この作品は恋姫無双の2次創作です。
作者の勝手な解釈もある為、若干キャラの性格等のズレが生じる場合が御座いますが
そこらへんはご容赦のほどを。
一台の馬車が猛烈な勢いで走っている。その馬車の中には中年の男とまだ幼い少女二人がいた。
「小娘共の焦る顔が目に浮かぶわ。肉屋の小倅を殺された挙句、儂を取り逃がしあまつさえ皇帝陛下を攫われるという始末に。」
中年の男の名は張譲。漢王朝の十常侍筆頭だった男。だったというのは、先日劉宏前皇帝が死去し次の皇帝を巡る権力争いに敗れてしまったからである。
劉協を推す張譲を筆頭とする十常侍派、劉弁を推す何進将軍派。その対立が劉宏陛下の死後、今まで水面下での動きだったものが一目見て判るほど露骨になっていた。
最初の頃は罵り合い程度だったものが徐々に過激になり殴り合いそして遂には殺し合いになってしまっていった。
それは些細なものであった。それぞれの派の者達が廊下で出会い互いが道を譲らずにいた為に言い合いから殺し合いに発展、そして生き残った何進派の者達はその勢いのまま十常侍達のいる部屋へと向かい其処にいた者達全てを斬り殺していった。
だがそれと同時に手薄になった何進将軍の方にも十常侍派の手の者達が押し入り何進将軍を始めとする何進派を斬り殺したのだ。
互いの頭を失い収束するかに思えたのだがなんと劉弁陛下とその妹劉協が何者かに連れ去られてしまったのだ。
何進将軍に洛陽に呼ばれた董卓こと月と賈詡こと詠達による必死の捜索にも係わらずいまだ足取りがつかめないどころか連れ去った犯人が判らないでいたのだ。
何せ十常侍全員を討ったと思っていたのだから生きているとは露ほど思っていないのだから。
用心深い張譲は常に不測の事態に備えて影武者を控えさせていた。こうなる事は既に想定済みであった為いざとなったら何時でも逃亡出来るようにしていた。
いずれは何進及び董卓が都にて悪行を行なっていることを吹聴して回りそれに乗った諸侯に保護を求め何進及び董卓達を排除をしようとしていたのだが思ったより早く事が起こってしまった。
別段これで焦る事は無かったがまだ下準備が十分でなかったのが不満ではあったが、それを上回る物を手に入れた。それが目の前にいる劉弁陛下とその妹劉協、二人は身を寄せ合い張譲を怯えた目で見ている。
「張譲、朕達をこれからどうするつもりじゃ。」
皇帝としてか姉としてかは分からないが妹である劉協を抱きしめながらこれからの自分達をどうするのか聞いて来た。そんな劉弁に対して、冷たく言い放つ。
「別にどうもしませんよ。只しばらく大人しくしてもらうだけですよ。」
劉弁は己を呪った。無力さを、無知さを。父劉宏が死にいざこれからという矢先このような事態になり何も出来ない自分を…
馬車は相変わらずの速度で走っていたが何かを踏みふと浮遊感が三人を襲ったかと思うと急に身体が傾き何処かに落ちるような感覚に陥った。劉弁は本能的に危険だと感じ取ると劉協を力強く抱き締め、劉協の方も反射的に姉にしがみついた。
張譲の方も何が起こったか分からずパニックになり立ち上がろうとしたがそれより先に馬車が地面に叩きつけられその身も少し遅れて馬車の中で壁に叩きつけられその衝撃で張譲は気を失った。
北郷親子が洛陽目指して向かっていると少し先で何かが壊れる音がした。それを聞いた親子はその現場に向かって馬を走らせると其処には馬車が倒れていた。
そばには馬車を引いていたと思われる馬が二頭と騎手がいたが既に死んでいるのが分かるほど酷い状態であった。
「ひっ」
一樹がその凄惨な場面に息を呑み顔を背け一刀にしがみつく。そんな一樹を落ち着かそうと一刀は頭を撫でていたが倒れた馬車より呻き声のようなものが聞こえてくることに気が付き、
何とか一樹を引き剥がし馬車の中を覗くと少女が二人いた。泣いている少女は頭から血を僅かに流しながらもう一人の少女を揺すり「あねうえ~、あねうえ~」と声を掛けていた。
「おい、大丈夫か?」
こちらの問いかけにぐしゃぐしゃになった顔を上げ人が来たことが分かると助けを求めた。
「あねうえ~、を、あねうえをたすけて~」
「よし、わかった。」
倒れた馬車の中に入ると少女の血を拭い頭に手拭いを巻き簡単に処置をすると先ず少女を外に出す。次に中に入るともう一人、中年の男性がいることに気が付いた、少女達の親だろうか。見た所気を失っているだけのようで大丈夫そうだ。
少女の方を優先し外に出した後で中年の男性も外に出した。処置をしていたが、一刀に出来るのは応急処置のみで少女を助けようとするなら医者に見せるのが一番であったが正直街の居る医者に辿り着くまで少女の命が持つか微妙であった。
「あねうえはだいじょうぶ?」
妹であろう少女は一刀に聞いて来た。
「大丈夫、助かるよ。」
少女の問いかけに安心させるように言った。だがそう言っては見るものの助ける手が無い。方法が無いわけでは無い。馬を駆って街に行き医者に見せれば良いだけだ。
だが馬に乗れるのは精々二人、自分と少女。そうなれば一樹ともう一人の少女、中年の男性は此処に置いていかなければならない。そんな父の悩む姿を見て一樹は父に行くように勧める。
「ちちうえ~僕なら大丈「ぶるああああぁぁぁ!!」「ふんぬうううぁぁぁぁ!」」
一樹の言葉を突如遮った声の方向を見るとそれはかつて見慣れた禿げで紐パンの筋肉達磨が二匹…もとい二人が立っていた。もう一人の方は見覚え無いが。カイゼル髭の方は脇に若い男性を抱えていた。
「「ひっ?!」」
一樹たちは一刀の後ろに咄嗟に隠れ後ろで震えていた。
「(うん、気持ちは分かるぞ。一樹。お嬢ちゃん。)貂蝉!」
「どぅふふふ~、ご主人様おっひさしぶり~♪ん~~~」
一刀がその名を呼ぶと両手を広げ抱きしめ様としさらに唇を突き出してきた。
「やめんかい!怪我人がいるんだ、それどころじゃないんだよ!」
そんな貂蝉の顔に蹴りを食らわす。すると若い男性が反応した。
「何、怪我人がいるのか?!俺に任せろ!」
「あんたは医者か。ならこの子達を助けてやってくれ!」
「よし、まかせろ!」
こうして男の手により少女は命が助かり、中年の男性も打撲と気を失っているだけということで治療が済んだ。
「改めて礼を言う。この子達を助けてくれてありがとう。俺の名は北郷一刀。」
「なに礼は要らない。医者として当然の事をしたまでだ。おっと俺の名は華佗。五斗米道の華佗だ。」
「え、あんたが華佗?
「ちっがーう!
「
「そうだ!君は中々筋が良い!よし君を友と呼ぼう!」
「は、はあ…」
何の筋が良いんだろうかと聞きたかったが聞くと面倒臭そうなので止める事にした。
そして治療が終わり今は穏やかに寝ている姉の傍にいる少女に声を掛けた。
「よかったな。お姉ちゃんが助かって。」
「うん、ありがとう!」
一刀はこの少女の事は後で聞く事にして今は貂蝉達に話を聞く事にした。
「久しぶりだな貂蝉。華佗を連れて来た事に礼を言う。どうして此処に…て当然泉の事だな?」
もう一人のカイゼル髭の筋肉だ…漢女の自己紹介も終わり此処に来た理由を聞いた。
貂蝉の師匠って…
「そうよ~ん、一応念の為に聞くけど怒らないで答えて頂戴ね。司馬懿ちゃんを殺したのはご主人様?」
「っ!…違う。泉は俺の目の前で殺された。」
確認の為とは分かっていても面と向かって俺が「泉を殺したか」と聞かれると結構くるものがあった。こいつも俺がそんな事をしないのも百も承知のはず。だが管理者として最低限の仕事をしようとしているのだ。
「そう、ありがとう。別にご主人様を疑っているわけじゃないのよ?」
「わかっている。貂蝉は自分の仕事をしようとしただけだろ?」
「分かってくれて嬉しいわ。じゃあお礼の口付へぶ!愛が痛いわ~ご主人様~」
「…お前も相変わらずだ。」
貂蝉は顔に再度蹴りを入れられても何事もなかったかのように振舞う姿に呆れる。
「此処にくる途中で華佗ちゃんに出会ったの。もしかしてご主人様が病気や怪我をしていても対処出来るようにね。」
「それは左慈や干吉達によるものの為か?」
「ご主人様も彼らがこの外史に居る事を疑っているの?」
「あいつが、泉が、外史の人間の手によって殺されたなんて思ってはいない。だが同じ管理者同士なら…」
「ふむなんとなく察しているようじゃな。」
それまで黙って聞いていた卑弥呼が口を開いた。
「それを調べに来たんだろう、お前達は?」
「まあね~」
「で、成果は?」
「・・・・・・」
「まだ調べてなかったのかよ?!」
「だって~、早くご主人様に会いたかったんだもの~」くねくね
「止めろ、しなを作るな。」
ま、それだけ俺の事を心配してくれたんだろう。あれさえなけりゃあ…
一先ずこの場を離れる事にした。流石に死体の傍に何時までも居るのは余り気持ちのいいものでは無いために。
一刀はまだ知らないこの少女達が何者であるかを、そしてこの先にある出会いがどうなるのかも…
あとがき
反董卓連合編開始~、です。
そしてやっと合流漢女達!道草ならぬ道男を漁っていたため合流が若干遅れました。(←食ってはいないですよw
新キャラは劉弁劉強姉妹、そして張譲。
今の所大まかな設定しか無いですが
劉弁(女の子)10歳ぐらい
劉協(女の子)7歳ぐらい
姉妹仲は良いのですがそれぞれの親の立場と周りに居る大人達の都合の所為で表立って一緒に遊ぶ事は出来ないでいました。
張譲(男)40歳ぐらい
十常侍筆頭、今回の事件で姉妹を連れ去り董卓こと月達を都より排除しようとしていた人物。
と今現在はこんな所です。追々更新して行きます
余り描写されてませんが子供達からは既に距離は取られている漢女達。子供達よ早く慣れよう。…無理だなorz
ではまた次回~
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反董卓連合編始まり始まり~
そしてアレ合流ww