛さもまだましになるよ。」

 

 俺はそう言ってお頭の腕を放り投げた。 地面に落ちてそれはもう痛みが奔ったこととは思う。でも同情はあまりする気にならない。そもそも俺がやっておいて同情もなにも無いだろう。

 

 お頭には下っ端数人の時間間隔で関節を外していて、今はもう糸の切れた操り人形みたいに。 でも流石に股関節は外さないようにしてる。 股関節は骨盤の大腿骨の受け皿が臼状になっていて、関節の中でも特に強い関節だ。だから外れれば相応の損傷も付いてくる。それこそ手術が必要なくらいのね。 だからやらない。

 …あぁ、お頭をどうして見分けられたかって?

 さっきみたいに訊いて回ったからだ。口裏合わせも考えて、ランダムに徹底的に文字通り『絞り上げたら』意外と訊いた全員素直だった。最初のやつの情報を信じてれば時間かける必要も無かっただろうけど、こういった相手の言うことを素直に信じるほど俺はのんきじゃ無い。今みたいな状況だと特にね。

 

 と、ここまでの一刀の行動・思考を見ると、今までは猫をかぶっていた とすら感じるほどの無慈悲さが全面に見られる。 こういうことに慣れているのも、事実現代に居たときも同じようなことをしていたからだった。今はその過去の詳細は置いておくけど。

 ここでもくつわでくぐもっていはするものの、相手が泣こうが喚こうがその手を止めることはない。そこらで転がってる賊の輩からすれば、

 

「…俺はいつ誰を殺してもおかしくない、容赦の無い無慈悲な存在だ、って思ってるんだろうな?」

 腕や脚がいろんな方向に曲がってるそいつらに、俺はそう訊いた。 訊いたって言っても、返事は最初から期待していない一方的なやつだ。第一全員にくつわ噛ませてるわけだからそもそも返せない。

「俺は単なる通りすがりだよ。 それがなんで縁もゆかりも無い人達のためにここまでするんだ、って、」

 

 言葉を切って、足元に転がっていた肩が外れた腕を軽く蹴る。

 

「この人が言ってたな? わざわざ御苦労なことだ、って言ってたか。 そのわりにはあっさりお頭の特徴を吐いてくれた。竜頭蛇尾って言いえて妙だな本当。」

 最初の威勢の良さが懐かしく思える。 いやせいぜい一時間前だけど。

 

 そんなそいつの腕を踏みつける一刀は、傍から見れば相手がどうなろうがかまわないとも思えるほどの冷酷な様だろう。

 

 だが。 本当にそうなら、関節を外す程度のぬるいことはしない。

  

「…じゃあ、このあたりで一応言っておこうか。 さっき言ったことは全部嘘だから安心していいよ。確かにこれも拷問になるけど、拷問なんて言ってもこうやって関節外すぐらいしかしないし、俺だってさっき言ったみたいことはしたくない。」

 ここで俺はネタばらしをすることにした。天井の見えない恐怖に発狂されても困るから というのもあるし、いつまでももっときついのをやらないとなめられるから、ってのも理由だ。

 

「なぜって、俺は殺そうなんて考えてないからだよ。殺すつもりがないなら、それからも生きていく人の体に治らない傷を残すことはすべきじゃない。」

 指を一本切り落とすとか目玉を片方抉り取るとか。 トカゲなら尻尾、ザリガニならハサミは治るけど…まぁ、再生した尾には骨は存在しないが…、人間はそうはいかない。だから俺はそこまでのことはしない。 自分の中で定義している、『恒久的な身体の欠損』を伴う傷を与えることは極力禁じてる。

 

「そういう考えだからあんた達を叩きのめした時も無駄に怪我させないようにやったんだよ?顔面蹴っても鼻の骨潰さないようにしたり、内臓に損傷が出ないように加減したり。

 

 しようと思えば手足の骨全部、治せなくて使い物にならないぐらいに粉々にすることも出来たんだからな?」

 

 もと居た現代なら全身ボロボロにしても、警察内の裏の病院や製薬会社の系列病院にでも放り込んでおけばいい治験になった。 実際俺が放り込んだ馬鹿の治験で完成した薬、使ったら二、三日で骨折が治ったなそういえば。因みに公的に認可はされてないけど。 ここだと鼻骨の整形術なんて無いだろうし、手術で内固定する技術も無いだろうな。 いや、華陀ならもしかして…療術って言う魔法みたいなのもあるみたいだし。訊いてみようか。

 

 と アフターケアのことを並行して考えているように。本当のところ一刀は、人を傷付ける際には細心の注意を払っている。

 治らない怪我はさせないと自分に課していて、それ故に手術が必要な類の傷を負わせないようにしていた。先程注意していたのも、大なり小なり起きている靭帯の損傷をそれ以上大きくさせないためだった。

 

 現代なら腕の骨を全部折っても単純な折れ方ならほぼ確実に治るし、あえて肋骨を折って内臓に損傷を出しても開胸術がある。 だが今の世界にそんなのは期待していない。 開放骨折の感染症ですら対処できないかもしれない。

 だから一刀は今やっている程度に収めていた。

 

「まぁ、殺すこと前提ならどんなことしても構わないんだろうけど。さっき言ったのとか。どうせ殺すならそいつの体がどうなろうが関係ないからな? 腕が無くなろうが、目玉が両方ともさよならしようが、全身の皮が爛れようが、 どうせ死ぬならどうでもいい話だから。」

 

 そしてこれも最初の拷問の羅列も、いわゆる言葉攻めというやつ。普段聞くだけでも体が痛くなりそうだが、暗い中目隠しされて動けなくてしかも生々しい呻き声と身じろぎの音がするさなか。第一、賊からすれば自分達に話しているその男が、本当に今言ったことをしない保障も一切無い。 だからこそこれが意外と効く。

 

 「…殺さない。殺しはしないよ。 そのかわりに反省してもらう。後悔してもらう。馬鹿は死んでも治らない、なら生きてるうちに徹底的に痛い目にあって同じこと繰り返す気にならないようにするしかない、ってな。」

 

 同時に思い出す。集団いじめを受けて自殺した友人のこと。 何が気に食わないではなく、ただなんとなくなどという理由で精神的に追いやった首謀者。その取り巻き。

 自分の顔を隠して、肘と肩の関節を外してぐりぐりしてやった。外れた関節同士を、入らないように捩って捻って擦り付けて、入れてまた外して、を数時間続けた結果。 すっかり『反省』してくれて、それからは全員が大人しくなりました。 めでたしめでたし。

 

 とまぁ、そんな昔話は置いといて。

 

 

「…さて、続けようか?」

 

 

 ゴキグキ と手早くお頭の外れた関節を全て入れ直しつつ、一刀は返事を期待していない一方的な言葉を掛ける。

「…さっきも言ったな。俺は『人間』が好きなんだって。 だからそれを手前勝手で理不尽な理由で

悲しませたり泣かせたり苦しませたり、ってことする奴 …つまりはあんたらみたいなのが本当に嫌いなんだよ。 その中でも、」

 全部入れ終えると、全員に聞こえるように移動して言い放つ。

 

「女子供に手を上げる奴は死んでいいと思ってる。 俺は殺さないけどな?」

 

 それを聞いてかなりの数の背筋が一気に冷える。

 

「小さな子は守って当然の存在だから省くけど、 俺は特に女性を、…特別視って言うのかな。傷付けるのはダメ、絶対に穢したらいけない、身を挺してでも守るべき存在って考えてる節があってね。 全員が全員綺麗な訳じゃないってのも重々承知はしてる。 むしろ女性のほうが黒いところは黒いしね?」

 …あぁ いや、別段一刀が騙されたとかそんな経験があるわけではなく。その被害をたくさん見て聞いてきたというだけです。 

「まぁそんな例外は除いて。 そんなだから俺は女性に手を上げたり、 …穢したり、とかをする奴は許す気にはならない。 そういう方面の言葉は…その、ちょっと言いたくないから迂遠な言い方になるけど、 分かるよな?特にあんたらなら。」

 

 若干言い淀んだが、最後の部分で周囲の空気が スッ と冷える。

 言葉にすることすらはばかる、変なところで慎みのある一刀だが。 反面、そういう案件はかなり見てきた。だからこそ、女性に対して真摯だからこそ言うのを憚るのだろうが。

 

 アイドルを監禁して[自重します]だとか、盗撮写真で脅して[書きたくないです]だとか。多勢に無勢(察して下さい)や女性を食い物にする下衆なホスト。 現場に単身乗り込んだら『真っ最中』、なんてのも少なくなかった。

 そんな場合は即座に被害女性以外のゴミを、『猛る絶冷』であり『静かな業火』の心で、『荒れ狂う颶嵐』の如くに薙ぎ払うわけだが。

 

「朱里と雛里に寧、…お頭、あんたがなにか話を持ちかけたらしいな。あの三人だ。そのなかの寧が教えてくれたよ。 ってことはやっぱり過去にも『そういうこと』、やってるんだろうね? お定まりの下衆臭いことを。なぁ?」

 いや本当に慰みものにされなくて助かりましたよ、と寧が言ってたのが思い出される。 思い出したせいで一刀の怒りが更に再燃。 脚の骨全部砕いてやろうか、とも考えたがそこは理性でなんとか抑える。

 

「…もう分かるよな? 俺はあんたらを許さないし、あんたらはおれに許されない。

 そういうわけだから全員、『夜が明けるまで』、『一晩中』苦しんでもらうからそのつもりで。

 恨むなら、 強盗して 人を殺して 女の人穢して、

 

 この俺と鉢合わせた自分たちを恨め。」

 

 

 痛いのは嫌い。 そんなのは誰だってそうだし、当然俺だって断固拒否したい。

 だからこそ、俺は他人にも苦痛を与えたくはない。自分がされて嫌なことは他人にも

するべきじゃない。人が痛がってるところなんてのも見たくない。

 

 動けない相手を痛めつける、なんてのも大嫌いだ。 武士道精神? 正義にもとる?

 そんな大層なものじゃ無く。 単純に自分の心が許さないんだよ。

 自分がやるなんてのは吐き気すら覚える。 痛がってるのを見てたら自分も顔が泣きそうに

なるのも自覚してる。

 

 でも でも、

 

 これが俺の信念。 正義なんていう大層なものじゃない。むしろ悪として咎められることだろうし、俺自身が咎められることと自覚している。

 だから俺は正義の御旗を掲げはしない。 これは単なる信念。正義でも悪でもない、俺自身の心。

 許せないことを許さない。ただそれだけのこと。

 そのためなら動けないように縛り上げた相手を痛めつけることもする。 自分が泣きそうな顔になっていることを自覚していてもする。

 

 説得力に欠けてるだろうけど、俺は本当は人に暴力振るうのは嫌だ。痛がってるのを見るのは嫌いだ。

 

 でも『許せないことを許さない』って考えを貫くためなら迷いは潰す。

 

 …それでも、どうしても表情には出るんだけどね。 情けないな、本当。

 

 

 夜中の一時。一刀はまだまだ続けている。 くぐもった呻きは止むことは無く、夜が明けるまで未だ何時間もある。

 

 最後にどうして一刀が一人だけで番をしようとしたのか、一番の理由を述べておこうか。

 

 責任を取るため、皆に休んでほしいから、というのは当然本当だが。 一番の理由は、

 

 自分のやることを見られたくないから、だった。 優しい村の住人や、他人のために一生懸命になれる桃香達。

そんな人達に、こんな自分という存在はあまり見せたくない。見てほしくない。

 自覚している。悪でないにしろ、自分の『これ』は誇れない。肯定出来ることでも、されることでもない。

 

 だから俺は一人を買って出た。

 

 でもいつか、『これ』を知られる時が来るんだろうか。

 

 だったらそのときは、 

 

 

 

 …まぁ、そのとき、かな。

 

 

 ・はりぼてプリンセス ~炎上~・

 

 ・Side Somebodies ~Ignitioners(火を着ける者達)

 

 ここは袁術が統治する、寿春の街の外れの森のなか。少し高い崖の上にその森は位置していた。

 時刻は夕方。日も傾き風景は黄味を帯びて、西の雲は紫の影に西日の金の光がかかっていて、

 

 どこか不穏なことを予感させる空、だった。

 

「…黄色い空、か。」

 その空を見上げて、寿春を望める崖に立って独白したのが一人。 肩までの長さの朱色の髪をくくった長身痩躯のその男は、どこか物憂げな表情だった。 これから自分が 否、自分達が為すことに関して、どうしても不安がついてまわるせいだろう。

 

「…弱気になったらダメだ、ここが足ががりなんだから。」

 不安を払うように頭を横にぶんぶん振る。そこに、

 

「せやから、頭のあんたが腰据えんとあかんねんで。阿連(あれん)?」

 阿連と呼ばれた男の後ろからいつもなら快活な、しかし今に於いては多少神妙な声がした。

 

倫琥(りんこ)… えと、今の、聞いてた?」

「自分で確認するときに独りごと言うんはえぇけど、も少し小そうな。」

 

 からかう言いようではあったが、いつもの カラッとした笑顔ではなかった。

 

「景気悪い顔しぃなや。 どーせここの袁術言うんは無駄に高っかい税取っとるアホなんやさかい

なんも遠慮なんか要らへん。 因みにウチのは武者震い、や。 ほれ、ウチの『玖鱗(きゅうりん)』も暴れさせぇて言うとるわ。」

 

 言いつつ倫琥、携えていた武器で地面を突き鳴らす。 地面から胸の辺りまでの長さの、鬼が持ってるような鋲の付いた金棒で、その柄尻からは二メートル程の鎖が伸びており、その鎖のもう一方の先端は腰に差してある、針を剣のような大きさにした武器の柄尻に繋がっている。

 『封鎖双龍棍(ふうさそうりゅうこん)』、銘は『玖鱗』。倫琥の武器である。

 

「だいじょーぶやて。 あんたには人を惹きつける何かがある。それが短い内にここまでおっきなことになったんや。 世の中がウチらを、阿連を求めとるっちゅーことや。」

 

 今に於いては、いつもの快活な声で苦笑した。

 

「…まぁ、他のんが言うとることの受け売りやねんけどな。 ウチ上手いこと言われへんねん。」

 苦笑しつつ、倫琥は頭を少し掻いた。 こういう仕草は猫に似ていて可愛いものだ。

 

「ほな、先行っとくな。」

 そう言って倫琥が玖鱗を担いで先に行った道を、阿連はなぞるように歩く。 その足取りは重い。この先に起こること、自分達が起こすことへの不安とプレッシャーが足取りにも表れているせいか。

 

 表情も心ここにあらず な顔で強ばっていて、

「…みんなが望んでることなんだ。 …、でも、 いや、」

 しかしそれでも、

 

 

「…今の王朝は腐った大樹。 だからそれは早く切り倒すべきなんだ。」

 

 自分の理想は、常に心のなかにある。

 

 

 ・始まりの一歩 しかし

 

 寿春の城内。街の散策からもどった美羽と七乃は城内での服に着替えた後、数件の目通りを終えて、

 

「んぅ~… ぅ~」

 美羽は私室のベッドで、七乃の膝を枕にして眠っていた。 だいたいその体勢になって五分かそこらだろう。

 

「今日は書類の押印や歩き回ったせいで疲れたんですねぇ。」

 七乃は優しい笑顔でそう呟いて、自分の太ももに乗る仰向けの美羽の顔を見、

 

「はぁ~んもう、無防備にしてたら本当にこの幼い唇なんて美味しそうですから奪っちゃいますよぉ?」

 

 …はい、やっぱり七乃さんは七乃さんでした。こら ハァハァしながら美羽の唇に熱い視線を送るな。

 

 と、昼日中然り、こんな感じで二人は過ごしてきた。 高い税の上に成り立っている状況ではあるが、それでも平和に過ごしてきた。

 でもこれからはそうはいかなくなるだろう。 美羽も精神的に成長するだろうし、そうなれば今のように無邪気にのほほんとしているだけではなくなるだろう。袁家に連なる者として生きることになっていくだろう。

 でも、

「…今だけは、こうしていてもいいでしょう。 今だけは。」

 せめて今だけは、今の美羽を愛でていたい。 そう二人きりの静寂の中で思う七乃だった。

 

 

 

 

 

 

 そして静寂は破られる。

 

「張勲様っ、いらっしゃいますか!!?」

 

 部屋の外で切羽詰ったような大きな声がした。 それにより美羽が「ひゃぃうっ!?」と跳ね起きる。

「はい? どうかしましたかぁ?」

 入ってよし、と判断した兵を纏める立場の一人が扉を開けて入る。

 

「ま、窓から外を見て下さいっ!」

 

 言われて二人は窓に寄って外を見る。 すると、

 

「ど、どうしたのじゃっ?」「…火事、ですか?」

 

街の正門に近い区間から、灰色の煙が幾筋も夕暮れの空に向かって伸びていた。その根元には昇らずに下に広がる煙と、それらの源である火が踊っている。

「何者かは分かりませんが、大勢が街に火を放っているらしいですっ!!」

 

 血相を変えて言う兵士の言葉の節々に、七乃は奇妙な点を見出す。

「『何者かは分からない』、『らしい』? それにこんなに火の手が多くなるまで報告がないってどういうことですかっ?」

「そ、それが門の方の兵から一切の連絡が無いんです!急なことで情報の混乱も起きていて… どうすれば」

 突発的な事が起きると混乱が併発するのは世の常だが、七乃はおそらく今の寿春内で一番冷静だった。

 

 門の見張りから報告が無かったということは最初に全員が殺されたかどうかしたんでしょうねその後に火を放ったならこれって単なるおバカさんの火付け騒動じゃなくて計画的に起こされた火事ですかだったらわざわざ火事を起こす理由は 

 

 

 混乱に乗じた略奪、ですか?

 

 

 街中つまり内側から外を見張る門を襲えばけっこう簡単に機能は停止しますし大勢でいくつも火の源を作ればたとえ火自体が小さくても混乱を招くのには充分ということは街内部に潜んでた賊かなにかが今ここで蜂起でもしたと考えましょうかまったく調練に出しているときを狙ったのならなかなかの策士って言ってあげましょうか

 

 あっという間にここまでを処理した七乃は、指示を出そうとするが、

 

「は、早く火を消すのじゃっ!」

 

 七乃より早く、美羽がそう強く言った。

 

「袁術、様…?」「美羽様?」

 

 まさかの人がまさかの発言。兵士はおろか七乃すらもあっけに取られる。

「なにをしておるっ、早く火を消さねば民の家が無くなったりけがをするじゃろう!」

「し、しかし兵は」

「しかしではないっ!!」

 

 調練に出していて数が、と兵士が続けようとするが、美羽はそんなのお構いなしだ。

「民あっての国なのじゃろっ、妾たちのご飯や服も民がくれた税なのじゃろっ、ならばその民にけがをさせるのはダメじゃ!守ってやらねばならぬのじゃろ!」

 

 税は民かから徴収したもの、というのは七乃がしばらく前に美羽に話したこと。 民あっての国、というのはついさっきに読んでいたおとぎ話の一文。 言葉は借り物かもしれないが、その目には美羽の真意があった。

 

 あぁ、だからですか。

 

 七乃はここにきてようやく理解した。美羽が最近になって自分を領主と意識し出したこと、仕事をさせろと言って来たことの理由。

 

 美羽は美羽なりに考えていたのだろう。七乃が言った、『税は民から徴収したもの』という言葉。これを子供なりにまじめに捉えていたのだろう。

 今のも、民のことを考えてのことだったのだろう。

 それなら。

 

「…城内の警備の兵士さん達も全員使えば、まだ数は補えますねぇ。」

 私は美羽様のわがままを聞くのが仕事みたいなものですからね。

 

「っ! では!」

「おそらく火を付けて回ってる人達は街中の商店の金品目当てでしょうから。城内の警備はこの際最小限にしておきましょう。 街の中の救護と消火に人手を裂いて、捕まえるのは少数精鋭でいきましょうか。」

 

 実はどの道、七乃もこれを考えていた。だから結果としては方針は変わらなかった。

 

 しかし、

 

「お主っ、民を助けるのじゃぞ!」

「…っ、 はっ!!」

 

 

 このときやっと、美羽が領主として一歩前進したのは、大きな違いと出来るだろう。

 

 ・乱世に(きざ)す蓮の花

 

 傾いていた陽も落ちて、執務室から見える空はもう暗くなっていた。

「雪蓮 入るぞ。流石にもう終わっているだろう?」

 冥琳はそう言いつつその執務室に入った。 中では部屋の主である雪蓮が机に向かって、冥琳が

課した仕事をそれはもういやいやで渋々でつまんないわやりたくないわ な表情をしながら、それでもなんとか全部を消化したことを期待していた。

 

 そう。期待していた、の、だけれど。

 

 半端な量を残して、雪蓮は机を離れて窓の外を眺めていた。

 いつもならそんなのを見れば、呆れた表情での小言が始まるところだったが。 今回冥琳はその気は起きなかった。

「…」

 無言で腕を組んで暮れた空を眺める雪蓮のその顔は、

 

 彼女の隣で何度となく見てきた、戦場に赴く時の表情だった。

 

「…雪蓮、どうかしたのか?」

 ただならぬ空気に、冥琳も目を鋭くして声を掛けた。

 

「…冥琳。 私の勘、ってやつ。信じるわよね?」

 

 雪蓮の勘。 いつもはいままでの如くにあんなのだが、いざことが起これば軍を率いて戦果をあげる雪蓮であり、 その勘の的中率は長い間共に居る冥琳や祭はよく知っている。

 

「なんなのかしらね、さっきから妙に落ち着かなくって… 何かが起こりそうでね。 ザワザワするのよ。」

 そう、雪蓮の今の状態は虫の報せによって仕事が手に付かなくなっているのであって、真剣な話

さぼっているのではない。決してない。 …逆に言えば、普段は純然たる怠けだと言えなくも無い、…気がする。

「なんだか、今にも何か起きそうな気が」

 

 

 

 そしてそれは現実になった。 ふと気が付いて、雪蓮はセリフを中断した。

 

「ん、 …何か騒がしいな?」

 冥琳も雪蓮と同じ事象に意を向ける。

 

 部屋の外から、廊下の空間を伝って慌しい声が聞こえている。 と思えば誰かがこの部屋に駆けてくる音がして、その足音の主、外からの伝令を受付け伝える兵士は二人が居る執務室に乱入の如くに入ってきた。

 

「孫策様っ! 周瑜様もこちらでしたか、大変ですっ!!」

 いつもなら無礼を咎める冥琳だが、そのただならぬ様子にその気は失せた。

 

「っ、どうしたのっ?」

「はっ、寿春から伝令がありましたっ!! それが、」

 

 

 

 

 緊急で伝えられた一本の伝令。

 

 

 

 

「なっ…!!」

 

 

 

 

 こちらも、今ここに始まり出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゅ… 寿春が落とされたっ!!?」

 

 

 ・あとがき

 

 おぉっ!!まえがき、なかがき、あとがきの前中後三連覇ですよ凄、くは、無いか…(テンション沈静化)

 

 一刀が『ダークネスブラックジョーク』のまま本編が進むのを期待していた方達、期待に沿えなくてすいません  とでも言うと思ったかぁ!!

 いやですよあんな主人公!あんな壊れた側面、二重人格的設定でもない限り使えるわけないでしょうが!

 当然皆さんもあんなの嫌だ、って思ってますよね。 もし「いいぞもっとやれ」とか考えてる人が居たら言ってみっ、別に居るとは思ってないけどさっ!

 

 あれは私の心の暗黒面からなんか知らないけど散歩気分で出てきた産物です。もう封印したので(たぶん)出てこないです(おそらく)。

 

 今回にしてようやく一刀の内面が大方出せました。 一刀は女性を大切にする性格です。 ですがそのせいで鈍感になっている節があります。距離を作る、とすれば大袈裟な上に語弊があるのですが、大切に想うが故に鈍感になる、という構図ですね。 そして女性に狼藉を働く輩には容赦はしません。

 そして殺しません。 現代に生きる人間なので殺すことに関してはタブーだという意識が今はあります。今は。

 こんな一刀ですが、でも根本は優しいので人を傷つけることは嫌いです。しかしその気持ちを抑えて今までもやってきました。そしてこれからもやっていくのでしょうね。

 

 あと今のところの重要な人物も名前が出てきましたよ。阿連と倫琥です。真名です。さて誰なのでしょう。 まだ他にもキャラはいるのですが、まぁ今のところはこの二人です。

 で、今回は倫琥について解説をさせてもらいます。言いたいことたくさんあります。

 

 髪は銅色のショート、深緑の釣り目で猫っぽい。関西弁なので、関西と言えば虎だろうという安直思考で名前に虎の文字が入っています。関西の人ごめんなさい。世間は偏見で満ちています。猫っぽいのも虎のイメージ入ってます。

 服装を現代のアイテムで説明すると、下はカーゴパンツを太いベルトで締めていて、上は背中が大きく開いた変形ノースリーブです。更に腰には上着を袖で巻きつけていて、ポケットとして使ってます。 全体的に下に大きいシルエットです。

 

 体型は背丈は愛紗より少し高くて…まぁ、スレンダーです。良くも悪くも「ちょい待ちやぁ!!なにかっ?ムネあったら偉いんか無いとなんか犯罪になるんかわれぇぇぁ!!」「そうだよこんちくしょー!あんなのあってもあっただけ邪魔って菅輅が言ってたよあの特大がぁっ!!」

 はいはい。オリジナルキャラ、倫琥と飛鹿のコラボでした。

 

 モチーフが虎なのは、五行思想の中の金の属性に拠っています。 作中で阿連が大樹がどうこうと言っていましたが、はいそうですここにも五行相克が適応します。木を倒すのは金です。そして金の四神は白虎です。

 倫琥を構成する要素はこんな感じですか。 因みに、五行に於いて金は金属だけでなく宝石も含みます。だから琥珀の『琥』の字を使ってます。

 そして木は火によって燃やされて灰になって、新しい土を作ります。 彼らはつまり、そういうことです。

 

 次は武器、『封鎖双龍棍(ふうさそうりゅうこん)』です。 つってもそんなの現実には存在しません。

 意味は『鎖に封じた二頭の龍』です。長めの鎖の両端に打撃系武器を備えていて、二刀流みたいしたり振り回したり。刃物にしてもいいっちゃいいけど、振り回して中距離攻撃をするなら刃物のように有効打撃面が限られているものは不向きですね。

 倫琥の『玖鱗(きゅうりん)』(『玖』は黒い綺麗な石の意、擬龍化するなら綺麗な黒い鱗を持った龍)は、一方が叩き潰す鬼の金棒、もう片方は千枚通しを剣並みに大きくした突き刺す武器で、両端に性質的にも重量的にも極端な差がある変わったものです。 戦い方はこれから先に出てくるでしょうね。

 阿連とは互いにどう想いあっているのかは、…どうなんでしょうね。一応仲間意識ということにしておきましょう。

 

 そんな感じです倫琥というのは。 いや別にここまで解説しなくてもよかったのですが、私はどうにも一度設定を作り始めるとひたすらに凝る性分らしく。こと名称に関しては創作の話のキャラの名前なのに本当に新生児に人名を付けるかの如くに真剣に考えたりします。音韻、字面、漢字一文字ごとの意味などを総合して考えて名称を付けます。技名とか武器名とかもですね。 実は今回の投稿作で一番悩んだのは倫琥の名前だったりします。阿連は英語圏の名前の『アレン』が浮かんできてしっくりきたのであっという間でしたが。

 

 これからもオリジナルキャラが多く出てくると思いますが、そして今までにも何人か出てますが、私は名前に関してはこだわります。 そのあたりも見ていってほしく思ってます。一番気に入ってる名前は『慈霊』です。あれは上手くいった。技名なら『雷釘脚』ですね。

 

 では。個人的なこだわりを駄弁るのが長くなりましたが、今回はこの辺で。また次回。

 

 

 

 PS、骨を外す、なんてのは本当に痛いし、靭損傷とかも併発する可能性もあるので、決して冗談でもやっては

いけません。 お姉さんとの約束だゾっ♪

 

 次いでPS しっかし毎回あとがき長いですね… 書いてるの私ですが。今に始まったことではないですが。

 

 

 

 


 
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