(全体的にゆったりテンポ。おぎやはぎ等のような間をあまり詰めない漫才)
ツ「はいどうも~。よろしくお願いします」
ボ「せーの、はんぺんおいしい!」(拳を上げながら)
ツ「言わね言わねえ言わねえよ……言わねえって。打ち合わせもねえし…。何だよはんぺんおいしいって……」(最初やや早口。その後ゆったりに戻す)
ボ「おいしいじゃないですか」
ツ「おいしいけどよ……こっちだっておまえ、これから漫才やろうっていろいろプランあるんだからさ…『今日は練り物で行くよ』とかそういうのあらかじめ言っといてもらわんと」
ボ「言っとけば大丈夫だった?」
ツ「言っといてもらえればなんとかこう「じゃあいくつかあるツッコミのうちの一つを『ちくわに失礼だろ!』とかに変更しようか?」とか対応できるかもしれないじゃんかよ」
ボ「臨機応変だねえ」
ツ「そのくらいはするよ…。で?なに?はんぺんの話したいの?」
ボ「したい」
ツ「まあじゃあしょうがねえな…いいよ」
ボ「良いかい?」
ツ「良いよしょうがねえな…」
ボ「いっつもすまんな」
ツ「良いよ良いよ。お前がやりたいっていうんだものしょうがねえよ…」
ボ「あのー、はんぺんって有るじゃないですか」
ツ「おお、あるね」
ボ「おでんとかに入ってる白い奴ね」
ツ「ああうん。ダシとかしみていい色になってる奴とか」
ボ「そうそうそう。そう、それよ!流石!!!わかってる!!!!」
ツ「間違えてる間違えてる間違えてるよ……反応が強いよ……。わかってんの当たり前じゃんか…」
ボ「え?」(あまり間を置かず『じゃんか』に重ねて。ツッコミも次の台詞を食いぎみで)
ツ「さっきお前がはんぺんの話ししたいって聞いて、こっちはこんな遠くまで足運んできてるんだからさあ……」
ボ「ああそうか」
ツ「不安になっちゃったのぉ?」
ボ「ちょっとね」
ツ「大丈夫だよお前がはんぺんの話ししたいっつって俺がいいよって言ってるんだから最後まで話させてやるよ……」
ボ「大丈夫かい?」
ツ「大丈夫だよ…俺さっき『流石!解ってる!』って予想以上の燃焼反応で火が燃え上がったから思わず消さなきゃってふた閉じちゃったけどさあ…」
ボ「ああ、ごめんごめん」
ツ「いいよいいよ…最後まで話させてやるから大丈夫だよ…」
ボ「んじゃあ…。俺ねえ…全日本プロレスが好きでさあ」
ツ「……ん?」
ボ「往年の名外国人レスラーってたくさん居たじゃないですか」
ツ「…おお…まあ、居たね」(戸惑いながら)
ボ「その中でもあのテンガロンハットかぶったテキサスの暴れん坊(ここでツッコミがさえぎる)
ツ「まってまってまって」
ボ「え?え?何?何?」
ツ「ごめんね。途中で止めちゃって」
ボ「おお、いやいいんだけどよ。どうしたのよ。最後まで…」
ツ「うん、いや、最後まで話させてやりたいのはやまやまなんだけどよ」
ボ「何何?どした?」
ツ「おまえ違うこと話してない?」
ボ「違うこと?」
ツ「いや、だっておまえ、はんぺんの話じゃなくて、ハンセンの話してるぜ?」
ボ「はん……あー」
ツ「あ、わかってなかったんだ」
ボ「全然気づかんかった」
ツ「ああ…そう」
ボ「あー、そうか…ハンペン…ハンセン…あー」
ツ「違うだろ?
ボ「おお、違ったわ。そうか。はんぺんな。そうかそうか。あ、うん、あの、ありがとうな」
ツ「いいよいいよ…お礼とか…。俺はお前、横でお前の間違いを指摘してやる係だからよ…」
ボ「すまんないつもいつも」
ツ「いいよ大丈夫だよ。お前が客前であまりハジかかないようにしてやるからさ」
ボ「ええと、はんぺんな」
ツ「はんぺんね」
ボ「あの、焼いたのとかもおいしいでしょ」
ツ「あー、良いね。ちょっとこう、焼き目が付いて反ってきてるところとかにバター醤油とか柚子胡椒とかね」
ボ「あー、良いね」
ツ「良いでしょ。そこにビールとかね」
ボ「いいねー」
ツ「いいでしょ」
ボ「うん」
ツ「……」
ボ「……」
ツ「おいどうしたどうした」
ボ「ん?」
ツ「ハンペンの話は?」
ボ「おお。終わった」
ツ「ええ!もう良いの!?」
ボ「満足満足」
ツ「最後まで…」
ボ「したした」
ツ「お前、ハンペンのひきだしちっちぇえな~」
ボ「おお。だろ?」(ニヤリと)
ツ「いや、褒めてねえけどよ」
ボ「あれだわ。気づいちゃったんだけどよ」
ツ「おお、何だよ」
ボ「言っていい?」
ツ「言ってみろよ」
ボ「俺、磯辺揚げの方が好きだわ」
ツ「いいかげんにしろ、やめさせてもらうわ」(オチ)
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オチを決めずにその場の思いつきだけで漫才台本を書く。
1000本。
舞台上では大体3~5分を想定。
3本目。
同僚から廊下ですれ違いざまに「はんぺん」と言われたので本日のお題は「はんぺん」
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