1
休日の朝というのに、友達の遊びに来る前日はワクテカして眠れなかったのか、わたしは一晩中布団でごろごろしていた。
「まぁ、寝れなかった原因は他にもあるけどぉー」
あーあ、何言ってんだろわたし・・・
「てゆーかまだ六時半なのに下でゴトゴトいってるよ」
わたしは下のリビングへと行く。正直少し歩きたかっただけなんだが、あんなに激しい運動をすることになろうとは・・・
ドゴーン、ガシャァァァン
「ふぇっ、お、おとー、さん?」
「さ、桜ちゃぁぁぁん」
泣きながら抱きついてくるおとーさん。いやいや、まじで何事なの?
「Gだよ桜ちゃん。Gの襲来だよ!!」
「何ィィィィィ!!!」
Gといえば三大害虫になれべられる黒い家庭の悪魔とされ、代々畏れられてきた“化物”!!こ、
こんなところに、い、いるなんて・・・
「僕は浅はかだったよ。桜ちゃんに朝ごはんを作ってご機嫌をとろうなんて。ましてや昼ご飯を作って友達を征服しようと考えていたなんてぇ!!ミスったぁぁぁぁぁぁ!!!」
「なんて計画しているんだぁぁぁぁぁ!!!ハァハァ・・・
お、おとーさんっ!!」
「なんだい桜ちゃん?」
「Gを殺せぇぇぇぇぇ!!!」
「無理だよあんなの・・・」
「Gを抹殺できたらキス、してあげる・・・」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!桜ちゃぁぁぁん!!!涙目上遣いのその表情、たまんねぇよはぁはぁ」
「は、はやく!!」
「しかし、いったいどうすれば、何か武器はないのか?」
「し、新聞で!!」
新聞を丸めてわたす。わたしは部屋に帰ろうとするが・・・
ブゥゥゥゥゥン
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「こいつロリコンGか!?侮った・・・」
「なにやってりゅにょっ!早くとりなさいよ!!」
「す、素手でかい?」
「まさか、新聞で叩く気?潰れたGの付いた娘とキスしたい?」
「そんなに睨まないでくれよっ。こ、こわいよ僕も。それに、さ、桜ちゃんはGを触った僕とキスしたいかい?」
フルフル
「ちょっと、しぬ、早くしないとしんじゃぅぅぅ」
「やめて、Gのひっついたパジャマで来ないで」
「ロリコンなんでしょ。なんとかしなさいよ。ロリコンGもあんたが好きみたいよっ。ほ、ほら・・・ねっ。ねぇったらおとーーーーーーさあああああああああああああああああん!!」
「もう、おとーさん、ダメみたい・・・」
「家から出るなぁぁぁぁぁっ!!やめてよおとーさん。助けてぇぇぇ!!!おとーーさん助けてぇぇぇぇぇぇ!!!」
「何事だい?」(くじらボイスww)
その後、近所からの通報で駆け付けた奥様方に救われました。結局Gはパジャマで死亡。新聞紙で
何度も叩かれながらも、苦しみながらも、決してわたしのパジャマから離れることはありませんでした。立派なロリコンGでした・・・
こ、こんなロリコンGが、一匹いるとなんとやら。わたしはおとーさんよりも数段怖ろしいロリコンを招き入れてしまったようです。
2
「す、すまない桜ちゃん。ほ、ほらご飯だよ」
「おとーさん、わたしを置いて逃げるなんてひどいよ。あの後の惨劇を知らないからそんなこと言えるんだよ」
「が、頑張ってたじゃないか?僕も・・・」
「ちょっとだけねっ」
役立たずのおとーさんだけど、頑張ってるから仕方ないよね。
「今回だけだよ」
「完璧にデレたな。あと少しだ・・・」
ギラァァァァァッッ
「怖い怖い」
「ん、おとーさんどこ行くの?」
「仕事だよ。友達が来るんだろ?」
出かけるおとーさん。こーいうところは律儀なんだよね、ほんとはにゃんにゃんしたくて手が震えてるのに。
「仕事、あるんだ。ニートじゃないんだww」
「真面目に働いてるよ」
「平日にうろついてたのに?」
「行ってきまーーす」
「逃げたな・・・」
さて。友達来るまで時間があるな。
それから15分くらいたった頃、家のチャイムが鳴った。
ピンポーン、ピンポーン
「ん?もう来たの?まさか、新手のゴルゴか!?」
のぞき窓から慎重に覗くわたし。ここで更なる敵(ロリコン)を引き入れるわけにはいかぬ。
「じーーー・・・なんだ二人か」
ドアを開けて二人を引き入れるわたし。すぐさま二重ロックとチェーンを掛ける。これを怠ると
危険なのは実証済みだ。
「す、すごいね桜ちゃん。どこぞの部隊みたいだね」
「人差指と中指を同時に使っての二重ロック同時掛けに、その流れで小指をクイックさせチェーンを嵌める早技はもはやレジェンドだよ」
「危険なんだよこの街は。だからね・・・」
「すっごい深いね・・・」
「と、とりあえず中に入っていいかな?」
二人を中に招き入れるわたし。友達の一人、彩花ちゃんが妙なことを言う。
「ねぇ、優貴ちゃん。さっきすっごいイケメンとすれ違ったね」
「うん。目が合った時は、思わず反らしちゃったよ」
まさか、まさか・・・
「その男、真黒な革ジャンに白いスーツでグラサンかけてなかった?」
「そんな感じだったよ」
あのオヤジィ!!この辺りに潜伏してやがる。
「どうかしたの?桜ちゃん」
「なんでもないよ、それより部屋、いこ」
部屋に二人を連れていくわたし。
「お茶を入れてくるよー。先に待ってて^^」
あいつは戻ってくる。
「うーん」
「先行くね」
戦争を始めようか・・・おとーさん!!
ガチャリ、ガチャリ・・・
シャララララッッ・・・
家のドアの鍵が開く音が聞こえ、チェーンまでもが効率よく外される。
通常の人間では、外部からのチェーン外しは切断以外あり得ない。これを切断なしで外せる相手・・・
「真正なロリコンは、どこまで行ってもロリコンということだね・・・」
戦争を、始めよう・・・
3
何も知らない二人に、こいつを二階まで通すわけにはいかない・・・
ググッ
両拳を握り、臨界体勢をとるわたし。ドアが開いた・・・
「だ、誰、なの?」
わたしの前に現れたのは、40代後半から50代くらいのオヤジ。丸々と太った身体には、何日も
洗っていないのか。強烈な悪臭とともに、ハエが何匹も湧いている。
おとーさんじゃない?ちぇ、チェーンが切断されている。鍵はピッキングか・・・
腐れオヤジの右手には、ピッキングで使用した棒が二本。左手にはチェーンを切断した、ペンチが
握られている。
こいつ、二重ロックをあっり破ったところを見ると、かなりの常習犯だな。でも、あの汚い服装から見る限り、誘拐やお金目的じゃない?だとしたらまさかっ!!
ビュッ
ガキィィィン
「ほぉう」
「悪質だね気持ち悪い」
オヤジはわたしに対し、持っていたペンチで殴りつけてきたのだ。わたしはとっさに、傍にあった
ドライバーで防いだ。
向こうのほうが大きくて威力があっても、根元をかするようにして返せば、衝撃をゼロ近くにまで軽減できる。しかし、それでも子供のわたしにとっては強すぎた・・・
痛みで右手を抑えるわたしに、腐れオヤジは言ってくる。
「始めてだぜ嬢ちゃん。俺の攻撃に抵抗してきた奴はよ。いい声上げて泣くんだろうなぁ、げへへ」
「その気持ち悪い顔に見合った、身持ち悪い性格だね。それに、こんな真昼間から幼女を襲うなんて変態だよ」
ちょっとでも時間を稼がないと。こいつに勝てる可能性は万に一つもない。近くにいるおとーさんが来てくれるのを信じて待つしか・・・
ヒュッ
ゴシャァァァァァ
「あああああああああああああああああああああああっ」
「いい声上げるねぇ、げっへへへ」
「コイツっ!?」
腐れオヤジの蹴りが、わたしの横腹に命中し吹き飛ぶ。初老の弱い攻撃だが、わたしみたいな子供には十分すぎる威力だ。
壁際まで吹き飛んだわたしは、徐々に追い詰められていく。
「この程度かい、お譲ちゃん?さっさと抵抗しないと大切なもの奪っちゃうよ・・・」
「ゲホゲホッ」
ギラリ
「ほう、この状況でまだそんな表情ができるのかい。精神力が強いのか、ただの世間知らずなのか」
これ以上音を立てるのはまずい。二人が来たら確実に終わる・・・
腕力も上、体格も上、知力だって上かもしれない。この腐れオヤジを倒す方法が見つからないよ。
「げへへ。あきらめたようだなお譲ちゃん。苦労した分楽しませてくれよ、へっへへへ」
ガシィィィ
「さ、触らないでよ変態」
「一著前に短パンなんて履きやがって。スカートから見える楽しみを奪うんじゃねぇよ」
「ぬ、脱がさないで」
「げっへへへ、パンツ丸見えだぜお譲ちゃん。このまま自分でスカートをめくってみな」
「できないよぉ」
バシィィィィンン
「ううっ」
「状況分かってんのかぁガキィィ!さっさとスカートめくってパンツを見せやがれ」
ここでヒーロとか登場するのかなぁふつうは・・・
従うしかない。抵抗したら殺されるよ。
「いいねぇ。ピンクの縞パンなんてすっごくレアだねぇ、げへへ」
スカートをめくるわたし。この変態に、この変態に・・・
「面白いほど物分かりがいいじゃねぇか。さっきまでの抵抗もおしくはあるがな・・・」
「変態腐れオヤジ。これで満足ですか?」
「げへへ、いいねぇ、いいねぇ。可愛い声でもっと俺をいじりまくってくれよでへへへへ」
「もはやペドで変態なあなたには生きる価値なんてないですね」
「ひゃっっはあああああああふへへげへへぶははははっっ!!たまらんなぁこの幼女。すぐにでも食べてぇ」
キモっ。“すぐにでも食べてぇ”?今すぐわたしを食べられない理由でも?まさか何人かでつるんでいるとか?
確かに昼間からどうどうと、チェーンまで破壊して入り込むのはおかしすぎる。でも、重度のロリコンが、外でおとなしく待っているのもまた考えずらい。
この男の性癖か、計画的多人数の犯行か?
多人数?多人数なら上の二人は無事なのか!?
「どうしたそわそわして?」
ここで下手に上に行くのはまずい。この男の一人での犯行ならば、上に行った時点で二人もやられる。かといって安全を確認しないわけには・・・
「さて、食べるとしよう。げっへへへ」
「今から食べるのかあああああああああああああああああああああ!!!」
「うぉう何だびっくりするなぁ」
確定した。この男は一人だ。そして、今の態度。うまくいけば、わたし一人で倒せる・・・
「げへへ。さぁ、脱いでもらおうか、へへへ」
「オッサン、長い間随分と凌辱してくれてありがとう。今からこちらがオッサンを凌辱してあげます」
4
「こ、この俺を凌辱だとぉ!?」
掛った・・・
シュッ
「ど、どこいった?」
腐れオヤジの弱点はコミュニケーション能力の欠如による過度な反応によって生じる隙。一方的に
人と話して来たんだろうね。さっきの大げさな反応は、こちらからの言動を、脳が処理しきれずに起こる“クラッパー現象”。いわゆる、一時的な脳麻痺。圧倒的な力の差があったとしても、脳を一時的に止められれば、再起動には0・8876秒掛る。
「このタイムラグが勝利を決める鍵!!微倒閃脚雷撃功能(びどうせんきゃくらいげきこうのう)」
ドゴン
「グアアアッ」
腐れオヤジの心臓に、蹴りが当たる。しかし、これはあくまで牽制。わたし程度の攻撃では、一撃で倒すことなど不可能。でも、二撃、三撃と繋げていけば、大きなダメージになっていく。
「こ、小娘ぇぇ!!」
「破人滅蔡石膏(はじんめっさいせっこう)」
ゴキィィィ
「ガァァァァァッッ」
「か、堅い・・・」
ひじ打ちを、うまく鳩尾へ叩きこんだものの、堅い脂肪に阻まれて入らない。
「やってくれたな小娘。意識が飛ぶまで何度も犯してやる」
「こ、ここまで、なの?」
ゴキィィィィン、ゴキィィィィン
「な!?」
「ああああああああああああああああああああっ」
ドンッ
ブチブチブチブチィィィィ
「貴様らァァァァァァ!!!!」
腐れオヤジの背後から、金属バットで殴りつけたのは、彩花ちゃんと優貴ちゃんだった。二人の攻撃に、一瞬体勢が崩れたものの、やはり小学生女子の攻撃では倒れない。
しかし、わたしには、その一瞬は十分すぎる一瞬だ。
「ああああああああああああああああああああっ!!」
「むむ!?」
「斬華魔雷牢(ざんかまらいろう)っ」
ズズン
「ゲフゥ、効かんぞ小娘ぇぇぇぇ」
確かに一発じゃ効かない。わたしの攻撃は、またも腐れオヤジの脂肪に阻まれる。だが・・・
「腹が、腹があああああああああああああああああああああああああああっ」
苦しみ出す腐れオヤジ。わたしの勝ちだ・・・
「小娘ぇっ!!何をした!?」
「ど素人には分かんないでしょうね。人間には急所というものがあるんですよ。心臓、大動脈、頸動脈、鳩尾、腎臓・・・
あなたはそのうちの四か所を破損した。わたしの攻撃と、わたしの友達二人によって・・・」
「まさかっ、最初からそれが狙いだったのか?」
「その通り。まさかバットで脈二本分っち斬れるとは計算外でしたが・・・
脳に酸素が廻らず、心臓が悲鳴を上げ、鳩尾はまああまり効きませんでしたが苦しいでしょう。」
頭の後頭部に偶然にも当たったバットのおかげで、首を通るでかい脈は大きく膨らんで破裂した。
しかし、オヤジはまだ倒れない・・・
「まだだ、こんな幼女三人を前に、倒れるわけにはいかない!!」
「ロリコンG並みのしつこさだね。でもこれで終わり。あなたが満足に動けない今、男に対する最大最強の攻撃が放てる!!金玉爆裂剛脚(こんぎょくばくさいごうきゃく)、蹴上天昇(きゃくじょうてんしょう)」
ボスン、ドドドドドドゥ
「あああああああああああああああああああああああああああっ」
「くたばれクソオヤジ」
金的がモロに直撃。粉々になっちゃえww
ゴシャァァァァァ
床にひれ伏す腐れオヤジ。長い戦いがついに集結した・・・
5
その後、通報した警察によって腐れオヤジは回収された。もう刑務所から出てこないらしい。
全く、おとーさんはエア・ブレイクして帰って来ればいいのに・・・
結局二人は家に泊まることになった。あんな事件の後じゃ、怖くて帰れないだろう・・・
そして、ここでわたしは新たな問題に気がついた。
「お、おとーさんが帰ってくるじゃんwww」
現在時刻は午後6時半。おとーさんの帰宅する音が聞こえてきた・・・
参った。第二次幼女対戦の幕開けだ・・・
6
あとがきと次回予告
本編の戦いよりも何やら激しくなった幼女の戦いww
次回はどうなるでしょうか?
帰ってきたロリコンおとーさんに、二人が見せた反応とは・・・
そして、その後の行方とは・・・
最近ゆとり教育で土日が休みになってしまいました
ということで、土曜日の夕方から日曜日にかけてのお話にしまっすww
お楽しみに・・・
ロリコンが一人でも増えることを願って
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オヤジィィィィィ!!