No.227280

真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 19話

lovegtrさん

新章突入!第19話です。
呉と魏の戦い、その序章です。

2011-07-10 04:36:44 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5555   閲覧ユーザー数:4560

曹操たちが劉備を追い出し、徐州を手に入れてから数ヶ月が経った。

冀州で起きた反乱も抑え、徐州の平定もあらかた終わったようである。

広大な土地を手に入れた曹操は大陸でも一二を争う力を手に入れた。

そこで華琳たちは自らの領土を魏と国号を宣言し、自身を魏王と名乗った。

これは漢からの独立を意味する。

自らの中に漢王、劉協を囲っての独立。

それは明らかに漢王朝の崩壊を意味する。

これに反対する諸侯は居たが、曹操の持つ強大な力のもと、手を出せないでいる。

 

そんな情報が北からもたらされた時、劉表の治める荊州のもとに向かった劉備たちから手紙がきた。

まず劉備からの手紙の内容は、

「お腹のまわりにお肉が付きはじめてきたから、そろそろ動こうと思います」

と言うような内容であった。

 

良く意味を解さないので、続いて諸葛亮の手紙を読むことにした。

「劉表様の所で十分英気を養うことが出来たので、自らの治める土地を手に入れるため発とうと思います」

目的地は益州。

何でも益州を治める劉焉は大変な無能で、民に重税を課し、国は廃れて乱れているという。

そこに民の救援の名のもと、劉焉を討ち、益州を手に入れるというのが諸葛亮の考えであるようだ。

小さいのになかなかあくどいことを考える娘である。

しかし民を救いたいという気持ちは本心であろう。

主があの劉備である。

周りの者もその気持ちは変わらないはずなので、そう悪い方には転ばないであろう。

 

最後は関羽の呉に対する感謝と、

「あの時は危ないところを助けて頂き誠に有難う御座います。

 また再び仲間と会えたのは貴方様のおかげで御座います。

 貴方様に何か御座いましたらこの関雲長、この身を捧げお助け申す所存です」

という俺に対する「個人的な」感謝を綴った手紙であった。

それを見た雪蓮姉さんは、

「なに?一刀、他のところの女にも手を出したのぉ?」

と冷やかしてきた。

その場に居た他の者達も皆、俺を白眼で睨んできた。

「べ、別に何もしてないよ。

 関羽は真面目そうだったから、救出に向かった俺に対してのただ純粋な礼だよ」

「なんだかよくわからないけど、一刀も大変だな~」

劉備たちの事を詳しく知らない太史慈こと栄だったが、とりあえず面白そうと言う事で笑っていた。

「まあ、そういう事にしてあげるわ。

 ……それよりも皆知っているように曹操が漢から独立したわ」

姉さんは今回の議会の本題である曹操の独立について語り始めた。

皆の顔が真剣なものに変わり王座に座る姉さんに注目が集まる。

「そこで私たちも漢王朝から独立するわ。国号は『呉』。みんな、良いわね」

姉さんが独立の国号を宣言すると、王間に居た者達からは、おぉと言う感嘆の声が聞こえた。

 

「あの~質問、いいですか?」

「何だ、烈火?」

おずおずと手を上げ発言した凌統こと烈火に、姉さんの隣に立っていた冥琳が質問を許可した。

「そんな事したら、曹操のところから攻められるんじゃないんですか?」

「まあ、そうだろうな……」

烈火の質問に冥琳は目をつむり答える。

「でも、心配はいりませんよ、烈火さん」

冥琳の答えに不安がる烈火に諸葛瑾こと茶々は補足する。

「曹操さんはもともとこちらと戦う気満々です。

 だから私たちが独立しようがしまいが攻めて来ます」

「どっちにしてもせめて来るんですか!?」

「ええ、だから独立することで領内の結束を強めるのです。

 あとは戦いに向けて準備を整える。それだけれす」

茶々は普段と変わらぬ淡々と烈火に説明した。

いや、最後少し噛んだのを見ると茶々も少し緊張しているのかもしれない。

「ま、そういう事だから、皆戦いの準備をしっかりとしといてちょうだい。では、解散!」

姉さんの号令の後、皆はすぐに来るであろう曹操との戦いに向けて準備を始めた。

【曹操 side】

徐州を手に入れ、自国を魏と改めた私たち。

もちろん外には反対する者達もいたが、逆に共感する者達も当然出てくる。

そういった者達を私は手厚く迎え、有能な者は自分の家臣にした。

今は新しく私の家臣となった者達を迎えての挨拶を行なっている。

「次の者、前へ!」

私の隣に控える秋蘭が名前を呼ぶと平伏してい者が前に出て挨拶を行う。

それを受けて私はその者に挨拶を返し再び下がらせる。

その作業を何度か繰り返し、やっと最後の者となった。

「次、司馬懿仲達!」

「はあっ」

司馬懿と呼ばれた男はしゃがれた声で返事をし、一歩前に出てきた。

司馬懿は見た目ガリガリな老人で、黒い外套をかぶりその隙間からは白髪が見えている。

司馬家の者は皆優秀であるという事を聞いたことがある。

……男だけど期待できそうね。

「司馬懿仲達、あなたの働き、期待します」

「期待に添えるよう努力します」

そう言い司馬懿はひゅっひゅっひゅっと風が隙間を抜けるような音を出して笑った。

……少し気味が悪いわね。

「……下がって良いわ」

 

新しく入ってきた者たちの挨拶も終え最後に、

「徐州を手に入れ我が覇道はまた一歩進んだ!次の標的は呉よ!皆準備を怠らぬように!」

そう言い会を締めた。

英雄孫策との戦い…今から胸が躍るわ。

そして一刀。

やっとあなたを手に入れることが出来る。

あなたと二人なら何だって出来るわ……

私は呉を手に入れた後の事を考えながら、足取り軽く玉座を後にした。

【曹操 end】

新章に入り、とうとう呉と魏の戦いの火蓋が切って落とされようとしています。

今回はその前哨戦。

華琳も雪蓮もそれぞれ漢から独立することとなります。

史実では魏は曹操の代ではなく、次の曹丕が国号を宣言したはずですが、ゲームではどうでしたっけ?

明確に宣言する場面ってありましたっけ?思い出せません……

 

桃香の手紙にあった「お腹の肉ー」は演義の髀肉の嘆をモチーフに。

演義の劉備は功名を立てる機会を得られなく嘆いていましたが、こっちの桃香は全然動いてないから太ってしまったと嘆いています。

桃香って太りやすそうな体質っぽいですし。

 

最後に出てきた司馬懿。他の方の作品では美少女だったり主人公と恋仲だったりしますがこの話ではおじいさんです。

しかも相当気味悪い!美少女を期待していた方はごめんなさい。

 

では、また次回ノシ


 
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